ロング・アフタヌーン の商品レビュー
以前新人賞で落選した志村多恵から編集者あて小説が送られてきた。作中作と編集者の過去が微妙にリンクしていく。スリルとかはあまり感じなかったけれど、多恵の中にある陰鬱とした男性に嫌悪にじわじわと侵食されそうな気がした。
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女の午後は長いというけれど、 で始まる7年前に新人賞で落選してしまった志村多恵から突然届いた原稿。 ミステリーのような、シスターフッドのような、絶妙なバランスと素晴らしいストーリー構成。面白い!どんどん先読みたくなる。 今回は社会派なストーリーではない。
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導入の小説で一気に惹き込まれた。 "犬を飼う"は、男性差別の極論のような話で、確かに重箱の隅をつつくような設定の疑問点はあれど、面白い世界観だった。 そして、"長い午後"では共感が強く、本当か嘘か分からないようなラスト。特に、最終選考に残っ...
導入の小説で一気に惹き込まれた。 "犬を飼う"は、男性差別の極論のような話で、確かに重箱の隅をつつくような設定の疑問点はあれど、面白い世界観だった。 そして、"長い午後"では共感が強く、本当か嘘か分からないようなラスト。特に、最終選考に残ったことで魔法がかかり、夫に対して食事中、優勢になっていた場面が好きだった。そのスタンスでずっといられたら良かったのに。 「よし!」 今度は大きな声ではっきりと歓声をあげた。 ーーあはは、ター坊、やったじゃない。 有里砂の声が聞こえた気がした。 うん。やった!やったよ!p285
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読後感はいやーな気持ちになりました。 でも、怖いもの見たさで他の本も読みたくなってしまいました。 志村多恵さんの書く小説と、それを読む編集者、葛城梨帆さんの話になります。 この志村さんの書く小説が薄気味悪いです。 しょっぱなから飛ばしています。 男のいない世界で、男が産まれるとす...
読後感はいやーな気持ちになりました。 でも、怖いもの見たさで他の本も読みたくなってしまいました。 志村多恵さんの書く小説と、それを読む編集者、葛城梨帆さんの話になります。 この志村さんの書く小説が薄気味悪いです。 しょっぱなから飛ばしています。 男のいない世界で、男が産まれるとすぐに脳の1部を切り取って無害化→犬として扱う、という志村さんの書いた小説から始まるのですが、この本自体読むのを止めようかと思うくらい印象が悪かったです。 でも止まらなかった。 怖いものみたさが勝ってしまいました。
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本作には物語を書く女と編集者の女が登場する。編集者の女は次第に彼女の書く物語に魅了されていく。 本作はとても意地が悪い。書き出しからして男性への嫌悪が剥き出しになっている。男性優位の社会で打ちひしがれ、認められなかった女の怨念のようなものを強く感じた。 長い午後、というタイトル...
本作には物語を書く女と編集者の女が登場する。編集者の女は次第に彼女の書く物語に魅了されていく。 本作はとても意地が悪い。書き出しからして男性への嫌悪が剥き出しになっている。男性優位の社会で打ちひしがれ、認められなかった女の怨念のようなものを強く感じた。 長い午後、というタイトルがとても良い。作中作と現実を行き来する果てに見えてくるものとは。じわりじわりと泥に溺れるが如く浸りたい一冊だ。
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冒頭の挿入小説も不気味でしたが、タイトルにもなっている小説を読み進むにつれますます気味悪さが膨らみ、ページを捲る手が止まらなくなりました。もう1人の主人公の編集者はもうひとつイメージがピンとこない感じでしたが、ストーリーや構成は文句なしでした。予想を裏切るエンディングにもまた私は...
冒頭の挿入小説も不気味でしたが、タイトルにもなっている小説を読み進むにつれますます気味悪さが膨らみ、ページを捲る手が止まらなくなりました。もう1人の主人公の編集者はもうひとつイメージがピンとこない感じでしたが、ストーリーや構成は文句なしでした。予想を裏切るエンディングにもまた私は好感を持ちました。葉真中さんの本は4作目ですが、今のところ全て凄い作品ばかり。次も期待です。
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小説の新人賞に応募された「犬を飼う」という衝撃的な短編から物語が始まる。その「犬を飼う」に惚れ込んだ女性編集者の葛城梨帆。しかし選考会では酷評されあえなく落選、その7年後に「犬を飼う」の作者、志村多恵から長編の小説「長い午後」が送られてくる。 梨帆のターンと作中作の「長い午後」...
小説の新人賞に応募された「犬を飼う」という衝撃的な短編から物語が始まる。その「犬を飼う」に惚れ込んだ女性編集者の葛城梨帆。しかし選考会では酷評されあえなく落選、その7年後に「犬を飼う」の作者、志村多恵から長編の小説「長い午後」が送られてくる。 梨帆のターンと作中作の「長い午後」が交互に出てくる構成。「長い午後」は志村多恵の私小説を思わせる作品で、それを読んでいる梨帆の心情や状況とも少しずつリンクしていく。梨帆は30代の働くシングルマザー、多恵は50代の専業主婦。年代も立場の違う女性が生きていく上で抱える鬱屈を詰め込んだような内容で、これを男性が描いてるというのがすごいなと思った。
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絶叫が面白かったから読んでみたけど、読む手がとまるというか、最後まで読むのに時間がかかった。編集者が自身と同世代の設定で取り巻く環境に共感を得たし、えっと思わされるシーンも多かったけど、最後があっさり?なかんじ。
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編集者の元に、1人の小説家志望の主婦から原稿が送られてくる。 最初はその原稿からで始まるんだけど、その小説自体も切り口がすごくて唖然とした。 これは小説にしかできない表現で、呪いを解いていく女の話で、もうなんか言葉にできない。
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ものすごく良かった!! 葉真中さん、これで7作目ですが、最初に読んで驚いた「絶叫」と同じくらい、今作は面白かったです。 作中作である、志村多恵の作品が占める割合も多いのだが…特に冒頭の『犬を飼う』という作品にはビックリ!(何じゃこりゃ!レベル)しかし、ここでの過激さに引いてしま...
ものすごく良かった!! 葉真中さん、これで7作目ですが、最初に読んで驚いた「絶叫」と同じくらい、今作は面白かったです。 作中作である、志村多恵の作品が占める割合も多いのだが…特に冒頭の『犬を飼う』という作品にはビックリ!(何じゃこりゃ!レベル)しかし、ここでの過激さに引いてしまわずに、続きを読んで欲しいお話です。深いのですよ〜、ここからが。 「女の午後は長いというけれど…」 という文がある。人生80年を1日に例えたら、私なんて18時くらいになるので(^^;; もはや午後でもなく夕方。それこそ、今日はどんな日だったかしらん、と振り返るが如く、若い頃からの自分の人生の分岐点とか、喜びも後悔も、いーっぱい考えてしまいます。 そんな気分もあり、んもう!夢中で読みました。途中で、 「あれ?葉真中さんって男性だったよね?」と確認したくらい、今作は女性の目線が秀でている気がしました。 ラストは微妙な不穏さのまま終わりますが、読後感は私は良かったです。やっぱりさー、誰だって自分の人生しか生きられないんだから、自分で自分を大切にして生き抜いていくしかないよね…などと思いつつ本を閉じたのでした。 やっぱり葉真中さん作品、好きだ〜! 印象的だったところ、少し… ーーーーー 世界は過剰だ。ものと情報に溢れていて、そのほとんどを知らないまま自分は死んでいく。 物語はいつだって最高の瞬間で終わるのに、現実はそのあとだらだら余計な後日譚が続く。 それぞれの選択は思い描いたとおりの結果を招かなかったかもしれない。でも、その場その場では切実に選んできたじゃないか。 これは私の物語だーーフィクションに触れたとき、時折訪れる、奇跡のような感覚。 ーーーーー すごく笑えたのが、編集部に送られてくる一番多い自伝的な小説『おじさん武勇伝』の話。ここ、笑える〜〜。
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