早期退職時代のサバイバル術 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
申し訳ないのですが期待外れであったと思います。 本書の方向性としては、壮年でこれから「お荷物」になる労働者と、それを抱える会社と、二者へのメッセージであると思います。 ただ、前者の労働者に対する見方が、どうにもステレオタイプで、どのようにデータを集めたのか疑問に感じ、一回疑問に思うと何だか胡散臭く感じられてしまい、ずーっとモヤモヤしたまま読了してしまいました。 ・・・ 「妖精さん」「Windows2000」(窓際で仕事をしないのに年収2000万)などから始まり、会社にしか居場所が無くて家に帰らないおじさん。家に帰らない人は想像できますが、あからさまに仕事をサボり外出したり、2000万も貰い窓際ってのは本当に居るのか、と疑問に思ってしまいました。 もちろんこれは私が海外にいることも起因しているのだとは思います。 で、一度冷静になり考え直しました。 所謂「勝ち組」みたいな人(「上がり」の人も)はこういう本は読まないでしょう。むしろ、壮年というだけで一括りにされてしまう、けっして「勝ち組」とも言えない真面目なおじさん・おばさんがサバイバルするには、ということで本書が書かれていることと推察しました。 ・・・ で、その割に(といってはなんですが)、裏表紙にもある後悔しない転職10のポイント、これは結構当たり前かな、と。 曰く、 ・転職活動は「うまくいかなくて当たり前」の心構えで ・「孤独」に転職しないこと ・マネープランは「ライフプラン」と合わせて考える ・「肩書」「名刺」を求め過ぎない ・転職先の情報収集は多角的に ・「即戦力」を目指さない ・転職先では、経験や知識のアップデートを ・「出羽守」にならない ・「前の会社」とつながり続ける 即戦力を目指さない、という項目はちょっと異質で、むしろ過去の成功を捨てて一から価値観をその会社に合わせられるか、ということで上記の表記になった模様。これを一言英語でunlearn(学習棄却という訳をあてていました)と表現していました。 ありていに言えば、素直で柔軟な人はうまく転職できる、ということなのでしょうね。 ・・・ 他方で、日本の人事制度についてはかなり詳しく書いてあり参考になりました。 同一組織内での競争を「校内マラソン」と称し、その中だけでニンジンをぶら下げて競争をさせた結果、出世が望めなくなり役職定年等になったあと、モチベ減退をおこしてすっかり働かなくなるという仕組みだそうです。 また、JV(Job Description)で縛るのではなく、良く分からない職能というものでランク付けするなどは特徴的だと思います。この職能は、年功を一部正当化するための制度であると解しましたが、要するにどうとでも判断できるようになっている、曖昧な部分・余白の多い制度なのだと思います。 おそらく現在の人事制度は緩やかに、人口のボリュームゾーンの現象とともに変化してゆくのでしょうね。 ・・・ ということでおじさんと日本の人事制度の本でした。 50代のおっさんとして応援して欲しいとの思いで読みましたが、わたくし的にはイマイチピンときませんでした。
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タイトルから早期退職後の人生の成功術的なことが書かれているのかと想像して読み始めました。 そういった内容もありつつ、働かないオジさんと呼ばれる中高年が日本に生まれた歴史にも触れていて、そこには日本の会社形態や住宅形態にまで話が広がり研究論文的にも興味深く読めました。 ちなみに中...
タイトルから早期退職後の人生の成功術的なことが書かれているのかと想像して読み始めました。 そういった内容もありつつ、働かないオジさんと呼ばれる中高年が日本に生まれた歴史にも触れていて、そこには日本の会社形態や住宅形態にまで話が広がり研究論文的にも興味深く読めました。 ちなみに中高年の4無い問題とは、 ❶働かない、パフォーマンスと賃金のギャップ ❷帰らない、サードプレイスがないオジさん ❸話さない、他者との対話や交流が少ない(自己開示) ❹変われない、変化適応力 ポジティブな影響を及ぼす心理的状態を個人の資産のようなものとして捉える「心理的資本」というコンセプト。 変化適応力こそ中高年が持つべき心理的資本である。
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人事・組織について考えている人・「社会課題」としての中高年問題に関心のある人向けの要素が多め。 「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」という男性中高年の「四ない」問題について、歴史的背景から解説している。 これからの時代の会社経営や採用、教育研修を考えるにあたり勉強に...
人事・組織について考えている人・「社会課題」としての中高年問題に関心のある人向けの要素が多め。 「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」という男性中高年の「四ない」問題について、歴史的背景から解説している。 これからの時代の会社経営や採用、教育研修を考えるにあたり勉強になった。 中高年問題を考えるにあたり、多くの人が心理還元主義に陥っているという話はドキッとしてしまった。 中高年向けのキャリアデザイン研修なども増えているが、「モチベーションが低いから…」といった考えが「本人に刺激を与える」といった表面的な啓発でとどまってしまい、仕組みが追い付いていないのが日本企業の課題である。 (社会学では社会の「心理学化」と呼ばれ、ヨガや瞑想の流行、自己分析の一般化など、様々な問題に対して「個人」の「心」を通じてアプローチしていく発想は、既にありふれたものになっている) キャリアの考え方については、フランスなどのラテンモデルだと、飛び級システムで優秀な新人でも管理職として採用するし、良いポジションがもらえないなら入らない。一方で日本企業のキャリアの歩み方が校内マラソンで、よーいドンで一斉スタートし、平和主義・競争主義で長い長い昇進レースをしていく。会社事情で異動もするからキャリア計画もろくにできず、昇進だけをモチベーションとして走り続けている。 アメリカドイツは出世の見込みがない人が5割になるのが10年前後、日本は22年でとても遅い。 これを踏まえて出世意欲の「出世したいと思わない」が「出世したい」が上回るタイミングが42.5歳、またキャリアの終わりを意識するのが45歳くらいというデータを見ると、昇進以外のモチベーションの代わりになるものがないまま走り続けて、出世意欲がなくなると引退モードが見えてくるというのも納得できる。 先進各国の中で最低クラスの学習習慣のなさが、中高年の「変わらなさ」の背景にあり、APAC就業者の学習状況のデータでは、勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に行ってない」が46.3%。次に多いのはオーストラリアとニュージーランドだが22%程度で大きな差がある。 キャリアについて計画ができない校内マラソン型人事なので、配属された後に覚えた方が合理的と考えることと、長時間労働の文化が根付いていることが背景と考えられる。 社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の分厚さが人生の幸福感や満足感に繋がるという話はよく聞くが、年齢と交友関係の幅の分析で男性の方が年を重ねると他社との交流が急減し、女性は寧ろ50代でまた増えている。 忙しい仕事を引退した後の妻との時間を楽しみにしている夫に対し、日々ママ友や地域交流を通じて社会関係資本を蓄積してきた妻、という比較が悲しくもその通りだなと感じた。 目標達成の志向性・新しいことへの挑戦や学びへの意欲・興味の柔軟性の3点が変化適応力の促進心理であり、これらは組織と雇用のあり方によって変えられる。
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主に中高年のホワイトカラー男性に向けた本。転職を考えるに当たっての心構えなどもあるが、大半は日本の人事制度の現状を解説している。 その日本的人事制度の結果として「働かないおじさん」が量産されているという一般的な見方について、否定も肯定もし、この「働かないおじさん」の話題を軸に制...
主に中高年のホワイトカラー男性に向けた本。転職を考えるに当たっての心構えなどもあるが、大半は日本の人事制度の現状を解説している。 その日本的人事制度の結果として「働かないおじさん」が量産されているという一般的な見方について、否定も肯定もし、この「働かないおじさん」の話題を軸に制度の分析がされている。 筆者本人が冒頭で述べているように、本書は転職のハウツー物ではない。働かないおじさんや「中高年はITスキルが弱い」などの見方は「そういう人もいる」というだけで、ステレオタイプのものの見方では本質を見失う。そして普段から職場以外にも交流を持ちましょう、という本だった。
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中高年には切実な問題ですね。 確かに若い頃とは、いろんな事が変わってきました。 働かないおじさんの問題もあるけど、日本の雇用形態にも大きな欠陥があると思う。
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校内マラソン型人事において、日本では40代前半で限界が見えてくるため、代替モチベーションが存在しないがゆえに働かないおじさんを生み出される、ということを説明している。(米国などでは30代前半でラットレースにある程度見えてくるため、代替モチベーションを見つけやすい?) また雇用環境...
校内マラソン型人事において、日本では40代前半で限界が見えてくるため、代替モチベーションが存在しないがゆえに働かないおじさんを生み出される、ということを説明している。(米国などでは30代前半でラットレースにある程度見えてくるため、代替モチベーションを見つけやすい?) また雇用環境では、年功序列雇用ではなく、昨今はジョブ型雇用のトレンドがあり、年功による賃金カーブの平準化が進んでいる。 そのような環境下において、1970年代生まれ前後のミドルは厳しい現実を突きつけられる可能性が高そうということである。就職氷河期に社会に出て、ミドル時代ではジョブ型雇用として年功序列制度にメリットを享受できる割合も少なく、早期退職募集を受ける可能性が高い、一方で受給年金の後ろ倒しが行われていき、健康であれば75歳前後までは働く必要がある。そこで本書に書かれているようなサバイバル術として、備えておくことが大事ということがよく分かった。
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『早期退職時代のサバイバル術』 大人が学んでないよなと常々感じる中で手に取った本。なるほどなと思ったのは、大学も含めて職場内の経験学習が社会人の学びのメインストリームなので、大人(日本人)は学んでいないのではなく、「学びが職場に偏っている」のだということ。 職場環境を通じての学...
『早期退職時代のサバイバル術』 大人が学んでないよなと常々感じる中で手に取った本。なるほどなと思ったのは、大学も含めて職場内の経験学習が社会人の学びのメインストリームなので、大人(日本人)は学んでいないのではなく、「学びが職場に偏っている」のだということ。 職場環境を通じての学びだけでは自立的にキャリアを作っていくことはできない。 リスキリングや会社の外での学び、キャリア自立ができないことは個人の問題よりも構造の問題。 既存の「勝負のルール」に目を向けることで、大人の学びやキャリアの歩み方は変わっていくのかなと思う。 #読了 #君羅文庫
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「個別の施策の切り貼り状態で、その全体像をデザインする発想が欠けていることも多くあります」 「キャリア自律アプローチの最大の問題点は、実行的な制度上の工夫もこらさず、きちんとした予算もつけない、ただの呼びかけが多い」 同意します。 が、社員側が利口になり、会社の制度をうまく利用...
「個別の施策の切り貼り状態で、その全体像をデザインする発想が欠けていることも多くあります」 「キャリア自律アプローチの最大の問題点は、実行的な制度上の工夫もこらさず、きちんとした予算もつけない、ただの呼びかけが多い」 同意します。 が、社員側が利口になり、会社の制度をうまく利用すればいいとも思う。
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働かないおじさん問題は自分たちが若い頃から言われてるけど、相変わらず温存されてるんだろうなぁ。怖いのは自分が就職した頃のそんな人たちはもう会社を去り、自分たちがそんな年齢に差し掛かっていること。 結局、専門性なのか、それにとらわれず広範な業務を経験するゼネラリストか。 転職を繰り...
働かないおじさん問題は自分たちが若い頃から言われてるけど、相変わらず温存されてるんだろうなぁ。怖いのは自分が就職した頃のそんな人たちはもう会社を去り、自分たちがそんな年齢に差し掛かっていること。 結局、専門性なのか、それにとらわれず広範な業務を経験するゼネラリストか。 転職を繰り返す人に「強い」人がいるのはなんとなくわかるけど、必ずしもそうばかりでない。キャリアの硬直性は考えるべきだけど、どこまでいっても隣の芝は青く見えることは忘れちゃいけない。
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著者が述べる中高年就業者の問題点「四ない(働かない、帰らない、話さない、変われない)」、それに対する日本の労働市場の歴史的背景や将来的課題の根拠提示やデータ分析は俊逸だ。例えば年功序列制も単なる累進加算ではなく加齢に対する期待値が本来趣旨ということが分かる(であればIT時代では時...
著者が述べる中高年就業者の問題点「四ない(働かない、帰らない、話さない、変われない)」、それに対する日本の労働市場の歴史的背景や将来的課題の根拠提示やデータ分析は俊逸だ。例えば年功序列制も単なる累進加算ではなく加齢に対する期待値が本来趣旨ということが分かる(であればIT時代では時代遅れと言われても仕方ないであろう)。一方で「早期退職サバイバル」と銘打っておきながら、主な読者層であろう40~50代にとっては気が滅入るような論説をただただひたすら200頁超見せつけられる。具体的提言である第7~8章も、結局はべき論を以てして企業にしわ寄せし問題を先延ばしする行政の姿勢と何ら変わらないものである。当人である中高年就業者にとっては「結局どうしようもないのね」という沈痛な面持ちになる本かもしれない。本質的問題をしっかり捉えている著者であればもう少し切れ味鋭く踏み込んだ解決策を(もう少し端的に)提示できたのではないかと思い、やや残念に感じる。
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