人類の起源 の商品レビュー
タイトルどおり、われわれホモ・サピエンスの起源について述べた新書。近年DNA解析などの最新の技術によって、だいぶあらたにわかってきたことも多く、読んでいて「ココまでわかっているのか」と頷かされることが多かったが、それと同時に、「ココまでしかわかっていないのか」という気持にもなった...
タイトルどおり、われわれホモ・サピエンスの起源について述べた新書。近年DNA解析などの最新の技術によって、だいぶあらたにわかってきたことも多く、読んでいて「ココまでわかっているのか」と頷かされることが多かったが、それと同時に、「ココまでしかわかっていないのか」という気持にもなった。たくさんのことがわかっているようで、まだまだなにもわかっていないのである。もちろんだからといって本書に読む価値がないとは思わない。最新の知見からは学ぶことが多く、人種など地域ごとの特徴の差が、古代の遺伝的な交雑に由来するとは知らなかった。また、「縄文人」と「弥生人」に関する記述も興味深い。弥生人が渡来系というのは知ってはいたのだが、じっさい遺伝子を解析してみると、弥生人が縄文人を吞み込むようにして滲透していったことが確認できるという。わたしは「騎馬民族征服王朝説」を思い浮かべた。あの説は古墳時代のことだから間違いではあるのだが、弥生時代に渡来系が列島を席捲していったと考えれば、まったくの荒唐無稽な発想ではなかったのかもしれない。ところで、排外主義が異常に猛威を振るう現在にあっては、最後の「終章」だけでも読む価値がある。人種差別は許されないとあらためて言及しておきたい。
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DNA解析や古代ゲノム研究によって日々塗り替えられている人類進化の最先端の研究成果を分かりやすく説明してくれる。 学校で〇十年前に”人類の黎明”を学習したころは、アウストラロピテクスとか、ジャワ原人や北京原人、ネアンデルタール人、そしてクロマニヨン人という名称とともに、その...
DNA解析や古代ゲノム研究によって日々塗り替えられている人類進化の最先端の研究成果を分かりやすく説明してくれる。 学校で〇十年前に”人類の黎明”を学習したころは、アウストラロピテクスとか、ジャワ原人や北京原人、ネアンデルタール人、そしてクロマニヨン人という名称とともに、その順で進化をしてきたんだということを習ったと記憶しているが、本書を読んで、ホモ・サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人という三種の人類が数十万年にわたって共存していたこと、しかもそれらが交雑して遺伝子を交換してきたことが分かってきているなど、新しい事実の数々に驚きを禁じ得ない。 また各地域における集団がどのように移動し、現在に至っているかなどもだいぶん分かってきたようだし、従来二重構造モデルで説明されてきた日本人のルーツについても核ゲノム解析等により科学的な解明が進んでいるらしい。日本では状態の良い人骨があまり残っていないので、どのくらいの精度で判明するのか良く分からないが、今後の研究の進展が実に楽しみ。
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700万年前にアフリカで誕生したヒトの進化とその過程での枝分かれ、200~300万年前の原人により、人類として直立歩行と脳の発達が目覚ましくなり、またアフリカを出てユーラシアへ拡散。そしてアフリカでのホモ・サピエンスの出現と、その出アフリカと各地への拡散。これらの解明が、以前は出...
700万年前にアフリカで誕生したヒトの進化とその過程での枝分かれ、200~300万年前の原人により、人類として直立歩行と脳の発達が目覚ましくなり、またアフリカを出てユーラシアへ拡散。そしてアフリカでのホモ・サピエンスの出現と、その出アフリカと各地への拡散。これらの解明が、以前は出土する化石人骨の形態比較や考古学的遺跡・遺物の形態・比較研究を通じて、朧げな足取りしか辿れなかった。しかし、ゲノム研究の進展とその技術の人類学への導入により研究は飛躍的な進展を見せている。また、ゲノム研究もかつては女性のみが保有するミトコンドリアDNAの解析のみであったが、次世代シークエンサーの導入により、核ゲノムの解析も可能になり、またPCR法の導入は以前では出来なかった年代の古い化石人骨などからもゲノムの採集が可能となり、かなり具体的な人類進化と枝分かれ、各地への拡散の絵を描くことが可能になってきた。出アフリカ後のホモ・サピエンスの拡散状況がかつて考えられていたものよりもかなり複雑なようそうであったり、旧人のネアンデルタール人やデニソワ人とホモ・サピエンスとの混血の様子、そして現代人のゲノムにネアンデルタール人などの遺伝子がどの程度含まれているのかなど、様々事実が明らかとなって来ている。日本列島へのヒトの移動の様相や、旧石器時代人と縄文人との関係、その後の弥生人との関係、アイヌや琉球人との関係など、かつて考えられていた事がより事実として精緻な情報が得られ、この分野での歴史も大いに見直す必要があるようである。
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今世紀の初め頃までは、古人骨はミトコンドリアDNAしか分析できなかったが、2006年に次世代シーケンサーによって核DNAの解析ができるようになった。
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人類の起源(人類誕生からいかに人類が世界に拡散していったか)をミトコンドリアDNA、Y染色体、ゲノムから読み解いていく。まあ、面白いと言えば面白いが、もう少し遺伝子についての説明(特に中身で出てくる地域的、民族的、個人的な遺伝情報の差異の説明)があった方が内容が頭に入って来る。遺伝情報の差異をグラフだけで見せられても何なのか理解できない。
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そもそも化石からゲノム分析が出来るというのに驚き。しかしあまりにも複雑すぎて読むのに時間がかかったわ。 「それぞれの個人はホモサピエンスという巨大なネットを構成する結び目の一つ」という表現、腑に落ちました。宇宙からものが見えている方の言葉ですね。 ちょっと違うかもしれないけど、...
そもそも化石からゲノム分析が出来るというのに驚き。しかしあまりにも複雑すぎて読むのに時間がかかったわ。 「それぞれの個人はホモサピエンスという巨大なネットを構成する結び目の一つ」という表現、腑に落ちました。宇宙からものが見えている方の言葉ですね。 ちょっと違うかもしれないけど、福岡伸一さんの動的平衡、水の渦の例えを思い出しました。 分子生物学触ってるとこうなるのかな?
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後半難しすぎる。 知りたかったとこだけ読んで終わった感じ。 科学の発達(DNA分析)でこれから先、今までの定説が覆ることもあるだろうし、より定説が詳細になる可能性だって秘めている。 いつの日か解明されることを願って。もっと詳しくなったら再読しよう
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DNA解析技術の画期的な進歩により従来の説はひっくり返り、何が正しいのか分からなくなっているということ。 人類の起源はホモ属とすれば200万年前、ホモサピエンスとすれば20万年前となる。また今は「人種」という言葉は使わない。 ホモサピエンスが6万年前以降にアフリカを出た、という説も、今となっては怪しげのようだ。
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いま話題の国立科学博物館・篠田館長のご専門は分子人類学であり、DNAなど遺伝子分析から人類の進化史を探る研究をされてきた。昨年のノーベル医学賞ではOISTのぺーポ博士が選ばれたように、遺伝子シークエンスによる我々のルーツ研究は日進月歩で発展している分野だ。 驚くべきなのは、ネア...
いま話題の国立科学博物館・篠田館長のご専門は分子人類学であり、DNAなど遺伝子分析から人類の進化史を探る研究をされてきた。昨年のノーベル医学賞ではOISTのぺーポ博士が選ばれたように、遺伝子シークエンスによる我々のルーツ研究は日進月歩で発展している分野だ。 驚くべきなのは、ネアンデルタール人やデニソワ人といった絶滅人類とも交配し、現在の我々の遺伝子にもその数%の痕跡が認められることだ。そしてホモ・サピエンスには約30万年前と約10万年前の二度、出アフリカしたと考えられ、初期拡散は約20万年前には失敗に終わった。つまり最初は、他の人類との競争に敗れたのだ! この辺りの研究成果と、ハラリ氏の『サピエンス全史』等の考察を組み合せると、出アフリカ後の中央アジア地域の重要性に気づく。いわゆる肥沃な三日月地帯と呼ばれる、メソポタミア〜エジプト文明に至る農耕や牧畜の起源とされる人類社会揺籃の地において、ホモ・サピエンスが人口を増加させていった。それが他の人類を吸収・根絶させながら拡散する原動力となった仮説が浮かんでくる。 翻って現代の国際社会においても、この中東やウクライナを含むユーラシア大陸中央部は、食糧やエネルギー等の人類社会における最重要地域である。そして残念なことに、度重なる戦争によってこれら人類の進化史を記すような貴重な遺跡や化石資料が失われている状況でもある。人類はどこから来たのか、そしてどこに向かうのか。世界の中心はいまも混迷している。
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著しい発展が日進月歩で進む人類の進化史は、今最も注目を浴びている学術分野の一つと言って差し支えないだろう。本書はホモ・サピエンスがいかに拡がり、そしてどのような集団を形成したのかを詳述している。 DNA配列の変異を追い、集団の近縁を知ることができるということを、多くの具体例や...
著しい発展が日進月歩で進む人類の進化史は、今最も注目を浴びている学術分野の一つと言って差し支えないだろう。本書はホモ・サピエンスがいかに拡がり、そしてどのような集団を形成したのかを詳述している。 DNA配列の変異を追い、集団の近縁を知ることができるということを、多くの具体例やルートと共に検証していく過程にワクワクする気持ちを抑えられないほどに知的好奇心を刺激させられる。 日本史や世界史においての文明やクニの興りは、集団の移動の歴史とも捉えることができることは、いかに断片的な歴史認識をしていたかと考えさせられる記述が多く、科学と歴史の融合が非常に心地よく文に編まれている。 文理融合型の学びという例えが正しいのかは分からないが、双方からの知的欲求に耐え得る素晴らしい一冊である。
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