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川端康成異相短篇集 の商品レビュー

4.3

13件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2024/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

川端作品から異相(幻想的、怪談的など)を思わせる短篇を集めた一冊。 私は「伊豆の踊子」などよりもこういった川端作品のほうが好み。印象に残ったもののみ感想を↓ 心中 きっちり2頁。凄いの一言。 離合 母は強し。 朝雲 ずっと好きな作品。 死体紹介人 川端の女体への執着をじっくり感じられる。「朝雲」を除くと個人的に本書のNo.1かな。 眠り薬 エッセイ…なんですけど実体験のインパクトが強すぎてちょっと笑ってしまいました。 「朝雲」が選ばれているということで似たような作品が選出されたのかな?と考えて手に取ってみましたが「朝雲」は本書の中では異色という(笑)でも他の川端作品を読むことができたので結果良かったです。

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2023/09/11

川端康成といえば、 『雪国』や『伊豆の踊り子』のように、 揺れ動く繊細な恋愛心理を端的かつ美しい文章で表現する作家のイメージだったが、 本作は「人間の不気味さ」が同じ手法で描かれている。 性愛の変態的嗜好や、霊的な恐ろしさがありつつも、後味が悪いわけでは全くない。 不気味なの...

川端康成といえば、 『雪国』や『伊豆の踊り子』のように、 揺れ動く繊細な恋愛心理を端的かつ美しい文章で表現する作家のイメージだったが、 本作は「人間の不気味さ」が同じ手法で描かれている。 性愛の変態的嗜好や、霊的な恐ろしさがありつつも、後味が悪いわけでは全くない。 不気味なのに、美しい。面白い。

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2023/05/12

111108さんのレビューで出会うことができました。ありがとうございます! 死の世界への渇望が溢れ出ていて、美しい文体なので更に怖さと不安がじんわり広がる。現実味があるような非現実的な構造で「異相」の不思議な世界。 「私は七年前に死んでいるが、生き残っている友人の西寺とときどき怖...

111108さんのレビューで出会うことができました。ありがとうございます! 死の世界への渇望が溢れ出ていて、美しい文体なので更に怖さと不安がじんわり広がる。現実味があるような非現実的な構造で「異相」の不思議な世界。 「私は七年前に死んでいるが、生き残っている友人の西寺とときどき怖い話をする」『地獄』、「新平が奇麗な着物だねと珍しいことを言ってくれた梅の小紋縮緬」が見たいと思う『冬の曲』、「あの方の美しい幻が浮かんで胸苦しくなると、私は鏡の前に座って自分の美しさをさがした」女学生の『朝雲』、大黒帽をかぶった耳のうしろに鉛筆を一本挿している女車掌のユキ子さんの持っていた男女のけしからん写真が気になる『死体紹介人』、玉虫色ってなんだろうとおもった『蛇』、九州の弓浦市を探してみた『弓浦市』、「今日もまためずらしい人に会ったよ」という父の言動にふりまわされる『めずらしい人』、「たまゆらに昨日の夕見しものを今日の朝は恋ふべきものか たまゆらに露も涙もとどまらず亡き人恋ふる宿の秋風」『たまゆら』、「新年に際し、自分と同じ星の人々の興奮を祈るは人情である」『ニ黒』、睡眠薬服用時の怪談のような体験の『眠り薬』 どの作品も短編なのに長編のような濃ゆさ。

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2023/03/04

常識的な認識からはずれた「異相」をテーマに、小説16編、随筆3編を集めたアンソロジー。幻想的な作品、不気味な作品、心霊的な作品が多い。川端康成は、既読作品では「死体紹介人」以外ではあまり好きなものはなかったが、短編では面白い作品が見つかりそうだと思いなおした。 以下は印象的だ...

常識的な認識からはずれた「異相」をテーマに、小説16編、随筆3編を集めたアンソロジー。幻想的な作品、不気味な作品、心霊的な作品が多い。川端康成は、既読作品では「死体紹介人」以外ではあまり好きなものはなかったが、短編では面白い作品が見つかりそうだと思いなおした。 以下は印象的だった作品。 「地獄」 死んだ友人と、その自殺した妹について会話をする。 「離合」 結婚の許可をもらいにやってきた娘の恋人に連れられて上京した田舎教師は、娘との再会を喜ぶが… 「死体紹介人」 時間帯を分けて同じ部屋を借りていた相手の女が死に、葬式を挙げる金がないので解剖用に遺体を大学に提供してしまうが、遺骨を受け取ろうとその妹が現れて… 「犬」 犬が「死の使い」と恐れられ、死人が出た家の犬を殉死させる風習のある村での話。 「弓浦市」 三十年前に会ったことがあると女性が訪ねてきたが、どうもそんな覚えはない。 「めずらしい人」 「今日はめずらしい人に会った」と頻繁に話す父を怪しみ、陰から様子をうかがってみると… 「無言」 幽霊が出ると噂のトンネルを通って、身体が不随になった老作家の家を訪問する。いくら話しかけても言葉は返ってこない。 「眠り薬」 眠り薬を常用している作者の失敗談を描いた、滑稽味のある随筆。

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2023/03/04

川端康成の異相短編もまた、泉鏡花や内田百閒と同じく傑作揃い。不気味な物事や現象に恐怖するのと違い、囚われて惹かれているように感じるのは、私の違った認識だろうか。嫌な夢も幻聴も怪奇現象も死も、恐れつつも、どこか憧れているようにみえる。川端康成の美しい文章や最期を知る勝手な結びつきか...

川端康成の異相短編もまた、泉鏡花や内田百閒と同じく傑作揃い。不気味な物事や現象に恐怖するのと違い、囚われて惹かれているように感じるのは、私の違った認識だろうか。嫌な夢も幻聴も怪奇現象も死も、恐れつつも、どこか憧れているようにみえる。川端康成の美しい文章や最期を知る勝手な結びつきかもしれない。

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2023/01/28

川端康成先生の幻想寄りの短編を集めた作品集。捉えどころのなさ、けれど確かな質感があるなにかたちが強烈な作品集です。 冒頭からかましてくる「心中」。読者を置いていきながらも惹きつけてやまない1冊です。私の個人的なイチオシは「白い満月」

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2022/11/19

川端康成の作品は闇の淵を覗くような不気味さと不可解さがある。ここに集められた短編小説の殆どが死の匂いを漂わせ、死の幻影を纏っている。川端康成の作品もあれこれ読んできたけれど代表作の『伊豆の踊子』よりも『眠れる美女』や『片腕』『みずうみ』などがよりこの作家の本質を表しているように思...

川端康成の作品は闇の淵を覗くような不気味さと不可解さがある。ここに集められた短編小説の殆どが死の匂いを漂わせ、死の幻影を纏っている。川端康成の作品もあれこれ読んできたけれど代表作の『伊豆の踊子』よりも『眠れる美女』や『片腕』『みずうみ』などがよりこの作家の本質を表しているように思う。本書の中でも特に異彩を放っているのは『死体紹介人』だろう。『朝雲』は別の本でも読んだ作品だが、本書の中では清涼剤のように爽やかで可憐な花のようだが、主人公の女教師への執着(恋心とも言えるが)を思うと『毛眼鏡の歌』の主人公と大差ない。『伊豆の踊子』や『雪国』しか読んだことのない人にこそぜひお勧めしたい1冊。

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2022/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

半分も追えていないが、現在活躍中の作家で最も尊敬している高原英理が、なんと川端康成の短篇集を編むという、俺得な企画。 結果、最高。 一作品ごとに読書メモをつけたり、★をつけたりしているが、本書に関してはほぼ全作品★。 もちろん解説も素晴らしい。 小説16篇、随筆3篇。 うち4篇は「掌の小説」より。 私的BGM:「諏訪根自子の芸術」 ■心中 ※「掌の小説」収録 ※wisさんの朗読で何度も何度も聞いているが、やはり壮絶。巻頭に置かれるのに最適だし、高原英理の解説も素晴らしい。 ■白い満月 ※お夏の異様さに加え、私と上の妹八重子、下の妹静江の挿話も加わって、全員どうかしている。 ■地獄 ※幽霊! なのに生臭く生々しく。女を遣り取りするホモソーシャルな会話でもある。 ■故郷 ※「掌の小説」収録 ※「掌の小説」収録 ※時間と空間をやすやすと飛び越える自在の小説。小説だからこそ。それをヘリコプタアと表現するあたり、いい。 ■離合 ※ゴーストばかりだが、果たしてジェントル、なのか……? ■冬の曲 ※内田百閒でおなじみの宮城道雄が出てくるが少し嬉しい。 ■朝雲 ※「新女苑」という雑誌に掲載。本書を「幻想短篇集」としなかったのは、こういう作品を入れるため、みたいだが、その判断素晴らしい。よき百合とまずは簡単に書いてしまうが、こういう小説の語り手の不思議さを考えるための好例だと思う。 ■死体紹介人 ※これは凄まじい……川端康成でなければ書けないのではないか……ネクロフィリア……無機質な美しさ……。私が朝木新八の話を聞いている、という枠物語であることが、小説として巧み。 ■蛇 ※「掌の小説」収録 ※ちょっと難しいな。 ■犬 ※川端、犬を大好きなのに、犬と一緒に撮影されても無表情な写真がいくつもある。犬も女も陶磁器も同じだったんだろう。好きな犬でこんな小説を書くあたり、どうかしとる。 ■赤い喪服 ※母子の会話。こりゃ赤痢っていう言葉ありきで書いた思い付きだと思うが、それをこんな形に仕立てるとは。 ■毛眼鏡の歌 ※やや難しいが、エモい話だとは思う。 ■弓浦市 ※実在しない町という意味で、ちょっとしたネットジャーゴンになっている、のか? いつかどこかでだれかのトラウマになり得る小説を送り出した作家。 ■めずらしい人 ※「掌の小説」収録 ※編者が解説で「いたたまれない異物感」を書いているが、確かに。血縁近しく身近で親しみも持っているのに、どうしても判らないことって、ある。 ■無言 ※タクシーで乗り合わせる幽霊というありがちな話を取り込む貪欲さ。と、脳障害者へ書けばいいのにという非道さ。 ■たまゆら ※死者を前に物品を遣り取りすることの、残酷さと美しさ。 ■恋情(以下、随筆) ■二黒 ■眠り薬 ◇解説

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2023/09/06

なんとも雲をつかむような物語ばかり。 常軌を逸したことも当たり前のような文章で語られるため、頭がふわふわとしてくる。 現実なのか虚構なのか判別つかず、登場人物たちの生死も判然としないものもあり、読んでいるとだんだん夢見心地にさせられる。 怪しい話もあれば、不思議な清々しい話もあり...

なんとも雲をつかむような物語ばかり。 常軌を逸したことも当たり前のような文章で語られるため、頭がふわふわとしてくる。 現実なのか虚構なのか判別つかず、登場人物たちの生死も判然としないものもあり、読んでいるとだんだん夢見心地にさせられる。 怪しい話もあれば、不思議な清々しい話もあり、文章の美しさは著者ならでは。 他の名作よりも個人的にはどの話も読み易かった。

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2022/07/30

判然としない「異相」短編集です。まず冒頭の「心中」から驚いてしまう。この底知れぬ恐ろしさはなんだろう。夢か現実か、ただの妄想なのか、一読して分からない作品が多く、だけどその読後が心地よい。不思議な作品集でした。

Posted byブクログ