愛じゃないならこれは何 の商品レビュー

斜線堂有紀(著者)

2024/12/14

久しぶりに、新たなこじらせ（女子）の名手と出会えた･･･！
という喜びと苦しみが同時に襲ってくる短編集。

出てくる人間関係はどれも一癖あるものなんだけど、
「愛じゃないならこれは何」って言いたい気持ちも分かる。
何なら脳内で感嘆詞までついちゃう。「愛じゃないならこれは何？！？！」って。
これがわかってしまう側の人間であることは、正直人に知られたくない。

全部ひっくるめて「愛じゃないならこれは何」であるのも秀逸なんだけど
各短編のタイトルもエモい。

「健康で文化的な最低限度の恋愛」は言い得て妙で、
恋愛にはまると今までの「健康で文化的な最低限度の生活」が出来なくなるという話。
恐ろしさもあるかもだけど、大好きなミスチルが歌う「君の好きな僕を演じるのはもう演技じゃないから」もまた真実だと思うのです。

「愛について語るときに我々が騙ること」は
中田永一の「三角形はこわさないでおく」という似たような短編が大好きなんだけど、
本作は大人バージョンというか、別解って感じ。

結論、愛じゃなくても好きなようにすればいいよ。愛だったら正解って考えのほうが私は怖いから。

2024/11/17

めちゃくちゃよかった『星が人を愛すことなかれ』の前日譚が収録されているので早速読んだ。三部作の中ではいちばんハマらなかった。

・ミニカーだって一生推してろ
救われちゃって呪われちゃったアイドルの話。自分の理想にチューニングされていくアイドルを推すのは楽しいだろうし、だからこそ抜けられなくてより理想と合致していくのはもはやホラー。読み手にアイドルとの可能性を感じさせるの怖いし、好きなもの自体が好きであることを強制してくるの何。『星が人を愛すことなかれ』に収録してほしかった。

・きみの長靴でいいです
「長靴でいい」なんて言葉しか使えないから舞踏会のイミテーションにされたんじゃないですかね。告白されたくて、告白してほしくて10年経ってる人間の感情が理解できない。

・愛について語るときに我々の騙ること
ウロボロス三角関係、きもちわる。どちらかを選べないならどちらも好きじゃないのでは。恋愛がどこかに生まれた時点で、友情はすでに壊れているのに見ないふりしてあると信じて、無理して子どものフリしてる大人は情けない。壊してから作り上げる気概もないのは甘えでは。

・健康で文化的な最低限度の恋愛
恋愛したら自分が作り変えられて別物になるのわかるし、無理しているのは確かなのにそれを選んでいるのは自分自身だし、それしか道がないと思いこむのもそうだよね。今作の中で美空木絆菜がいちばんわかりやすかったし筋が通ってた。ただ津籠実郷はやめといたほうがよくない？自分と同じだ！運命だ！ってそれはもう自己愛じゃん。絆菜である必要はなくて、鏡を与えておけばいい。

・ささやかだけど、役に立つけど
愛について〜のウロボロス三角関係の補足。別視点から見たところでたいして広がりもなく話に動きもなく。

2024/11/09

いろいろな恋愛模様の短編の作品でした。星が人を愛すことなかれを先に読んでいたので内容が入り易かったです。まずまず面白かったです。

2024/11/01

恋愛テーマの短編集。
アイドルとオタクだったり、ビジネスパートナーだったり、友達だったり、会社の先輩後輩だったり。

自分の気持ちばかりなのが恋で、相手の気持ちも考えられるのが愛と教えてもらったので、この人たちのは愛じゃないなら全部恋かなと。
そこまで人を好きになったことがないので未知の世界でした。でも文章は読みやすかった。3人組のが、男がどっちがどっちだったか分からなくなって難しかったかも。漫画向き。

2024/10/21

読みやすさ★★★★☆
誰かにあげたくなる★★★☆☆
満足度★★★★★

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

愛じゃないならこれは何。タイトル通りの物語が詰まった本でした。

読んでいる最中ずっと、周りが真っ暗でゴールが見えない急な坂道を、疲労で重たくなった足を引きずって登り続けてる感覚でした。
ずっと息をするのが苦しくて、なんなら息の仕方を忘れてしまうような。

『ミニカーだって一生推してろ』のワンシーンで具合悪くなって(続編の『星が人を愛すことなかれ』を読むとわかると思います)、1回読むのを中断してしまっていたのですが、1話読んで息を整えて、次を読んで……で、どうにか読了できて良かったです。こんなに物語に感情移入して、具合まで悪くなってしまうとは。良い意味で恐ろしい本です。

2024/10/12

世間体とかそんなことどうでも良くなるくらいに誰かを愛して、その愛を大切に守っている。傍から見れば非難されるべきものなのかもしれない。もし、違う境遇で2人が出逢っていればきっと何かが違ったのになんて考えても仕様がないことを考えてしまう。愛は本当に愚かで美しい。

2024/10/06

登場人物の名前がヤバい。
自作漫画を書く小学生並。

小説内に出てきた映画も架空だった
あとがきもなかった あぁ
タイトルセンスは好き

2024/09/21

星が人を愛することなかれを買ったところ、こっちを先に読んだ方が良さそうだったので。これは一作目が特にドストライクな作品だった。性癖に刺さるって言いた方が1番近いかもしれない。
恋愛って自分が自分じゃなくなってからが面白い。いや、自分が実際恋すると濁流に飲まれたように面白くもなんともないんだけど。おかしくなっていく、って表現されてるけど、恋するとこれくらい狂うことってあるよね？
でも狂い方は人それぞれで、それがまた川で溺れていひとを眺めているようで。地獄を見ているような怖いもの見たさで読み終えてしまった。
まさに「愛じゃないなら、これはなに」

2024/09/18

恋愛小説集。　
傍から見たら滑稽だけど、愛？を成就させる為にそれぞれの人物の執念だったり鬼気迫る感じを強く感じることができる文章に惹き込まれた。

2024/08/14

シンプルな恋ができない人たちの話、話そのものは好きな感じ。なんだけど文章がめちゃくちゃ読みにくくてなかなか入ってこない。おそらくラノベに近いのだと思う(読んだことないけど)
登場人物の名前に凝りすぎてるのも寒い。