ギフテッド の商品レビュー
これは私が好きな私小説。 母の過剰な自意識と、読んでいても表情が読めない主人公が印象的。 マンションの扉が閉まる前に玄関の鍵を開けて部屋に入らなければいけないことや、腕の火傷の痕を指で撫でて確かめることから、ほんの少しだけ解放されるラストがとても良い。 母が娘へ押し付けた火は、母...
これは私が好きな私小説。 母の過剰な自意識と、読んでいても表情が読めない主人公が印象的。 マンションの扉が閉まる前に玄関の鍵を開けて部屋に入らなければいけないことや、腕の火傷の痕を指で撫でて確かめることから、ほんの少しだけ解放されるラストがとても良い。 母が娘へ押し付けた火は、母にとっては娘へのギフトだったんでしょう。 娘からすれば「なんで?」と問うてそんな答えが返ってきたら許せないだろうし、許せずに囚われたくもないから最後まで「なんでやったの?」と聞けない娘。 そしてそれは娘のなかに「女」を見出した際に母が娘に対して行う行為としてはよくあることだと思う。 実際に子の肌を焼くのとは別の形で、心にケロイドが残るような火傷を負わせるのは母が娘を守るためか、はたまた自分の存在を刻みつけるためなのか。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ギフテッドという言葉はいろんな意味で使われがちだけど、ご大満足で生まれたことそのものもギフテッドだと思うし、本作のように母親の歪んだ愛情による傷もある意味ギフトされたものなのかもしれないと考えさせられた。 劇的な展開が起きるかもしれない空気がずっと漂うが、それを裏切るような展開。淡々と、ただ終わりが近づいているのが妙にリアル。この作品を読んでいる間、ずっと湿った空気に包まれている気分になった
Posted by
著者の周辺にいる人々のことを綴ったような作品である。水商売で働く女性やホスト、自死した友人、病に倒れた母親、虐待...。不幸な話ではあるが、目をそむけたくなるほどではないし、かといって自分がその世界にいても何ができるわけでもない。私は作品を通じて著者からのメッセージを受け取れなか...
著者の周辺にいる人々のことを綴ったような作品である。水商売で働く女性やホスト、自死した友人、病に倒れた母親、虐待...。不幸な話ではあるが、目をそむけたくなるほどではないし、かといって自分がその世界にいても何ができるわけでもない。私は作品を通じて著者からのメッセージを受け取れなかった。自分の問題かもしれないし、自分がほぼ関わらない世界の話なので実感がないだけかもしれない。主人公の立場に近い人が読めば、共感できる何かがあるのかもしれない。
Posted by
うーん、分からない! こういう何が言いたいのか分からない話は苦手だ。行間の雰囲気を味わえばいいの? 死にゆく母の若い頃の話を他人から聞いたり、火傷させられた跡をずっと気にしていたり… 結局主人公の女性は母に対してどういう気持ちを抱いていたのかさっぱり分からんよ…誰か教えて… ...
うーん、分からない! こういう何が言いたいのか分からない話は苦手だ。行間の雰囲気を味わえばいいの? 死にゆく母の若い頃の話を他人から聞いたり、火傷させられた跡をずっと気にしていたり… 結局主人公の女性は母に対してどういう気持ちを抱いていたのかさっぱり分からんよ…誰か教えて… あと、一文が長くて混乱する。 舞城王太郎さんみたいな感じではないんだけど、何と言うか、文の途中で違う話にいつの間にかすり変わってる…そんな感じ。 本書はどちらかというと苦手だったけれど、こういう作品を産み出せる著者のセックスに勝手に期待を持ってしまう。単なる肉体の混ざり合いだけではない何かを。
Posted by
芥川賞候補らしい作品。 しかし、なかなか親子の機微に同調できなかった。 ドアの音と動き、それらにいろいろな想いが含まれているのだろうが、難しすぎた。
Posted by
お母さんの死が近い。 日常の生活をしつつも、母を気にして世話をする娘。 今夜か、あと1週間くらいか? いつでも電話に出られるようにしておいてください。と担当医師が言う。 いよいよお母さんの死が近づいている。 最後の息が終わって、静かになる。 病院で息をひきとる母。 そうだよね。気...
お母さんの死が近い。 日常の生活をしつつも、母を気にして世話をする娘。 今夜か、あと1週間くらいか? いつでも電話に出られるようにしておいてください。と担当医師が言う。 いよいよお母さんの死が近づいている。 最後の息が終わって、静かになる。 病院で息をひきとる母。 そうだよね。気になるのは、自分のことをどう思っているのか? 話せるうちに聞けて良かった。 「産んで良かった」と。 それだけで、意味がある。
Posted by
よく書けていると思うし、テーマもそれを表現する設定や描写も分かる。 でも、表面的な技法とか暗喩とかはあるけれど、心に響く重みや深い意味が伝わらず、浅くて軽い。 小手先感というか、何となくいい印象が持てなかった。 波瀾万丈な人生の私から見ると、嘘くさくて薄い。 そうじゃない、と言い...
よく書けていると思うし、テーマもそれを表現する設定や描写も分かる。 でも、表面的な技法とか暗喩とかはあるけれど、心に響く重みや深い意味が伝わらず、浅くて軽い。 小手先感というか、何となくいい印象が持てなかった。 波瀾万丈な人生の私から見ると、嘘くさくて薄い。 そうじゃない、と言いたくなった。 最後の方は読む気も失せて、パラパラとページを捲って流し読み。 賞の候補や受賞には色々な思惑や枠があると思う。作品の方向性や話題性や著者の個性や学者枠やetc... 慶應大学在学中にAV女優でデビューして、その後東大の大学院という経歴が物を言っているとしか思えなかった。 もちろん私はAVや風俗に偏見はないし、そちら側を知らないわけでもないです。
Posted by
中編なのですぐに読み終えられます。 娘目線の母であったり、夜の仕事仲間目線の死んだ友達であったりが書かれています。 面白いし読みやすいけど、ありそうな小節という印象でした。 読んでよかった〜面白かった〜という読後感はありませんでした。 あと、タイトルと内容は特にリンクしていない...
中編なのですぐに読み終えられます。 娘目線の母であったり、夜の仕事仲間目線の死んだ友達であったりが書かれています。 面白いし読みやすいけど、ありそうな小節という印象でした。 読んでよかった〜面白かった〜という読後感はありませんでした。 あと、タイトルと内容は特にリンクしていないような気がしました。 タイトルから、もう少し違った内容を想像してしまいました。
Posted by
どこか現実感がなく、世界と私との間にモヤがかかっているように感じた。 関わる人、全て呼称がなく、不思議な世界感だった。 ただ自分自身を振り返ってそういう感覚の時もあるなと感じた。 今を生きているようでそうでない、独特の小説でした。
Posted by