掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 の商品レビュー
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めちゃくちゃ良いじゃん!! 小説を読む喜びが詰まっている。行ったこともない土地の空気、匂いを感じ、経験したことのない痛みや喜びをわが身に感じられる。 アメリカ/南米…
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目の前にゴツゴツした石塊がある。 なんだか殺風景に見えるが、それをハンマーで叩いて割ると、キラキラと輝く断面が現れる。宝石の原石だ。しかも割るたびに様々な色合いの光を放つ不思議な石。 この短編小説集を読み終わって頭に浮かんだのは上記のようなイメージだ。 本書には22の短編が収...
目の前にゴツゴツした石塊がある。 なんだか殺風景に見えるが、それをハンマーで叩いて割ると、キラキラと輝く断面が現れる。宝石の原石だ。しかも割るたびに様々な色合いの光を放つ不思議な石。 この短編小説集を読み終わって頭に浮かんだのは上記のようなイメージだ。 本書には22の短編が収められている。 最初は、突然ざっくりと切り取られた日常の断片が目の前に無造作にボン、と放り投げられたような印象で、面食らった。 次の短編、またその次…と読むうちに気づく。 場所も時代も、語り手の職業も年齢も全然バラバラだが、なんとこれは同一人物の物語だ。 著者のルシア・ベルリンは、アラスカで鉱山技師の家庭の生まれ。鉱山町を転々とし、戦時中はエルパソに転居し母方のアル中親族に囲まれ孤独で過酷な日々を送り、二度の退学を経験。その後チリに移住。打って変わってそこでは上流階級の仲間入りをし、ミッションスクールに通う。メキシコの大学進学後は、3度の結婚を経験し、四人の子供をもうけ、カリフォルニアやバークレー等に移り住みながら、掃除婦、教師、電話交換手、看護助手などをしながら、自らもアル中に苦しむ。その後は… ともう、この時点で一人の人生としてはお腹いっぱいというくらいに千変万化で、落差も大きい。 どの短編も、基本的には著者の体験に基づく、言ってしまえば「ちょっと話を盛った思い出話」なのである。 しかし、それなのにまるでプリズムのように様々な光を放つ作品集ができあがっているのである。 さて、「光」や「輝き」という喩えを用いてきたが、実は内容を見ると、親族からの虐待、学校でのいじめ、生まれついての病気、3度の離婚、重度のアル中、妹の逝去……と明るい話なんて殆ど無い。 本人がそんな境涯だから、彼女の周りに現れる人々や世界もはみ出しものや落伍者ばかりであり、モチーフとしているものはどちらかと言えば暗い。 「どんな悲惨なことでも、笑い話にしてしむえるのなら平気で話す」 と語り手は言う。 本作の語り口は、テーマに関わらずどこか穏やかで、時に軽妙でリズミカル。トントントン、と繰り出される言葉にするっと読まされてしまう。 はっきり言うと、本書を2/3くらいまで読んだ時点ではまだ本書には全然ハマっておらず、実話の羅列ではないか…くらいに思っており、著者と相性良くないな。と思っていたのだが、段々と魅せられてしまったのか慣れたのか、『さあ土曜日だ』から先の3編はとても良かった。 一つ残念に思うのは、巻末のリディア・デイヴィスが寄せた文章によると、ルシアの文章の真髄を味わうには英語の原書を読むのがどうやらベターだと言うことだ。 私が英語が読めたなら、本書の評価はもっと変わるのかもしれない。
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短編集という形になっているが、作家自身がモデルと思われる主人公の人生が断片的に描かれている。 語られるのはなんとも不条理な人生。生まれ持った障害、虐待、アルコール依存症、貧困、差別。それを淡々と語る。ユーモアも淡々と。その淡々と語られる言葉がなぜだかとてもきらきらしていて、目の前...
短編集という形になっているが、作家自身がモデルと思われる主人公の人生が断片的に描かれている。 語られるのはなんとも不条理な人生。生まれ持った障害、虐待、アルコール依存症、貧困、差別。それを淡々と語る。ユーモアも淡々と。その淡々と語られる言葉がなぜだかとてもきらきらしていて、目の前にぱっと情景が現れる。そしていつの間にかどっぷり嵌っているのだ。ただ、どんどん読めるという作品ではない。ストーリーというよりは言葉を味わう作品のように思う。 訳者の岸本佐知子さんの力も当然あるとは思うが、ルシア・ベルリンが生前に見出されなかったのが信じられないくらい。
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岸本佐知子さんの翻訳している作品が読みたくて買いました。 著者のルシア・ベルリンは、アメリカ出身の作家なのだが、申し訳ないが、全然知りませんでした。 亡くなって20年以上経っているのだが、本屋大賞の翻訳部門で再評価されている。 私小説のような、著者自身の生い立ちや、経験が 小説...
岸本佐知子さんの翻訳している作品が読みたくて買いました。 著者のルシア・ベルリンは、アメリカ出身の作家なのだが、申し訳ないが、全然知りませんでした。 亡くなって20年以上経っているのだが、本屋大賞の翻訳部門で再評価されている。 私小説のような、著者自身の生い立ちや、経験が 小説に色濃く反映されています。 作中に何度もアル中という言葉が出てるのだが、これは著者自身が、アルコール依存症に罹っていたことが強く影響している。 1950年代のアメリカの文化を強く感じさせることができる短編集でした。
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うーむ、文学な雰囲気。でも、私はちゃんと読めてない気がするなあ。雰囲気で読んでるだけで。【2025年9月22日読了】
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オートフィクション(自伝的小説)の連作短編または掌編小説集(一番短い「わたしの騎手」は2ページと4行)。 どれも、自身の家族のことや、職業遍歴や、アルコール依存や、肺がんで死期の迫る妹を看取った経験など、重苦しい実体験をベースにしながらも、文章は軽妙な印象。 また、話の終わらせ方...
オートフィクション(自伝的小説)の連作短編または掌編小説集(一番短い「わたしの騎手」は2ページと4行)。 どれも、自身の家族のことや、職業遍歴や、アルコール依存や、肺がんで死期の迫る妹を看取った経験など、重苦しい実体験をベースにしながらも、文章は軽妙な印象。 また、話の終わらせ方がどれも秀逸。p.34の「大っきらいよ」とか、p.147の「コリント!」とか…これだけを読んでも何のことやら判らないけれど、良い。
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最初はなんだかよくわからず、途中で読むのをやめてしまった。 ルシア・ベルリンについて調べてから、あらためて最初から読み直すと急に色鮮やかに情景が浮かんで驚いた。 時系列もバラバラの人生のカケラを拾い集め、彼女の人生をおもいながら読む。
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260頁に24編の作品があるため、短いモノは2、3頁で終わる。長くても10頁程度。何より、描写がきわめてクールでスタイリッシュ(体現止めが多い)。描かれている内容は極めて悲惨、残酷、無情な場合が多いのだが、なんてことのないわ、これが日常よ、という感じでサラっと美しく流して書かれて...
260頁に24編の作品があるため、短いモノは2、3頁で終わる。長くても10頁程度。何より、描写がきわめてクールでスタイリッシュ(体現止めが多い)。描かれている内容は極めて悲惨、残酷、無情な場合が多いのだが、なんてことのないわ、これが日常よ、という感じでサラっと美しく流して書かれているので読み手は暗鬱とした気分にならない。 これは、限りなく詩ち近い小説だと思う。
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『掃除婦のための手引き書 ―ルシア・ベルリン作品集 』 読了。 一度は読みかけては読まなくなり再び読み始め、およそ1ヶ月かけてじっくりと読みました。ままならない生活を送るなかで声にならない小さな心の叫びみたいなものが散りばめられていました。大きく主張しない心の声も生活の一部なのよ...
『掃除婦のための手引き書 ―ルシア・ベルリン作品集 』 読了。 一度は読みかけては読まなくなり再び読み始め、およそ1ヶ月かけてじっくりと読みました。ままならない生活を送るなかで声にならない小さな心の叫びみたいなものが散りばめられていました。大きく主張しない心の声も生活の一部なのよね。 おそらく著者は生きていたら80代後半だろう。著者の実体験をもとにした短編集なので何度か同じ登場人物が登場したりする。生きていりゃ綺麗事では済まされないことだってあるよなと思いつつ。起伏の激しい運命に翻弄された人たちの末路に私もそうなるかもしれないなと重ねてしまう。 2025.11.25(1回目)
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星新一ばりに短いお話しの数々 そのどれもが作者の実体験や生活を元にしたものらしい とても短い話しなのにどれもこれもタフで強い スパイス見本棚みたいな作品集 山椒の様なバニラのようなキャラウェイのようなアンモニアのような生理の生ぐさい臭気さえ… めくるめく色や形が鮮やかに短いはす...
星新一ばりに短いお話しの数々 そのどれもが作者の実体験や生活を元にしたものらしい とても短い話しなのにどれもこれもタフで強い スパイス見本棚みたいな作品集 山椒の様なバニラのようなキャラウェイのようなアンモニアのような生理の生ぐさい臭気さえ… めくるめく色や形が鮮やかに短いはすっぱな言葉で表現されている 短いお話しが著者の人生とゆう塊となって立ち現れるもこざっぱりしているのがとっても不思議… 絶望も夢も毒も愛もなんも重たいことなくトイレにジャーって流しちゃってさっさと次に行く感じがする 軽いとも違うし… 不思議な読書体験だった…
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