夏の体温 の商品レビュー
オーディブルにて。 病気の子の、でも全然トクベツじゃない、イマドキの子の目線。苦しみも嬉しさも子どもらしさと現代らしい「空気を読む」対応力、友達と出会えた喜び等々が活き活きと描かれていてついつい先へと進んでしまう。 大きな悲劇もドラマティックな大事件もないけれど、彼らを支える人達...
オーディブルにて。 病気の子の、でも全然トクベツじゃない、イマドキの子の目線。苦しみも嬉しさも子どもらしさと現代らしい「空気を読む」対応力、友達と出会えた喜び等々が活き活きと描かれていてついつい先へと進んでしまう。 大きな悲劇もドラマティックな大事件もないけれど、彼らを支える人達も含めて、それぞれの場でそれぞれの運命を受入、それぞれが頑張っている様子全部を応援したくなっている自分に気付く。 一緒に入っている短編も良かった。 ラクではないけど自分なりに頑張って行こう。 そう思わせてくれる一冊。
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どの話もたまらなく好きなんだけど、極悪人の話がクリーンヒットでした。もしこれを学生時代に読んでいたら私の人生が変わったかもしれないし、今読んだおかげで心と現実の目がかっぴらいた 瀬尾さんワールド健在。瀬尾さんの書く子供たちがとても好きです。ぜひこの世界の温度感のままでいてほしい
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※このレビューにはネタバレを含みます
小児病棟で1ヶ月以上入院している瑛介が、検査のため入院してきた同い年の壮太と出会って、友情を育む表題作。 表題作は私がイメージしていた瀬尾まいこ先生独特の、少しとぼけたような気の抜けた感じが少なく感じた。 でも2人が今の自分の置かれた立場や環境を前向きに捉えて、二人がら会えたことや友達になれたことを肯定的に考えられるの素敵だな。 2作目の、人間の暗い部分や悪人を描くべきとアドバイスを受けた作家が、腹黒であるとして「ストマックブラック」、「ストブラ」と呼ばれている同級生に、取材に行く「魅惑の極悪人ファイル」。 読みながら何度もふふっと笑ってしまった。こちらはイメージしていた瀬尾まいこ先生の話に近くて好き。 ストブラの高校時代のバスケ部の話を聞いて、不条理を感じたり腹が立って、振る舞おうとしていた生キャラメルをストブラに「私、そんな気分じゃないので」と切らせる主人公がとても好ましい。 この2人、すごくいいコンビだよ。 実際に友人に助けて欲しい時は、事故の時でも病気の時でもなくて、「学食での昼ごはん、いつもだと一人でもいいんですけど、たまに周りが知り合いばかりで、でもその知り合いたちはみんな誰かと一緒で、一人でいることが浮いてしまう時に声をかけてくれるとか、夜中ふと心細くなって、でもスマホのアドレス開いてみても、自分にはたやすく連絡できる相手が誰もいないと気づいた時に電話できるとか」なんだよね。共感ポイント。 転校を繰り返す主人公が、新しいクラスメイトと仲良くなれそうなきっかけの話「花曇りの向こう」も爽やかで穏やかな気持ちになれるお話だった。
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入院することが生活となってしまっている子供を見る機会は時々あるので、すごい気持ちが入ってしまいました。 すべて素敵な話なのですが、極悪人を求めている主人公を描いた作品が特に好きでした。
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瀬尾さんの描く男の子達の爽やかさ。 きっと学校ではいろいろあるのだろうし辛いこともアルのだろうな。 入院、病院を通じて出会った境遇のにた二人はマイナスな感情。 ネガティブな気持ちをお互い見せず気を遣い笑って友情を育んでいる。 短い時間の中でも互いを認め合いわかり合える。 なんかい...
瀬尾さんの描く男の子達の爽やかさ。 きっと学校ではいろいろあるのだろうし辛いこともアルのだろうな。 入院、病院を通じて出会った境遇のにた二人はマイナスな感情。 ネガティブな気持ちをお互い見せず気を遣い笑って友情を育んでいる。 短い時間の中でも互いを認め合いわかり合える。 なんかいいなぁ、男の子ってって思いました。 ほか二遍もよかった。 幸アレと願う。 さらっと短いけれど明日は良いことありますよって気持ちになる。
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現実にはありえなくて、悪い人がひとりも出てこないけと、瀬尾さんのやさしくあたたかい小説が好きです。今回も、みんながんばれ!と思いました。
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表題作を含む、出会いがもたらす優しくあたたかな3編の物語。 ≪夏の体温≫は、病院で出会った小学三年生の男の子たちの友情の話。小学三年生という絶妙な年頃で、一人は長期入院中で退院がいつになるかわからないけれどもしかしたら治るかもしれない、一人は二泊三日の短期入院だけれどもう五...
表題作を含む、出会いがもたらす優しくあたたかな3編の物語。 ≪夏の体温≫は、病院で出会った小学三年生の男の子たちの友情の話。小学三年生という絶妙な年頃で、一人は長期入院中で退院がいつになるかわからないけれどもしかしたら治るかもしれない、一人は二泊三日の短期入院だけれどもう五回目にもなる低身長の検査入院。そんな特殊な状況で過ごす二人の二日半はとても濃密で、心情の動きがリアルで、達観しているところが切なくて。物語の後の二人が生き生きと走り回れるようになっていることを願わずにいられません。 ≪魅惑の極悪人ファイル≫は、女子大学生作家の主人公が作品作りに行き詰まり、リアルなどろどろとした物語を書くために探した『極悪人』との出会いで考え方や行動が変わっていく物語。主人公の空想や発想、行動はどこかずれていて、読み進めるうちに何度も笑ってしまうようなシーンがあるのだけれど、その主人公が探してきた『極悪人』のあだ名がストブラ(腹黒)の男子大学生も面白い。誰かに興味を持って、その人の背景を知ったり、その人のために行動しようとしたり。大人になるほど距離を詰めることをしなくなってきた自分には、何だか二人の関係が新鮮で、どこか意外で、とてもわくわくするものに感じました。 ≪花曇りの向こう≫は、転校を繰り返してきた中学生の話。短い中にぎゅっとやさしいあたたかさが詰め込まれていました。 どれも、誰かとの出会いで世界が少しだけ広くなったり、見え方が変わったり、前向きになれたり、感情が揺さぶられたり、そんな素敵な化学変化が起きることを思い出させてくれる優しいお話でした。 私も、誰かとの出会いでそんな変化をもたらすことができるような付き合い方を、もう一度していきたいものです。
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きちんと俵型やのに口に入れるとふんわりほどけるような優しいおにぎり…みたいな小説3編。 小児病棟に入院している小学生(夏の体温)も、陰キャな大学生小説家(魅惑の極悪人ファイル)も、転校先で今一つなじめない中学生(花曇りの向こう)も、みんなちょっと隣を見たらいそうな子達、彼らの生活にも物語の最初と最後にとんでもなく大きな差はないのに、何か希望が灯る締め方も良い。 表題作が一番読ませるし存在感も大きい、こんな舞台で、普通は何かしらお涙演出を欲かいてしまうところやのに、日常描写だけで小説が書けるのが瀬尾まい子の凄さだと思う。 2作目が妙に気になった。なんでストブラなんだろ?揶揄われたのか、いい人すぎて逆に一物あると思われたのか?そして昨今の小説家はやっぱメモじゃなくボイスメモなんやなぁ、そこは俺が前時代文化を背負いすぎなんやろな。 3作目、中一国語の教科書用に書かれた短編。これを読む授業で彼らは何を思うのか?思わせる幅を思いっきり持たせるのが凄い、ジャンプが掲げる「友情」とは対極の位置にある潜んでいるけど地味深い友情。
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中でも「夏の体温」が印象的だった。瑛介が夜にプレイルームのおもちゃの箱をわざとひっくり返すことを知っていた壮太が置き土産に紙飛行機を置いていってくれたのは微笑ましいと感じた。
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『夏の体温』 入院生活で出会った小3の瑛介と壮太。病院のプレイルームでの限られた時間は、忘れられないものになったと思う。壮太が残したたくさんの紙飛行機と、手紙と、ひからびたバッタ。短い時間を過ごしただけなのに、瑛介への思いが溢れていた。瑛介と壮太の2人の楽しい時間が、これから現実...
『夏の体温』 入院生活で出会った小3の瑛介と壮太。病院のプレイルームでの限られた時間は、忘れられないものになったと思う。壮太が残したたくさんの紙飛行機と、手紙と、ひからびたバッタ。短い時間を過ごしただけなのに、瑛介への思いが溢れていた。瑛介と壮太の2人の楽しい時間が、これから現実に向かっていく糧になるのは間違いないと思った。こどもの頃に入院を経験すると、精神的に大人になるのが早いような気がする。またいつかこの2人が会えればいいなと思った。 他2つの短編あり。 『魅惑の極悪人ファイル』 『花曇りの向こう』
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