スタッフロール の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
特撮映画好きの俺にはもうたまらん1冊、ディズニーの「不思議の国のアリス」から「スパイダーバース」まで実在の映画と実在の映画関係者がもりだくさん出てくることでリアルさもバッチリ。 これがヘタな小説家だと現実側に気圧されてスカスカな小説になりがちなんだが、そこは深緑野分、きっちり小説世界にのめりこませていただけます。 面白い映画、面白い特撮ならアナログな造形特撮もCGもいいもんだ、と俺たち観客側はおもいっきり楽しめばいい。ただ製作者側には特殊造形なら特殊造形の、CGならCGのこだわりがあるのは当然。自分の技術に全霊を込めるからこその葛藤と映画愛、もどかしいけど素晴らしい。 映画と特撮への愛がメインテーマなので惚れた腫れたは最低限って振り切りっぷりもいい。 そして何より、世界でもイチニを争う原始的な「紙に文字を書く」というアナクロ表現でこのテーマを小説にした作者のすごさ。 アナログでもデジタルでもオワコンなどない。良い作品か楽しいか感動できるか…それがエンターテイメントなんだと!
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時代を超えて2人の女性クリエイターの想いが重なるラストはとてもよかったが、アニメ作りの専門的なところなど、読みにくいところもあった。確かにアニメやCG映画のエンドロールにはものすごく沢山の名前があるので、それらの作品の裏にはクリエイター達の苦悩や苦労があるんだなと改めて考えさせら...
時代を超えて2人の女性クリエイターの想いが重なるラストはとてもよかったが、アニメ作りの専門的なところなど、読みにくいところもあった。確かにアニメやCG映画のエンドロールにはものすごく沢山の名前があるので、それらの作品の裏にはクリエイター達の苦悩や苦労があるんだなと改めて考えさせられた。
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全470頁。それぞれが長編と言っても良さそうな2部構成の作品です。 1986年以前を描く前編は映画の特殊造形師を、2017年以降を描いた後編は3DCGのアニメーター(動きをつける人)の二人の女性が主人公。どちらもかなりの能力を持っているものの自信がなく、制作陣の一員です。そうした...
全470頁。それぞれが長編と言っても良さそうな2部構成の作品です。 1986年以前を描く前編は映画の特殊造形師を、2017年以降を描いた後編は3DCGのアニメーター(動きをつける人)の二人の女性が主人公。どちらもかなりの能力を持っているものの自信がなく、制作陣の一員です。そうした現場でもがく主人公達の視点から垣間見られる映画製造の世界や、過去の名作/名監督の評価はなかなか面白く。後半に出てくるミステリー要素は、なかなか良いキャラが引っ掻き回して期待したのですが、竜頭蛇尾というか大山鳴動して鼠一匹の感があります。 特に後半ですが、仲間内のやり取りを専門用語で説明している所が沢山あって、読み飛ばすしかなく、それが冗長感につながっているように思います。例えば主人公の傍に業界外部の人を配置し、そこに説明する形でも取ればもう少し読みやすかったのかな~と思います。とはいえ、なかなか読み応えのある作品でした。さらに映画好きなら堪らない作品でしょうね。
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0を1にする人はすごい。仕事ならなおさら。 女性が映画業界で働くのが難しい時代に食らいついて弟子になり地道に努力を積み重ねていくマチルダ。 自分の中に作りたい作品があり表現できるまで技術を磨く。しかし、CGという新たな壁が。 CGを作るヴィヴも技術を高めるため努力を惜しまない。 ...
0を1にする人はすごい。仕事ならなおさら。 女性が映画業界で働くのが難しい時代に食らいついて弟子になり地道に努力を積み重ねていくマチルダ。 自分の中に作りたい作品があり表現できるまで技術を磨く。しかし、CGという新たな壁が。 CGを作るヴィヴも技術を高めるため努力を惜しまない。 アナログとデジタルどちらがいいとかではない。どちらにも裏で作っている人間がすごいのだと思わせてくれる作品でした。
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特殊効果を思考錯誤しながら開発していた時代からCGへ。アナログからデジタルへと発展していった映画の世界を舞台に80年代の特殊造形師のマチルダとその30年後のCGアニメーター、ヴィヴィアンの活躍がそれぞれ描かれる。現実の映画や監督達の名が次々挙がっていて嬉しい。幼い頃に見た黒い犬の...
特殊効果を思考錯誤しながら開発していた時代からCGへ。アナログからデジタルへと発展していった映画の世界を舞台に80年代の特殊造形師のマチルダとその30年後のCGアニメーター、ヴィヴィアンの活躍がそれぞれ描かれる。現実の映画や監督達の名が次々挙がっていて嬉しい。幼い頃に見た黒い犬の怪物に魅せられ、女だてらにハリウッドでの特殊造形師の道に進んだマチルダ。アニメーターとして天性の目を持ち、ロンドンのスタジオで仲間達と日々充実した日々を送るヴィヴ。二人が生き生きと描かれているので腕は評価されているのに個人名が出ない悔しさや、高評価に萎縮したりといった苦悩、新しい技術に慄いたり、新しい技術が世間に貶されたりといった感情のうねりが真に迫ってくる。マチルダ章が時代とはいえ色々じめじめしていたのでヴィヴ章になり二人が怪物“X”が橋渡しとなって交錯していく展開のスピード感や、素敵なラストはとても心地良かった。
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映画のCGがもたらしたものとは。 特殊造形師のマチルダはCGにより、映画が変わる事を直感し、映画界を去った。 CGクリエイターのヴィヴは、マチルダを尊敬していた。それゆえにマチルダがCGを嫌っていた事実に打ちのめされる。 3人の女性はそれぞれ映画にどう関わっていたのか、が違うの...
映画のCGがもたらしたものとは。 特殊造形師のマチルダはCGにより、映画が変わる事を直感し、映画界を去った。 CGクリエイターのヴィヴは、マチルダを尊敬していた。それゆえにマチルダがCGを嫌っていた事実に打ちのめされる。 3人の女性はそれぞれ映画にどう関わっていたのか、が違うのだが、スタッフロールに名前が載ることの意義を理解していたのは、やはり女性だからだと思う。 SF映画好きにはたまらないと思う。
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戦後ハリウッドで奮闘した特殊造形師と現代CGアニメーターの話。 フィクションではあるものの、実存する作品や人物の話も混ぜながら映画製界を描写する所が映画好きとしては楽しい。随所に映画愛が感じられる小説で、製作者側でもなんでもないのにいちいち泣きそうになった。 派手な展開はあま...
戦後ハリウッドで奮闘した特殊造形師と現代CGアニメーターの話。 フィクションではあるものの、実存する作品や人物の話も混ぜながら映画製界を描写する所が映画好きとしては楽しい。随所に映画愛が感じられる小説で、製作者側でもなんでもないのにいちいち泣きそうになった。 派手な展開はあまりないけれど、静かに染み渡るようなラストは見事。
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昔から好きなSF系の映画の話題が出てきたり、モチーフになっている監督を思い浮かべたりすることができ、ワクワクしながら読めたというのが読後の第一印象です。 物語は映画づくりをテーマにして、自分が何のために仕事をしているのかということと、形(技術)が変わっても引き継がれていく想いが...
昔から好きなSF系の映画の話題が出てきたり、モチーフになっている監督を思い浮かべたりすることができ、ワクワクしながら読めたというのが読後の第一印象です。 物語は映画づくりをテーマにして、自分が何のために仕事をしているのかということと、形(技術)が変わっても引き継がれていく想いが描かれていると感じました。 映画自体にあまり関心がないと出てくる内容についていけない場面はあるかも知れませんが、私自身は楽しく読めたので⭐︎5にしました。
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アナログからデジタルへ移行した映画の過渡期の物語。 専門用語が多くて入り込めないところもあったけど、懐かしい映画のタイトルや人物名でしみじみ。 読んでる時は着地点はどこ?と心配しながら読み進めていたけど、色々繋がってまあるくキレイに着地した!
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マチルダとヴィヴィアン、時代を隔てた2人のクリエイターの物語。マチルダパートは第二次世界大戦後からベトナム戦争という大きな時代の流れも組み込まれ、映画業界も目まぐるしく発展していく中でのストーリーに心掴まれるものがあった。ヴィヴィアンパートは現代の映像業界のテクニカルな部分の説明...
マチルダとヴィヴィアン、時代を隔てた2人のクリエイターの物語。マチルダパートは第二次世界大戦後からベトナム戦争という大きな時代の流れも組み込まれ、映画業界も目まぐるしく発展していく中でのストーリーに心掴まれるものがあった。ヴィヴィアンパートは現代の映像業界のテクニカルな部分の説明が多く難解な専門用語に読み進むのに難儀したところはある。でも知ってる映画のキャラがたくさん出てきたのでそこは興味深かった。 調べに調べたであろう業界の技術的な部分、スタッフ達の想いや心理を汲み取り深い考察で書かれた本書は内容以上の重みを感じた。作者には感服する。 ポサダ監督はギレルモ・デル・トロ監督をイメージしたのかな。
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