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映画を早送りで観る人たち の商品レビュー

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263件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

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  3. 3つ

    43

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2022/05/20

映画でも音楽でも本においても作品の楽しみ方が変質してきている。 作品そのものを楽しむというより、知識として、「それ観たよ」と言うための消費に近づいている。 更には作品を作る側も、そういう消費のありようを踏まえて作品を作る様になっているという現実。 (そうでない鑑賞、そうでない創作...

映画でも音楽でも本においても作品の楽しみ方が変質してきている。 作品そのものを楽しむというより、知識として、「それ観たよ」と言うための消費に近づいている。 更には作品を作る側も、そういう消費のありようを踏まえて作品を作る様になっているという現実。 (そうでない鑑賞、そうでない創作もあるけれど) これは根が深い。 と、言うかこの流れえ止めるのは難しい。 別の流れを絶やさない様に踏ん張るしかないと思う。

Posted byブクログ

2022/05/16

映画やドラマなどの作品を、「消費」するようにして、早送りでみる若者への警鐘…、と単にまとめるだけでなく、どうしてそうした現状になってしまったのかに関する考察も含まれていて、二重に面白い。 この本の著者が提唱する作品のあり方は、複数の見方に「耐える」作品であること。 例えば、...

映画やドラマなどの作品を、「消費」するようにして、早送りでみる若者への警鐘…、と単にまとめるだけでなく、どうしてそうした現状になってしまったのかに関する考察も含まれていて、二重に面白い。 この本の著者が提唱する作品のあり方は、複数の見方に「耐える」作品であること。 例えば、映画であれば、ストーリーとして、ものすごくわかりやすい展開だったり、善悪の構造がはっきりさせる。 それと同時に、ところどころに、映画の内容には関係ないが、例えば時代背景を思い出させるようなポスターを、主人公の部屋に飾ったりするなどの、マニア心をくすぐるものを配置する。 じっくりと見させる、というのは内容そのものを難しくするだけではなく、見落としてしまいがちな場面に少しずつ解釈が増えそうなものをばら撒く。 これがうまくできている作品をあげるとするならば、少し前の映画になるが、『JOKER(2019)』だろう。 「悪人も最初から悪人ではなく、かつては善人だった。環境こそが彼を悪人たらしめたのだ」というわかりやすいメッセージがありながらも、ほんの少し、「本当にそれが伝えたかったのだろうか」と疑問が残る内容。 もう一度じっくり見ると、今度は別の視点からまた考え直させられる。 コンテンツとして生き残ることを求めるならば、まずは「わかりやすさ」を出しつつも、作品に解釈の余地を残すことが必要なのかもしれない。 …と、偉そうに書いたのだけれども、案外その傾向は昔から変わらない気もする。 食べ物のように咀嚼するのでなく、飲み物のように消費しているな、と思ったとき、読むべき一冊なのかもしれない。 ただの現状への批判でなかったところが非常に良かった。

Posted byブクログ

2022/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

SNSは、従来は可視化されていなかった「幼稚な観客」や「思考を止めている観客」を可視化した。 ネットの地獄を見たZ世代は「間違う」ことを極端に恐れる。 ミレニアル世代が未体験に価値を求めるのに対し、Z世代は追体験に価値を求める。そのため、想定外のサプライズなどはストレスに感じ、ネタバレを好むようになる。 他人に干渉せず、批判もダメ出しもしないというのは、他者の尊重ではなく、単に関わり合いを避けることで、理解の努力をしないだけ。

Posted byブクログ

2022/05/15

考察本として面白い。映画は倍速視聴しない派だけど、する人の気持ちは理解できた。し、そのうちするかも。

Posted byブクログ

2022/05/15

衝撃的な内容だったけど、納得できたし、面白い。 全ての映像作品にではないけど、自分も倍速視聴やってしまうことがあるから。Z世代の行動分析には思わずウっとなってしまった… 作者の文章のうまさもすごい…

Posted byブクログ

2022/05/14

感想を書くのが難しい。 それだけ、身近な話題でした。 私は映画やテレビを倍速で見ない人間です。 ですが、友人や妻、娘は倍速で観ている。竹を割ったように「作者の意図に反した視聴なんかただの時間つぶしじゃないか!」といったところで、反発は目に見えています。 それだけの風潮になって...

感想を書くのが難しい。 それだけ、身近な話題でした。 私は映画やテレビを倍速で見ない人間です。 ですが、友人や妻、娘は倍速で観ている。竹を割ったように「作者の意図に反した視聴なんかただの時間つぶしじゃないか!」といったところで、反発は目に見えています。 それだけの風潮になっている倍速というライフスタイルを、この本を書いた稲田豊史さんは多方面から考察してくれました。 多少、倍速反対の姿勢を感じるところはありますが、自分のライフスタイルがある以上、いずれかに偏ってしまうことは目をつむります(むしろ自分の立場に近いので読みやすかったです) この本から学べたとことは何か。 一番は、私たちを取り巻く環境(特に情報に関わること)が変わったことで、映画やテレビというメディアとの向き合い方も偏向されているということです。 私たちの触れる情報量がたった10年前と比べただけでも何倍にも増えている。 その状態で、もしこれまでのように「同級生や友人とドラマの話題で盛り上がる」という目的を達成しようとしたら、何倍も視聴しなければならない。 しかし1日は地球ができて以来24時間しかない・・・・ そうなると、私たちが取り得る選択肢は、「人間関係をへらす」か、「作品を鑑賞するのではなく消費し、取り敢えず観たことにする」となる。 人間関係欠如は私たちの社会的地位、しいては生存を脅かす可能性がある。 だから多くの人は鑑賞する時間を無意識にあきらめ、効率性を求めるようになる。 今40代の私は倍速視聴を嫌厭しています。 ですが、もしも生まれる時代が20年遅れていたら、当たり前のように倍速でYou Tubeを観ていたのではないでしょうか。 ですので個々にその態度を責めるべきものではなく、社会的なこと、情報化社会の副作用とも言える状態だと言えます。 残念に思えるのは、こうした視聴が増えることで、書中にでてくる仮託(かたく:言葉ではなく、時間の間や表情でメッセージを暗に伝えること)を楽しむ機会が減ってしまう可能性があることです。 仮託は作者の暗喩であり、受け手の解釈の余地が入ります。 中学生時代、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を見た時に、 「綾波レイは、どうしてあの時怒ったの?」 と同級生と語り合った時間。 大学時代、映画『ブレードランナー』を観た時に、 「最後のワンシーンで鶴の折り紙が置いてあったけど、あれって・・・ということだよね」 と、サークル仲間と確認した時間。 今後はこうした話ができる人が減っていくのではないかな・・・という寂寥感。 書中でも、こうした「わかりにくい」作品は制作の段階で、「ユーザーの多様性」というお題目を盾に、減らされている風潮があると書かれています。 「わかりやすい」がすなわち「面白い」とは限らない。 しかし、市場では「わからない」作品は売れない。 この二律背反に軽く身悶えしてしまいました。 倍速視聴の是非について、結論が書かれている本ではありません。 私自身が導いた感想は 「それでも私は、今より背伸びして鑑賞する人間でありたい」 ということです。 映画も、本も同じ。 観た(読んだ)数ではなく、流行だけでもなく、自分に必要なものを絞り込む。そして、その向き合い方に重きを置こうと思っています。 恐らくこの本のこの骨子は、 メディア視聴の多様性を尊重するために、私たちを取り巻く環境、事実を提供してくれること。 そして読んだ後に、1人1人のメディアとの向き合い方を考えさせてくれることではないでしょうか? 家庭内で口論する前に、まずは一読をオススメします。

Posted byブクログ

2022/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画をじっくり楽しみたい私は、読み進める毎と悲しくなっていった(笑) 動画配信サービスが増えて観られる映像作品が膨大に増えたことと、LINEなどSNSが常に身近にあること。 その要因によって話題作が増え過ぎたことと、話題作を共有し共感することに強迫観念的な感覚を持つ人が増えた… ということは理解できた! でも、やっぱり解らない。 映像作品を倍速視聴して『消費する』という感覚。 映像作品を『作品』ではなく『話題のコンテンツ』として捉える感覚。 作品に興味がなかったら、「興味ないわ〜!どの辺が面白いの?教えて?」でコミュニケーション取れないの?!と思う私が古い人間なのだろうか。。 倍速で、さらに大幅に飛ばし見してまで話に乗りたいのか… 解らない! どうしたら、皆が自分と同じ感性・考え方を持っていると思えるのか。 それではロボットと同じじゃないか!とツッコミたくなった(笑) さらに驚愕したのは、脚本家の卵までもが『作品を観る人たちは、みんな自分と同じものが好きなはず!』的に考えていること。 恐ろしい!恐ろしすぎる! 私たちが学生だった時代と、現代では社会環境も違う。 それは理解するし、社会状況が厳しいことは気の毒だと思う。 でも、やっぱり倍速や飛ばし見してまで『にわか』(オタクが使う意味で)になりたがる意味が解らない! 本書に書かれている意見が総意だとは思わない。 けど、こんな人が少なからずいるということで。。 我が子が年頃になる時代を見るのが怖くなった(笑) ※追記 『感情を揺さぶられるのがストレス』って、どういうことなんだろうか。 『最初からオチが分からないと、安心して観られない』とは? 言いたくはないけど、語彙力ないので失礼します。 なんか、かわいそうだな…。

Posted byブクログ

2022/05/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画が安くなって供給過多 コンテンツが多すぎて可処分時間の節約 コスパ、タイパが悪いものは不正義 感情を一言一句台詞で説明する 情報はセリフやナレーションで与えられると思い込む とにかく想像したくないので気持ちを説明してほしい 動画のデータは今や返却も必要なしフリーの感覚 ぞんざいに扱っても罪悪感なし DVDなど実物感やサンクスコストがないから消費財扱い わからない人はわからないなりに楽しめて傷つけない懐の深い作品が求められている 企業の持続性が見通せないので、長期の下働き、石の上にも三年の説得力がなく、瞬間的に輝ける志向 オタクに憧れる=スペシャリスト、個性的 倍速視聴しなかったら、面白さより「ああ、こんなに時間を使っちゃった」と落ち込む ミステリーでもネタバレ、追体験の方が満足 未体験より追体験、失敗したり感情のアップダウンをとにかく避けたい Z世代は常に横を見る フィルターバブル なろう系 1990年と比べれば大学生の親からの仕送りが4分の1に。消費増税、物価高を加味すれば実質はさらに低い。親にお金がなく、子どもも少ないリソースをフル活用するしかないから早送りするだけだ。 作品に快適のみを求める。不快なものを見せる相手を排除したくなる。 映画が現代人には長すぎる「面白さより時間を失った後悔」 映画を早送りする人を非難しないで、映画が漫然と2時間なのは怠慢なのかもしれないと考えた。 早送り不要の作品を作ればいい。

Posted byブクログ

2022/05/08

おわりに、に書いてある文をそのまま引用すると 「本書は、「消費」と「鑑賞」の視点を行き来しながら綴るメディア論であり、コミュニケーション論であり、世代論であり、創作論であり、文化論である。」 まさにその通りの本だった。 タイトルからだけでは想像もつかなかった深いところまで連れて行...

おわりに、に書いてある文をそのまま引用すると 「本書は、「消費」と「鑑賞」の視点を行き来しながら綴るメディア論であり、コミュニケーション論であり、世代論であり、創作論であり、文化論である。」 まさにその通りの本だった。 タイトルからだけでは想像もつかなかった深いところまで連れて行かれて、とても面白かった。

Posted byブクログ

2022/05/08

現代のトレンドをわかりやすく整理。若干極端な印象もあるが、少なくともそういう人が一定数増えているのは事実だろう。情報収集と芸術鑑賞の違いというのは分かりやすい概念。個人的には映画は芸術として観たい。

Posted byブクログ