子宝船 の商品レビュー

宮部みゆき(著者)

2022/06/11

江戸深川を舞台に、若き北一と喜多次のきたさん二人が、
人情、怪異、そして事件の謎解きに挑む、新シリーズの二作目。
第一話　子宝船･･･後ろ向きの弁財天が描かれた七福神の宝船の
　　　引き札の謎。北一が辿り着くのは様々な心の闇の哀しさ。
第二話　おでこの中身･･･馴染の弁当屋親子の死の、衝撃！
　　　気になる女の謎を探るため、ぼんくら土蔵のおでこに会う。
第三話　人魚の毒･･･弁当屋親子の事件の正しい解決のために、
　　　東奔西走する北一。船は必ず何処かに辿り着くもの。
時代劇＆捕物の新シリーズ第二弾。
文庫屋として独り立ちした北一は、亡き千吉親分の教えと行動を
思い出しながら、関わってしまった事件の解決のため、動きます。
子どもは七つまでは神のうちの時代背景にある、人々の想いと、
事件の裏側にある悔しい、嫉妬、腹立たしい思いの心情。
恨みや妬みのままに行動する、女の皮をかぶった化け物の非情さ。
それらに対峙する北一には、周りに彼を育てようとする、
大人たちがいます。
前作からの、差配人の富勘、欅屋敷の用人新兵衛、村田屋治兵衛、
盲目のおかみさん松葉に続き、検視の栗山の旦那、おでこ、
そしてなんと、政五郎親分にも見込まれました。
教え、忠告し、諭すそれらの言葉を余さず聴き、
人を視る目を養い、匂いをかぎ分け、記憶する、北一。
物事に真摯に向き合う姿も良い･･･自覚は無いけど。
更に、人脈。北一への人の縁がどんどん繋がってゆきます。
若や武部先生は活躍してくれるし、半次郎とも縁が出来ました。
喜多次との関係も少しずつ間が狭まってきました。
思案を伝えたり、忠告したり、一族の事まで話したり･･･。
良きバディになっていくのかな？
物語自体も繋がってゆきます。
『桜ほうさら』からは勝文堂の六助が登場したし、
『ぼんくら』からは年月の経過、おでこの友だちの消息も。
というか、おでこが妻帯しているとは、びっくり！
岡っ引きになるか、先の事はわからないけれど、
『桜ほうさら』の治兵衛の過去の悲劇の真相を調べ直し、
明らかにしたいという、北一の思いが今後、
どう展開されるのかも、期待するところです。

2022/06/11

1巻から少し間が空いたので、ちょっと復習してから読み始めました。
愛すべき千吉親分の寡婦・松葉、差配の富勘、謎の人物喜多次、今回はなんと政五郎も出てきましたよ。おでこも！
何度書いたか知れませんが、やっぱり時代物は宮部みゆき様です。
温かくて少し切ない町人が頭の中で動き回ります。

今回ちょっと思ったのは模倣犯を読んだ時に、一生知りたくなかった「化けもの」の存在です。命を命と思わない快楽殺人、そして化けものだから生き延びてしまう…お蓮が生きてそうで怖いです。

今回も楽しめた！

2022/06/10

『きたきた捕物帖(1)』『初ものがたり』『桜ほうさら』『ぼんくら』と関連作すべて読みました。シリーズ長く続けてください!!

2022/06/10

北さん、頑張っているね。
おかみさんや周囲の人の力を借りながらも、自分の足で前に進んでいる。
それにしても、おでこさんや政五郎の親分が登場したのにはびっくり。懐かしいなぁ。正直、親分の方はそんなに覚えてなかったんだけど。で、なんでも測っちゃうあの子の消息も聞けてよかった。
喜多次は、あまり動いてくれないなーと思ったら、ちゃんと見せ場も。でないと、シリーズのタイトルが違ってしまうしね。
表題作、人の心の動きって今も昔も変わらないんだなーとやりきれないものが残る決着だった。
でも、次の事件は心底恐ろしい。
犯人の心情が。。。というか、あいつにちゃんと心はあるのか。
ああいうやつが今後は出てこないことを願う。
いやな予感がしちゃうんだけど、、、
ま、おみつさんのその後が明るい予兆かな。楽しみにしておこう。
検死の栗山もきっとまた登場してくれるはず。

2022/06/10

宮部みゆきワールドだ。宮部氏独特の言い回しと言葉の漢字変換、あちこちに散りばめられている独白犯人以外皆善人、すっかり宮部みゆきファンに---きたきた捕物帖もそれ以外にも何冊もの百物語全部合わせれば気がつけば１０冊以上読了楽しい作品これからも待ってます。

2022/06/09

おでこが大人になってる！。。。そっか、弓之助は平四郎の跡を継がずに学者になったのか。
元うなぎ屋の落書き(？)は庄之助だ。。などと、過去作に思いを馳せる。。ってか、きたきた第一作をころっと忘れてるよ(^_^;)
千吉親分の思いをそうとは知らずに汲んで働き成長する北一、と明らかになる喜多次の過去。。
人でない化け物。同年代の北一にその存在を教える喜多次はどんな生き方をしてきたのか。。これからも目が離せない。
にしても、桃井の事件はつらすぎるなぁ。。。
そんな中、若様栄花の存在が頼もしい！

2022/06/07

待ってました！新作！
おでこちゃんが出てきて嬉しいかぎり。
もーおでこちゃんではなく、立派な大人だったけど笑
どの話も面白かったけど、「人魚の毒」がいちばん面白かった。まさに毒という内容で宮部さんらしくこーじわじわとまとわりつく感じがして、読むのをやめられなかった。
北一の相棒の過去もちらりと出てきて、既に早く次が読みたい。
次は何年後だろー。出来れば来年には読みたい！

2022/06/04

　『きたきた捕物帖』の約2年ぶりの続編が到着した。前作の感想に、主人公の北一は岡っ引きではないと書いたが、2作目の本作では、岡っ引き見習いとして手足となり、本格的に動く。いや、元々見習いだったっけ？

　表題作の第一話「子宝船」。武家も商家も、切実に跡継ぎを欲する。嫁への期待、というよりプレッシャーは、現代の比ではあるまい。そして、せっかく誕生した赤子が無事に育つ確率も、現代より低いわけである。そんな背景を踏まえて。

　ある酒屋の主人が書いた宝船の絵が、子宝にご利益ありと評判になる。つい求められては絵を描く主人。ところが、その絵のせいで子が早世したと怒鳴り込まれ…。情の前には理屈など無力だ。北一たちはどうやって収拾させるのか？

　ある人物曰く、岡っ引きが扱ういざこざは、こういう種類のものの方がうんと多いとか。両方の言い分を聞きつつ、丸く収める。北一もその一端を担った。典型的な捕物帳ではないこういうエピソードこそ、宮部流時代物の本質が詰まっている。

　第二話「おでこの中身」と第三話「人魚の毒」は、物語としては一続きである。倹しくも幸せに暮らす一家三人が毒殺された、凄惨な事件。北一も義憤に駆られて動くが…。このシリーズの作品世界と、他の宮部さんの時代物作品との繋りが、本作ではより明確になる。「おでこ」とはさて？　まさかこんな形で再登場とは。

　第一話同様に時代背景が興味深い。当時の事件捜査に公平さの欠片もなく、容疑者を捕らえて拷問で吐かせ、下手人の一丁上がり。冤罪だらけである。そんなご時世に、北一たちの行動は危険だ。そもそも岡っ引きとは悪人上がりが多い事実。

　情報は意外な方面からもたらされた。北一の観察力と執念、そして「おでこ」の能力で、ようやく見つけた相手。うーむ、生い立ちを聞いてみて、同情する面もあるようなないような…。相手が悪すぎたというべきか。

　北一の相棒である喜多次は、前作以上に目立たない。キーパーソンが多いこのシリーズ、主人公の北一も、油断すると食われそう。早く続編を。

2022/08/26

続編うれしい！！！！！！！

３編収録。「人魚の毒」がよかった。ぞわぞわしたけど。
がっつりおでこさんが出てきて喜んでしまった。
大きくなったなあ・・・笑。弓の助も元気そうでなによりだ。
「ぼんくら」も読みたくなったな。
あと関係ないけど元うなぎ屋のお店って、「ぼんくら」にも出てきたよね・・・？（時期が合わないから別物・・・？）

2022/06/03

子宝船／おでこの中身／人魚の毒

北一はちょっぴり頼りない。
おかげでみんなが気にかけて助けてくれる。いろんな経験をしていって、誰かを助けられる人になって欲しいなぁ。
そん時は、よくわからない喜多次もわかるようになってるとなお良いなあ。