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世界史の構造的理解 の商品レビュー

3.5

22件のお客様レビュー

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2024/11/30

世界史の構造的理解 というタイトルに惹かれて読んだ。期待していた物とは少し違ったが筆者の独自の考察は面白かった。仕事上幅広い年齢層の人達と連携を取りまとめるにあたり、「歴史換算年齢」的な見方を取り入れると腑に落ちる事が多い事に気がついた。

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2024/06/25

「直感的理解」シリーズのファンだが、本作については野心的すぎというかクセが強いというか、都市伝説に近い内容に感じてしまった。データ根拠も参照文献も無く、過去の出来事を後付けで当てはめた非科学的な主観論にすぎず。読み物としては面白いが、長沼ファンとしては残念。「理数系武士団」という...

「直感的理解」シリーズのファンだが、本作については野心的すぎというかクセが強いというか、都市伝説に近い内容に感じてしまった。データ根拠も参照文献も無く、過去の出来事を後付けで当てはめた非科学的な主観論にすぎず。読み物としては面白いが、長沼ファンとしては残念。「理数系武士団」という表現がお気に入りみたいだが、斬新な発想で次世代のビジョンを打ち出す成功者が理系の歴史人物ということになるらしい。大村益次郎や島津斉彬、勝海舟、織田信長などが挙げられてるが、理系と文系という線引きは無理がある。明治維新を高評価する姿勢は結構だが、太平洋戦争期では「理数系武士団」はすでに解散済みだったみたいで、彼らがいれば万事失敗することは無いようだ。映画マトリックスのような世界が現実に起きることをコラプサー化として非常に危惧されている印象だが、目の前の環境問題よりもはるかに優先度が高いとの指摘。スマホ・ネット中毒や、AIの登場でヒトが考えなくなって劣化してしまうことを一番危惧しているのかなと勝手に読み取った。環境破壊で滅びた文明はほとんど無いとして島国イギリス(森林伐採)の事例が出てくるが、イースター島は?ヘンダーソン島は?グリーンランドは?マヤは?シュメールは?インダスは?… ところで農業定住生活を始めた社会は狩猟採集に戻れず、やがて全世界の人類に定住化が広まっていったが、これもコラプサー化といえるのか?

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2024/03/20

この人の本が面白い。 文章がわかりやすい。 理系武士団がまた登場するけどから、また!?って感じる人もいるかもだけど、本を超えた一貫性が感じられて、私は好きかな。

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2024/02/03

長沼氏の本は自分が日ごろ使っていない脳の部分を叩き起こしてくれる感覚があり、はまるとクセになる。今回は私の好きな歴史をテーマにしているので構えながら読んだが、私の先入観を裸にしてくれる感覚で期待以上だった。 この本のキーワードである理数系武士団と縮退化は覚えておきたい。人口が減...

長沼氏の本は自分が日ごろ使っていない脳の部分を叩き起こしてくれる感覚があり、はまるとクセになる。今回は私の好きな歴史をテーマにしているので構えながら読んだが、私の先入観を裸にしてくれる感覚で期待以上だった。 この本のキーワードである理数系武士団と縮退化は覚えておきたい。人口が減り続ける日本にもチャンスはありそう。一方で人口減に入り潜在成長率が下がり始めている中国、およびインドをどう位置付けるのか著者の考えを知りたかった。もちろんこの構造的理解の枠組みを自分なりに駆使して思考実験しても楽しいのだが。

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2023/10/11

短期的な欲望がディストピアを産むこと、見えない皇帝、トクヴィルのアメリカ民主主義の考察は面白かったです。

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2023/08/22

物理数学、経済学に対して「直観的方法」のシリーズ 今回はなんと世界史 一応お伝えしますと、長沼氏は物理学者である さらに補足しますと、世界史における構造的な理解なので歴史書ではない 相変わらずの考察力の凄さに舌を巻いてしまうのであるが、面白ネタが尽きないので うまくまとめられ...

物理数学、経済学に対して「直観的方法」のシリーズ 今回はなんと世界史 一応お伝えしますと、長沼氏は物理学者である さらに補足しますと、世界史における構造的な理解なので歴史書ではない 相変わらずの考察力の凄さに舌を巻いてしまうのであるが、面白ネタが尽きないので うまくまとめられそうもない 興味深かったもののみ ■凄かった日本(理数系武士団について) 幕末や戦国時代の日本の国難において「理数系武士団」というべき集団がまとまって 出現し、大きな力を与えた これこそが日本最大の武器 狭い理系の専門分野から脱し、国が進むべき戦略などに関して、これまでの文系的な 一般常識を超えた独創的なビジョンを生み出すことで、国を先導する役割を果たした 例)大村益次郎…蘭学者で医者 かつ長州藩の参謀 (そしてこういう方々は国のお抱えではないところがポイント) 日本の近代の数学・物理教育のルーツは長崎の海軍伝習所にある ■形のない皇帝 始皇帝の中国統一は歴史の特異点であり、巨大なマイナス効果という 管理社会のなかの沈滞した精神が国全体を覆っている これか現代のグローバリゼーションと似ているとのこと 今の経済、メディア、抽象的・無形的なグローバル化が中国の専制体制に似てきてい る(世界全体で価値観や社会制度、生活習慣などが同じものになっていく) 政府の権力が及ばない巨大企業(GAFA)、経済、メディアなど形のない力が世界を動 かす主力となっている(これぞ形のない皇帝) さらに資本主義は短期的願望(目先の欲)がこれに拍車をかけ、抑制が効かない(確かに止められない) もはや恐れられるべき権力は独裁者などではなく、「資本主義」が富を生み出すメカ ニズムと不可欠に結びついたパワーが主力となっている ■イスラムの影響力 メッカは世界の通商路であり、巨大な富が流れてくる 経済メカニズムの点から軍隊維持は難しく社会の退廃を食い止めるのに(おそらく抑制という意味で)イスラム教が効果的であったという ~ここからは脱線して気になる微積分との関わり~ イスラム法学者は「ウラマー」という国に属さない知識人たちがいた ウラマーの存在意義を称えながらも、彼らの中で微積分が発達しなかったため世界か ら出遅れたと指摘している この辺りの真実は誰がどう判断するのかによるのでは?と思いつつも興味深いものが ある ■今後について 資本主義や民主主義がどれほどの問題を抱えていようともこれにとって代わる制度は ない メディアとマーケットのなかに発生して短期的願望を世界に広める「仮想的な巨大権 力」が皇帝のように君臨する一種の帝政にある 宗教や政治的圧力、科学など短期的な処方では変えられない フランスの政治家トクヴィル(渡米し、民主主義の本質を見抜いた) 「表面的なお題目よりも手法や習慣の面で長期的な世界に属するものに囲まれてい く」ことが必要 それによって人間が次第に「不滅性」ということに価値を置くようになって、最終的 に一種の宗教のように自然に引き込まれていく… これが理想とする(抽象的なのでわかるようなわからないような…) 著者の意見は「歴史に参加する」とのこと 時に巨万の富の誘惑を凌ぐことができる ただし恒常的に頼ることはできない いずれにしても大きな課題であり、今後向き合い続けるべき問題だ このままいくとどうなるか 世界は骨抜きにされ、極端な格差社会になるだろう 恐ろしいなぁ 環境問題だけで滅びた文明はない 快楽カプセル ディストピアの例… あげればキリがない独創的な解釈があり、面白い 中には疑問を感じる部分もあるが、とにかくとことん考え抜かれているところが気持 ち良い! 頭の良い方の着目点や構想、歴史から何をどう学ぶか… この角度を知るだけでも読む価値が十分ある 地政学、宗教学、物理、天体、地理、歴史、哲学、古典… あらゆる知識をふんだんにしみこませた本書 クセになるなぁ

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2023/03/05

正直なところ著者のこじつけを延々と聞かされてる気がした。論理の飛躍が多いし、仮説というか思い込みの反証もないし、ちょっとしんどかった。理数系武士団という言葉をかなり頻繁に使用しているが最後までイマイチピンとこなかった。こういった事がかなり多く、それを当たり前として話が進むので、納...

正直なところ著者のこじつけを延々と聞かされてる気がした。論理の飛躍が多いし、仮説というか思い込みの反証もないし、ちょっとしんどかった。理数系武士団という言葉をかなり頻繁に使用しているが最後までイマイチピンとこなかった。こういった事がかなり多く、それを当たり前として話が進むので、納得感が低かったのかも。

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2023/03/04

『#世界史の構造的理解』 ほぼ日書評 Day641 個々のトピックは平易に記述され、かなり納得感あるが、本書1冊を通じて語られるコンセプトをどれほど理解できたか?と問われると、かなりハードルが高い、不思議な本である。 「縮退問題は環境問題に優先する、一段上位の脅威であり、環...

『#世界史の構造的理解』 ほぼ日書評 Day641 個々のトピックは平易に記述され、かなり納得感あるが、本書1冊を通じて語られるコンセプトをどれほど理解できたか?と問われると、かなりハードルが高い、不思議な本である。 「縮退問題は環境問題に優先する、一段上位の脅威であり、環境問題は縮退問題の一部に過ぎない」 現代の阿片窟と喩えることも可能な「快楽カプセル」が開発され、かつて地球人とされていた生物がAIによるコントロールのもと、その中で一生を過ごすことになれば、環境負荷は激減する(環境問題は一気に解決する)。一方で、この状態は、人間という種にとっての究極的な「縮退」状態である。 環境に優しい印象のある"帆船"にしても、18世紀の大型帆船軍艦を作るためには樹齢100年の樫の木が2000本ほど必要で、1隻建造するとおよそ100ヘクタールの山林が消滅する。英蘭戦争で、こうした戦艦を大量に建造した結果、英国の森林資源が枯渇した。 近年の動向をグッと圧縮し、1年を1か月に置き換えて、第二次大戦時期の年表と重ねてみる試みは興味深い。牽強付会の批判を受ける余地はあるが、大きな時代の流れを本書のタイトルにもある通り「構造的」にとらえるためには、こうした"加工"も意義のあることだろう。 エルサレムを起点とした等距地図を描くと、南米と日本は、いちばんの辺境となる。インカなどと比べ、既に相応の軍事力のあったことが鎖国が成立した所以。が、その後、米国の発展で、"支点" が移動することで、開国を余儀なくされた。 現代の覇権を握るに必要なのは「知的制海権」、陸だけを制することを目指しても、制海権を握るものが戦場を移してしまわれると太刀打ちできない。 https://amzn.to/41HMAwG

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2024/06/22

 僕もブクログ利用者の御多分に洩れず本屋が好きだが、ここ何年かは書店閉鎖の報に接して悲しい気持ちになることが多い。一体東京の山手線の内側に、専門書も一般書も取り揃えた大きな書店はいくつ残っているのだろう。東京ですらこうなら衰退の進む地方は果たしてどうなっているのか。  書籍のWe...

 僕もブクログ利用者の御多分に洩れず本屋が好きだが、ここ何年かは書店閉鎖の報に接して悲しい気持ちになることが多い。一体東京の山手線の内側に、専門書も一般書も取り揃えた大きな書店はいくつ残っているのだろう。東京ですらこうなら衰退の進む地方は果たしてどうなっているのか。  書籍のWebへのリプレースを必然とみる向きもあろう。しかしYoutubeで手軽に得た大量の知識は、やはりものの見事に同じ手軽さで脳から消し飛んでいく。情報摂取手段としては効率が悪くとも、お金を払って書籍を買って、よく分からず何度も前に戻って読み返し、別の本を読んでみてやっとわかったような気持ちになったと思えば、しばらくして完全に忘れてまた一からやり直し、ということを繰り返していくうちに底溜まりのように蓄積していくもの、そういうものが真に貴重なものではないか。  このまま物量と手軽さばかりを優先していくと、獲得に時間のかかる知識はどんどん脇に追いやられ、世界は広大で美しいが薄っぺらいシーツのようなものになってしまうのでは…そのような問題意識を共有する人がいたら、ぜひこの本を読んでもらいたいと思う。これは本書で「コラプサーへの落ち込み」として扱われる論点だが、著者の持つ驚くべきアナロジーによって見事な現代文明批判に昇華させられている。  著者の本はこれが4冊目。ブルーバックスの「経済数学の直観的方法・マクロ経済学編/確率・統計編」の2冊と、「現在経済学の直観的方法」を読んで一気にファンになった。何が気に入ったかと言って、それはひとえに著者のアナロジーの適用力の確かさに尽きる。著者の方法論は、まず現代経済/社会で問題になっている人文的テーマを取り上げ、人類の科学的パラダイムの膨大な集積の中からその構造が一致するものを探してきて、それを用いて問題の核心を明快に炙り出して解決策を提示するのである。単に人文・科学両分野の知識が豊富、というだけではもちろんそのような作業は不可能であり、「アナロジー力」、すなわち問題の核心を別の問題とつなぎ合わせて考えることのできる科学者としての著者のセンスが際立っているからこそ可能な離れ業というべきだと思う。  そのアナロジーの適用対象として、本書で著者が選んだのは「世界史」。前著「現代経済学〜」とオーバーラップする部分が多いが、基本的にはコロナ禍を機に炙り出された日本の後進性に強く危機感を抱いたことが、本書執筆の契機となっているようだ。  本書の副題にある「見えない皇帝」とは、現代アメリカをはじめ西洋文明に蔓延る「短期的願望」優先思考の増殖により、世界に君臨することになるであろうと著者が想定する非人格的権力だ。先述した現代文明の「コラプサー化」は、人々が短期的願望を追求するあまり局所均衡的なカオス状態に落ち込み、一切のエネルギーがそこから取り出せなくなるというディストピアへの移行を表している。著者はトクヴィルを引く形で、このコラプサー化は「部分の総和は全体に一致する」というデカルト以来の西洋科学の図式を現実社会に安直に当てはめたことの帰結だと警告している。  そしてその「見えない皇帝」を駆逐するために、やはり著者はトクヴィルを再度引用し、「長期的願望」を短期的願望の上位に置くような価値観を社会に据え置くこと、それには著者が「理数系武士団」とよぶ下級エリート層の「歴史(という大きな物語)への参加」が重要だと説く。この著者の論理をエリーティズムと批判することは容易だが、日本の若き研究者たちが、衆愚に陥らんばかりの現代日本を尻目に、著者のように文系と理系をアナロジーの力で架橋する「伝道者」に触発され、世界的なルール制定における主導権(知的制海権)を獲得すべく奮起することを期待したいと思う。

Posted byブクログ

2023/01/15

歴史について、理系的なアプローチで 理解しようという試みは、すばらしいと思う。 が、だいぶ強引な感は否めないかな、と。

Posted byブクログ