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いずれすべては海の中に の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2023/02/11

終末や破滅の予感がする近未来で、道の義手やら、鳥籠の心臓のおばあちゃんやら、イッカク姿の車やら、加害者被害者探偵兼務の殺人事件やら。。荒唐無稽でぶっ飛んだシチュエーションなのに、読み進めて徐々に全体像が見えてくると、その世界に無理なく馴染んでしまう。摩訶不思議で可笑しくて哀しい物...

終末や破滅の予感がする近未来で、道の義手やら、鳥籠の心臓のおばあちゃんやら、イッカク姿の車やら、加害者被害者探偵兼務の殺人事件やら。。荒唐無稽でぶっ飛んだシチュエーションなのに、読み進めて徐々に全体像が見えてくると、その世界に無理なく馴染んでしまう。摩訶不思議で可笑しくて哀しい物語にワクワクゾクゾクした。 その中では比較的フツーな設定だけれど、3人のバンドマンの廃食用油車の道中記の破天荒さが一番好き。「進む。進み続ける」パンク姐さんがとにかくカッコいい。

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2023/01/31

不思議な技術があったりポストアポカリプスっぽい世界観だったり、そんな奇想溢れる世界で生きる「ひと」を丁寧に描いた短編集。 作中で起こる出来事のスケールが「すごくドラマチックではないけど、起こったら確実に一生忘れられない」くらいなのがまた良い。 SF的ギミックや事件よりも人の心の動...

不思議な技術があったりポストアポカリプスっぽい世界観だったり、そんな奇想溢れる世界で生きる「ひと」を丁寧に描いた短編集。 作中で起こる出来事のスケールが「すごくドラマチックではないけど、起こったら確実に一生忘れられない」くらいなのがまた良い。 SF的ギミックや事件よりも人の心の動きに焦点を当てた、せつない余韻の残るお話が揃ってます。

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2023/01/27

良質なSF! 流れる空気感や、話ごとに徐々に明らかになる世界観への気付きが面白くてたまらない。 収録されている話の順番も絶妙だと思う。 「どういうこと?」「こういうこと?」「なるほど!」とどんどんサラ・スピンカーの世界観に引き摺り込まれていった。 最後に"そして(Nマイ...

良質なSF! 流れる空気感や、話ごとに徐々に明らかになる世界観への気付きが面白くてたまらない。 収録されている話の順番も絶妙だと思う。 「どういうこと?」「こういうこと?」「なるほど!」とどんどんサラ・スピンカーの世界観に引き摺り込まれていった。 最後に"そして(Nマイナス)人しかいなくなった" 小説だけでなく、音楽や海、自然や環境を愛する人にも刺さるサイエンスフィクション。

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2023/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表題作の『いずれすべては海の中に』が特によかった。すべて沈んだ後に這い上がって生まれてくるもの。 あと『イッカク』の「助けが来ないときは自分が助けに回る番」は本当にそれだと思う。

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2022/12/01

装丁がおしゃれなSF短編集。作者はミュージシャンとしても活動しており、そのせいか作品全体の雰囲気は詩的で抒情性のあるものになっている。奇想的なアイデアと私小説っぽさが絶妙に同居しており、海をたゆたうような心地で読み終えた。 全部で13編収録されているが、お気に入りは「そして(N...

装丁がおしゃれなSF短編集。作者はミュージシャンとしても活動しており、そのせいか作品全体の雰囲気は詩的で抒情性のあるものになっている。奇想的なアイデアと私小説っぽさが絶妙に同居しており、海をたゆたうような心地で読み終えた。 全部で13編収録されているが、お気に入りは「そして(Nマイナス1)しかいなくなった」。作者であるピンスカーが並行世界から大量に集まり、殺人事件が起こるというトリッキーな内容。日々の選択による喪失感がテーマになっており、ユーモラスでありながら強く心に残る短編だった。

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2022/11/20

翻訳の順番は後先になったが傑作『新しい時代への歌』の元になった「後日談」である中編が収録されている、というだけでも価値ある一冊。伝説の歌姫の後年を描きながら、同時に長編のダイジェストともいえる全てのエッセンスが詰まった作品を始めとした珠玉の短編集。

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2022/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

装丁が可愛いのと、よく読んでいる冬木糸一さんのブログで高評価だったので手に取りました!なんとも不思議な短編集で、SFといえばSFなんだけど、あまりSFぽくなかった。 サラ・ピンスカーの作品はもちろん初めてで(『新しい時代への歌』はこの後読もうかなと思っている)、起承転結がはっきりしているというより、ある一部分を切り取る作家さんなのだなあと淡々と思いました。たしかに人生は基本は何かの一部分で、その後話が繋がっていっているのだから、明確なオチとかないよねえというのと、特に前半はなんともいえない寂寥感があって読んでて悲しくなったりしておりました。 あと好感が持てたのは「よくわからないアイディア」「よくわかからない時代」で、すべてが説明されるわけではないので、よくわからないまま話が進んでいく感じは、実際の未来ってそうなのだろうと感じられて私は結構楽しめました。 また同性カップルが多発というほど多かったのもアメリカっぽいなあと思いました。 特に好きだったのは、 「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」 「彼女の低いハム音」 「深淵をあとに歓喜して」 「孤独な船乗りはだれ一人」 「風はさまよう」 「イッカク」 あたりかな… 「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」はちょうど11/11のリメンバランス・デーのすぐ後に読んだこともあって、ヴェールと呼ばれる技術がリフトされ、選挙によってまたかけられてしまう一日がかなしくて、ありそうで、SFという感じで好きだった。 「深淵をあとに歓喜して」彼が何を見たかは分からない、だけれど老夫婦のロマンチックな話 「孤独な船乗りはだれ一人」は両性具有とセイレーンの話 「風はさまよう」実際にこうやって文化は変化してきたのだろう 「イッカク」もう乗り物が可愛いっていう時点で100点ですよね。そして実はボスのお母さんが…!?というのは面白かった笑

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2022/09/25

本を閉じたとき、この本に出合えて良かった、そう思える幸せ。 SFの濃淡はありつつ、短編たちを繋ぐ”喪失”や”音楽”といったテーマの描かれ方が見入るほど聞き入るほどに美しく胸の内に響いてくる。 掌編くらいの短さもあれば、比較的長い物語もあるのでその点も読みやすく、自分だけの一遍と出...

本を閉じたとき、この本に出合えて良かった、そう思える幸せ。 SFの濃淡はありつつ、短編たちを繋ぐ”喪失”や”音楽”といったテーマの描かれ方が見入るほど聞き入るほどに美しく胸の内に響いてくる。 掌編くらいの短さもあれば、比較的長い物語もあるのでその点も読みやすく、自分だけの一遍と出会えるのでは。私のお気に入りは「記憶が戻る日」「風はさまよう」「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」。 SFだからこそ浮き彫りになる人間としての普遍的な願いやシチュエーションとしての幻想性など、私の大好きなものがきらりとつめこまれた宝石箱みたいな一冊でした。

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2022/08/27

どのお話も最後は読者の想像にお任せします、的な感じで余白があるところがとても好み。それぞれかなり特殊で面白い世界観のお話にも関わらず、説明的な文章がなく、唐突に始まってちょっとずつ輪郭がはっきりしていくところも良かった。

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2022/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

地に足のついた日々に存在する幻想 多彩。2010年代~に書かれたSFなのになぜか懐かしさも感じさせる。SF関係なく分からなさがフランス映画っぽくもある。「奇妙な味」のカテゴリに入るかな? 個人的お気に入り 「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」 自分の体の右手と左手が考える所在が違うために混乱する男。引き裂かれそうなヒリヒリ感がいい。 「いずれすべては海の中に」 表題作。不安の中ではぐくまれる一対一の人間関係。ノアの箱舟に乗っているときってこういう気持ちかな。 「風はさまよう」 これは、実際に起こりそうな。記録が記憶になる怖さ。震えた。 「イッカク」 映像にしたら可愛いだろうなぁ。クジラカー。 「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」 並行世界。ロビーにいっぱい集まったサラ・ピンスカー。面白すぎる。 幻想的な作品たちの印象を写し取ったような表紙のイラストレーターさんはカチナツミさん https://twitter.com/natsumi_kachi 乗代雄介さんの『本物の読書家』の文庫本表紙も描かれています。

Posted byブクログ