日本国史(下) の商品レビュー
冷静に、声高にではなく、自虐史観を修正して、日本という国の成り立ちとその歴史的変遷を、日本の独自性を明らかにしようという意図のもとに描いた歴史書。 多くのことをこの著者から学んだが、さしあたりふたつのことを書き留めておきたい。 一つは「国家の最小単位として機能していた惣村」の話。...
冷静に、声高にではなく、自虐史観を修正して、日本という国の成り立ちとその歴史的変遷を、日本の独自性を明らかにしようという意図のもとに描いた歴史書。 多くのことをこの著者から学んだが、さしあたりふたつのことを書き留めておきたい。 一つは「国家の最小単位として機能していた惣村」の話。自然に恵まれ、他者から略奪せずに生きていけるという生活の条件を与えられていた日本人の穏やかさ、安定感。そしてそれを可能にしていたのは、連帯と平等で成り立っていた惣村という共同体であったという。その指導者である乙名は、選挙で選ばれていた、これが日本の民主主義の原点の一つであったと。そして豊臣秀吉は「惣無事令」によってこの惣村を守ろうとしたという。秀吉については歴史上、毀誉褒貶があるが、鋭い洞察力が窺える事例。 もう一つは、これまで明治時代から始まったとされてきた西洋化、近代化は、ことに学問、技術の領域ではすでに江戸時代から積極的に始まっていたという事実である。 日本人は、取り入れるべきものとそうでないものを、的確に選び抜きながら、古来から諸外国と付き合ってきたのである。 多くの創見に満ちた好著。
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歴史は何のために学ぶのか。過去の過ち――過去はすべて過ちあるいは遅れたものという決めつけそのものが間違いなのだが――を反省して未来に生かす、という考えもあるかもしれないが、公教育としての歴史学習は「国民」――歴史を記憶として共有する集団と言ってもよい。傲慢不遜なキリスト教やサヨク...
歴史は何のために学ぶのか。過去の過ち――過去はすべて過ちあるいは遅れたものという決めつけそのものが間違いなのだが――を反省して未来に生かす、という考えもあるかもしれないが、公教育としての歴史学習は「国民」――歴史を記憶として共有する集団と言ってもよい。傲慢不遜なキリスト教やサヨクやが頭の中で勝手に作り上げた「人類共同体」では決してない。―――の一人ひとりが自らの過去に誇り(「自惚れ」ではない)を持ち、過去に恥じない行動をするための拠り所を持つためではないだろうか。 戦後の混乱に付け込んで蔓延した、日本人の奴隷化が目的としか考えられない自虐史観、自然科学と社会科学の区別もつかない上に都合の悪い事実は見ない低レベルな唯物史観、せっかく先人が創り上げたローマ帝国というヨーロッパ共同体を完膚なきまでに破壊したキリスト教が引き起こした中世の停滞を正当化するための進歩史観、いずれも有害なイデオロギーであって歴史学ではない。 日本の歴史は神話の時代から連綿と続く自然との共存、和の尊重という記憶の共有である。それを芯として受け継いだ上で、他国の歴史「も」――相容れないものとして――理解すればよい。
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キリストが磔にされている姿をみて日本人は驚いたといいます。原罪を背負って磔になること自体、西洋人の特有な考え方で、日本人には相容れないものだったそう。現代で割と深く考えずにスルーしている異文化でも、当時は衝撃的だったことが伺えて興味深かったです。 日露戦争の際にユダヤ人が日本に...
キリストが磔にされている姿をみて日本人は驚いたといいます。原罪を背負って磔になること自体、西洋人の特有な考え方で、日本人には相容れないものだったそう。現代で割と深く考えずにスルーしている異文化でも、当時は衝撃的だったことが伺えて興味深かったです。 日露戦争の際にユダヤ人が日本に国債を売った話など、ロシアへの報復的な意味合いが強かったとはいえ、ユダヤ人というのは歴史的にも何かと日本と関わりがあったようです。
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歴史を学ぶ意味とは何か――著者は日本の歴史を神話から連なる天皇の系譜を軸に据え一貫した国のかたちとして描き出す。文献のない時代、縄文からの国が成立していないであろう歴史を追う。 西洋中心の歴史観では見落とされがちな日本独自の精神や文化の根がある。教育の現場では断片的な知識の羅列...
歴史を学ぶ意味とは何か――著者は日本の歴史を神話から連なる天皇の系譜を軸に据え一貫した国のかたちとして描き出す。文献のない時代、縄文からの国が成立していないであろう歴史を追う。 西洋中心の歴史観では見落とされがちな日本独自の精神や文化の根がある。教育の現場では断片的な知識の羅列にとどまり通史としての日本の姿が見えにくくなっている。 本書は国の成り立ちを自分の言葉で語れるよう導いてくれる。とはいえ歴史をどう語るかは受け取る側の姿勢にもかかっている。事実をどう解釈しどう未来に活かすか。それが歴史に学ぶということだ。読み終えて今を生きる自分の足元を見つめ直したくなった。
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上巻に比べると、普通の歴史書に思える。 著者が美術史専門だからか、文化の話が多い。 写真、図版があればもっと楽しめる本になるのに。 私は、日本好きなので、保守的な本も抵抗なく読めるが、自虐史観で育った人はそもそも歴史が嫌いでこういった本も読まないと思う。
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昭和の部分に少し右傾化、ナショナリズムのようなものを感じたけど、上巻から通して読んで、求めていた日本人観のようなものが整理できたような気がする。特に、自然との共生、神道と仏教の根付き方、そして、神仏習合の考え方がこの本を通して読むことで自然に受け入れられた気がします。もう少し深めたい気がしました。 少し気になったところ。 ・本来、仏教は個人宗教として自己の罪を悟り、それを自己陶治によって克服する自力本願が原点でした。ただ、祈れば救われるということになると、仏教徒は増えますが、本来の仏教が持っている部分が失われることになります。 ・中国やヨーロッパでは、政権交代がそのまま歴史の断絶を作っています。それは支配する民族が変わるせいでもありますが、日本には文化と伝統を断絶させない一つの思考のパターンの連続性があると思います。それは日本の自然信仰、自然道の力です。 ・(元寇の時の)国土防衛の態度は、自然に対する態度とよく似ています。受け入れて防ぎ、侵害しようとしないのです。こうした受け身の態度は日本人の生き方の原則になっています。 ・「自由」があってこそ、「文化」が生まれ、階級よりも「役割分担」の社会があったからこそ、長い間「社会」が安定してきたのです。 ・政治は必ず精神的な支柱が必要で、その中心的な役割を天皇が負っている。 ・天皇の権威があって初めて政治が安定する。 ・能には日本的な表現の極北があると思われるのは、音量信仰や自然信仰と仮面劇が上手く折り合って表現されている点です。 ・「もののあわれ」や「わび・さび」は、その背後の強烈な人間主義の表出を日本人好みの言葉のあやで表したもので、それは西洋の人間主義とほぼ同じなものです」
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読み物としては面白い。 日高見国が東日本にあり、そこから高千穂に船で移動したという説明。つまり天孫降臨はフィクションではなく事実だったとの説。 古代史は少ない証拠から解釈や推論するしかないので一つの説として興味深い。 ただ現代に近づくほどエビデンスなしでアメリカやユダヤの陰謀が断...
読み物としては面白い。 日高見国が東日本にあり、そこから高千穂に船で移動したという説明。つまり天孫降臨はフィクションではなく事実だったとの説。 古代史は少ない証拠から解釈や推論するしかないので一つの説として興味深い。 ただ現代に近づくほどエビデンスなしでアメリカやユダヤの陰謀が断定されてるのが受け入れにくい。 賛成できるのは日本文化は歴史が連続しており、西洋と違い分断がない。西洋的な進歩史観で理解するのは間違い、というところ。
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⚫︎日本の精神 上巻が楽しく読めたので、続きで購入。下巻は鎌倉時代から。 日本は前の時代のものが破壊されず、断絶がなく、続いている特徴がある。士農工商は縦ではなく、横のつながり。文化は社会に余裕があるから生まれるのでは決してなく、文化により、戦争が終結に向かうこともある。などなど、歴史から読み取れる事実から、著者の解釈がなるほどと思うことが多かった。 秀吉はイエズス会が日本を征服しようといていることを確信し、バテレンを追放、また、朝鮮や明への出兵は、秀吉が世界を征服しようとしたのではなく、スペインからの侵略からアジアを守るためだったとあり、秀吉の晩年の挙動がいつもおかしくなっていることに、疑問を持っていましたが、これを読んでスッキリしました。 日本人は西洋人と考えや文化など、全く違うもの。それは西洋を真似せよということではなく、日本人独自の精神、言葉、考えをよく知り、それを出していくことが大切だと感じた。
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鎌倉から現代にかけての続編。しばらくは教科書になぞるような内容だったけど、幕末あたりから雰囲気が違ってきたかな。 まぁ、賛同できるかはさておき、一部なるほどと思う部分もあった。ただ、日本の良さは確かに理解したけど、日本を過剰に持ち上げるところまでの感情は伴わなかった。そういう捉え...
鎌倉から現代にかけての続編。しばらくは教科書になぞるような内容だったけど、幕末あたりから雰囲気が違ってきたかな。 まぁ、賛同できるかはさておき、一部なるほどと思う部分もあった。ただ、日本の良さは確かに理解したけど、日本を過剰に持ち上げるところまでの感情は伴わなかった。そういう捉え方もあるのね、と読んだ。 84冊目読了。
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