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悪い言語哲学入門 の商品レビュー

3.6

24件のお客様レビュー

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2022/03/27

あまりにも多くの言説が流布するこの時代において、いわゆる”悪口”ーヘイトスピーチなどのように極めて現代的なものも含めーの流布もエスカレートしているように感じられる。では”悪口”とは何なのか?、どこまでがセーフでどこからがグレーなのか、などシンプルな疑問を言語哲学の理論を元に明らか...

あまりにも多くの言説が流布するこの時代において、いわゆる”悪口”ーヘイトスピーチなどのように極めて現代的なものも含めーの流布もエスカレートしているように感じられる。では”悪口”とは何なのか?、どこまでがセーフでどこからがグレーなのか、などシンプルな疑問を言語哲学の理論を元に明らかにして、言語哲学という学問の面白さを知ってほしい、という著者の思いからまとめられた新書。 紹介される理論は、意味の外在論・内在論や言語行為論(Speech Act)などかなりソリッドなものであるが、著者特有の非常にユーモラスかつ難解な概念もシンプルになるべく伝えようという姿勢も相まって楽しく読み進めることができる。そして、”悪口”を糾弾されたときに往々にして言い訳として使われる「いや、そういうつもりはなかったんです」という言明が、言語哲学の理論を用いることでなぜナンセンスなのか、など、一種の学問の実践ともいえる知的な面白さがある。

Posted byブクログ

2022/03/24

言葉のもつ表の意味と裏の意味を知った。この分野は語用論という。実際の言葉の形から、ではどういう意味をもつのかを研究する。 京都の人が「えらいいうまい演奏ですなあ」といった場合、それは演奏を誉めているのではなく、うるさいからピアノを引くのをやめろ、という含みをもつ。このように言葉に...

言葉のもつ表の意味と裏の意味を知った。この分野は語用論という。実際の言葉の形から、ではどういう意味をもつのかを研究する。 京都の人が「えらいいうまい演奏ですなあ」といった場合、それは演奏を誉めているのではなく、うるさいからピアノを引くのをやめろ、という含みをもつ。このように言葉にはその言葉の裏にある「含み」をもつものがある。 自分は正面から言葉の意味を受け取ってしまうタイプである。この本のなかで言葉の表の意味と裏の意味を取り上げている中で、裏の意味がすぐにわからないことが多々あった。 言語行為論 言葉を発するのは純粋な情報伝達手段だけではなく、行為のひとつである。これを言語行為論という。 (1) 掃除は一年担当だよ(先輩が一年生に向かって) この場合、文の意味は掃除をするのは一年生であるという真理的条件文(真か偽が導ける文)であるが、その含みは「お前が掃除しろよ」である。 この言葉は相手にこういう行動をとれと命令している行為なのだ。 ヘイトスピーチの章で、いわゆる「言葉狩り」を批判している。 差別的な歴史をもつ言葉の使用により共有基盤(両者が了解している前提条件)がアップデートされる。特定の社会集団の序列・ランキングを下げる効果がある。「お前タバコやめたんだ」という言葉にはタバコを吸っていたという前提条件が含まれる。このようにいうことで暗黙のうちに共有基盤がタバコを吸っていたという事実があったとしてアップデートされる。 そういった言葉の使用は憎悪のもとであり使用の禁止を検討すべきである、という。 私は言葉狩りには反対の立場であった。なぜなら言葉というのは、今ここに記している通り、自分の考えを伝えるものであり書き留めていく技術なのである。 その言葉を制限されるのは自分の思考・表現を制限されるようで、かなりの苦痛である。 それを踏まえて言葉狩りには反対の立場であったが、言語行為論を知り発話は行為ならば、集団を傷つける言葉は暴力行為になる。そうならば規制されて当然だろう。

Posted byブクログ

2022/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトル勝ち。悪口の言語哲学じゃ売れないよね。基礎概念を一通り追っかけることができる。ダークサイドというほどダークかというと、そこはそれ。よくできた入門書。これ読んでから教科書読むとか、そういう感じ。

Posted byブクログ

2022/02/16

業界人が注目しているとても優秀な先生。悪口の哲学入門かと思っていたが、悪口をネタにした言語哲学入門の色の方が強い。前半はちょっと苦しくかったが、第5章あたりからおもしろくなる。「低いランクづけ」あるいは「格下げ」としての悪口・ヘイトスピーチというアイディアはおもしろいと思うが(英...

業界人が注目しているとても優秀な先生。悪口の哲学入門かと思っていたが、悪口をネタにした言語哲学入門の色の方が強い。前半はちょっと苦しくかったが、第5章あたりからおもしろくなる。「低いランクづけ」あるいは「格下げ」としての悪口・ヘイトスピーチというアイディアはおもしろいと思うが(英語圏の一部フェミニストが採用したりしていたやつだ)、私はあんまり納得しない。そのうちブログ程度書くかもしれない。

Posted byブクログ