なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない の商品レビュー
前作繋がりでちょっと期待過ぎたかも。 とはいえ、独特の語り部のようで心地よい。 ただ、最後の7章「ポジティブとネガティブ」は要らなかった気もする。なんだかどっと疲れました。 きっと、若ければそうは思わないのだろうけど。
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単純に相性が良くなかったと感じました。 私の脳は、ありふれた言葉の別の使い方を理解するのがとても困難なようです。 純粋、不純、ポジティブ、ネガティブ、馬、ジョッキーetc。その単語に辞書の意味以外の著者独自の意味合いを持たせて抽象的に語るよりも、初めて聞く小難しいカタカナや漢字...
単純に相性が良くなかったと感じました。 私の脳は、ありふれた言葉の別の使い方を理解するのがとても困難なようです。 純粋、不純、ポジティブ、ネガティブ、馬、ジョッキーetc。その単語に辞書の意味以外の著者独自の意味合いを持たせて抽象的に語るよりも、初めて聞く小難しいカタカナや漢字が連なる専門用語の方が理解しやすい質のようです。 また疑い深く心配性なので感覚的な内容よりも論理的な内容を好みます。 学歴も資格もある方なので研究に根付いた論理的展開もできるけれど、悩める人に寄り添うために物語のような展開になったのかもしれませんが、私には合いませんでした。 また他人の著作物を引き合いに出し(アンパンマン)、その著作者が実際に意図したこと以外のことを勝手に解釈して本の中で自分の主張の手助けに使うのは個人的にはとても受け入れ難く頂けませんでした。 幸せについて考えないことが幸せと思っているので、スフィンクスの謎かけも、そういう問いを悩める人に投げかけて良いのか?と疑問です。
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生きていく上で、道の途中でつまづいたときに助けてくれる、言葉という「処方箋」。しかし自分にぴったりの言葉というものは、探せば探すほど見つからないことが多い。 そして、辛くなればなるほどに、周りが見えなくなって、余計に苦しくなっていく。 そんな気持ちに、ごちゃごちゃした感情に、「補...
生きていく上で、道の途中でつまづいたときに助けてくれる、言葉という「処方箋」。しかし自分にぴったりの言葉というものは、探せば探すほど見つからないことが多い。 そして、辛くなればなるほどに、周りが見えなくなって、余計に苦しくなっていく。 そんな気持ちに、ごちゃごちゃした感情に、「補助線」を引いてみる。補助線は、図形を2つに分ける。「ポジティブとネガティブ」だとか、「スッキリとモヤモヤ」だとか。 この本では、そんな補助線を7つ紹介している。 最初の補助線は、「馬とジョッキー」。 馬は決しておとなしいわけでなく、むしろ暴れ馬で、これと決めたら猪突猛進。 一方、ジョッキーはその馬を宥めて、コントロールしようとする。 アンガーマネジメントや、ポジティブシンキングなど、コントロールしようとする「ジョッキー側」の考え方が、世の中に浸透するあまり、馬の行動力が蔑ろにされている。 心の声を大事にしようと言いながらも、すぐさま行動するのでなく、落ち着いてから動き出す。 馬かジョッキーか、果たしてどっちがいいのだろう、という考え方は実は間違っていて、実はどっちも悪いし、どっちも良い。 他にも多くの補助線について、実際のカウンセリングにフィクションを混ぜて語られているが、この本で流れている通奏低音は、「どれも正しい」ということ。 この本の、そっと包むような優しさが、眠れない夜にぴったりだと思います。
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あとがきを読んで、本書が、筆者にとっても書かれなければならない本だったのだなとなぜか納得。『居るのはつらいよ』『野の医者は笑う』『心はどこへ消えた』と読んできて、本書がある意味ではいちばん語り口が謎で、どう読んだらいいかとまどったのだけど、そこにはかなりの試行錯誤があったのだなと...
あとがきを読んで、本書が、筆者にとっても書かれなければならない本だったのだなとなぜか納得。『居るのはつらいよ』『野の医者は笑う』『心はどこへ消えた』と読んできて、本書がある意味ではいちばん語り口が謎で、どう読んだらいいかとまどったのだけど、そこにはかなりの試行錯誤があったのだなと。 たぶん、いま、自分自身はセラピーをもとめているわけではないので、内容そのものに大きな感想はないんだけど、そのことが確認できたのがおもしろかった。最初の『居るのはつらいよ』を読んだとき、「ケア」と「セラピー」というふたつのありかたに目をひらかれて、これまでずっとそのふたつをごちゃまぜにして考えてきたことを思い知らされたわけで。 なので、これからはセラピーではなくケアの本をさがして読んでいこうかなと思う。
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ページをめくるごとに、自分の心を紐解いてくれる表現にたくさん出逢った。書評として感想にまとめる:シンプルにすること は得意ではなかったが、そんな複雑さでさえも、この本はよしとしてくれるような、心地よさを読み終えて感じている。『複雑な現実を複雑に受け止める』ため、この本に出逢えてよ...
ページをめくるごとに、自分の心を紐解いてくれる表現にたくさん出逢った。書評として感想にまとめる:シンプルにすること は得意ではなかったが、そんな複雑さでさえも、この本はよしとしてくれるような、心地よさを読み終えて感じている。『複雑な現実を複雑に受け止める』ため、この本に出逢えてよかったと心から感じています。
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たまに出てくる小説風の誘導文章にそわそわしながら、あっという間に読み終わりました。難しくないのに、こうやって言葉に纏めようとすると難しい内容です。 最後の章のポジティブとネガティブにオリジナリティを感じました。ネガティブな経験って避けられなくて、しかもそれが他責によるときって、...
たまに出てくる小説風の誘導文章にそわそわしながら、あっという間に読み終わりました。難しくないのに、こうやって言葉に纏めようとすると難しい内容です。 最後の章のポジティブとネガティブにオリジナリティを感じました。ネガティブな経験って避けられなくて、しかもそれが他責によるときって、自分のなかでどう解釈していいかずっと燻ってしまいます。 あれを、今の自分の糧になってるんだ!って肯定しちゃうのが通例だけど、それだと他者の暴力を認めちゃうことにもなるし、なんかいい方法ないかなーって思ってたので、この本に書いてあった捉え方ーネガティブなポジティブ、悲しみへ変える、という方法はいいなぁと思いました。 東畑先生のカウンセリング受けてみたいなぁと思える、優しい本でした。色んな方におすすめします。
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読了。 白黒つけられないグレーで複雑な現実を、できるだけ複雑なまま生きていくための補助線(船)が、東畑さんの文体でゆったりと語られています。 グレーな世の中、好きです。
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個人的には物語調の書き方は読みにくかったのですが、悩んだときに参考にできる術がいろいろ紹介されていて参考になりました。
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臨床心理士として働く著者が考える心の守り方・捉え方のを示した本。 読者は著者が提供するカウンセリングルームで目を閉じて、心の持つ大海へ漕ぎ出すところから話は始まる。 その大海において、我々は各々が頼りない小舟に乗っている。 かつての世代は皆と同じ大船に乗って大海を渡っていたが、...
臨床心理士として働く著者が考える心の守り方・捉え方のを示した本。 読者は著者が提供するカウンセリングルームで目を閉じて、心の持つ大海へ漕ぎ出すところから話は始まる。 その大海において、我々は各々が頼りない小舟に乗っている。 かつての世代は皆と同じ大船に乗って大海を渡っていたが、社会環境の変化や自由を求める気持ちに推されて、我々は個で人生を切り開く小舟にのりこんでいる。 小舟は小回りも効くし、自由だが心許ない。そして孤独だ。しかし今更大船に乗る事も出来ない。 では、どうするか。。? そのヒントを以下の章立てで語っている。 1.処方箋と補助線 2.馬とジョッキー 3.働くことと愛すること 4.シェアとナイショ 5.シェアとナイショⅡ 6.スッキリとモヤモヤ 7.ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純 言葉というのは不思議なもので、物事に名前を与えられたり、適切に区分けされると急に物事がクリアに見えてきてわかるようになる。 この本はそういう事に資する本です。 そして話調も面白いし、著者が経験した体験談もひとつの小説であるかのように興味深い。 大概、わかりやすい本は内容が薄く、内容が本質的で濃密な本は難解であることが多いですが、本書はとてもわかりやすいうえに本質的で生活の役に立つ内容が多いので、とても良い本だなと思います。
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二項対立で心を分割し、その複雑さについて考える手助けをしてくれる本。社会学と心理学を組み合わせたような心の捉え方に驚く。 何よりも、二項対立を使いつつ、どちらかによるのではなくそのグレーゾーン(筆者が言うところの「も」の考え方)を見つけていくまでの論理の進め方が面白かった。
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