そこにはいない男たちについて の商品レビュー
生活感のある江國香織。まりと夫の生活の描写がリアルですごく嫌だった(褒めてる)。 私は夫を亡くして解放されたから、実日子のように心からその不在を悲しむことができる状況に少し憧れはある。勇介がちょっと無軌道すぎた。
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この作品が描く「いない」には二種類ある。物理的に存在しない者と、確かに実在しているのにいなかったことにされている存在。そのどちらがより救われるべきなのか、読み進めるほどに答えは曖昧になっていく。 人を通じて形成された記憶は、その人が今そこにいるかどうかとは無関係に、生活のあちこ...
この作品が描く「いない」には二種類ある。物理的に存在しない者と、確かに実在しているのにいなかったことにされている存在。そのどちらがより救われるべきなのか、読み進めるほどに答えは曖昧になっていく。 人を通じて形成された記憶は、その人が今そこにいるかどうかとは無関係に、生活のあちこちに染みついている。ふとした匂い、食卓、夜の静けさの中で、思い出は勝手に立ち上がる。その影を懐かしむのか、煩わしく感じるのかは、記憶そのものではなく、今の自分の心の在り方に左右されるのだと気づかされる。 思い出に付随する感情を完全に消し去ることはできない。ただ、どの瞬間にそれを掘り起こしてしまうのか、その引き金を知り、少しずつ扱い方を覚えていくことはできる。生活を重ねるとは、そうした感情との距離を測り直し続ける行為なのだろう。 少し手の込んだ料理を作りたくなる夜や、酔いに任せて誰かに肩を貸したくなる瞬間、視界に映るものすべてに恋の残像を重ねてしまう感覚。そんな人間の弱さと愛しさを、静かに肯定してくれる一冊だった。
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まりの用意した食卓を見て「うわ」って言うところとか、嫌な夫感に共感。この夫を大嫌いになるのがわかる分、まりの家庭の最後はやるせなかった。リアルだけど、、。
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究極の選択というと倫理に悖るかもしれませんが、愛していた夫を亡くした女性と、関係が冷え切った夫を持つ女性との対比が描かれている。 どちらも「不在」を感じていて、前者は字義通り亡くした夫の不在を、後者は夫の心や愛の不在を感じている。 どちらがマシかと比べることは倫理的かどうかという...
究極の選択というと倫理に悖るかもしれませんが、愛していた夫を亡くした女性と、関係が冷え切った夫を持つ女性との対比が描かれている。 どちらも「不在」を感じていて、前者は字義通り亡くした夫の不在を、後者は夫の心や愛の不在を感じている。 どちらがマシかと比べることは倫理的かどうかという以前に、不可能だと思った。 彼女たちは料理教室の先生と生徒という関係だが、お互いの身の上を知った上で、相手の方が幸福なのではないかという考えから、始終抜け出せないでいる。 はたしてそこに歩み寄れる余地があるとすれば、どのようなことかと考えながら読んでいたが、本作や個人的な空想からは出てこなかった。
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大好きだったけど、もうここにいない男 大嫌い故に、ここにいる実感のない男 そこにはいない男たちについての話。 すごいわかる。いや、わかりすぎるから痛さを通り越して笑える。 でも、果たして私(女)はそこにいたのでしょうか?
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いるけどいない夫(不仲)、いないけどいる夫(未亡人)を持つ二人の女性が主人公。前者の取り返しが付かない家庭内別居状態の描写がリアルだった…どちらが決定的に悪いでもなく。嫌っていたいから別れないでいた=いるけどいないのではなくずっといたじゃないかと思う。なのに、拗れると歩み寄ること...
いるけどいない夫(不仲)、いないけどいる夫(未亡人)を持つ二人の女性が主人公。前者の取り返しが付かない家庭内別居状態の描写がリアルだった…どちらが決定的に悪いでもなく。嫌っていたいから別れないでいた=いるけどいないのではなくずっといたじゃないかと思う。なのに、拗れると歩み寄ることは本当に難しい。当て馬にされた浮気相手の男性は可哀想だった。後者は、いないけどいることを受容しながら、いるしいる相手と幸せに生きていけるのだろう。解説の通り「きれいな女の人の前に立った無粋な女の子のような気持ちにさせられる」小説。
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心がざわざわする。結婚をしたけれど夫のことが嫌いで、「いない」ようなものとして生活するまりと、 夫を突然亡くしてしまい、文字通り夫が「いない」実日子の2人のストーリが軸で進んでいく。 女だから共感できるのか分からないけど、短い文章で的確に女性の気持ちを表現されていて、ものすごく心がざわざわした。 だいきらいだったはずの夫から離婚を切り出されて、 だいきらいだったのではなく、ずっとだいきらいでいたかったのだと気づく場面なんて、、、 なんだか心当たりがある感情で本当に参る。 あと、解説にもあったけど、本当に料理のセンスが良くて美味しそうで。 作中のレシピ公開してほしいです。笑
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公私共にずっと夫と過ごしており、夫が嫌いなまり。 突然夫が亡くなった料理家の実日子。 まりが実日子の料理教室に行くことから話ははじまる。 ひどく食欲を掻き立てられる一冊だった。 食べたい料理がたくさん。 イメージが浮かぶような料理なのに、少し手が込んでいるから誰かが作ったこの料理を食べたい気持ち。 夫が存在しているけど、自分の中ではいないものとして考えているまりと、夫はいなくなってしまったけど、自分の生活の中で夫を感じる機会の多い実日子が対象的に描かれている中、エンディングでは二人の立場がクロスするというのが面白かった。 解説にある「きれいな大人の女性の前に立った、無粋な女の子のような気持ち」がしっくりきた。
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夫を亡くした料理研究家 実日子と夫とうまくいってないまり 二人の女性の孤独と冒険の物語 女性のちょっとした会話などで気持ちが動いていく 男性ではわからない表現が複雑で面白い 男は単純でつまらないかもしれないが その分明快で幸せなのかもしれないと感じた
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ほんとうにひさしぶりにノンフィクションやエッセイでないものを読んだ。アラフォーになって、急に物語を読むのが億劫になったのだ。 なんとなしに、ネットサーフィンしてたら見つけて、読みたくなり読んだ一冊。 料理描写、もうなんだろう、いちいち、洒落ていて、作りたい欲ふつふつ、もちろん食べ...
ほんとうにひさしぶりにノンフィクションやエッセイでないものを読んだ。アラフォーになって、急に物語を読むのが億劫になったのだ。 なんとなしに、ネットサーフィンしてたら見つけて、読みたくなり読んだ一冊。 料理描写、もうなんだろう、いちいち、洒落ていて、作りたい欲ふつふつ、もちろん食べたい欲も。 直接的な性描写なんてないのに、急にドキッとムラッとくる一文がある。あと2人の対照的な女性ですが、なんとなしに田舎もんじゃなくて、洗練されたシャレオツな女性なんだろうなぁとか.... 普通に夫と、子供2人いる主婦ですが、なんかないかな?なんか男とオサベリしたい....と悶々させてくれますわ(笑)
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