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陽だまりの果て の商品レビュー

4.2

5件のお客様レビュー

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2023/11/25

泉鏡花賞受賞に納得。 少し不思議な、怪談の少し入った話。 恒川光太郎さんの女性バージョン。 恒川さんより余分な描写が多く、内容よりそっちを重視している感がある。それが私にはちょっと読みにくく、抽象画を読んでいるような気分になって、老化した脳にはしんどかった。詩っぽい部分が多い。 ...

泉鏡花賞受賞に納得。 少し不思議な、怪談の少し入った話。 恒川光太郎さんの女性バージョン。 恒川さんより余分な描写が多く、内容よりそっちを重視している感がある。それが私にはちょっと読みにくく、抽象画を読んでいるような気分になって、老化した脳にはしんどかった。詩っぽい部分が多い。 6つの話があり、 表題作の陽だまりの果てがいちばん疲れた。 1)ツメタガイの記憶 語り手の息子の部分がなかったら好き 2)鼎ヶ淵 子供が語り手で読みやすく面白かった 3)陽だまりの果て 4)骨の行方 老女二人の友情。いちばん普通に読める 5)連れ合い徒然 ドイツ人ツレアイとの3つのエピソード。ドイツ人とは書いていないけど郷土料理でグリューネゾーセと出てくるのでそうと分かる。大濱さん自身ドイツに暮らしているから実際そうなのかな? 6)バイオ・ロボ犬 ロボット犬というモチーフで生死を考えさせるので分かりやすい。でもこれを読むと、読みにくいと感じて大濱さんはちょっと苦手かもなぁと思った1と3が恋しくなって、そっちの方が良いなと思ってしまった(苦笑)

Posted byブクログ

2023/09/12

 短編集。ヒトと、ヒト以外の生物の死の匂い、老いの気配がどの作品にも強く漂う。文体はユーモラスであり、それぞれの物語のもつ深刻さを中和している。老婆二人の、万引きをきっかけのかっこいい友情物語『骨の行方』が一番好き。

Posted byブクログ

2023/08/25

前半の3作「ツメタガイの記憶」「鼎ヶ淵」「陽だまりの果て」は、彼岸の人たちとの奇縁めいたつながり方と、どこかにピタッと着地するわけではない仄暗い幕切れが印象的だった。なんとなく村田喜代子の小説に描かれる異界っぽさを感じたけど、あとで調べたら本作は第50回泉鏡花賞を受賞していて、ひ...

前半の3作「ツメタガイの記憶」「鼎ヶ淵」「陽だまりの果て」は、彼岸の人たちとの奇縁めいたつながり方と、どこかにピタッと着地するわけではない仄暗い幕切れが印象的だった。なんとなく村田喜代子の小説に描かれる異界っぽさを感じたけど、あとで調べたら本作は第50回泉鏡花賞を受賞していて、ひとつ前の第49回が偶然にも村田喜代子『姉の島』だった。 このふわふわした感じが後半3作でも続くのかと思いきや、「骨の行方」「連れ合い徒然」「バイオ・ロボ犬」はまた毛色が変わって、いい意味で予想外。 器用な作風。他の作品も読んでみたい。 【目次】 ツメタガイの記憶 鼎ヶ淵 陽だまりの果て 骨の行方 連れ合い徒然 バイオ・ロボ犬

Posted byブクログ

2023/02/27

端正な日本語、少し昭和の香りもする。でも読んでいると閉所に閉じ込められたような気持ちになる。この本の空間は私には狭い。骨の行方は、おもしろかった。

Posted byブクログ

2022/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

皆川博子が「彗星図書館」で「十四番線上のハレルヤ」を取り上げていて気になっていたところ、 東雅夫が編んだ「平成怪奇小説傑作集3」にて「盂蘭盆会」を読んでゾゾゾ……というのが初の出会い。 《これは恐い。部屋にでんと腰を据えて、姉夫婦と姪の死を見送り、死後をも見ている、視点人物の怖さ。物言わぬ女の怖さ。あらすじに起こしてみるとそうでもないが、文章の細部に、冷静な加虐心といったものが宿っていて、文章そのものが冷え冷えと恐い。》 と書いた。 で、最新作がやはり皆川博子の推薦文つきで刊行されたので、読んでみた。 やはりゾゾゾ……。 読後、猫丸(nyancomaru)さんのおかげで、ドイツ語による作者当人のサイト「Fumiko Ohama Künstlerin und Schriftstellerin」を知り、あっ、小説家だけでなくアーティストだったんだ(それも年季の入った)、と驚くと同時に納得。 Google Translateによれば、 ・ 大浜文子 アーティストとライター 私について 東京生まれ東京育ち。慶應義塾大学でフランス文学を学ぶ。パリ第3大学でフランス文学を学び、パリ第7大学で外国語としてのフランス語の修士号を取得。フランクフルト・アム・マインで25年近く日本語教師として生活している。1998 年以来、当初は成人教育コースの一環として絵画とデッサンのトレーニングを行っていました。2003年よりスタジオ「Ahmad-Rafi」にて芸術活動。久しぶりのライターです。2冊の短編小説集の日本での出版:2013年 「たけこのぞう」 2018年「14番線上のハレルヤ」以下を含むいくつかの展示会」(以下略) ・ と。 アマゾンによれば、 ・ 著者について 1958年東京生まれ。1980年慶応義塾大学文学部文学科フランス文学専攻卒。 1987年パリ第七大学《外国語としてのフランス語》修士課程修了。1995年よりドイツ在住。2009年、「猫の木のある庭」を発表(三田文学)。著書に『たけこのぞう』『十四番線上のハレルヤ』(いずれも国書刊行会)がある。 パスポートすらない者にとっては英語ができるだけで凄いと思うが、おそらく英語フランス語ドイツ語あるいはもっと、のマルチリンガルなんだろう。 にして、日本の風物を敢えて選んでホラブルな小説を描いているあたり、すごいな……。 お生まれは1958年。 来歴から勝手に多和田葉子(1960年生)を連想したり、出版社から勝手に山尾悠子(1955年生まれ)を連想したりしてしまうが、……もっと茫洋としてぼんやりしているというのか。 単著「たけのこぞう」を刊行したのが55歳当時で、約5年ごとにスタンダードに単行本を刊行して、これが3冊目。 その上勝手に感じた怖さだが、「たけのこぞう」収録6篇、「十四番線上のハレルヤ」収録6篇、本作も6編。 年に一作? さらに、やや無理矢理と言われそうだが思ったんだから仕方ない、本作に収められた作品、どれもボリュームが同じくらい(60p、72p、50p、70p、72p、45p) この周期性、均一性、みたいなものも、なんだか怖い。 内容について、6作のうち前半3作は、ガチのホラー、幻想、怪奇、恐怖、とはいえ角川ホラー文庫には入らなさそうなアプローチ。 後半3作は奇妙な味なんだかいい話なんだか、読者としての了解のしどころが摑みづらい感じ。 作風の広さ、文体の多様さ、なのに突き進む先にある怖さ、については延々考えたいところだが……その欲望を掻き立てるのは文体や文章そのものなので、ちょっと短く言い表しづらい味なのだ。 今のところ杉江松恋の書評が最も的確だと感じた。 https://kadobun.jp/serialstory/sugitreasure/entry-46321.html 読後、note限定の書き下ろしエッセイ https://note.com/kokushokankokai/n/n24418a00c338 を読んで、作家追いせねばと感じた。 嬉しい。

Posted byブクログ