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世界史の構造的理解 の商品レビュー

3.5

21件のお客様レビュー

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2022/12/02

前回の経済学が良すぎた。今回は自分の求めているものではなかった。世界史を構造的に理解するという目的だったが、「日本はまだまだこれからやれる」ということの証明するために世界史の都合の良いところを引用した印象。 歴史換算年齢や地政学と権力の移り変わり、一般意志と全体意志、形のない皇帝...

前回の経済学が良すぎた。今回は自分の求めているものではなかった。世界史を構造的に理解するという目的だったが、「日本はまだまだこれからやれる」ということの証明するために世界史の都合の良いところを引用した印象。 歴史換算年齢や地政学と権力の移り変わり、一般意志と全体意志、形のない皇帝の話やコラプサー化等面白い話も多かったが世界史を構造的に理解するには至らなかった。

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2022/10/23

知的制海権、ルールを制定する力、人類全体に影響する原理。ブルーウォーターネービー、予備戦力、国家に依存しない、理数系武士団、歴史に参加する などの新しい概念が提供される。 歴史を俯瞰している点で、福沢諭吉の「文明論の概略」のアップデート版とも言える。トクヴィル第二巻を読め。 【考...

知的制海権、ルールを制定する力、人類全体に影響する原理。ブルーウォーターネービー、予備戦力、国家に依存しない、理数系武士団、歴史に参加する などの新しい概念が提供される。 歴史を俯瞰している点で、福沢諭吉の「文明論の概略」のアップデート版とも言える。トクヴィル第二巻を読め。 【考察】 ベーコン、デカルトを読むと、現象や物体を分析するのに、仮説を作り、解析できるまで分解して、理解して、統合し直す、とある。その過程で、盲点がある。長期と短期で、多様な視点で、盲点を探す。 陰陽、陽があれば、その裏に陰があり、陰が成長を阻害する。そこに、中米の弱点があると思う。

Posted byブクログ

2022/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長沼節が心地よい、日本に対する警句と進言といったところでしょうか。 「現代経済学の直観的方法」では、経済の根本的な理解を明瞭かつある意味突飛な思考的発展によって助長してくれる名著であったので、世界史に対する同じテイストかなと思ったけれど、こちらはどちらかというと著者の意見を世界史からくみ取って提示するといった様相。 理数系武士団や安楽カプセル(本書の正確な表現じゃないかも)といった急進的な表現を使用しながらも、短期的願望と長期的願望の論理はさすがといった納得感。コラプラー化という短期的欲望がはびこっている社会での閉塞感というか、これじゃないんだなー感は各個人うすうす感じてるんだろうけど、宗教に頼るでもなく格差階級を復興するでもない第三の道を模索していく必要があるんだなー。ど文系の私ですが、理数系のお力と協力ができる度量の広い人間になりたい、そう思う。 途中のなぜ欧米が知的制海権をもっているかの論理は非常に納得のいくしある程度回答が出ているかと思うが、さて日本が今後具体的にどのようにしていけばいいのか、理数系武士団の登場を待ち望むしかないのかといったところが曖昧かなと感じる。これは著者ほどの論者でも間違いないといった回答がひねり出せないほどの難題なのだなと理解する。主張は、理数系の人たち表舞台に出てこいというメッセージはくみ取れたけども。

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2022/09/05

いろいろ面白いのだが、ちょっとトンデモ感がぬぐい切れない… 戦国時代に「文系」「理系」とか無理ないか?! イスラムは女性に支持されて、のくだりも、ではなぜ現在ああなってるのかわからない。ただ、昔の人の年齢の1.5倍掛けとか、理由はわからないけど確かに実感にあうものもあったりするの...

いろいろ面白いのだが、ちょっとトンデモ感がぬぐい切れない… 戦国時代に「文系」「理系」とか無理ないか?! イスラムは女性に支持されて、のくだりも、ではなぜ現在ああなってるのかわからない。ただ、昔の人の年齢の1.5倍掛けとか、理由はわからないけど確かに実感にあうものもあったりするので、あんまり生真面目にとらえずに自由な発想の例みたいにして参考にするのがいいと思います。面白いのは面白かった。

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2022/08/28

面白いと評判の長沼伸一郎さんによる世界史の構造分析と日本の取り組むべき道への示唆。 まずは勢力均衡型と世界統合型世界観の対立。いまのグローバル経済は世界統合型で一つの価値観の中にすべてを押し込もうとする働き。中国やローマ帝国が典型。一方でギリシアや英国型統治のように様々な勢力が...

面白いと評判の長沼伸一郎さんによる世界史の構造分析と日本の取り組むべき道への示唆。 まずは勢力均衡型と世界統合型世界観の対立。いまのグローバル経済は世界統合型で一つの価値観の中にすべてを押し込もうとする働き。中国やローマ帝国が典型。一方でギリシアや英国型統治のように様々な勢力がバランスすることで世界を形成する価値観もある。こちらのシステムの方が新しいことに取り組もうとする機運が生まれやすい。 そして短期的願望と長期的願望。当然ながら現代は短期的願望で埋め尽くされていて長期的願望は隅に追いやられている。ただこれは現代支配的地位にあるアメリカにおいて短期的願望の集約が長期的願望を成就させるという思想に支えられている面が大きい。ただ現代のアメリカの状況をみてもそうではないのではないか。 伝統的には古代エルサレムのように商業化により退廃が進むと世界宗教が登場し、超越的な価値を提示することで、現世の短期的価値を超え長期的な価値を実現するようなメカニズムが働いていた。階級制度もその一つ。ただ現在において宗教や階級制度にその役割を果たすことを期待することはできない。 現代においてその役割を期待できるのは科学であり、科学的アプローチを理解推進する理数系集団にこそその役割が期待される。 一方で理数系集団は世の中の些事には関心がなくそのような仕事からは基本的に逃げたがる。そんな時に求められるのが坂本龍馬や西郷隆盛のような文系的伝道者であり、彼らが理数系集団の意志を世の中に説得してまわる必要がある。現代においてその役割を担うのは「女性」かもしれない。 番外編では、昔の人々の実年齢を1.5倍にすると現代人の年齢感覚にフィットする。そうすると坂本龍馬が勝海舟にあったのは30代後半であり、その時勝海舟は50代後半。 また、現代は準第四次世界大戦の中にいる。ただ経済戦争のため軍事的戦争の基準にあわせると10分の1に時間を縮める必要がある。そうすると現代を湾岸戦争を起点として第二世界大戦に沿って考えてみると、いまはスターリングラード攻防戦が終わってウラヌス作戦が展開されたタイミングとみることができる。あと3年で終戦。 長沼さんがどのような方なのが、世の中的にどのように評価されているのかはわからないのだけれど、そしてアカデミアの世界で評価されるのは難しいとは思うけれど、非常に示唆に富んだ著作だった。このように世界のメカニズムを分析した本が他にあっただろうか、ということと、何となく感じていた違和感を論理的に解き明かしてくれたという印象。自分なりに構造を見極めるとはこういう手つきのことを言うんだなと、方法論の観点でも学びが多い本だった。

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2022/08/15

著者の長沼氏は同い年らしい。独立の研究者。理系の方なのだが、経済学分野でも著作がある。今回は世界史を構造的に理解することを目的に掲げる。 我々は見るべき未来がわかっていないから無秩序で混沌とした歴史的事実からどういうストーリーを紡ぐかがわからない。この無秩序に見える事象をストー...

著者の長沼氏は同い年らしい。独立の研究者。理系の方なのだが、経済学分野でも著作がある。今回は世界史を構造的に理解することを目的に掲げる。 我々は見るべき未来がわかっていないから無秩序で混沌とした歴史的事実からどういうストーリーを紡ぐかがわからない。この無秩序に見える事象をストーリーとして理解するには、古典から未来を正確に予言していたと思われるものを選び出し、そこに力学の抽象化を加えるという方法論が採られる(まえがきの要約)。 歴史の構造的な把握といえば、マルクスの唯物史観がすぐに思い浮かぶ。マルクスも相当当時の自然科学の方法論からは影響を受けているし、人類が行き着く先を措定してそこから資本主義批判を展開した。実践的には階級闘争によって革命を起こすというところまでいった。 本書は決してマルクス主義の立場で書かれてはいないし、共産主義革命を唱導しているわけでもないのだが、その方法論はある意味マルクス主義と驚くほどよく似ている。「現在の国際社会は「軍事力」よりもむしろ「経済力」などの目にみえないパワーによって動かされて」(p.135)いるなど、マルクスが最初に着目し、現代ではほぼ常識的な認識かと思うようなことを大げさに言い立てられるとう〜んと思ってしまう。 最後のほうでは「「歴史に参加できる」という意識は、時に巨万の富の誘惑をも凌ぐことがあり得る」のであり、その意識を一番持ちうるのが「下級貴族層(下級エリート)」だという(p.235)。まさに呼びかけている対象は違えど、立て!万国の労働者!というアジテーションと共鳴するのではなかろうか。 本書ではたびたびフランスの保守主義者アレクシ・ド・トクヴィルの「アメリカの民主政治」が引用され、称揚されているが、その読みが適切なのかどうかはよくわからなかった。その辺の検証などはやや粗雑なのではなかろうか。

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2022/08/14

著者の大胆な解釈による世界史の俯瞰図。 トクヴィルを下敷きに、短期的願望が長期的願望を駆逐するコラプサー化する世界を説明。 これを抑制する宗教、科学の役割を考察。 やや力技で日本の希望を説く。

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2022/08/07

「短期的欲望」は「長期的欲望」に勝ってしまうので、社会制度として、金利を禁止(イスラム教)したり、商人の位を低くするのは、人間の知恵ではなかったか。という点がとても心に響いた。他に、エルサレムを中心としての日本の外縁位置、中国大陸の地形にみる統一王朝の歴史(キングダム見るときに参...

「短期的欲望」は「長期的欲望」に勝ってしまうので、社会制度として、金利を禁止(イスラム教)したり、商人の位を低くするのは、人間の知恵ではなかったか。という点がとても心に響いた。他に、エルサレムを中心としての日本の外縁位置、中国大陸の地形にみる統一王朝の歴史(キングダム見るときに参考になる)などなど、形而下的・物理的な事柄で歴史を解きほぐすコンセプトがとても面白い。細かな歴史でなく、文明、1000年単位などの大きな枠組みで歴史・未来を捉えようとする心意気がとてもいいです。

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2022/07/31

短期的な欲を満たすことで長期的な理想が失われることを「縮退」といい、これによって様々な歴史問題も、現代の資本主義や環境問題も説明できてしまう。目から鱗的に面白い! «縮退の一例» 資本主義によって短絡的に富を生み出した場合、社会的な資源は無くなっていて、それを元に戻すのは難しい...

短期的な欲を満たすことで長期的な理想が失われることを「縮退」といい、これによって様々な歴史問題も、現代の資本主義や環境問題も説明できてしまう。目から鱗的に面白い! «縮退の一例» 資本主義によって短絡的に富を生み出した場合、社会的な資源は無くなっていて、それを元に戻すのは難しい 昔ながらの商店街のコミュニティがショッピングモールに駆逐されたのが分かりやすい例。 更に、自由で平等すぎる社会では短期的な欲望が増幅されやすい。しかも今はSNSという欲望増幅装置もある。 歴史的には宗教や階級制度によって長期的な理想を維持していた。 でも現代の問題は過去に戻れば良いというものではないところが難しい。そして結論の「今後日本が取るべき立場」は、抽象化されすぎて分かりにくかったことが残念。

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2022/07/16

本書には「思想の古典」と「物理の視点」で読み解いた世界史、近未来の予想図が示されている。アプローチは斬新だが、導き出された内容には「漠然と感じていたことが見事に言語化されている」と唸らされた。イスラムに関する考察なども目から鱗であった。 著者は在野の研究者のようだが、間違いなく天...

本書には「思想の古典」と「物理の視点」で読み解いた世界史、近未来の予想図が示されている。アプローチは斬新だが、導き出された内容には「漠然と感じていたことが見事に言語化されている」と唸らされた。イスラムに関する考察なども目から鱗であった。 著者は在野の研究者のようだが、間違いなく天才だ。次の著作を楽しみに待ちたい。

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