すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集 の商品レビュー
初ルシア・ベルリン。実体験がベースになっていたりするのかな?自伝的要素が下地になっていそうな小説集。作者の力量なんだろうけど、作品の中の世界にぐいぐい引き込まれる。短編だから、あっという間に読み終わって我に返り、その時に自分が作品世界にどっぷり没入してたことにびっくりする。ルシア...
初ルシア・ベルリン。実体験がベースになっていたりするのかな?自伝的要素が下地になっていそうな小説集。作者の力量なんだろうけど、作品の中の世界にぐいぐい引き込まれる。短編だから、あっという間に読み終わって我に返り、その時に自分が作品世界にどっぷり没入してたことにびっくりする。ルシア・ベルリン×岸本佐知子、他の作品も読まねば!
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ルシア・ベルリンの第二集、前作に引き続き凄まじい。前作はユーモラスな作品が多め、本作は暴力ドラッグセックスの退廃的な70年代の描写が目立つ。どの作品も孤独さが張り付くがそれを前提として生きている様に引き込まれる。一編ごとに本を閉じ、息を吐いて天井を眺めた。 "だがそれ...
ルシア・ベルリンの第二集、前作に引き続き凄まじい。前作はユーモラスな作品が多め、本作は暴力ドラッグセックスの退廃的な70年代の描写が目立つ。どの作品も孤独さが張り付くがそれを前提として生きている様に引き込まれる。一編ごとに本を閉じ、息を吐いて天井を眺めた。 "だがそれほどににぎやかに人物たち彩られていながら、彼女の書くものにはつねに孤独がぴったりと張りついている。" "だが作者はそれを寂しいとも悲しいとも書かない。独りであることはすでに人生の前提だとでもいうように。" あとがきからの引用。未だ孤独を受け止め生きられないぼくには刺さるのだ。
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世界はただ続いていく。大事なことなんてこの世に一つもありはしない、本当に意味のある大事なことは。それでもときどきほんの一瞬、こんなふうに天の恵みがおとずれて、やっぱり人生にはすごく意味があるんだと思わされる。
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『掃除婦のための手引書』に収録されなかった19篇の本書を読み終えて思うのは、ルシア・ベルリンの愛情の深さだ。 先に編まれた短編集24篇では、幼少期の性的虐待、アルコール依存症、シングルマザーなどの過酷な人生を歯切れ良く描く文章の見事さに痺れていて、見逃していた要素かもしれない。 ...
『掃除婦のための手引書』に収録されなかった19篇の本書を読み終えて思うのは、ルシア・ベルリンの愛情の深さだ。 先に編まれた短編集24篇では、幼少期の性的虐待、アルコール依存症、シングルマザーなどの過酷な人生を歯切れ良く描く文章の見事さに痺れていて、見逃していた要素かもしれない。 冷徹で突き放すようなな観察者の目で描くこと(それは独り語りで自分自身を描く時でも徹底している)と同時に、描かれる人物の存在を決して否定することなく真っ直ぐに心で触れること。そのどちらもが一つの短編の中で鮮やかに両立して煌めいている。 愛情や友情、親切心は最良の結果を約束している訳ではない。いつだって彼女の視線はクールだ。どの物語も、安易な同情や温かい眼差しが入り込む余地がないくらい研ぎ澄まされ、結末ではすっぱりと断ち切るように放り出される。 それでも愛としか呼びようのない人間臭さが、読了後に心に残る。
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「すべての月、すべての年」作者のことはなにも知らなかったけれど、この本の題名で読むことを決めた。 短編集だけれど、同じ名前の登場人物がいてつながっている話もあるのか?読みながらあれ?と思ってページを戻ったり進んだりしていた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
貧困とアルコール中毒、薬物、性的搾取の中で生活を送る女性を描く短編集。辛さの中に光る生の輝き。「笑ってみせてよ」「502」「ブルーボネット」「ミヒート」が印象に残った。
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カルメンとミヒートが好き けど全部良かった。 海外文学は夜寝る前に読むのが私には丁度いい。 酔ったときみたいにゆらゆらして気持ちいいのでよく眠れる気がする。 翌日になると内容をあまり覚えていないところもお酒に似ている。
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とにかく苦しい内容ばかり。 病気、薬物、強姦、堕胎、貧困。 人生って思い通りにいかないもんなのよ。 それをネバネバした表現ではなく、サラッとすごいスピードで書くこの方はすごい。 でも苦しかった〜。 色んな人物が出てくるのに、記憶に残るほど一人一人が濃ゆい。一瞬しか出ない人物さ...
とにかく苦しい内容ばかり。 病気、薬物、強姦、堕胎、貧困。 人生って思い通りにいかないもんなのよ。 それをネバネバした表現ではなく、サラッとすごいスピードで書くこの方はすごい。 でも苦しかった〜。 色んな人物が出てくるのに、記憶に残るほど一人一人が濃ゆい。一瞬しか出ない人物さえも濃ゆい。 ところどころに繋がりのある人物が出てきたり、同じ人物が出てきたときには何度も、これ短編だったよね?と確認しちゃった。
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「掃除婦のための手引書」が良すぎて、ルシア・ベルリンの書いた話もっと読みたくて着手した短編集「すべての月、すべての年」。 メキシコ、コロラド、カリフォルニア、テキサス、アメリカ大陸南部の土地をメインの舞台に生きる看護師、家政婦、教師、母親、ジャンキー、アルコール中毒患者の話たち...
「掃除婦のための手引書」が良すぎて、ルシア・ベルリンの書いた話もっと読みたくて着手した短編集「すべての月、すべての年」。 メキシコ、コロラド、カリフォルニア、テキサス、アメリカ大陸南部の土地をメインの舞台に生きる看護師、家政婦、教師、母親、ジャンキー、アルコール中毒患者の話たち。 どの話も一貫してとにかく悲惨。もっと悲惨なのは描かれてる人たちがどれだけ悲惨で孤独な状況にいるのかいまいちわかっていないところ。 ひどい環境、ひどい境遇で生きる女性たち(ときどき男性も)のエピソードに一瞬他者の手が差し伸べられる兆しが描写されたりするけど、救われた気持ちになるのはただの錯覚で実際は何一つ解決していない。でも何だか可哀想って言葉だけでは片付けられない不思議な短編集。 警察に捕まった人たちも、アルコール中毒でデトックス(禁酒施設)にぶち込まれた人たちも、何もわからないまま身寄りもなく妊娠しちゃった女の人も、ほとんど迷いなく本能的にその日を生きる選択をしているのがすごく人間らしくて、不謹慎なのかもしれないけど強くて素敵だと思ってしまう。 ルシア・ベルリンはもちろん小説家なんだけど、彼女の作品集がもしミュージシャンのアルバムなんだとしたら、捨て曲なし。こんなに生きる強さを描いた短編たちを書ける人なかなかいないと思う。
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ルシア・ベルリンの著作は印象的な登場人物が多い。 世間的にはダメ人間、ロクデナシと言われるような人物たちや、困窮して生活が苦しくても必死に生きる人々。そんな人物たちの一面ではない多面性を丁寧に見据えながら、悲喜を描く。 作品の多くは苦しさや辛さを描いていながらも、暗くなりすぎな...
ルシア・ベルリンの著作は印象的な登場人物が多い。 世間的にはダメ人間、ロクデナシと言われるような人物たちや、困窮して生活が苦しくても必死に生きる人々。そんな人物たちの一面ではない多面性を丁寧に見据えながら、悲喜を描く。 作品の多くは苦しさや辛さを描いていながらも、暗くなりすぎない。 距離を置いてはいるが、突き放してはいない。人物への優しい視点がある。 そこにこの作家が信頼出来る所以がある。 前作の短編集も良かったが、今作も間違いない傑作。
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