スタッフロール の商品レビュー
1960年代、特殊造形の世界で奮起し、突然姿を消したマチルダ。 彼女は映画終わりのスタッフロールに自分の名前が載ることを切望していた。 男社会の特殊造形で奮起するが、CGの台頭にショックを受け、業界から去る。 話は現代に戻り、CGを手がけるヴィブがマチルダの手がけたXをCG...
1960年代、特殊造形の世界で奮起し、突然姿を消したマチルダ。 彼女は映画終わりのスタッフロールに自分の名前が載ることを切望していた。 男社会の特殊造形で奮起するが、CGの台頭にショックを受け、業界から去る。 話は現代に戻り、CGを手がけるヴィブがマチルダの手がけたXをCG化することになる。 過去から現代にマチルダの功績を讃えるため、スタッフロールに載せるかの攻防。 色々伏線があるのだろうが、過去と現代に渡って自己肯定感の低い女たちの話という感じに見えた。
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前編後編共に、惨めで卑屈な感情が渦巻いていてかなりきつかった。Xの生みの親をクレジットするかだけでここまで引っ張り、社長の妄想と破天荒老婆のせいで現場は大荒れ…素人ながら大きな仕事が絡んでるのにもう情報管理とか現場統制どうなってんのと呆れる。普通にマチルダに意向を聞ける人がいたはずだけど…。 とはいえ才能ある人がどうしても他人と比べて自分の仕事に自信が持てずに自爆しかけては持ち直す、というようなことは見たことがあって、二人の主人公は応援したい気持ちで最後まで読めた。
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難しくてよく分からないところも多く、特に後半の中盤はなかなか進みませんでしたが、終盤はいっきに読まされ、さすが深緑さんでした。「名前を残したいと憤っていた時期もあった。でももう、またか、と失望したくない」…分かります。私も同じでした。既に人生のそのような時期は過ぎてしまいましたが...
難しくてよく分からないところも多く、特に後半の中盤はなかなか進みませんでしたが、終盤はいっきに読まされ、さすが深緑さんでした。「名前を残したいと憤っていた時期もあった。でももう、またか、と失望したくない」…分かります。私も同じでした。既に人生のそのような時期は過ぎてしまいましたが、春の今頃は少しだけ心が揺れます。
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映画好きな自分としてはかなり気になっていた深緑さんの作品。女性の特殊造形師として黎明期から映像に携わってきた女性、マチルダとCG全盛の現代で葛藤する女性、ヴィヴィの邂逅の物語。深緑さんの丁寧で安定した取材力とそれを余すことなく活かす筆力はお見事。2人の女性主人公含めキャラの使い分...
映画好きな自分としてはかなり気になっていた深緑さんの作品。女性の特殊造形師として黎明期から映像に携わってきた女性、マチルダとCG全盛の現代で葛藤する女性、ヴィヴィの邂逅の物語。深緑さんの丁寧で安定した取材力とそれを余すことなく活かす筆力はお見事。2人の女性主人公含めキャラの使い分けも上手く淡々とした展開でも飽きずに読める。ちょっと残念なのは展開がよめやすすぎるかな、ということくらい。後、終盤のキーになるキャラの繋がりが出て来るのを見逃していた自分にげんなり。人間賛歌という文言がピッタリな作品だ。
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うーん 主人公が変わったところから、彼女がメンタルの調子を崩すほどの悩みに入り込めずに後半はちょっと残念な感じ
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映画、特にファンタジーやホラー、アクションその他 造形やCGの関わる映画は、 ほとんど見ません。 それでも、この小説は面白かったです。
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確かに今どきのCGだらけの映画は想像したものを余すことなく映像化するという意味ではいいんだろうけれど、そしてとても素晴らしい世界が広がっているとは思うけれど、私は一昔前の手作り感が残る映画の方がなんとなく好きなんだよなあ・・・
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前半はそれなりに面白く、途中で場面が変わりなんだか前半の消化できなかった部分を抱えながら読んでいくと最後に話が繋がっていく。アメリカの映画の造形師とVFXの歴史に興味が無ければ全く面白く感じないかもしれないが、私は後半の話がつながっていく所からがぜん面白かった。
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特撮映画好きの俺にはもうたまらん1冊、ディズニーの「不思議の国のアリス」から「スパイダーバース」まで実在の映画と実在の映画関係者がもりだくさん出てくることでリアルさもバッチリ。 これがヘタな小説家だと現実側に気圧されてスカスカな小説になりがちなんだが、そこは深緑野分、きっちり小説世界にのめりこませていただけます。 面白い映画、面白い特撮ならアナログな造形特撮もCGもいいもんだ、と俺たち観客側はおもいっきり楽しめばいい。ただ製作者側には特殊造形なら特殊造形の、CGならCGのこだわりがあるのは当然。自分の技術に全霊を込めるからこその葛藤と映画愛、もどかしいけど素晴らしい。 映画と特撮への愛がメインテーマなので惚れた腫れたは最低限って振り切りっぷりもいい。 そして何より、世界でもイチニを争う原始的な「紙に文字を書く」というアナクロ表現でこのテーマを小説にした作者のすごさ。 アナログでもデジタルでもオワコンなどない。良い作品か楽しいか感動できるか…それがエンターテイメントなんだと!
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