動物園を考える の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
動物園が好きなのだけれど、「動物園は本来自由に生きるはずの野生動物を狭い空間へ閉じ込めている」「動物園は必要ない」という批判に対し、知識を得たうえで自分なりの考えを持っておきたいと思ったため本書を読みました。様々な視点から動物園とは何かを体系的に解説しており、一度では理解しきれなかった部分も多いため読み込んでいきたい。非常に面白かった。 『動物園は生物多様性をモニターし、その危機に対する警報器および救難装置としての機能を高めなくてはならない』という表現には非常に納得。私自身を大いに含め、自分の視界に入らない事柄についての関心や正しい知識を持ち続けられる人間は決して多くない。我々が野生動物を目にする機会が全くなくなれば、野生動物そのものを存在しないものとして振る舞うようになってしまうと思う。やはり動物園は我々が野生動物やひいてはその生息地、環境を知るための窓の役割を果たしており必要不可欠だというのが、本書を読んだうえでの自分の中での考え。 動物保全と動物愛護の観点の両立や、「ホモ・サピエンスとしての肉体と脳で動物を理解しようとすることには限界があり、違う存在であることを認識し続けなければならない」ということもその通りだと思った。また、日頃から「動物園はもっと入園料を上げればいいのに」と疑問に思っていたため、そもそも日本の動物園は行政施設の一部であり、資金を集めにくい立場にあるのだと学ぶことができてよかった。個人的には徐々にでも構造の改革を進めてくれれば……とも思うけれど、とり急ぎ特定の動物園を応援したい場合はその動物園が基金を設立しているか調べるのがよいとのこと。
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日本の動物園の成り立ち、変遷から組織形態や制度上の課題などが、欧米(豪)の先進的な動物園とも比較しつつ、体系的に述べられた本。 経営面での課題や、アニマルウェルフェアの問題はよく耳にするが、その背景にある実情も、 それを改善するには動物園関係者だけの努力では難しいということも、...
日本の動物園の成り立ち、変遷から組織形態や制度上の課題などが、欧米(豪)の先進的な動物園とも比較しつつ、体系的に述べられた本。 経営面での課題や、アニマルウェルフェアの問題はよく耳にするが、その背景にある実情も、 それを改善するには動物園関係者だけの努力では難しいということも、よくわかった。 将来的によりよい形で動物園を存続させるために、動物園で働きたい人だけでなく、動物園が好きな人、特定の動物が好きで動物園に通う人も含め、多くの人に知ってほしいと思った。
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凄く丁寧に動物や動物園の存在について向き合って書かれた一冊だと思いました。溢れる情熱に対して、門外漢の者としては圧倒されるばかりでした。これから動物と触れ合うことを仕事にとってとても良い一冊なのではないでしょうか。私にとっては少々難解でしたが、学も多かったです。
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文章の雰囲気、章立てが非常に好みでした。 また、このような種類の本を数冊読んだあとで、この本では経営周りの話が多く、この辺りの知識が私に不足していたというのも気がつくことができて大変勉強になりました。 問題点をそれではどう解決するかと建設的に考えられている点も素晴らしかったです。...
文章の雰囲気、章立てが非常に好みでした。 また、このような種類の本を数冊読んだあとで、この本では経営周りの話が多く、この辺りの知識が私に不足していたというのも気がつくことができて大変勉強になりました。 問題点をそれではどう解決するかと建設的に考えられている点も素晴らしかったです。 読むことができて良かったです。ありがとうございました。
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動物園に行ったことがない、という日本人は少ないだろうが、意外と深くは知らない場所でもある。 著者は動物園学という、あまり聞きなれない専門の方だが、興味深い話が多かった。 表紙はかわいらしいが、内容は動物園の意義や経営、生命倫理、政治や歴史的経緯など、多岐な分野に渡って動物園につ...
動物園に行ったことがない、という日本人は少ないだろうが、意外と深くは知らない場所でもある。 著者は動物園学という、あまり聞きなれない専門の方だが、興味深い話が多かった。 表紙はかわいらしいが、内容は動物園の意義や経営、生命倫理、政治や歴史的経緯など、多岐な分野に渡って動物園について語られる。 読んでいる印象としては動物園に関わる人の愚痴を聞いているようだが、身近な愚痴にはうんざりしても、知らない分野の愚痴はおもしろいものでもある。 身近な話でいえば、公共が運営する動物園の入場料が安いのは、入場料を改定するには条例の変更までも必要となるハードルの高さがある、などは当然知らない話だった。 動物園への倫理的な批判というのは常にある。この歴史も古く、ほとんど動物園の始まりと同時ともいえるくらいらしい。 おもしろいのは、世界の動物園がその批判を無視するわけでもなく反論するわけでもなく、しっかりと応答することで動物園の運営を漸進的に改革していっている点。 最初に動物園と見世物小屋のちがいについて書かれているが、動物園を表すzooは、もともとzoological garden(動物学の庭)を省略して生まれたもので、学問的に価値あるものという意味合いがあったとのこと。その反対に、より古い言葉でmenagerieという言葉があり、こちらは見世物小屋に近い動物園という意味で使われていたらしい。ふたつの違いは志の有無である。 本書では日本の動物園に対する批判が多い。たしかに読み通すと、さまざまな問題点が内包されている。 動物園には人生で3回行くと言われているらしい。子どもとして、親として、祖父母として、である。つまり動物園に行く主体は子どもであり、その保護者でもあるということ。 動物園について考えるということは、動物だけでなく、人間社会についても考えるということでもある。
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読んだ。動物園の運営の話を知れたのは面白かったが、一番は第5章(動物園の役割とあり方)の5.1と5.2だった。動物の「人格」に関する話や、日本と欧米での動物と動物園の考えの違いと、そこからのイルカ導入問題の話がよかった
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欧米と日本の動物園の在り方と、日本で欧米に匹敵するような動物園の在り方を実現させるためにはどのような変化が必要か、そもそも動物園は何のために存在しているのかという本。 権威を見せるためや個人の娯楽のために動物を飼っていた施設から教育研究機関へ変わって行った欧米の動物園と、導入時...
欧米と日本の動物園の在り方と、日本で欧米に匹敵するような動物園の在り方を実現させるためにはどのような変化が必要か、そもそも動物園は何のために存在しているのかという本。 権威を見せるためや個人の娯楽のために動物を飼っていた施設から教育研究機関へ変わって行った欧米の動物園と、導入時点では教育研究機関としての動物園を理想としながらも社会情勢や時代の影響でなかなか実現できなかった日本の動物園、という歴史は別の本で読んだ事があったけれど、戦前の日本では文化財の保護が重視された一方、動物園は公園の資金集めのための施設だったというのを知った。 トーハクの150周年記念展示でキリンの剥製が科博に移動したという説明があったけど、その頃に動物園と公園も宮内庁から東京市のものになったらしい。元々は動物園と自然史博物館をセットにしたかったらしい(導入を計画した人が感銘を受けたのがそういう施設だったとか)けど、生きた動物から学ぶっていうのは重視されなかったのかな。 資金集めとしての動物のショーで活躍したのがあの「かわいそうなぞう」のトンキーっていうのは結構ショックだった。 動物は他者であり、気持ちを全て推し量ることも全てを言葉として表現することもできないので、一定の距離感を保ちながら「気を使う」ということ、ペットだけど猫と暮らしている身としては考えないといけないなと思った。 種の保全や動物の福祉を実現するためには入場料だけでは当然足りず、価値がすでに明らかである訳でもないので政府や自治体の税金は使いにくく、そのため寄付金が欠かせないという話。よく行く動物園ではどんな制度があるのか、調べてみようかな。
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動物園勤務経験のある地方公務員から動物園学の研究者に転身した著者による動物園論。動物園の歴史等を踏まえ、欧米の動物園と比較しながら、日本の動物園の課題やこれからの在り方を提起している。 動物園は、第一義的に、人間(特に子ども)が動物の実在を確認する原体験を通して、世界をより深く識...
動物園勤務経験のある地方公務員から動物園学の研究者に転身した著者による動物園論。動物園の歴史等を踏まえ、欧米の動物園と比較しながら、日本の動物園の課題やこれからの在り方を提起している。 動物園は、第一義的に、人間(特に子ども)が動物の実在を確認する原体験を通して、世界をより深く識ることができる場であるということを理解した。 また、日本の動物園は、市民・役所・動物園の3者とも不満足な状態であり、善意の資金を運営に取り入れる仕組みが必要との指摘もよく理解できた。歴史的経緯のために特定の地方自治体のみが動物園の運営責任を負っている現状がちょっと歪なのであり、動物園の恩恵を受ける人、共感する人みんなで支える仕組みが必要だと思う。
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