家で死のう！ の商品レビュー

萬田緑平(著者)

2024/07/06

死なせないことを美徳とする日本人の死生観に疑問を呈する、緩和ケア医の在宅医療の現状が紹介されている。
病院で死ぬとなぜ苦しいのは、体力の限界まで「生きさせられる」から苦しい、「良く生きて良く死ぬ」ための選択として家で生き抜くということを知ってほしいと在宅緩和ケアの穏やかな死を迎えた方々の人生の物語が紹介されている。
脳が体より先に老化するのが認知症、認知症は延命至上主義により作られた状態、死とは老化のゴールであるとし、具体的なプロセスが示され、医療にできること、できるはずのないことについても触れている。死の末期にがんばれと声かけることが多い中、「本人の好きなように」が大きな方針で、患者さんが家で、つらくなく、自分らしく生活するのをお手伝いする仕事である、治療するよりも、生きることを上手に支えてあげた方がむしろ長く生きられるという看取りの場面を見守る著者の眼差しがあたたかい。
人は自分の死期がわかる、死を受け入れた人間は大切な人たちにさよなら、ありがとうのあいさつをするのだ、心の状態を最高にする言葉「ありがとう」は残された人をも癒してくれるという。患者さんが元気なうちに、きちんと今までありがとう、大好きです、感謝しています、と伝えてくださいと家族や知人につたえているとのこと、私も今から実践していきたい。

2022/10/12

書店でふと見かけて気になったもの。論旨はごもっともと思うけど、方向は違えど、やっぱりパターナリズムが見え隠れするな、っていう思いはぬぐえず。考え方が食い違う人は来てくれなくてもいいというスタンスだから、必然的に成功例ばかりが残る、っていう側面がある。そのあたりを差し引いても、終末期についての議論は、このくらい踏み込んでなされるべきだという考えは持つ。

2022/09/30

やっぱりそうか。そうだよな、医療が悪とは言わないけど、本人の意思、気持ちがおいてけぼりなことは多々あると思う。在宅で死ぬことが正解とかじゃなく、自分がどう生き、どう死にたいか。どうありたいか。シンプルなはずなんだ。

2022/09/28

幸せな死に方を紹介する本
著者は現在在宅緩和ケア医だが、過去は外科医や国立がんセンターで働いていた医師。
専門用語は少なく平易な文章で綴られていて読みやすい。
心に残った箇所を列挙すると、
・病院での延命治療は苦痛を伴いやすい
・緩和ケアは痛みをコントロールしながら幸せな最後を迎えられることが多い。
・家族の意思より本人の意思を尊重すると良い
・経営を意識しなくて良い医師は基本的に善意で動いている
・家を買うときは自分で選択するのに、治療は医師に判断に全てを委ねるのはやめたほうが良い
全ての方におすすめです。

2022/09/14

親の介護で悩んでいて、手に取った本。

「死」が怖いこと、マイナスなことでなく、
当然に皆に訪れること。全てを受け入れて
愛と感謝の気持ちを持てば穏やかに最期を迎えられること。
そういったことが事例とともに紹介されていて、とても納得がいった。
今自分が親の介護で悩んでいたことがずいぶんと解決されたように感じる。

2022/08/30

治らない、の判断ができるような病気だといい。治らないと思えるなら何とかなるのかな。納得は難しそう。ありがとうなのかな。もっと違う言葉もありそうな気もする。

2022/07/01

共感することが多かった。
自分はどうやって死にたいか考えたときに、やっぱりピンピンコロリがいい。痛いのも苦しいのも嫌。
それを「できる」って言われて安心したな～。
家で「ありがとう」って言われながら穏やかに死んでいく姿を見ると、自分が幸せに死んでいく姿も想像できて、安心して生きられるのかもしれない。
身近に生き生きしてるガンサバイバーの人たちがたくさんいて、それも私の励みになってる。
歩くモチベーションあがった。

・病院が当たり前になっている治療をやめて、上手に支援すれば、多くの人が苦痛から解放されて、最後のときまで穏やかに生き抜くことができる。
・死そのものは本来、苦しいものではない。しかし、病院で治療を続けると、体力の限界まで「生きさせられる」から苦しいのです。
・「病院で治療をやめる」ということは、「死を認める」ということかもしれない。
・あらゆる病気は、老化の段階に名前をつけただけにすぎない。
・医療にできることは、その老化をいかに先送りにするか、だけ。
・生まれるときに「おめでとう」と迎えるなら、亡くなるときも「おめでとう」と送ってあげたい。
・人間は、いつか必ず飲み込めなくなる時期、歩けなくなる時期、すなわち「亡くなるモード」が来る。これは反対にいうと、飲み込めている限り、歩けている限り、なかなか「亡くなるモード」にはならない。
・そもそも、なぜ「がんは怖い」のか？多くの人は「がんになったら死ぬ」から「怖い」と思っている。でも、がんにならなくても死ぬ。だとすれば、もう、生きること自体が怖いと言っているようなもの。
・枯れるように死んでいけるのが、がん。
・死が苦しいのではなく、苦しくなるところまで生きられてしまう、生きさせられてしまうから、苦しい。
・病院や医師はそもそも臓器の専門家で、人生の専門家ではない。人生まで医師に任せてはいけない。
・本人が生きたいように生きると、人間が本来持っている生命力が蘇ってくる。
・結局のところ、生き方で死に方が決まる。それまで、いつ死んでもいいようにきちんと生きてきた人は延命を望まない。だから、人生の最後を穏やかに終わらせることができる。