1,800円以上の注文で送料無料

いずれすべては海の中に の商品レビュー

4

26件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/14

個人的に好きなのは「記憶が戻る日」「死者との対話」 読み終わってから改めてそれぞれの作品を見ると風景がブワッと浮かび上がってきてくれるような感覚がして どれも自分にとって面白い作品だったとはっきり言える本 普段本を読まなかったりこういう不思議な世界観っぽいのを説明もされずに飛...

個人的に好きなのは「記憶が戻る日」「死者との対話」 読み終わってから改めてそれぞれの作品を見ると風景がブワッと浮かび上がってきてくれるような感覚がして どれも自分にとって面白い作品だったとはっきり言える本 普段本を読まなかったりこういう不思議な世界観っぽいのを説明もされずに飛び込めるタイプじゃないとちょっと読むのは難航しそうかな

Posted byブクログ

2024/07/22

完全にジャケ買いで中身をなんも気にせずに買ったら、異色短編集で、めんくらった。こういうことがあるからジャケ買いも面白い。13編の短編の方向性はてんでバラバラでTHEなSFもあれば、ミステリやサスペンスっぽさもあるし、近未来もあればがガチ未来もあるし、ロボット的な何かもあれば、ディ...

完全にジャケ買いで中身をなんも気にせずに買ったら、異色短編集で、めんくらった。こういうことがあるからジャケ買いも面白い。13編の短編の方向性はてんでバラバラでTHEなSFもあれば、ミステリやサスペンスっぽさもあるし、近未来もあればがガチ未来もあるし、ロボット的な何かもあれば、ディストピアっぽい世界もある。ただ、こう明るい未来という感じではなく、影やアンダーグランド方向な印象が残る。

Posted byブクログ

2024/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

好きなYouTuberさんが「海外SF」として紹介していて、表紙も素敵だったので読んでみた。 作者がまさかのシンガーソングライター。音楽の話が多数あって嬉しかった。ラッキー。 1話目はなんだか気持ち悪かったけど、2話目からは大体ずっと好きな世界観だった。 そしてわれらは暗闇の中 記憶が戻る日 いずれすべては海の中に 深淵をあとに歓喜して 孤独な船乗りはだれ一人 風はさまよう オープン・ロードの聖母様 イッカク そして(Nマイナス1)人しかいなくなった が良かった。(ね、本当に大体全部でしょ。) すごく引き込まれて「で、どうなるの?どうなるの?」と思いながら最後まで読むと、これといって明確なオチがなくて、「…それで?」みたいな作品が多い印象。しかしそういう余白のあるラストは好みだし、そもそもラストまで引き込んでる時点で面白い。  最後の「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」も犯人わからずじまいで終わるのかと思いきや、判明したのでスッキリした。 昔、奥田民生がインタビューで 「人生に分岐点がとか言うじゃないですか、あのときああしてればとか、いまこっちとこっちがあってどうしようかなとか。絶対どっちでもいいと思うんですよ、その人はどっちいっても同じだったと思うんですよ。」 「『どっちの料理ショー』ぐらいのもんなのよ、人生も。あれこれ考えてるけど、なんかおもしろいことがあったときは、そのことを忘れて楽しいわけじゃないですか。だからたいしたことない、そんなことで忘れるぐらいだからたいしたことない料理ショーなわけですよ。」 と言っていて、励まされたのを覚えている。 が、この話はこの発言を覆すものではないだろうか笑 でも、この話の馬の件みたいに、あの時自分がしなかった選択をした別の自分がちゃんといるのなら、それはそれでまぁいいか、と考えることもできる。 考えもしなかったことを考えるきっかけになるよね、SFって。 そして本当、よく思いつくよね、設定。尊敬だわ。 根っからの音楽ファンなので音楽系の話は特に好き。「オープン・ロードの聖母様」はライブ行きたくなった。 「イッカク」誰か映像化してくんないかな。いいロードムービーになりそう。

Posted byブクログ

2024/02/16

SFだけど登場人物の心情が丁寧に描かれているので、自分と関係のない世界の話という感じがしないのがよかったかな。

Posted byブクログ

2024/01/17

 本作は短編集だが、まずは収録作全般から受けた印象について述べる。  総じて、特殊な状況が前提として存在し、語り手は自明のこととして多くを語らないために、ぼんやりとして、歪んだレンズを通じて、その特殊性を掴み取ろうとするような読み方になる作品が多かった。すっと状況が飲み込める作品...

 本作は短編集だが、まずは収録作全般から受けた印象について述べる。  総じて、特殊な状況が前提として存在し、語り手は自明のこととして多くを語らないために、ぼんやりとして、歪んだレンズを通じて、その特殊性を掴み取ろうとするような読み方になる作品が多かった。すっと状況が飲み込める作品は少なく、読者の側から歩み寄る必要がある。  また、百合(女性の女性に対する感情を扱った作品)として読めるものも、少なくない。  そこと絡めて、描きたい感情が主題としてあって、それを描いた後の、ストーリー的な帰結にはあまり興味がないように思われた。いわゆる、エピローグに当たる部分まで描くことなく、幕を引く作品の多い印象を受けた。  特に冒頭に収録された作品は、小洒落た言葉遊びが多く、それを翻訳でもどうにか残そうとしているように思われた。そうでない部分でも、言葉選びのセンスの良さは随所で感じることができた。  「深淵をあとに歓喜して」が最も好みだった。  コメントにて、それぞれの作品の感想を、簡単に記したいと思う。

Posted byブクログ

2023/06/17

宇宙に旅立ち、持っていった人類の文明のデータが消えた後の世界、船内で音楽を演奏するグループに参加している女性の話が特に良かった。 過去の名曲を再現しようとしても過去の作品全ては拾えない。 今同じ時間に存在しているものにも思いを馳せたり、これから新たに作り出すことに勇気をもらえる話...

宇宙に旅立ち、持っていった人類の文明のデータが消えた後の世界、船内で音楽を演奏するグループに参加している女性の話が特に良かった。 過去の名曲を再現しようとしても過去の作品全ては拾えない。 今同じ時間に存在しているものにも思いを馳せたり、これから新たに作り出すことに勇気をもらえる話だった。 「風はさまよう」の他 クジラを運転して旅する「イッカク」 多元宇宙のサラ・ピンスカーが集うサラコンで起きた殺人事件「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」 夫婦間の謎を妻が理解し進む「新縁をあとに歓喜して」などが良かった。 寝る前に少しずつ細切れに読むと、数日後に話の内容が追えなくなり、何度も止まった…理解力の無さです…いくつか、また読みかえします。

Posted byブクログ

2023/06/12

原題 SOONER OR LATER EVERYTHING FALLS INYO THE SEA 13の物語 静かな世界たちが入れ替わって浮かび上がってくる。 読み終えた世界は心の奥にしまうと同時に海の中へ戻っていく。 またね

Posted byブクログ

2023/06/11

朝焼けを迎える宙なのか、それとも夕暮れに向かう海なのかー淡い彩色の装丁に包まれた物語の世界に浸ると空気の組成が少し変わり始める。忍び込んだ異質な空気が肺を満たすとき、追憶の中の未来-辿り着くことのない、いつかどこか-がゆらゆらと立ちのぼってくる。 それは旅先で目にした知らないはず...

朝焼けを迎える宙なのか、それとも夕暮れに向かう海なのかー淡い彩色の装丁に包まれた物語の世界に浸ると空気の組成が少し変わり始める。忍び込んだ異質な空気が肺を満たすとき、追憶の中の未来-辿り着くことのない、いつかどこか-がゆらゆらと立ちのぼってくる。 それは旅先で目にした知らないはずの風景に感じる懐かしさと、それと同時に決してその風景に含まれることはない哀しみにも似て、心をさざなみが通り過ぎていく。 失われたものへの哀惜と失ったものを語るときの優しさが、“今”を生きる真っ直ぐな力強さと溶け合って余韻を残す、美しい作品が集められた短編集だった。 『一筋に伸びる二車線のハイウェイ』 オートメーション化された大規模農場の傍らでオールドスタイルな農園を営むアンディは農機具の事故で片腕を失う。義手として最新鋭のロボットアームが取り付けられたのち、腕は、自分は遥か遠くコロラドに伸びる全長九十七キロのアスファルト道だと訴えてくる。 テクノロジーとアイデンティティの危機という古くからのモチーフを用いながら、ここでは生物/機械という断絶を超えて、アンディが夢見る腕に共感していく様子が描かれている。 道はー腕はー目的地を目指して移動する車を見送りながら、同じ場所に留まり続けている。山までずっと見通せるが辿り着かないハイウェイであることに満足している。 アンディもまた、恋人が大学へ行くのを見送り、故郷の小さな町の農場で暮らすことを選択する人間だ。結局のところアンディと道は、存在こそ違え似た魂を持っているのだ。 アンディが恋人のために入れたタトゥーの文字を書き換えるシーンが好きだ。 『オープン・ロードの聖母様』 オンボロバンでツアーを回る中年の女性パンクロッカー。時代が変わっても気骨と信念で吠える。ライブシーンの熱さ! “私たちは音楽だ。進みつづける“ 最高。

Posted byブクログ

2023/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

普段あんまりSFは読まないんだけど、これはかなり好き。最初の「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」から、突然の事故で付けることになったハイテク義手が「自分は道路だ」と脳内で主張してくる…という突拍子もない調子で始まり面白いし、オチが秀逸。 「深淵をあとに歓喜して」の老夫婦の看取りの話も良かったし、「風はさまよう」の、人間と地球が何のかかわりもなくなったら、歴史とは、音楽とはいったいどういうもので、何の意味を持つのか、という重い問いかけに突っ込んでいくのもすごかった。それぞれの短編で設定は全部違うし今の現実とは乖離しているけど、出てくる人間の感情や行動に手でさわれるようなリアリティがあるから面白くなるんだろうな、と思う。この人の作品をもっと読みたくなる。

Posted byブクログ

2023/04/18

どちらかというとジャケ買い。 私の気づかぬうちに竹書房がSFを出すようになっており、またシリーズの装丁がどれもキャッチーで。 とりわけ目を引いた当該作。帯を見れば「SFが読みたい」の海外編ランクイン作ということもあり、ジャケ買いでもそんなに外さないだろうと購入。 スペースオペラ...

どちらかというとジャケ買い。 私の気づかぬうちに竹書房がSFを出すようになっており、またシリーズの装丁がどれもキャッチーで。 とりわけ目を引いた当該作。帯を見れば「SFが読みたい」の海外編ランクイン作ということもあり、ジャケ買いでもそんなに外さないだろうと購入。 スペースオペラや一部のジュブナイル小説を除けば、「あれ、ちょっと待って考えさせて」って読み手に理解に対する一定の努力を強要するのがSF小説なのだけれども(そしてそれがSFのいいところだと思う)、奇想は我々の想像力に対する努力を強要する。「あれ、全然イメージできないからちょっと待って」って。あるいはイメージできないのを明らかにわかっていて、読者を置いてけぼりにして物語を勝手に語っていく。 この短編集もそう。 「は?」で始まって、読み進めて、読み終わった後に「は???」ってなってる。 なんだろう、試されているんだと思うんだけど、そして繰り返し読むことで出てくる味があるんだろうけど、想像力に欠ける私にはなかなかしんどい。 読み返す前にくたびれて「まあ、いいかな」ってなってしまうことも多い。 ただ、この作品、難解なんだけど文章がとてもキレイだから、とりあえずなんとなくは楽しめてしまった。 全編奇想小説なんだけど、奇想の程度が低いものは容易に想像できて、たとえば「平行世界から100人近い自分を集めてカンファレンスを開いたら殺人事件が起きて、捜査する羽目になった」とかは「馬鹿馬鹿しい」と笑える程度の奇想なので普通に楽しめる。 でも大半がそのレベルを超える設定なので、楽しめたのは楽しめたけど、疲労感もそれなり。時間のある若いときにはいいかもしれないなあ。

Posted byブクログ