砂嵐に星屑 の商品レビュー
一穂ミチは初めて読んだけど2〜3時間で一気に読むほどおもしろかった 短編集でどれも会話が多く読みやすいけど、二章は独白中心で少しテンポ悪く感じたかも 関東住みだけど大阪には数ヶ月に一度行くので、情景がありありと目に浮かんだのもよかったのかも
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テレビ局で働く4人の短編集。それぞれに少しずつ登場人物が関わってきます。 冬の話の晴一、自分にもそういうとこあるなとちょっとヒリヒリしました。 人にはそれぞれ色々な過去や事情があって、表面的には見えなくても何かを抱えているかもしれない。 自分ばっかり損しているとか、ついてないとか...
テレビ局で働く4人の短編集。それぞれに少しずつ登場人物が関わってきます。 冬の話の晴一、自分にもそういうとこあるなとちょっとヒリヒリしました。 人にはそれぞれ色々な過去や事情があって、表面的には見えなくても何かを抱えているかもしれない。 自分ばっかり損しているとか、ついてないとかおもってしまうこともあるけど、本当にそうなのか。 一穂ミチさんが書く登場人物の心情表現がとても繊細で素晴らしいです。
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四季を冠した短編 共通点は テレビ局で働く人 震災 大事に思う人との関係の気付き(うまく言語化できない、、、!)
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さくさくと読める本。 TV局に勤める不器用な人の短編集。 阪神淡路大震災は、自分の住んでいる地域ではなかったが、生きてきた中で初めての大きな地震で、TVを見るたびに死者数が増えていっていたのが衝撃だった。 その記憶があるので、最後のお話は泣けた。
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自分も含めて人の見えている部分は一部分でしかない。 それぞれのキャラクター主観の短編が収録されているが、各短編の中でキャラクターの見え方が変わってくる。 見えてないだけで大なり小なり色んな悩みや葛藤が生きていればあるよね。 泥臭くて名もない仕事がどれだけあるのだろうと思った。日常...
自分も含めて人の見えている部分は一部分でしかない。 それぞれのキャラクター主観の短編が収録されているが、各短編の中でキャラクターの見え方が変わってくる。 見えてないだけで大なり小なり色んな悩みや葛藤が生きていればあるよね。 泥臭くて名もない仕事がどれだけあるのだろうと思った。日常に少し暖かさをくれる小説だった。
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何時からだろう? 「今日も番組をご覧下さり有難うございました」と深々とお辞儀するアナウンサーが増えたように感じる。大阪のテレビ局を舞台に、そこで働く人々の苦悩や悲哀を描く四遍の連作短編集を手に取った。 〈春〉資料室の幽霊 また新しくて退屈な一日が始まる・・ と呟くのは、10年...
何時からだろう? 「今日も番組をご覧下さり有難うございました」と深々とお辞儀するアナウンサーが増えたように感じる。大阪のテレビ局を舞台に、そこで働く人々の苦悩や悲哀を描く四遍の連作短編集を手に取った。 〈春〉資料室の幽霊 また新しくて退屈な一日が始まる・・ と呟くのは、10年ぶりに大阪に戻ってきた40代局アナの三木邑子(ゆうこ) 街はこんなに変わったのに、私はただ年を取り老いへと下っていっただけ!かつての不倫相手、村雲の幽霊が出ると聞き資料室に向かった邑子の前に… 大阪の人って、独立独歩みたいな顔して実は東京が気になってしかたがないのよね… 大阪出身の著者だけあり、街の空気感や人の描き方が上手い。邑子と新人の女子アナ、笠原雪乃との対比もなかなかリアル。この一話を読んだだけでTVドラマ化できそうだと思った。 〈夏〉泥舟のモラトリアム 報道デスクの中島52歳。"カピバラのような癒し系"と邑子に言われるが、娘の明里とは冷戦状態。早朝の地震で電車は運休。西宮駅からなにわテレビのある福島駅まで同期の次長、市岡と歩きだす… この二話目が、一番好きだった。 妻の握ってくれたおにぎりを、市岡にひとつ差し出した中島は本当にいい人! (一方の市岡は途中で分かれて自転車でひとり局入りとはまあ要領のよいこと。) 次々と仲間が早期退職する中で自分だけが置き去りにされたように感じる中島。美しく変わりゆく鳴尾駅を汗みどろの中年男が見つめる姿が切ない。 「俺の人生、この先ひとつもええことなんかないんやろな」と小心な自分に惨めさを覚えながらも少しずつ前へ進む。 地図をなぞりながら中島の来し方にじわりと胸にくるものがあった。微かな光に優しさを感じる終わりが良かった。 〈秋〉嵐のランデブー 〈冬〉眠れぬ夜のあなた は20代、30代の働く若者の心にきっと届く話だと思う。 そして、初版特典掌編「砂嵐に花びら」 星屑たちが夜桜の中で一つ一つ輝いているようで気持ちがふわりと温かくなった。
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どの章も一見平凡な日常を描いてるが、後半に差し掛かって登場人物たちの切ない過去が明らかになる過程がとても引き込まれました。みな何かを背負って生きていて、その背負ってる物事と向き合わないといけない中で、いつの間にか誰かに支えられながら最後は小さく前進してる。登場人物が愛おしくなる話...
どの章も一見平凡な日常を描いてるが、後半に差し掛かって登場人物たちの切ない過去が明らかになる過程がとても引き込まれました。みな何かを背負って生きていて、その背負ってる物事と向き合わないといけない中で、いつの間にか誰かに支えられながら最後は小さく前進してる。登場人物が愛おしくなる話ばかりで心が温まりました。
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思うようにいかない仕事や私生活。でも生きている。だから何とか頑張ってみよう。それでダメだったらそのときのことだ。 大阪のテレビ局を舞台に、人生の停滞期にいる老若男女を描く連作短編ヒューマンドラマ。 ◇ 朝の5時半。まだ住み慣れないマンションのベランダか...
思うようにいかない仕事や私生活。でも生きている。だから何とか頑張ってみよう。それでダメだったらそのときのことだ。 大阪のテレビ局を舞台に、人生の停滞期にいる老若男女を描く連作短編ヒューマンドラマ。 ◇ 朝の5時半。まだ住み慣れないマンションのベランダからなかなか明るくならない東の空を眺め、三木邑子は大阪の日の出が東京より30分くらい遅かったことを思い出した。 今日から新しい生活が始まる。しばらく空を見ていた邑子は、気持ちを切り替えるように身支度を整えることにした。 東京で生まれ育った邑子は、就職して10年間は大阪局配属だったが、その後、晴れて花の東京局に異動。だが10年経ったこの春、再び大阪局勤務となった。 邑子がいわゆる「出戻り」になったのには理由がある。上司だった村雲との不倫がバレて、村雲の妻が局に乗り込んできたことによる懲罰人事だった。 大阪局での邑子は主任アナウンサー。スネに傷持つ43歳の邑子には妥当なところと言える。 その日、局入りした邑子に皆よそよそしく誰も必要以上に話しかけてこない。それでも粛々とニュース番組をこなしてスタジオを出たところで、番組デスクの中島が声を掛けてきた。中島は邑子の新人時代からの先輩で、人柄がいい。自然な流れで飲みに行くことになった。 だが、旧交を温めるつもりでいた邑子に中島が切り出したのは、病死した村雲の幽霊が局ビル13階の資料室に出るという話だった。思いも寄らない話を聞いた邑子は……。 ( 第1話「〈春〉資料室の幽霊」) 全4話。 * * * * * 人生はひと筋縄ではいかない、思い通りにならないことのほうが多い、ということを痛いほど感じます。 第1話の三木邑子さん。 花の女子アナ、しかもキー局での採用。初任地は大阪局ながら33歳で東京本局に栄転と順調にキャリアを積んできました。 けれど有頂天になったのか上司との不倫に走り、それが発覚してしまいます。結局、大阪局に異動させられた邑子さんは、主任アナウンサーではあるものの周りから距離を置かれるという「針の筵」状態で……。 第2話の報道部デスクの中島さん。 大阪局報道畑の長いベテランです。阪神・淡路大震災では体を張っての取材でニュース番組を製作するなど、情熱的に仕事をこなしてきました。 けれど50歳を過ぎてみると、同期は出世しているか別の道を見つけて新たな一歩を踏み出しているかになっていて、相変わらず現場の中間管理職のままなのは自分だけであることに気づきます。 部内での調整役的な誰でもできる業務。自分の存在価値への自信が揺らぎだした中島さんは……。 第3話の佐々結花さん。 大阪局でタイムキーパーを務める20代後半の女性です。元は派遣社員でADとして局の雑用をこなしていましたが、退職予定のタイムキーパーの女性から声を掛けられ仕事を引き継ぐことに。晴れて正社員として採用されました。 けれど彼女は2つの大きな悩みを抱えています。 その1つは、好きな男性が女性にまったく興味がなかったこと。つまり彼はゲイだったのです。 もう1つは、結花さんの小学生時代のことで、それが現在の彼女の屈折や気苦労に繋がっていて……。 第4話の堤晴一さん。 局のADですが30歳を過ぎた今も非正規のため収入は多くなく……という、4人の主人公の中でもっとも不憫な境遇です。 ある日、中島デスクに呼ばれた堤さん。同僚の池尻が担当していた「アラサー」というドキュメンタリーの番組を1本作るよう言われます。 取材・撮影・インタビューも1人でこなさないといけないこの仕事。機転が利かず人とのコミュニケーションも苦手な堤さんには荷が重いことは明白です。けれど正採用になるか契約解除になるかのテストのようなので引き受けざるを得ず……。 屈託を抱える主人公たち。それぞれ思わぬ縁があり視界を塞いでいた砂嵐が収まりはするのですが、根本的な問題の解消には至らないというところに、もどかしいながらリアリティを感じます。 そして、見えるのが星屑ほどの光であってももう少しだけ頑張ってみようかと、主人公たちが思い直すラストシーンが一穂ミチさんらしくて、個人的には気に入りました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「薄い関わりであろうと縁は縁で、思いがけず誰かの魂にそっと指先が掠める瞬間というのは確かにあり、自分が望むと望まざるとに関係なく、尊い一瞬だと思う。それを疎んじたり軽んじたりしていたら、人の間で生きていけない。」 テレビ局を舞台とした連作短編集。 日々は、ままならない事ばかり多くて、大きな転機や幸福が容易く舞い込むことはないけれど。 砂塵に霞む眼前の空に微かな星の光を見つけるかのごとく人情の機微に触れハッとした瞬間、少し心がほどけ、もうちょっと頑張ってみようと一歩踏み出すことができる。 そういう瞬間を逃さない感度をもって生きていたいと思わされる。
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TV業界に関わる4人4様の置かれた状況と心の動きが、細部にリアリティのあるエピソードを通して語られる、読む人の心を強く揺さぶる物語である。特に第4話は、劣等感が強く臆病なくせに無神経でいけ好かない主人公の話をどう収束させるのか、と思いつつ読み進めたが、最終的にとても感動的な幕切れ...
TV業界に関わる4人4様の置かれた状況と心の動きが、細部にリアリティのあるエピソードを通して語られる、読む人の心を強く揺さぶる物語である。特に第4話は、劣等感が強く臆病なくせに無神経でいけ好かない主人公の話をどう収束させるのか、と思いつつ読み進めたが、最終的にとても感動的な幕切れが用意されている。作者は小説を書き始める前に多くのBL系作品を著していたようだが、深い人間理解に基づいた人物造形が優れているのだろう。どの章でも一人一人の人格がとてもリアルに感じられる。最近読んだ小説の中でも際立っておもしろい作品だった。
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