人でなしの櫻 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
桜の美しさは、散るその時に花びらにある。すでにそれは生きてはいない。けれど死んでもいない。 生と死の間の、その一瞬。 だから、桜の散る下にいるとき、息ができないほど苦しくなるのだろう。 長谷川久蔵の桜図に焦がれる一人の男の、狂気。彼が焦がれ描きたいと、切り取りたいと願ったのは、桜の命の果てる瞬間。 母を亡くし、妻も、生まれ来るはずの娘も無くした日本画家清秀。断絶していた父親が遺したのは、11年間監禁してきた少女蓮子。 殺したいほど憎んできた父親が、執着し続けた少女。彼がこだわるのは父への復讐か、それとも自分が犯した罪への償いか。 少女監禁という、娘を持つ母親としては、どうしても許せない罪が描かれているのに、なぜこんなにも惹かれてしまうのだろう。 そこに芸術性があるからか、父と息子という神話的題材だからか。いや、そんなきれいごとでは言い表せない。ここにあるのは吐き気を伴う罪。無垢な少女の11年間を奪い凌辱し飼いならした汚らわしい罪。 なのに、その絵を見たいと思ってしまう。生臭い血を感じるその色を、命の果てる瞬間の美を、見せて欲しいと、どうしても心が求めてしまうのだ。
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『人でなしの櫻』感想 すごい感動したこんなにも心震えた作品はないですまるで江戸川乱歩の耽美的作品のようだ清秀の描いた絵をこの目で見たくなってしまいましたあなたも読んで感動して下さい興奮して下さい涙して下さい #人でなしの櫻 #遠田潤子
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