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「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ の商品レビュー

3.4

19件のお客様レビュー

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2024/09/09

大変面白かった。会社の営業があまりにもさせていただくメールばかりを書くものだから手に取ってみた。 敬意漸減の考え方や実例、新しい敬語の5分類、言葉の近接化作用と遠隔化作用、これだけでも大変勉強になった。適切なさせていただくの使い方に関しても納得。確かに謙譲語がない時など便利な場...

大変面白かった。会社の営業があまりにもさせていただくメールばかりを書くものだから手に取ってみた。 敬意漸減の考え方や実例、新しい敬語の5分類、言葉の近接化作用と遠隔化作用、これだけでも大変勉強になった。適切なさせていただくの使い方に関しても納得。確かに謙譲語がない時など便利な場面があるのは認める。そしてなぜ自分がさせていただくが好きじゃないのかについてもよく分析できた。「させていただく」は「私ってちゃんと人と丁寧に話すことのできる人間でしょ」と言うポーズを示す自己愛的な敬語なのかもしれない、って記述があってめちゃ腑に落ちた。これが違和感の一部なんだろな。使われすぎな点、定型的な表現な点、と合わせてそこが好きじゃないのがわかった。 俺としては多彩な敬語の語彙があって自在に使いこなすのが美しいしそれが日本語の楽しさなわけであって、何でもかんでもさせていただくのは何しろ思考停止しててアホっぽい、とは引き続き思う。けどこれも世代の差かも知れない。最後の章のまとめで面白かったのは、なんというかそもそも敬語は相手と自分をいわば上下の関係として取り扱ってきたものだと思うんだけど、させていただく、に関して言えば丁重にやってますよ、が効果であり、日本語のコミュニケーションや敬意や丁寧さのスタイルが変化してるってことまで考えさせられた所。良書。

Posted byブクログ

2024/02/01

「させていただく」使用の理由や歴史的経緯について。著者はこの言葉について中立的あるいはやや肯定的な立場で説明している。文法とか元々の意味から言葉遣いを考えるというよりは、今よく使われているのは理由があるからだ、という立場。させていただくというのを、文法的に謙譲語だと言うのでなく、...

「させていただく」使用の理由や歴史的経緯について。著者はこの言葉について中立的あるいはやや肯定的な立場で説明している。文法とか元々の意味から言葉遣いを考えるというよりは、今よく使われているのは理由があるからだ、という立場。させていただくというのを、文法的に謙譲語だと言うのでなく、使われ方からもはや丁重語だと分類している。 敬意漸減というのは初めて聞いたけれど、納得感が大きかった。かつては適切だった敬語が、時代とともに敬意がすり減って、失礼に聞こえるようになる。自分自身、「させていただく」を使うのは、敬語を使っているはずだけど何となく失礼に聞こえる気がする、というときに「敬語の上乗せ」として使うという感覚がある。 敬語は、相手への敬意とか自分のへりくだりという上下の位置調整のほかに、相手との横方向の距離感調整という機能もある。 調査に関しては、比較の仕方や解釈に疑問を覚えるところもあった。ただ、これは新書だからということで説明が省かれている面もあるのかもしれない。 敬語に対するこのような感覚を、私たちがどうやって身につけるのかに興味がある。学校で習う敬語はたぶん時代ごとにそう変わらないだろうに、なぜ私たちは敬意漸減を感じ取って、させていただくのような新しい敬語をちょうど良いと認識するようになるんだろう。不思議だ。

Posted byブクログ

2023/11/29

中身は語用学という言語学分野の観点からの真面目な敬語論で、なぜ「させていただく」が便利に多用されるようになったかを解き明かしていく(決して「させていただく」の「使い方」の本ではない)。著者の考察には結構「なるほど」でした。 また、日本語の敬語分類がかつての3種(尊敬語、謙譲語、丁...

中身は語用学という言語学分野の観点からの真面目な敬語論で、なぜ「させていただく」が便利に多用されるようになったかを解き明かしていく(決して「させていただく」の「使い方」の本ではない)。著者の考察には結構「なるほど」でした。 また、日本語の敬語分類がかつての3種(尊敬語、謙譲語、丁寧語)から最近は5種とされているのも初めて知りました。 なお、著者は「させていただく」の多用については中立的な立場ですが、私自身は普段から「なるべく「『させていただく』を使わないで表現できないか」を意識しています。笑 (「させていただく」の多用はちょっと芸がないので)

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2023/04/25

言葉は生き物。変わっていく。今空前の(?)「させていただく」ブームかな。 全て間違いではないが、聞いていて違和感があるものがある。しかしそれも時間がたてば普通になるのかもしれない。

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2023/02/17

読みやすいが中盤の調査セクションは読み飛ばした。させて頂くが他者の視線を意識した言葉であるのなら、インターネットへの言及は欲しかった。誰もが自由に発信し、同時に批判される時代のリスク回避がさせて頂くの本質だと思う。

Posted byブクログ

2023/01/21

●=引用 ●1990年代に「させていただく」の使用が拡大してきた背景には、もちろん「させていただく」が使いやすいという積極的な理由もありますが、それまで使われていた「いたします」「お~する」「させてくださる」「さしあげる」に敬意漸減が起こり、使いにくくなったという消極的な理由も...

●=引用 ●1990年代に「させていただく」の使用が拡大してきた背景には、もちろん「させていただく」が使いやすいという積極的な理由もありますが、それまで使われていた「いたします」「お~する」「させてくださる」「さしあげる」に敬意漸減が起こり、使いにくくなったという消極的な理由もあります。図8が示すように、敬意不足に苛まれた人たちが、そうした表現の代わりに「させていただく」を使い始めたというわけです。 ●どういうことかというと、あなたへの意識や配慮を示すと、あなたに触れることになるので、普通だとあなたへの経緯はすり減ります。しかし、「させていただく」は主語が一人称であなたに触れないので、あなたへの敬意が低下する敬意漸減の速度が抑制されます。逆に、主語が一人称だと自分に注目が当たり、普通は自分が尊大化して偉そうに聞こえるようになるのですが、「させていただく」には本動詞の部分にあなたへの配慮を示す意味合いが込められているので、自己尊大化のスピードが抑制されます。両方向の距離的ストラテジーを内包しているので、相手の敬意漸減と自己の尊大化のどちらが作用しても、その作用を相殺し、スピードを抑制する仕組みが働くのではないでしょうか。 ●前にくる動詞の選択肢が多様化して距離感が調節できることは、話し手のインセンティブになっています。使う側は「させていただく」を敬意マーカーとして自分の丁寧さを演出するために使います。しかし、聞き手が気になるのはそこではなく、後ろの活用部分の固定化です。聞き手は「させていただきます」という言い切り形のため、コミュニケーションが自分に開かれていない印象を持つわけです。ここでも話し手の意図と聞き手の解釈が食い違っています。実際のコミュニケーションでは、そこに年齢差や社会的役割が関わってくるのですから、意味合いはもっと複雑になっているはずです。ここで考えているのは、話し手は丁寧に言ったつもりなのに、相手が失礼だと思うような場合のことです。 ●「させていただく」の大ブレークは、日本語の敬語自体の変化、社会と自分との関係、自分と他者との関係の変化を反映したもので、そうした変化の最先端に位置している現象だといえます。「させていただく」という問題系は、日本語の敬語の変化、そこに作用する敬意漸減の法則、それに影響を与える社会の変化、自己と他者のあり方の変化、そうした因果関係の筋が複雑に絡み合った場なのです。 ●敬語の歴史は「敬意漸減」と切り離して考えることはできません。①新敬語の導入→②敬意がすり減りぞんざいに聞こえる→③距離感の微調整による延命措置→④使えなくなる→⑤新語彙に交代(=①)というサイクルがずっと続いて今に至っています。「させていただく」は今、①から②の段階で、謙譲語から新・丁重語に変わっているところではないかと思います。③も少し入っています。「させていただく」に取って代わるのは、より距離感のある敬語なのではないかと思います。 ●敬語とは、そもそも尊い他者に対して敬意を向けるものでした。それがいまや、人々は敬意を他者に向ける代わりに謙虚な自分を示すことにひたすら注力しています。その先にあるのは、自分の丁寧モードと普段着モードの切り替えだけでコミュニケーションがすませられる敬語の世界ではないでしょうか。現代日本語の敬語が行き着く先にあるのは、経緯が他者へ向かない敬語、他者を必要としない敬語かもしれません。

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2023/01/15

読まさせていただきました。 確かに『させていただきます』はよく使わさせていただいております。いつもありがとうございます。 どうも1990年代に『させていただきます』ブームが到来したとの事で、私が社会人成り立ての頃にはその一大ブームメントの真っ只中であった訳でして、そりゃあ全く違...

読まさせていただきました。 確かに『させていただきます』はよく使わさせていただいております。いつもありがとうございます。 どうも1990年代に『させていただきます』ブームが到来したとの事で、私が社会人成り立ての頃にはその一大ブームメントの真っ只中であった訳でして、そりゃあ全く違和感なく使わせていただいた訳ですよねー。 で、『無事大学を卒業させていただきました。』ん?違和感覚えませんか?大学は必要単位取って、卒論通れば無事卒業しますが、何か大学からのお目溢しをいただいて、また大学側から寛大なお許しをいただいて卒業させてもらったイメージを持ってしまいます。  ただ、今はこれでいいんですよ。もう『させていただきます』は相手に関係無く自分を丁寧に説明する言葉として成り立っているんですよ。 この本では『させていただきます』を誤って使用するなよ、というスタンスてはなく、『させていただきます』がどいう歴史を辿り、どう評価されていったか、そして、敬語とは時代によって意味が変わっていくもので大変面白い、ほんとこの魔法の言葉は何て便利なんだよと、草生えると、だからお前ら上手く使えよと説明させていただいてるのを読ませていただいております。(何かおかしい アンケート等のくだりはだらけてしまいますが、敬語についてあらためて勉強させていただいた次第であります。ありがとうございまする。

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2023/01/04

現代では「させていただく」が間違った敬語ではなく、常用語として使われている背景からなぜそうなってしまったのかが書かれている本。 背景の部分が本の前半で多く語られていて、飽きてしまった。

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2022/12/25

身の回りに溢れた「させていただく」を敬語の変化、意識の変化から探る本。統計もしっかりしています。言葉は常に移ろいゆくものですがこの言葉もまたその過程にあるのだなと感じました。面白くためになる本です。おすすめ。 「させていただく」も敬意漸減が生じているとしたら次にくる敬語はどのよ...

身の回りに溢れた「させていただく」を敬語の変化、意識の変化から探る本。統計もしっかりしています。言葉は常に移ろいゆくものですがこの言葉もまたその過程にあるのだなと感じました。面白くためになる本です。おすすめ。 「させていただく」も敬意漸減が生じているとしたら次にくる敬語はどのようになるのか?その点についてはこの本では問題提起のみです。わたしの予想では再度「いたします」が復権するのでは?と考えています。文字数も少なくスマートなので「いたします」が増えて欲しいなあという願望もあります。 芸能人は受賞すると「受賞させていただきました」と言いますがこれは「名誉ある賞を頂きました」の方がスマート。その後に「監督やスタッフ、その他全ての人に感謝します」と文を分ければよい。

Posted byブクログ

2022/12/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今の学生は、仮定、否定、疑問を使って婉曲に問う習慣が身についている。 フワちゃん、ローラさん、のため口キャラは作られたキャラだということを知っている。毒舌キャラも同じ。 突っ込んだ後は関係修復を図る。 宮澤りえが1992年に「貴花田関と結婚させていただきます」させていただくが増加し始めたころ。 「させていただく」はへりくだった表現ができなくて困ったときの特効薬。 謙譲形があるときは使わないこと。へりくだる必要がないところで使わない、繰り返しを避ける。 新しい敬語=尊敬語、謙譲語、丁寧語、丁重語、美化語の5つ。 敬語とタメ語で距離感を捜査している。 1990年ごろから増えているが、きっかけは難しい。 敬意漸減の法則=同じ言葉でも敬意が減少する。貴様、「いたす」は丁重語だが、いまは格式ばった言い方なだけ。話し手が偉そうにすら聞こえる。 江戸時代から明治になるころ敬意のインフレーションが起きた。江戸から明治になったときも同様。社会構造の変化がおきたとき。身分制度から解放されたとき。 敬語の成人後採用=敬語は社会に出てから身につけるもの。中年層が一番違和感を感じた。 させていただく、は絶妙の距離感がある。経緯漸減をうまく回避できる。 青空文庫は、言語研究によく使われる。テキストになっている。 お答えをさせていただきます、お答えを差し控えさせていただきます、両方の場面で使われている。相手の許可を得て話す、形が出来上がる。 謙虚さと丁寧さをもとめて使う人が多い。相手への経緯ではない。むしろ丁重語。相手に敬意を向ける謙譲語ではない。自分を丁寧に示す品行の敬語。 最新の使い方「しっかり整わせていただいた」おのののか。もはや他者がいらなくなった。=新丁重語。 敬語は他者が必要なくなっている。

Posted byブクログ