女人入眼 の商品レビュー
頼朝と政子が大姫を入台させようとしていた。 一方、六条も鎌倉と結ぶべく女房の衛門の周子を鎌倉に派遣し、大姫の入台を助けようとしていた。 周子は大姫に会おうとするが、うまくいかず、理由を探るために様々な人と会う。 そこで見えてきたことは北条と比企の争いと政子に苦しめられ、身動...
頼朝と政子が大姫を入台させようとしていた。 一方、六条も鎌倉と結ぶべく女房の衛門の周子を鎌倉に派遣し、大姫の入台を助けようとしていた。 周子は大姫に会おうとするが、うまくいかず、理由を探るために様々な人と会う。 そこで見えてきたことは北条と比企の争いと政子に苦しめられ、身動きが取れなくなってしまっていた大姫の現状であった。 NHKの鎌倉殿とまた違った解釈の政子の北条への想いの強さと強引さを目の当たりにした。 大姫が入水自殺し、周子の役目が終わる。 最後は政子と周子の対話で、東大寺の女人入眼になぞらえて、政子という尼将軍が君臨する世を表す。
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周子が語り手となり、筋を引っ張って行くにはいささか影が薄すぎる。 NHKの大河ドラマは全く見ていないのであまたのレヴュ―とはニュアンスの異なる印象を受けたことは否めない。 端々に色彩を伴う「日本的、中世浪漫」の情感が溢れていることはいい読後となった。 作品の骨となった「頼朝の長...
周子が語り手となり、筋を引っ張って行くにはいささか影が薄すぎる。 NHKの大河ドラマは全く見ていないのであまたのレヴュ―とはニュアンスの異なる印象を受けたことは否めない。 端々に色彩を伴う「日本的、中世浪漫」の情感が溢れていることはいい読後となった。 作品の骨となった「頼朝の長女 大姫と生母である北条政子」のいかんともしがたいすれ違う心。 それは大姫が5歳の時に出会いがあった木曽義仲の長男 義高との別れ、さらにそこに秘められた頼朝の打算が黒く働いている。 気鬱と称しての奇矯な行動は今でいえば双極性障害?或いは不安神経症?何れにせよ過度に神経を病んだ女性特有の症状。 これまた打算的に京から送られた「大姫入内に際するマネージャー?」的うら若き周子にはかなり心的負担がハードな任務 京と鎌倉の地理的のみならず精神構造、裏面に動く計算の異なり・・裏で対することになる政子VSだ丹後局。 後者は何と言っても「女を武器に政争の碁石」たらんとする女という事もあり、政子の方が遥かにどす黒さしたたかさは軍配が上がる。 広元の娘という由緒正しい周子ですら歪んだ恨みで襲われもしたこの時代。 直木賞ゲットにはいささか温度の低さが散見する。 何かあるな・・と思わせる海野と周子の出会いは最後でハッピーエンドに結び、コミック調にしたのは~ま、いいか。
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木挽町町のあだうち文庫化待ち、図書館にある永井さん全部読みます、8作目 こちらも直木賞候補になった作品 鎌倉の武士社会として描きながら、その中で生きていた女性たちを 京の六条院から派遣された女房周子の視点から 鎌倉殿の13人を見ながら読んでいたらさぞおもしろかったでしょうと思い...
木挽町町のあだうち文庫化待ち、図書館にある永井さん全部読みます、8作目 こちらも直木賞候補になった作品 鎌倉の武士社会として描きながら、その中で生きていた女性たちを 京の六条院から派遣された女房周子の視点から 鎌倉殿の13人を見ながら読んでいたらさぞおもしろかったでしょうと思います が、残念ながら見ていないんですね 頼朝の妻政子は、娘大姫を帝の后として入内させたいと強く望んでいた そこに娘の最高の幸福を信じるからだ 周子は、大姫の入内準備のため派遣されてきていたのだが、大姫が入内を望んでいないのだ だから教育は捗らない 幼い頃 許嫁だった木曽義高を殺されて以来 大姫は気鬱とされて自分の気持ちも口に出さない 周子は、頑なな大姫の気持ちを解いていく そしてその本心を聞いた時 彼女の願いを叶えたいと思う その気持ちは、政子には届かない パワフルで過保護な母親、政子 鎌倉殿達の政略的な入内画策とは違う 母親としての愛情だったのだと思う そして、母娘の物語で終わらず、その後の承久の乱からの武士社会での政子の役割 娘を亡くし頼朝を喪いながら 女人入眼としたところは 永井さんほんとうに歴史が好きなんだろうなあと思った
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鎌倉時代初期、朝廷と幕府の縁を繋ぐため、頼朝の長女、大姫を入内させるべく御所から遣わされた、周子が主人公。 御所と鎌倉の雰囲気、考え方、政子のえもいわせぬ圧力に圧倒されながらも、自分の御所での出世を頭によぎらせながら大姫やその侍女たちと過ごす。大姫の抱える闇と向き合い、心の奥...
鎌倉時代初期、朝廷と幕府の縁を繋ぐため、頼朝の長女、大姫を入内させるべく御所から遣わされた、周子が主人公。 御所と鎌倉の雰囲気、考え方、政子のえもいわせぬ圧力に圧倒されながらも、自分の御所での出世を頭によぎらせながら大姫やその侍女たちと過ごす。大姫の抱える闇と向き合い、心の奥底にある思いを知ることで、周子自身にも、新たな気づきが生まれる。大姫は無事に入内できるのか!? 大河ドラマの鎌倉殿を見ていたのでとても背景や文脈が入ってきやすかったです。北条政子の怖さが良く分かる物語りでした。
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読み始めた当初は進まずだったが、舞台が鎌倉に移ってからが早かった。鎌倉殿の13人を思い出しながら、鎌倉の大姫と義高をめぐり、あまりスポットがあたらない周子と海野幸氏目線の鎌倉をみる。 御台所政子の描写に圧倒される。 都で囲碁を打っていたら、鎌倉から蹴鞠が飛んできて、碁盤ごと倒す。...
読み始めた当初は進まずだったが、舞台が鎌倉に移ってからが早かった。鎌倉殿の13人を思い出しながら、鎌倉の大姫と義高をめぐり、あまりスポットがあたらない周子と海野幸氏目線の鎌倉をみる。 御台所政子の描写に圧倒される。 都で囲碁を打っていたら、鎌倉から蹴鞠が飛んできて、碁盤ごと倒す。碁盤での勝敗最早意味をなさない、なるほど。
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平家滅亡後、京では後白河院の亡き後も力を持つ丹後局は後鳥羽帝の跡目争いの布石として、鎌倉殿の娘大姫の入内を目論む。命を受け周子は鎌倉へと向かう。北条政子の異常にも思える娘への愛。そして様々な人達の思惑が入り乱れる中、周子は大姫の心に深く入りこんでいく。
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2024年3月21日読了。いわゆる「大姫入内」、鎌倉に派遣され源頼朝・政子の娘・大姫の帝との婚姻を進めるミッションを担った大江広元の娘・周子。彼女が出会う政治の闇と母娘の哀しさ。『鎌倉殿の十三人』で予備知識があると人物・時代背景がわかる上に北条家・比企家の確執など大河ドラマ以上に...
2024年3月21日読了。いわゆる「大姫入内」、鎌倉に派遣され源頼朝・政子の娘・大姫の帝との婚姻を進めるミッションを担った大江広元の娘・周子。彼女が出会う政治の闇と母娘の哀しさ。『鎌倉殿の十三人』で予備知識があると人物・時代背景がわかる上に北条家・比企家の確執など大河ドラマ以上に深く読み込める部分もあり面白かった。冒頭の「女人入眼」の話、女官桂が周子に問うた一言、終盤の碁盤のエピソードなど印象に残るとてもいいシーンもいろいろあるが、主人公周子はいかんせん鎌倉で大姫にべったり付いているだけなので、多くの事件を伝聞で知ったり人から聞いたりで、主人公がドラマを引っ張っていくという感じが薄いのが不満と言えば不満。まあ「世の無常」みたいなことがテーマなので、主人公がスーパーヒーローではいかんわけだが…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鎌倉時代、大姫入内を巡る話。「鎌倉殿の13人」が好きだったので大まかな人間関係もイメージしやすく、すんなり物語に入れた。 大姫の心の内が少しずつ見えるにつれて、物語が一気に動き出す。 母子関係は難しい。ここで描かれている大姫と政子の関係は現代でも通じるところがある。難しいというか、健全でない母子関係が招く悲劇。政治的要素が絡むとは言え。 桂の「救いの光を見せずにいて下さればよかった。」の一言が心に重たく響く。でも、大姫の心が動いたことはとても大切なことで、彼女が生きた証になったと思う。
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4.0 面白かった。昨年の大河ドラマを思い出しながら読むと面白さ倍増。大河の政子は相当優しく描かれていたことが良く判った。大江広元は大河のイメージの通りかな。この作者、もっと読みたい。
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大姫を入内させるべく教育する周子。会話すらできずにいたが大姫のことを知るにつれて親子の確執や大姫の心の繊細さが入内を難しくさせていることに気づくが、何もできないまま大姫を失う。 優しすぎるのも生きていく足かせになるんだなぁと思う。が政子相手では従うしかないのかも知れない
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