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生命式 の商品レビュー

3.9

137件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    0

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2024/09/23

第5回ビブリオバトル全国大会inいこまで発表される予定だった本です。 ※2020.3.15に開催予定であったビブリオバトル全国大会inいこまは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となりました。

Posted byブクログ

2024/09/21
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◾️生命式 死んだ人を食べる文化、セックスが受精として普通に人がいるところで行われる世界の話。 最後、膝まで海に浸かりながら、知らない男からもらった精液を自分で入れてるシーン、めちゃ神秘的に描かれてるけど、今自分がいる世界の常識では考えられない。 なにが正常なのか?いまの正常はたまたま正常とされてるけど、異常が正常と見なされる世界線もあるのでは?と思いそうになる。 ◾️素敵な素材 人の骨や歯、皮膚、髪を素材にするのが普通な世界の話。 気持ち悪くてご飯食べられなくなりそう… 自分と同じ生物が物体としてあることへの気持ち悪さがすごい。 じゃあ動物だったらいいの?って話になるけど、動物は正直身近にいないからリアルに想像できないんだと思う。 生きてるものと、生きてないものの境目が大事なのかもしれない。 ◾️素晴らしい食卓 「相手が作ったものを食べるって相手の世界を信じること」ってなんかわかる。 食べるって生きることとか、健康に直結するし、信頼だよなぁ。 最終的に全部の料理を食べておいしいといった主人公の夫が一番気持ち悪く感じた。これって多様性を受け入れた人を気持ち悪いように描いており、現代の風潮とは真逆な発想で、強いなと思った。 ◾️夏の夜の口付け めっちゃいい!!!!! 好きだ〜 わらびもちが男の子の舌に似てるって言われた直後に噛みちぎるところが最高 ◾️二人家族 うわぁ、この話続くんだ… こんな過去があったのね。 素敵な二人だ。 憎まれ口たたける関係性が心地いいよね。 ◾️大きな星の時間 かわいい。 ◾️ポチ ポチやべえええ ユキちゃんポチなでないよ! ◾️魔法のからだ すごく上質で文化的な性教育のお話。 とても好きだし大事に読みたい。 性がこうあってほしい。 ◾️かぜのこいびと カーテンと人の三角関係 ◾️パズル 早苗がビルというのがあまり理解できなかった。 ◾️街を食べる 野草を食べる人の話。 個人的には、「素晴らしい食卓」とリンクしてる気がする。 食べ物が人を作る。 野草を食べると野生的になる。 ◾️孵化 コミュニティによって人格が変わる人の話。 これはけっこうよくわかる。自分もキャラクターを使い分けてたから。 アキみたいな友達がいてくれてよかったねぇ。

Posted byブクログ

2024/09/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。 きもちわるいと大批判されているレビューを見かけたので、緊張しながら読み始めたが、自分は平気な側の人間らしい。 裏切りは他にも多々あった。 もっと純文学寄りかとおもったが、ほとんどSFである。 そして、生命式を題材に全編進むのかと思ったが、2話目3話目と仕掛けがずりずりとこちら側へスライドしてきて、最後には現代社会にもあり得る話でオチる。社会派の、SF……? 幾らかの話を抜粋して感想など。 ・生命式  振り返ってみると、他はまあそういうこともあるかあという話が挟まる中で、最も新鮮な設定と展開だった。さすが表題作。 現代の価値観からするとフツーにイヤだが、5年以内にはありえなくとも、50年後にどうなっているかは分からない。 50年前の人たちは、日本が人口減少や少子化とたたかうことになるとは想像しなかったろう。物理的距離にとらわれないコミュニティの登場が、世界を小さくもした。10月になっても夏が終わらず、毎日30度を超えるとなればきっと生活だって変わろう。 2070年に、いまの感性を貫ける保証はない。  自分がこの作品を含めSFと呼んだのは、主人公=若者の方が古い価値観を引きずっているという点にフィクションを感じたからだ。社会って、老人が望まず、認めず、中年がそこを押し切って新しい価値で塗り替えていくというものではないのか? 老人から新しい価値観が広まった(そして浸透した)例を、知らないだけかもしれない。超超超高齢化社会となれば、高齢者のムーブメントがそのまま社会現象になったりするのか? ・素敵な素材  前の話に繋がる話かと思いきや、やや設定はズレる。 「毛髪を身にまとうのは自然」という主張が登場するが、他人の毛髪である以上、自然素材以上に不自然だと思った。自然さを追求するならば、自分の毛髪で作るべきではないか? 人間の爪って動物の爪と違って劣化が早いわ、強度がないわで扱いづらそう。 死体損壊罪はどういう整理になるんだろう。 リアルに考え始めると、ツッコミどころが多い。  ちなみに、気になって調べたら、毛髪で編んだセーターは実在した。エコロジー文脈らしく、作中で持つ意味とは異なった。 そのまま編んだものをイメージしていたため、ものすごく重そうだと予想したが、髪の毛って頑丈で、引き伸ばして使えるぶん結構軽く作れるらしい。 ・大きな星の時間 とても好きな話になりそうだったのに、始まる前に終わってしまった。続きをください。 ・かぜのこいびと 好きな人の多そうな、切なくキレイな話。と思いきやあの結末である。闇が深いなあ! ・パズル 悲しい。これも好きな話。 ・孵化 この話が最後に置かれていることで、これまでの全てがグッと自分の話になった感触があった。 読む人を選ぶとは思うが、全体的には楽しい本だった。

Posted byブクログ

2024/08/23

コンビニ人間を読んでから村田さんが気になってしまい読んだ。コンビニ人間の時も思ったけど、村田さんの作品ってなぜかSFっぽさを感じる。 設定の毒気が強いけど読み心地はサラッとしていて、いい意味で感情を揺さぶらないというか…。普通だったら重たくドロドロした話になりそうなところを、スッ...

コンビニ人間を読んでから村田さんが気になってしまい読んだ。コンビニ人間の時も思ったけど、村田さんの作品ってなぜかSFっぽさを感じる。 設定の毒気が強いけど読み心地はサラッとしていて、いい意味で感情を揺さぶらないというか…。普通だったら重たくドロドロした話になりそうなところを、スッと通り抜けるのが気持ち良い。 一方で、現代に生きている人間なら誰しもが持つ感覚に対して鋭い疑問を投げかけてくるところが本当に面白いと思う。 表題作である生命式も良かったけど、食卓のやつとかキャラ変りすぎのやつもかなり好きだった。

Posted byブクログ

2024/08/22
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「魔法のからだ」 「性」の欲求は大きくて、大切なものなのになぜ私たち(日本人?)は秘匿的に扱う割に下品な歪んだ表現で「性」捉えるんだと、根底を問いただされているように感じました。この物語の2人の女の子のように環境に左右されず、自分の心の欲に従うことこそ美しく、純粋な「性欲」であると感じました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「倫理的」や「生理的」という言葉を軽々に用いて相手の意見(世界観)を否定はできないなと村田沙耶香さんの作品を読むと毎回、再認識します。 ただ一つの正しい価値観は存在しません。つまり「倫理的」「生理的」というふたつの言葉は自身と同じ世界観をもつ住人であることを確認するための口裏合わせに過ぎないのかなぁと感じさせてくれました。

Posted byブクログ

2024/08/13

「狂気」「ぶっ飛んでる」の一言では片付けられない、常識や価値観、固定概念を揺さぶられるような感覚をページを捲る間ずっと感じていた。 読後の放心状態というか、足元の覚束ない感じがクセになる。著者の描く美しくグロテスクな「生」と「性」にすっかりと魅了されてしまった。

Posted byブクログ

2024/08/12

誰もが持っている先入観や盲目的に何かを信じることに対して嫌な角度から問いかけられている感じがした。ワクチンのことやオーガニック食品など偏った情報に踊らされがちな昨今だからこそハッとする場面も多かった。最後に収録されている環境によって自分を使い分けている話も、誰もが思い当たる部分が...

誰もが持っている先入観や盲目的に何かを信じることに対して嫌な角度から問いかけられている感じがした。ワクチンのことやオーガニック食品など偏った情報に踊らされがちな昨今だからこそハッとする場面も多かった。最後に収録されている環境によって自分を使い分けている話も、誰もが思い当たる部分が多かれ少なかれあり、自分を見つめ直すきっかけになるかも。

Posted byブクログ

2024/08/23

うーん、、、設定のインパクトが強くて印象に残りやすいが、文体や全体的な雰囲気が軽く違和感が残った。生命という重たいテーマだからわざと軽くしてコントラストを出しているのかもしれないが、あまり没頭はできなかった。 特に登場人物の会話から登場人物のリアリティのなさを感じて冷めてしまっ...

うーん、、、設定のインパクトが強くて印象に残りやすいが、文体や全体的な雰囲気が軽く違和感が残った。生命という重たいテーマだからわざと軽くしてコントラストを出しているのかもしれないが、あまり没頭はできなかった。 特に登場人物の会話から登場人物のリアリティのなさを感じて冷めてしまった部分が多々あった。 例えば、表題作の生命式では、家族や親しい人が亡くなったことへの悲しみやショックがあまり感じられず、家族が亡くなったというのに妹のテンションが妙に高く驚いた。 二つ目の「素敵な素材」でも、人間の素材を使った道具が一流品として世に浸透しているなら道具一つ一つに名前がついているはずなのに、道具の説明ではどれも「~から作った○○」と言った風に固有名詞がない所が引っかかった。読者が分かりやすいようにあえてそうしたのかもしれないが、この物語のように強い設定のものであれば固有名詞も作った方が物語に入り込めるのになぁと思った。 他にないような斬新な設定で期待していた分、残念度が高い;;

Posted byブクログ

2024/07/26

故人の肉を食べ、男女が”交尾”をする儀式の「生命式」や、歯や骨をアクセサリーや家具にリメイクすることが当たり前の世界の「素敵な素材」など癖が強めな短編集12編。一度単行本で読みましたが、今回も表題作の「生命式」が印象的でした。今は非常識な考え方も数年後ないし、数十年後には常識とな...

故人の肉を食べ、男女が”交尾”をする儀式の「生命式」や、歯や骨をアクセサリーや家具にリメイクすることが当たり前の世界の「素敵な素材」など癖が強めな短編集12編。一度単行本で読みましたが、今回も表題作の「生命式」が印象的でした。今は非常識な考え方も数年後ないし、数十年後には常識となっているというある意味、ディストピアぽさも感じました。あと表紙もかわいいタッチながら狂気を感じる…

Posted byブクログ

2024/07/23

12編の短編集。全部に村田沙耶香さん節が炸裂していました…読み終わってもまだ混乱が残っています。本当に村田沙耶香さんはどうしてこんな世界観を思いつけるんだろう不思議。自分の中の「普通」とか「当然」がめちゃくちゃに壊されて(いい意味で)、元あったのとは違う自分に再構築される感じ。い...

12編の短編集。全部に村田沙耶香さん節が炸裂していました…読み終わってもまだ混乱が残っています。本当に村田沙耶香さんはどうしてこんな世界観を思いつけるんだろう不思議。自分の中の「普通」とか「当然」がめちゃくちゃに壊されて(いい意味で)、元あったのとは違う自分に再構築される感じ。いい大人になっても、本一冊でこんなに価値観が揺さぶられることがあるんだなぁ。 ちなみに最終編『孵化』だけはかなり親近感のあるお話でした。なんだか嬉しい。

Posted byブクログ