日本史サイエンス(弐) の商品レビュー
造船一家に育ち、本人も造船に深く関わる筆者が、船と海戦を中心に日本の歴史(邪馬台国~日本海海戦)を追う。 船の構造や速度など、技術面から日本史と海戦を検証するという視点が他の歴史ものと違い、面白い。日本人のモノづくりへのこだわりと技術力が発揮されてきた歴史がわかる。船底にへばり...
造船一家に育ち、本人も造船に深く関わる筆者が、船と海戦を中心に日本の歴史(邪馬台国~日本海海戦)を追う。 船の構造や速度など、技術面から日本史と海戦を検証するという視点が他の歴史ものと違い、面白い。日本人のモノづくりへのこだわりと技術力が発揮されてきた歴史がわかる。船底にへばりつく海洋生物が船の運行に大きく影響を与えるというのは初めて知った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
サイエンス専攻の日本史好きとして、この手の文理融合な話は大好物。著者は船舶工学を長らく専門とされてきた方で、日本史の様々なエピソードを船を中心に科学的に検証されている。 たとえば邪馬台国がどこにあったのか、ということで、当時の船舶技術から丸木舟を使った朝鮮半島との往来について、対馬海流の存在から但馬~出雲地方に重要な海洋拠点(投馬国)があったと説く。そこから西に行けば九州説となり、東に行けば近畿説となる。 また日露戦争における日本海海戦で帝国海軍がバルチック艦隊を撃破した「東郷ターン」と呼ばれる丁字戦法についても、ロシア側の石炭過積載と船底に付着したフジツボなどの影響でバルチック艦隊の機動力が低下していたことが指摘されている。いずれにしてもなるほど~という話だ。 そして糸魚川を中心に翡翠が獲れたために、それらと交換で朝鮮半島からの鉄を輸入していたという説は、日本海側にこそ高度な文明がいち早く興っていた理由を裏付けるものだ。いずれにしてもロマンをロジカルに裏付けていくのは、個人的にもやっていきたい分野である。
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長いこと積読状態にあったけど、突然思い立って一気読み。私が若かった頃、こんな視点で歴史を学ぶ機会が有ったなら、歴史はもっと興味深く、面白かっただろうに、、、 是非、若い人達に読んでもらいたいものだ。そして、感想を聞かせてもらいたいものだ。
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一作目に引き続きとても面白かった。 専門的な内容もあるが中身としてはきちんとデータを使って歴史を検証しようというもの。 科学的な分析というのはどんな分野にも大事だが、本書のような視点でわかりやすく解説してもらうことによって面白さまでが理解できた。
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前作に続いてとても面白く、なるほどなるほどと何度もうなづく内容。 個人的には珠玉は最初の邪馬台国の謎。翡翠と鉄の道、海潮流、船の形状、方角は不安定といった前提から北部九州→日本海・山陰(水行)→大和(陸行)へというルートは非常に説得力があった。その上で、魏志倭人伝の記述の解釈に...
前作に続いてとても面白く、なるほどなるほどと何度もうなづく内容。 個人的には珠玉は最初の邪馬台国の謎。翡翠と鉄の道、海潮流、船の形状、方角は不安定といった前提から北部九州→日本海・山陰(水行)→大和(陸行)へというルートは非常に説得力があった。その上で、魏志倭人伝の記述の解釈に止まらず、皆既日食の分析、神話の記述、人口動態などを加味して候補地に点数付けしつつも結論は敢えて出していない。 秀吉の朝鮮出兵は亀甲船対関船の分析がメインだったが、秀吉の目的が潜在的侵略国であるスペイン相手に軍事力を見せて抑止することにあったのではという見立て、小西・加藤などの進軍速度が秀吉の中国大返しと同等のスピードで補給をどうしていたのかなどの視点も面白い。 日本海海戦については、T字ターンの戦術による勝利というよりは、長期航海による疲労と練度低下、石炭過積載や船底未整備による海洋生物付着よる速度低下、日英同盟によるロシア海軍の寄港拒否などの効果とあって、そもそも戦力差が日本とロシアで大きくついていたという分析。 第3巻が出たら是非読みたい!
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前作に続き、船に造詣が深い著者の独特なサイエンスの視点で、歴史を読み解く。 邪馬台国はどこにあったか、秀吉の朝鮮出兵失敗の理由、日露戦争の連合艦隊の大勝利の理由と、どれも納得感がある。どれも対馬海峡の海流に関連しており、実際、対馬に行って見たくなった。
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実は,前著とセットでメルカリで購入した。とてもきれいな本だったけど,わたしが一度読むと,赤線だらけになるんだよなあ。 さて今回も,著者の専門分野である「船」が絡んだ歴史的な事件を取り上げている。「邪馬台国は何処に在ったのか」「秀吉の朝鮮出兵」「日露戦争時の日本海海戦」について...
実は,前著とセットでメルカリで購入した。とてもきれいな本だったけど,わたしが一度読むと,赤線だらけになるんだよなあ。 さて今回も,著者の専門分野である「船」が絡んだ歴史的な事件を取り上げている。「邪馬台国は何処に在ったのか」「秀吉の朝鮮出兵」「日露戦争時の日本海海戦」について,科学的に考えてみると,どんなふうな世界が見えてくるのか,とても信じられる仮説として,歴史の見方が変わってくると思う。 ここでは,その一例として強敵ロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦について少しだけ紹介しよう。あの海戦は,東郷平八郎が考えた作戦(T字戦法)で勝利したことになっているのだが,本当にそうだろうか。 そもそも,バルチック艦隊は,7ヶ月もかけて地球を一周するくらいの航海をしてきている。日本は,ロシアの艦船たちがウラジオストクに寄る前に,日本海でたたくことを計画したという。むしろ,バルチック艦隊に勝てたのは,こちらの理由なのではないか。 7ヶ月も航海を続けてきた乗組員たちは,その間,戦闘の練習などができたのだろうか。食糧の調達に加え,当時の燃料である石炭はどれくらい積んでいたのだろうか。やっとたどり着いた日本海で待ち受けていたのは,戦闘練習をくり返し,海の特性を十分知っている日本の海軍だった…というわけだ。 著者はいう。 結局,日本海海戦の勝利は奇跡ではなく,日本は勝つべくして勝ったのす。「神話」として祀り上げず,なぜ勝てたのかをより理性的に分析していれば,三十余年後,中国などを怖れるに足らずと泥沼の戦争に突き進んでいった歴史は,少しはちがうものになっていたかもしれません。(本書,214ぺ) 歴史を科学の目で料理し直す。好奇心を刺激してくれます。
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前作は、オーディオブックで聞いた。 今回は、紙の本で読んだ。 3ヶ月近くかけて読んだので、読み初めの頃の話しは、忘れたし、前作と内容がごちゃごちゃになってしまった。 でも、歴史の事実として伝えられていることを、データで検証し、実際にはこうだったのではないかと新しい歴史の姿を見せて...
前作は、オーディオブックで聞いた。 今回は、紙の本で読んだ。 3ヶ月近くかけて読んだので、読み初めの頃の話しは、忘れたし、前作と内容がごちゃごちゃになってしまった。 でも、歴史の事実として伝えられていることを、データで検証し、実際にはこうだったのではないかと新しい歴史の姿を見せてもらえて、とても面白かった。 改めて、日本人の勤勉さと、技術力の高さを知ることができた。 しかし、その勤勉さ、技術力の高さゆえに、一部の人間かもしれないが、驕りが生じ、日本の歴史を良からぬ方向へと導いてしまったことも一度ならずあり、残念でならない。 謙虚でありたいものだ。
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前著に続き邪馬台国、文禄・慶長の役での海戦、日露戦争での日本海海戦の実態について、船舶設計技術者である著者が科学的に切り込む。 邪馬台国の日本海ルート、文禄・慶長の役の兵站、日露戦争の神話化など、その指摘には説得力を感じる。
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1.邪馬台国は始め九州、卑弥呼の死後、近畿に移った。 2.朝鮮出兵はスペインを牽制し植民地化を逃れるための策略。亀甲船が存在していたと仮定すれば、戦力は当時日本軍の主力だった関船の二倍(火力及び接近戦が不可な構造)。日本軍の兵站は当初より破綻していた。 3. 日露戦争の影の立役者...
1.邪馬台国は始め九州、卑弥呼の死後、近畿に移った。 2.朝鮮出兵はスペインを牽制し植民地化を逃れるための策略。亀甲船が存在していたと仮定すれば、戦力は当時日本軍の主力だった関船の二倍(火力及び接近戦が不可な構造)。日本軍の兵站は当初より破綻していた。 3. 日露戦争の影の立役者は日銀副総裁だった高橋是清。莫大な戦費を捻出する為ロンドンで外債を募集。ヤコブ、ヘンリー、シフというユダヤ人銀行家(当時ロシア帝国がユダヤ人を迫害)が500万ポンド(5000万円、戦費の10%)を引き受けた。またバルチック艦隊は日本の偵察船と誤りイギリスの漁船を誤爆したことでイギリスが主要なアフリカ、アジアの港で補給を許さず船体は汚損しており、また当時の大型船は石炭を大量消費することから貯蔵庫だけでなく、甲板にも石炭を置き過積載の状態であった為、速力が大幅に低下していた(日本も同じ状況であったが海戦直前に甲板の石炭を捨て身軽になった)。
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