映画を早送りで観る人たち の商品レビュー
いま話題の映画を早送りで観る人たちに関するデータ、インタビューと考察。 情報過多で話題についていくために動画を飛ばし飛ばしみたり、倍速でみたり、初回と最終話だけみたり、原作を読んだりする。情報を短時間で消化するためには必要な行為だし、本については昔から速読とか、斜め読みとか、目...
いま話題の映画を早送りで観る人たちに関するデータ、インタビューと考察。 情報過多で話題についていくために動画を飛ばし飛ばしみたり、倍速でみたり、初回と最終話だけみたり、原作を読んだりする。情報を短時間で消化するためには必要な行為だし、本については昔から速読とか、斜め読みとか、目次と前書きと後書きだけ読むとか、サマリだけ読むとか、色々と技術があるのでその映像版という感じ。著者も最後に書いているけれど、時代の流れなので逆らっても仕方がなくて、業界の人はそのなかでいいものを作ろうとされているのだと思う。苦労は多いと思うけど。 ただここまでやっている人はそうはいっても一部の意識が高い層であって、残りの大半はそもそも消費すらしないんだと思う。それは本書に載っているアンケートからも明らかじゃないかと思う。 本書は新書だし概略なので、作り手にとって求められるのは個々のコンテンツのターゲット層をもっと具体的に特定して彼らの求めるもの/求めるそうなものに応えることが売れるために必要なんだと思う。たぶんTVの視聴者と、YouTube、TikTokなどなど、それぞれのユーザが求めるスピードと展開は違うんだという話なんだと思う。 すべては「情報」に還元されて消費される世の中だけど、倍速でみたら落ちてしまう情報はあるし、通常のスピードでみたら他の作品をみる時間はなくなるので、何を優先するかという価値判断の問題ではある。要は本書で述べられたような価値観をもつユーザがメディア環境の変化とともに産まれ一定のインパクトを持ちつつあるということなんだと思う。 最後に、おそらく著者も感じているんだと思うけど、こうしたユーザは何にそんなに追われているのか、息苦しくないのかなと思ってしまうのが個人的な思いではあるけど、確かに人生は短くて時間はそんなにはない、、、、。
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Web連載の時から興味深い内容だと思ったので、書籍化が嬉しかった。倍速視聴をする当事者たちの声が数多くサルベージされ、さらに彼ら彼女らをそういった行為に駆り立てる社会背景まで掘り下げている。 その声の中には「バカじゃねえの」と斬り捨てたくなるものも多いが、私自身、早送り視聴の経...
Web連載の時から興味深い内容だと思ったので、書籍化が嬉しかった。倍速視聴をする当事者たちの声が数多くサルベージされ、さらに彼ら彼女らをそういった行為に駆り立てる社会背景まで掘り下げている。 その声の中には「バカじゃねえの」と斬り捨てたくなるものも多いが、私自身、早送り視聴の経験もあるにはあるので、全否定はできないんだなぁ。
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SNS上で話題になった現代ビジネスのウェブ連載が大幅に加筆・修正の上で書籍化。動画配信サービスで映画を倍速視聴するのは一部の人々(必ずしも若者とは限らない)の間では常識となっているそうだ。けしからん!と憤るのは簡単だが、彼らには彼らなりの切迫した事情があるというのは目から鱗だった...
SNS上で話題になった現代ビジネスのウェブ連載が大幅に加筆・修正の上で書籍化。動画配信サービスで映画を倍速視聴するのは一部の人々(必ずしも若者とは限らない)の間では常識となっているそうだ。けしからん!と憤るのは簡単だが、彼らには彼らなりの切迫した事情があるというのは目から鱗だった。まぁそれでも知性の敗北・後退・退化であるという認識は変わらないけど。怖いのはこれがエンタメ分野に閉じた話ではなく、勉強や教養といった領域にも「手っ取り早く」が浸透し始めていることか。 単純に映画を好きな人間目線の感想はnoteに書きました。 https://note.com/masahiro884/n/nb1e9a14d0447
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