人類の起源 の商品レビュー
近年のDNA検査の充実を基に、アフリカで生まれた人類がどのように移動し交雑していったか、日本人とは何か、など、最新情報が平易に語られ非常に分かり易い。
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おもしろかった!!!! 専門的な内容ですが平易な文章でかかれていて毎晩すこしずつ、たのしくよみました。 超俯瞰的な規模で人類をみてみるとほんとうに人種なんて些細なものだなとかんじました。 ただ興味深くおもしろいだけの本ではなく、ただあたらしい知識を得られるだけの本でもなく。 人類間にいまだ根強くある差別について、人類の起源をたどるという形で一石を投じるような意義のある本だったと思います。 よむことができてよかったです。
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新書大賞第2位ということで手に取ってみた。 以前は古人骨からミトコンドリアを取り出し分析することしかできなかった(十分すごいと思う)。しかし科学の進歩に伴い、21世紀になってから古代ゲノム解析が可能になった。古代ゲノム解析によって古人骨のかけらや便などからも多くのことがわかるようになった。それは性別や性別だけではなく食生活から集団の規模まで。それらの情報を集めることで人類の起源(どういった流れでホモサピエンスが世界展開を成し得たか)を読み解くのが本書である。 古代ゲノム解析によって非常に多くのことが解明できるというのは衝撃だった。特に遺伝的特徴を共有している集団と言語的集団が相関関係にあるというのは私にとって新しい発見だった。現代のグローバル社会ならいざ知らず、太古の昔であれば言語や文化を共有していると婚姻するのは当たり前といえば当たり前なのだが。 種の定義として「自由に交配し、生殖能力のある子孫を残す集団」とある。私もこの理解だったが、ではホモ・サピエンスとネアンデルタール人が別種である根拠は何なのだろう?交配は限定的だったから別種ということなのだろうか?また、アメリカ大陸に農耕が伝わった方法に関してもよくわからなかった。ベーリング陸峡を経てアメリカに渡ったのは狩猟採集民だよね? 内容は非常に濃密で興味深かったのだが、正直なところ私には少し難しかった。難解な内容が簡潔にまとめられているのだろうが、淡々と根拠と結論が提示されていくだけで、教科書を読んでいるような感覚になった。さすがは中公新書というべきか。予備知識があったりすればもっと楽しめるのだろう。 終章には古代ゲノム解析の結果を悪用し、人種や民族を差別することに対する警鐘を鳴らしていた。ここ最近読んだ『なぜ事実は人の意見を変えられないのか』でも人の行動の80%以上は共通しているとあった。人は皆そんなに変わらない。仲良くしていけばいいのにな。
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ネアンデルタール人の研究で成果を挙げた科学者が、2022年のノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュースがありました。 DNA解析技術が、古代人さらには人類の起源についての研究に、大きな革命をもたらしていると聞いて、興味を持っていました。 そんな中、日本人著者が書いたこの新書が...
ネアンデルタール人の研究で成果を挙げた科学者が、2022年のノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュースがありました。 DNA解析技術が、古代人さらには人類の起源についての研究に、大きな革命をもたらしていると聞いて、興味を持っていました。 そんな中、日本人著者が書いたこの新書が出版されていることを知り、アウトラインでも理解できればと思い、読むことにしました。 本書は第一章から第七章、および終章で構成されています。 序盤の第一章、第二章は、現代人:ホモ・サピエンスが、どのような進化の経路をたどって誕生したかの説明 古代人の骨がなくても、その古代人が住んでいた場所の土壌で、DNA解析できる場合があると知って、驚いてしまいました。 これらの技術によって、(まだまだ分からないことが多いながらも)従来の説を覆す新発見が続いているのだと、理解しました。 第三章は誕生の地、アフリカ大陸で、第四章はヨーロッパで、ホモ・サピエンスがどのように、広がっていったのかについて。 アフリカ大陸の中にいた間に、複数の系統が生まれ、離散と集合を繰り返していたのですね。 それだけ、アフリカ大陸以外に進出する前に、長い年月がかかったのだと理解しました。 ヨーロッパにおいても同様で、進化が一方向に直線的に進むのではないということを学びました。 第五章は、アジアさらには南太平洋への進出について。 第六章は”日本人“の起源について。 日本人集団の成立については、従来から言われていた通り、農耕文化の伝播が大きく影響している。 しかしその経路は、考えられていたよりも複雑なのだと、理解しました。 沖縄と北海道の文化の変遷も、興味深く読みました。 第七章は、アメリカへの進出について。 終章は、これまでの研究から何が見出されたか、それをどう活かすかについて。 アメリカ大陸へのホモ・サピエンスの進出は、従来考えられていたよりも前に始まっていた。 しかしその後、地球の気温変化により停滞を余儀なくされていた。 ここでも、進化が一方向には進んでいかないこと、時間がかかるのだということを、学びました。 読み終えてまず、新しい技術によって新たな知見が見出されていること、その中には、これまでの常識や定説を覆すものが含まれているということに、大きな可能性を感じました。 著者も書いているように、まだ発展途上の研究なので、さらにわかってくることも多くありそうですね。 まだ、古代人のデータ解析が進んでいない地域のデータも多いようなので、この分野の本は今後もチェックして、最新の知識を得ていきたいと思います。 .
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現世人類(ホモサピエンス)がいつ発生して、どの様に地球上に広がったかを最新の研究に基づいて説明した本です。 元々興味があった分野の最先端の情報が紹介されており、時間を忘れて読み耽るほど面白かったです。出アフリカ後の人類は様々に枝分かれして、現在の形質を獲得したという漠然としたイ...
現世人類(ホモサピエンス)がいつ発生して、どの様に地球上に広がったかを最新の研究に基づいて説明した本です。 元々興味があった分野の最先端の情報が紹介されており、時間を忘れて読み耽るほど面白かったです。出アフリカ後の人類は様々に枝分かれして、現在の形質を獲得したという漠然としたイメージを持っていましたが、集散離合を繰り返して現人類が形成されたという話は、今まで持っていた知識が如何に単純化されすぎたものなのか思い知りました。 また、本書に記載されてることが広く知られることは、社会的な意義も大きいと考えています。特に以下の事実についてより広く世の中に認知されるべきではないかと強く思いました。 ■現代人類は全員、遺伝的に99.9%同じである。 ■遺伝的な距離(差異)は、異なる民族間よりも、同じ民族内の個人間の方が大きい。 ■そもそも「民族」や「人種」といった概念は、科学的に定義できない。 民族や人種に自身のアイデンティティを求めるのは全く悪いことではないと思います。ただ、それは科学的な定義ができない曖昧な概念であると知ることは、民族や人種という考えがもたらす社会的な対立を避ける為に重要だと思います。決して大げさではなく、本書の内容が世に広まることはそういった社会の中の軋轢を緩和する一助となるのではないでしょうか。
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安宅先生(慶応大教授)お勧めの本。 次世代シーケンサーによってゲノム解析は、急速に発達している。2020年代の最新の研究に言及されている点、これからの展望にも触れられている点など、とても興味深く良かった。 我々ホモ・サピエンスは単独で存在してきた訳ではなく、今までに様々に他の種を...
安宅先生(慶応大教授)お勧めの本。 次世代シーケンサーによってゲノム解析は、急速に発達している。2020年代の最新の研究に言及されている点、これからの展望にも触れられている点など、とても興味深く良かった。 我々ホモ・サピエンスは単独で存在してきた訳ではなく、今までに様々に他の種を取り込みながらここまで来たのだと分かった。 また、ゲノム解析が進むことでどのように人類が移動してきたのかが分かってきて、歴史学や言語学、考古学など、様々な分野に影響が出てくるであろうとこは明白であり、非常に興味深い。
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最新のDNA解析で古代人のゲノムを解析し、人類の進化をよりクリアに紐解きます。ホモサピエンスは一本道で進化したのではなく、ネアンデルタール人と交雑したり、たまたま出会った遺伝子ミックスが異なる人類と交ざったりと紆余曲折を経て進化してきたのです。
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古代ゲノム解析にもとづく人類の進化史とホモサピエンスの拡散と集団の成立史。 ホモサピエンスという視点から民族を考察した場合、そもそも民族集団の成立が数千年前と人類史から見たらごく最近であり、また、その集団内の遺伝的な性格はそれぞれに違い、遺伝的な性格を変化させていることから何々民...
古代ゲノム解析にもとづく人類の進化史とホモサピエンスの拡散と集団の成立史。 ホモサピエンスという視点から民族を考察した場合、そもそも民族集団の成立が数千年前と人類史から見たらごく最近であり、また、その集団内の遺伝的な性格はそれぞれに違い、遺伝的な性格を変化させていることから何々民族が優秀だとか劣っているとかはナンセンスであり、将来は他集団との混合で民族が生物学的な実態を失っていくとの指摘はなるほどと思いました。 ホモサピエンスのゲノムは99.%が共通で0.1%に姿形や能力の違いの原因となっている変異があることからだが、その大部分は交配集団の中に生まれるランダムな変化であるとの指摘にもそうかと納得でした。 ゲノム分析により人類、文明や民族の認識が広く変わっていくのだろうと思いました。
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アフリカでホモ・サピエンスが誕生し、生物の進化みたいに、直線的に世界に広がっていったというイメージでしたが、そうではなく、各地に発生したホモ属との交雑を経て、滅んだ種族もある中で今日のホモ・サピエンスが世界に広がったとのこと。そう言われれば、その方が自然。交雑の中で一番残っている...
アフリカでホモ・サピエンスが誕生し、生物の進化みたいに、直線的に世界に広がっていったというイメージでしたが、そうではなく、各地に発生したホモ属との交雑を経て、滅んだ種族もある中で今日のホモ・サピエンスが世界に広がったとのこと。そう言われれば、その方が自然。交雑の中で一番残っている遺伝子がホモ・サピエンスということなのでしょう。研究が進むにつれどんどん真実がアップデートされていく分野なんですね。世の通説はあまりに単純化されている気がします。本書は学術度が高く素人には多少しんどかったです。
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現代の人間の起源をゲノム解析から明らかにしようとしている研究の成果がよく解り、驚かされます。ただ、この研究の最も価値ある成果とは、民族や人種に優劣はなく、もとを辿れば皆1つだ、ということ。それは世界平和に科学でアプローチしようとしている、と私は感じました。是非、この研究がさらに進...
現代の人間の起源をゲノム解析から明らかにしようとしている研究の成果がよく解り、驚かされます。ただ、この研究の最も価値ある成果とは、民族や人種に優劣はなく、もとを辿れば皆1つだ、ということ。それは世界平和に科学でアプローチしようとしている、と私は感じました。是非、この研究がさらに進歩するとこを祈ります。
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