神様の暇つぶし の商品レビュー
よくある恋愛の展開、と言えなくもないけれど、それを凌駕するのは著者の繊細な言葉遣いや表現力。それがあまりに美しくて、恋愛を小説で楽しむ喜びを再認識させてもらう。これは文字でなければならない。
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タイトル通り、これは神様の暇つぶしによる出会いだったのだろう。 暇つぶしは長くは続かない。 藤子と全の出会いだけじゃなく、登場する全員の出会いが一瞬で永遠じゃない。 限られた時間だからこそ、鮮明に強く心に刻まれるのだろうと思った。
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経験したことが無いのに知っている、という感情に終始浸っていた 私が感じたこの感情は何に対する感情なのか、恋なのか親しい人を喪うものか、考えた時にこれは生きる、という事に対する感情のではないかと思った。 一文一文が美しく廃退的な雰囲気と明るく前向きな雰囲気が混ざり合い独特のコント...
経験したことが無いのに知っている、という感情に終始浸っていた 私が感じたこの感情は何に対する感情なのか、恋なのか親しい人を喪うものか、考えた時にこれは生きる、という事に対する感情のではないかと思った。 一文一文が美しく廃退的な雰囲気と明るく前向きな雰囲気が混ざり合い独特のコントラストに満ちていた。 私がこの本を映画にするのならば昔ながらの幅が狭いフィルムで、基本は白黒で唇の赤さや桃だけ鮮やかな色で撮りたいなぁと思った。
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生々しく五感にヒリヒリ訴えかけてきた。 美醜や魅力は姿型に無関係なんだと改めて思った。 性的に惹きつけられるのってなんなんだろう。 好き嫌いの好みの問題でもなく理性では抗えないもの。 命、魂で感じるもの。 全さんの圧倒的な魂の写真が見えるようだった。
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抱きながら、あのひとに食われてしまいたかった-。 『森の家 』に続いての千早茜san。 「時間は記憶を濾過していく」から始まる物語。思い出は薄れるものではなく、濾されてしまうものという表現が、深くて、美しくて、とっても好きです。 親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年...
抱きながら、あのひとに食われてしまいたかった-。 『森の家 』に続いての千早茜san。 「時間は記憶を濾過していく」から始まる物語。思い出は薄れるものではなく、濾されてしまうものという表現が、深くて、美しくて、とっても好きです。 親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った。柏木藤子、全さん、最後の写真集など。ポイントポイントで現れる大学友達の里見の言葉が的確でした。父親が亡くなったことを早く伝えられない藤子に対し、「言葉にしてしまったら、それを受け入れないといけなくなるんだから。早いも遅いもない。柏木が口にしたいタイミングでいいんだよ」と。強くて優しい言葉です。さりげなく名前を呼び捨てにするところも自然で素敵でした。 全さんの最期は切なかったですが、”神様”に出会えて幸せだったかもしれません。藤子の物語が長く続きますように。
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生々しくて濃密な恋愛の話。 どうしようもなく惹かれてしまう気持ちに共感。 食と性の描写がリアルで、「生」を強く感じた。
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なんと描写がリアルで生々しく食欲、性欲といった人間の濃い欲望に圧倒された物語だった! 最初は歳の差が離れすぎてえっ?!って思ったけど、最後はむしゃむしゃと喰って喰われて依存しあう二人の世界が美しいと思ってしまうほどに。 たったひと夏の間を共に過ごした全さんは藤子にとって男を教えて...
なんと描写がリアルで生々しく食欲、性欲といった人間の濃い欲望に圧倒された物語だった! 最初は歳の差が離れすぎてえっ?!って思ったけど、最後はむしゃむしゃと喰って喰われて依存しあう二人の世界が美しいと思ってしまうほどに。 たったひと夏の間を共に過ごした全さんは藤子にとって男を教えてくれたことだけではなく生きた証をもしっかり刻んでいったし、彼に恋をして愛していた瞬間が生涯写真集という形で永遠に残されると思うと彼の執念深さを感じさせられた。
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父が死んでひとりぼっちになり、停滞していた藤子の時間を動かしてくれたのは、近所の写真館の息子で30歳ぐらい年上のカメラマンの全さんとの出会いでした、なんて。しかも年上の余裕と、危なっかしさをあわせもっていたら恋に落ちてしまいますよね。残された藤子の方が辛いかもしれないけど、全さん...
父が死んでひとりぼっちになり、停滞していた藤子の時間を動かしてくれたのは、近所の写真館の息子で30歳ぐらい年上のカメラマンの全さんとの出会いでした、なんて。しかも年上の余裕と、危なっかしさをあわせもっていたら恋に落ちてしまいますよね。残された藤子の方が辛いかもしれないけど、全さんが最後に「死期が近づいたら味覚が変わるとか、世界が違って見えるとか、言うけどそれって死にたくないくらい大切なものがある奴だけなんだろうな」、「なんかわかったわ」と言うぐらい大切に思われていたんだなということを、誇りに思って進んでいってくれればいいなと思いました。
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「時間によって思い出が濾過され、純度の高い記憶だけがきらきらとした結晶になって残る」でも、藤子は「きれいな記憶になんかしたくないと」思う。 藤子の父親の友人で写真家の全さんの色気と危うさにドキドキしながら読んだ。 ひと夏を一緒に過ごした人が残した、藤子を撮した写真集は「ただの暇つ...
「時間によって思い出が濾過され、純度の高い記憶だけがきらきらとした結晶になって残る」でも、藤子は「きれいな記憶になんかしたくないと」思う。 藤子の父親の友人で写真家の全さんの色気と危うさにドキドキしながら読んだ。 ひと夏を一緒に過ごした人が残した、藤子を撮した写真集は「ただの暇つぶし」ではなかった。藤子は見るまでに時間がかかってしまったけれど、見て気持ちが伝わったので良かった。
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