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怪異猟奇ミステリー全史 の商品レビュー

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2022/02/01

いわゆる変格物に焦点を絞ったミステリ史。 前半は「オトランド城」を嚆矢とした西洋編で、後半は明治期の黒岩涙香らによる翻案物の隆盛から江戸川乱歩、新本格へという流れ。扱う範囲が広いため記述は教科書的かつ語り口の軽さもあってすいすい読めるのは良いが、扱っている題材と文体とのギャップに...

いわゆる変格物に焦点を絞ったミステリ史。 前半は「オトランド城」を嚆矢とした西洋編で、後半は明治期の黒岩涙香らによる翻案物の隆盛から江戸川乱歩、新本格へという流れ。扱う範囲が広いため記述は教科書的かつ語り口の軽さもあってすいすい読めるのは良いが、扱っている題材と文体とのギャップに若干の戸惑いを感じないでもない。例えば、ウォルポールの紹介が「ケンブリッジ大学で学んだのち、親の七光りで国会議員になります。しかし、政界と頭角を現すことはなく、好きな古物収集や芸術にもっぱら精を出しました。いわゆるディレッタント。今日風に言えばオタクです。」とまぁこういう具合で、ゴシックロマンスの雰囲気とはほど遠い。 全体的な満足度は高い内容だが、広い範囲をコンパクトにまとめた分、どうしても物足りない部分が出てくる(特に乱歩以後の国内の展開は駆け足過ぎる)ので、それを補完するような副読本的なものが欲しくなる。

Posted byブクログ