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いるいないみらい の商品レビュー

3.7

35件のお客様レビュー

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2023/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「子どもを持つ」ことについての短編集 どの作品にも夫婦や家族のお互いへの愛がしっかり描かれていて穏やかだった。 盛り上がって面白い!!!!というよりは緩やかな読了感。 「子ども」って須く親のエゴだと思ってしまう。自らが望んで生命として自然発生した訳ではなくて、親となる男女の選択と行動によってもたらされたものだから。だからこそ、親となったからにはこの世に誕生させた生命体を自分の全てを持って幸せにしなければならないと思う。 そうすると、日常も自分の人生も夫婦の関係も全てが変わってくる。何よりも優先すべきものができてしまう。 イメージだけど、夫婦2人の時は「夫婦」だけど、子どもが加わることで「家族」になる(なってしまう)気がする。どちらが優劣とかではなくて、どうやっても2人で満足していた日常は変化せざるを得なくなる。 「1DKとメロンパン」は2人の生活で満足しているのに、わざわざ壊す必要があるのか思い悩む知佳の気持ちも分かる。それどころか経済的にも負担になる訳だし。 でも、これから一生一緒に生きていきたいと思ってるパートナーの、ただ単に「子どもがほしい」ではなくて、「あなたとだから」って想いはとっても大事な気がする。 一方で、昔は「結婚して子どもを産む」ことが当然で自分の子どもにもそのレールを当たり前のように進んでほしい、という時代的なことを考えると、男女が平等に悩めることがそもそも幸せな時代になったのかも。 「無花果のレジデンス」はなかなか授からないと避けては通れない不妊治療。生理がくる絶望、私もとってもよく分かる。 原因が判明することって、妊娠という目的にとってはプラスだけど、2人の関係性とか原因のあった方にはマイナス面もあるよね。毎月自分がポンコツだからって自分で自分を責めて。 どう進むにしても、中心は「夫婦」で、お互いの想いと愛情が必要なんだろうな。当たり前のことで見過ごしがちだけど、まずは毎日を共に過ごせることが幸せだってことを理解することから始まるのかも。そのことに気が付くために牧村さんご夫婦が重要だったんだろう。 「私は子どもが大嫌い」は育ててくれた親に対しての子どもである使命感、って子どもサイドの気持ちにも触れていて良かった。大人になっても「子ども」というポジションは変わらない。 それに、大抵の場合は幼い子どもが悪い訳ではなくて、親に対する苛立ちってあるあるな気がする(親バカならなバカ親ってよく聞くけど、まさに…) 未来の母も、茂斗子から奪い返したのは愛があるからじゃないのかな。自分で育てることが難しくても、手放しても、人生狂わされたと思っても。でも、そんな親の事情なんか知らないから、どうしてもすれ違ってしまうことも避けられないだろうな。 「ほおずきを鳴らす」は、本当にどうしようもないことだなって……子どもを産んだからと言って、自分より健康で長く生きてくれる保障なんてどこにもない。産めばゴールじゃない。普通の人にとっては考えもしないことかもしれないけれど、兄弟を亡くして、まだ子どもが小さい私にとっては胸がきゅっとなった。きっと自分が死ぬまで安心できないのかもしれない。どうやっても家族の死は色んな形でいつまでも引きずってしまう。 「金木犀のベランダ」は、私が子どもを望む決心が付いた気持ちと少し似てるかも。 所謂一般的な幸せな家庭で育った訳ではない、幸せな家庭を知らないからそれを与えることはできないかもしれない、私のように育ってしまうかもしれない、人を育てる勇気なんてない。自信もない。 けれど、極端な話、私と子どもは他人であり、幸せを願って最善を尽くせば、幸せになってくれるかもしれない。 血が繋がっていようといまいと他人であり、家族になろうとすれば家族になる。関係性なんて、所詮は自分たちの意識なんだろうな。人間でなくても、犬や猫、ペットも家族だし、2人で生み出しているパンだって家族だよね。

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2023/05/29

若干食傷気味ではあるが 結婚したい?子供欲しい?の問でザラっとなるアレのはなし 選べる家族も、選べない家族も、どちらにしても家族をするのは大変 でもたぶんそれを乗り越えて頑張って一緒に幸せになりたいって思えば家族は素敵

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2023/05/05

物悲しくなりすぎないストーリーがよかったです。 いろんな考え方があっていいし、一人ひとりの考えに一貫性を持たなくていいんだなあと改めて思いました。メロンパン。

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2023/04/10

とても良い意味での星3です。 やっぱり窪美澄さんの作品は良いです。 それぞれの人々の悲哀が、消化出来ずに、それでも明日は続いていくみたいな。 上手く言えないけど、読み終わった時にフラットな感動に包まれる印象です。 フラットな温かい感情になるという事で星3です。

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2023/03/07

子どもを持ちたい人、今は持ちたくない人、以前は持っていた人などさまざまな人が主人公の短編集。 結婚したからといって必ずしも子どもを産まないといけないわけではない。それにもかかわらず、周囲の人は子どもはまだかとお節介を焼く。 子どもがいるみらいといないみらい。どちらが幸せかなんて人...

子どもを持ちたい人、今は持ちたくない人、以前は持っていた人などさまざまな人が主人公の短編集。 結婚したからといって必ずしも子どもを産まないといけないわけではない。それにもかかわらず、周囲の人は子どもはまだかとお節介を焼く。 子どもがいるみらいといないみらい。どちらが幸せかなんて人それぞれ。 【心に残ったフレーズ】 「欲しいと思ったものが手に入らないこともあるの。手に入らなくても欲しい、欲しい、って手を伸ばすのが人間だもの。だけど、すでに持っているものの幸せに気づかないことも、時にはあるわね。それに……欲しい、欲しい、と思っていて、あきらめてたものがふいに手に入るということもあるの。」

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2023/01/25

結婚したら、子どもをもつものだと思ってた。 穏やかに愛してくれる両親がいれば、 血のつながりなんて関係ないと思ってた。 選択できる未来と、選択できない未来と、選択できなかった過去、各短編の登場人物たちが明確な“期日”を前に思いを巡らせる。 ハッピーな結末で締めくくられた篇はな...

結婚したら、子どもをもつものだと思ってた。 穏やかに愛してくれる両親がいれば、 血のつながりなんて関係ないと思ってた。 選択できる未来と、選択できない未来と、選択できなかった過去、各短編の登場人物たちが明確な“期日”を前に思いを巡らせる。 ハッピーな結末で締めくくられた篇はない。 「今」で終わる物語たち。 とても、よかった。

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2022/09/13

子供をもつ、ということについて迷い悩む人達を描いた短編集。 不妊治療をしている夫婦や、子供を亡くした男性、子供が嫌いな独身女性などがそれぞれ子供に対して思う複雑な気持ち。今のままで幸せなのに、子供を持ちたいと思うのはなぜなのか、持たなければならないと急かされるような気持ちにさせら...

子供をもつ、ということについて迷い悩む人達を描いた短編集。 不妊治療をしている夫婦や、子供を亡くした男性、子供が嫌いな独身女性などがそれぞれ子供に対して思う複雑な気持ち。今のままで幸せなのに、子供を持ちたいと思うのはなぜなのか、持たなければならないと急かされるような気持ちにさせられるのはなんなのか。考えさせられる作品。

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2022/09/05

自然に任せるわけにはいかないのかなぁ。科学が進んで、神の領域と思われていたことまで選択できるようになったことは、果たして…。個々で決めるしかない。周りは、静かに見守るだけ。

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2022/08/24

ずっと読みたくてやっと手に入れた本♡ なかなか内容の濃い話が多かった。 子どもが大好きな私は『いない』未来を 想像したことがないけれど もし、、、と思うと心が沈んでしまった。 『持つことが良い』とか『持たないのが悪い』とか そんな話ではなく色んな形があっても 思うことはたくさん...

ずっと読みたくてやっと手に入れた本♡ なかなか内容の濃い話が多かった。 子どもが大好きな私は『いない』未来を 想像したことがないけれど もし、、、と思うと心が沈んでしまった。 『持つことが良い』とか『持たないのが悪い』とか そんな話ではなく色んな形があっても 思うことはたくさんあるんだなって 色々と考えた! どうするか悩んだ時には面と向かって 素直に話せるパートナーであることは 大事なのかもしれないなって感じた。 『あのとき言っておけばよかった、って後悔が山ほどあるのよ。あなたには言っておくわ。ご主人とはなんでも話をなさい。怖がらなくてもいいの。大丈夫』

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2022/07/24

子どもをもつことをめぐる短編集。子どももちたくなかったり、不妊治療したり、特別養子縁組を考えてみたり、一筋縄ではいかない状況が描かれる。 でも「一筋縄ではいかない」なんて書いたけど、いまどきの普通なのかもしれない。不妊治療が保険適用になるなんて、国のために子をつくれよ、産めよ、増...

子どもをもつことをめぐる短編集。子どももちたくなかったり、不妊治療したり、特別養子縁組を考えてみたり、一筋縄ではいかない状況が描かれる。 でも「一筋縄ではいかない」なんて書いたけど、いまどきの普通なのかもしれない。不妊治療が保険適用になるなんて、国のために子をつくれよ、産めよ、増やせよと同義だと自分は思っているし、一般的になった不妊治療に翻弄されて自分(たち)の気持ちを確認しないまま突っ走ってる人たちもいるんじゃないだろうか。そして、いまだに養子縁組や里親といった仕組みが進まない日本。すでに生まれていて不遇な子どもたちを何とかする手立てがもっと一般的になればいいと思う。何だかどこか少子化を憂う「国」というものにいいようにされている気がしている。 だから、カップルの片方が児童養育施設育ちで子どもをもつ覚悟がなく、連れ合いは特別養子縁組で子どもをもとうと提案する最後の「金木犀のベランダ」にはわりと共感できた。もっと濃く描いてほしかった。 そして、そのひとつ手前にあった「ほおずきを鳴らす」も静謐な感じがよかった。だいぶ昔に子どもを亡くしたことを機に別れた元夫婦のつき合いを描くもの。子どもをもつということが悲しい出来事とも隣り合わせということかもしれない。これだけほかの4編とテイストが違う小説らしい作品だった。

Posted byブクログ