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100分de名著 カール・マルクス『資本論』 アンコール放送(2021年12月) の商品レビュー

4.1

21件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2024/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以前TVで100分de名著を視聴してたのでおさらいのような感じだったが、あらためて興味深く、うなずきながら読んだ。 マルクスの思想そのものというよりも、著者の思想も多分に入ってるような気もするが、現代に照らし合わせて興味深く読むことができる。 マルクスは「マルクス主義」という言葉のイメージの悪さから遠ざけられがちな気がするが、そもそもマルクス主義はマルクス本人の思想からずれており、マルクス本人の思想は資本主義の内在的な欠陥を正確に言い当てている。 資本主義が行き詰まりを見せている今、改めて読まれてもいいように思う。 マルクスは資本論の一巻を刊行したあと亡くなり、二巻以降は親友エンゲルスがマルクスの草稿をかき集めてなんとか体系立てて刊行したのだそう。 エンゲルスの努力のお陰で資本論は完成したのであるが、マルクスが晩年構想していた考えは見えづらくなっている。 マルクスの考えていたことを知るならば、草稿も見ていく必要があるとのこと。 ───── 資本主義というシステムは無限に資本を増やし続けなければならないゲームだ。 だから、イノベーションは既に出尽くして停滞しているのにさらなる利潤を求めてブルシットジョブが生みだされ、足りないものなんてないのに消費者はお金を払い経済を回すしかない。 機械やAIの発達、行きすぎた効率化は、ますます人間の労働が無味乾燥になっていくだけ。 労働者が資本家に使われるのはもちろんのこと、資本家もゴールの見えない倍々ゲームの渦にのみこまれている。 ───── 今は労働そのものに「やりがい」を見つけ「自己実現」を果たすように盛んに言われている。一見すばらしく思えるが、私がそこに薄気味悪さを感じていたのは、資本家にとってますます使いやすい「自発的な労働者」を目指せと言われてる気がするからかもしれない。 働き手は足りないようだが、世に余るほど会社はあるし、余るほど商品はあるし、それでも経済は停滞し、イノベーションを求められるが、そこから生まれるのは既にブルシット・ジョブが多い。 我々はどこに向かって何に向かって働くんだろうか....と途方もない気持ちになるのは、無限に資本を増やさなければならない資本主義という巨大なゲームにのみこまれてしまっているせいなのだろう。

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2024/06/02

『暇と退屈の倫理学』でマルクスの資本論に興味を持ったためとっかかりとして読んだ。なぜ成長し続けることが前提で社会が回っているのか(例:GDPは「成長率」が注目される指標である)について長らく疑問だったので、この本の内容にはしっくりくることが多かった。 具体的に何をしていけばいい...

『暇と退屈の倫理学』でマルクスの資本論に興味を持ったためとっかかりとして読んだ。なぜ成長し続けることが前提で社会が回っているのか(例:GDPは「成長率」が注目される指標である)について長らく疑問だったので、この本の内容にはしっくりくることが多かった。 具体的に何をしていけばいいのかというのは難しいが、まずは自分が持っている「富」を認識すること、減らさずに増やしていくことができればと思う

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2024/03/16

資本主義の暴力的構造は、冷静になると恐ろしいほどのレベルだ。 労働では、自己を成長できない。 生きるために働かなくてはいけない現状は、行き過ぎではないか。そもそも本当に僕たちは生きているのか? お金がすべての社会だ。 本書では、労働先を選ぶ自由はある。しかし、一旦選ぶとあとは...

資本主義の暴力的構造は、冷静になると恐ろしいほどのレベルだ。 労働では、自己を成長できない。 生きるために働かなくてはいけない現状は、行き過ぎではないか。そもそも本当に僕たちは生きているのか? お金がすべての社会だ。 本書では、労働先を選ぶ自由はある。しかし、一旦選ぶとあとは奴隷だ、と述べられている。程度はともあれ真理だ。 このままでは危ない。その意識が感じられる。どうすべきか、探求の道はまだつづく。

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2024/02/09

面白かった。読みやすい。資本論自体の解説は2/3くらいで後半は著者による応用講義といった感じ。ちょうど「マルクス・エンゲルス」という映画を見て興味を持って読み始めたので、その映画のワンシーンが引用されていてイメージしやすかった。原著の引用がたまに挿入されているが、やっぱそれだけだ...

面白かった。読みやすい。資本論自体の解説は2/3くらいで後半は著者による応用講義といった感じ。ちょうど「マルクス・エンゲルス」という映画を見て興味を持って読み始めたので、その映画のワンシーンが引用されていてイメージしやすかった。原著の引用がたまに挿入されているが、やっぱそれだけだとわからないので、引用しつつ丁寧に解説してくれるのはわかりやすく飲み込みやすい。

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2024/02/08

この薄さで資本論のポイントをまとめているのが驚き。富とは何か、物質代謝とは何かから説明を始めるのが秀逸。現代から見た資本論の評価にも触れており、頭いいんだなと思う。

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2023/09/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

給与への不満や、チームスタッフとの人間関係のモヤモヤなどを持っている時期に読了。 社長の仕事への姿勢やマネジメント方針、自身の在り方に疑問を持つ日々で、考え方を整理するいいきっかけになった。 自分自身も「価値」=ものの値札に振り回されているように思う。給与が低ければ過小評価されるように思っていた。 社長もまた、資本家として追われている一員なのかもしれない。 労働者は自由なようで自由ではなく、資本に包摂されているという議論は別著で学んでいた。経営者目線を持った社員が求められているのがその好例とのことで、その例えでよりしっくりきた。 自分にとっての「富」はなんなのか、何が自分にとっての労働なのか、どうやって周りの人とそれを実現するのか、考えていきたい

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2023/06/05

資本論は、マルクスによって行われた資本主義社会の徹底的な分析の元に、資本主義がはらんでいる矛盾について示している。 人間は欲求のために自然にはたらきかけ、自然を制御する。この物質代謝のような過程「労働」を通して、人間は欲求を満たす。さらに、その欲求は本能のみに従うものではい。 資...

資本論は、マルクスによって行われた資本主義社会の徹底的な分析の元に、資本主義がはらんでいる矛盾について示している。 人間は欲求のために自然にはたらきかけ、自然を制御する。この物質代謝のような過程「労働」を通して、人間は欲求を満たす。さらに、その欲求は本能のみに従うものではい。 資本主義社会では、富は労働によって「商品」という形に変化している(水は富。ミネラルウォーターは商品)。そして、資本主義社会では使用価値ではなく「価値」が重視され、資本を増やすことが第一の目的となる。そして、生産手段を失った労働者は、「自由」に職業を選べるが、一旦職業を選ぶと、奴隷と変わらなくなる。資本家にとっては、労働者をいかに同じ賃金で高い価値を生み出すかが大事(剰余価値の増大)であり、労働者の権利は守られない。 しかし、何れにせよ資本主義社会では、「価値」「資本」「機械」によって資本家も労働者も振り回される。資本の自己増幅運動における歯車でしかないんだ。

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2023/03/20

100分名de著、流行りのタイパ価値に追随するような安いビジネス書をイメージしてたけど、読んでみるとまったくそんなものではなく、自分の読書の助けになる一冊でした(すみませんでした...)。 資本論そのものはかなり難易度が高いので自分は普通に読んでも絶対読了できないけど、(本書に...

100分名de著、流行りのタイパ価値に追随するような安いビジネス書をイメージしてたけど、読んでみるとまったくそんなものではなく、自分の読書の助けになる一冊でした(すみませんでした...)。 資本論そのものはかなり難易度が高いので自分は普通に読んでも絶対読了できないけど、(本書に書いてある内容は正しいと信じて)めっちゃまとめてくれてる一冊だなあと思う。 分かりやすく要約してくれてるとはいえ、学校の教科書的な内容の濃さになっており、本書を普通にさらっと読んで中身をすべて理解することができず、読了後ノートに内容を整理してやっと読了に至れた。。。。 自分で勝手にまとめれば、資本主義は差別や分断を生み出すので持続不可能、これから未来は”利他”という概念を中心にした社会に移行すべき、といった感じであろう(かな?)。 ------- 以下自分ノート(※記載内容間違ってる可能性有なので注意) ・資本主義は暴走していると解釈でき、それを解決するヒントが「資本論」にある。 ・「資本主義」の対義語が「共産主義」は完全な間違い。 ・富=”人を豊かにするもの” ・商品=”貨幣を介した交換対象 ・労働=”自然との物質代謝” ・労働は富を生み出すが、資本主義社会では富が商品に変わってしまう。かつ商品を増やし続けないと生き残れないシステムが自動的に作られてしまう。 ・使用価値=”ものの純粋な価値” ・価値=”商品としての価値(労力に関係)” ・人間は”価値”に振り回される生き物(物象化)。  (価値の存在が、格差、質の低下、貧困を生み出す) ・資本主義に対し、マルクスは資本主義とは別のよりよい社会を生み出す道を導こうとしていた。 (※決して共産主義ではない。) ・資本主義は余剰価値という搾取を生み出す。 ・資本主義で自由、平等は存在しない。資本家と労働者がそれぞれ必ず生まれる。 ・余剰価値という搾取を防ぐ具体策の一つが例えば労働制限(労働時間削減、労働休暇)である。 ・価値増大のための合理化とは労働者からの富の搾取に等しい。 ・富を搾取するということはすなわち「する者」と「される者」が必ず存在することに等しい。 ・富の搾取の影響を最も受けるのがエッセンシャルワーカー(機械化できないので余剰価値搾取が強く反映される傾向にある) ・資本は人間と自然から富を吸い尽くし人間と自然の物質代謝に取り返しのつかない亀裂を生みだす為、それを防ぐべく「新システム」に今こそ移行する必要がある。すなわち森や水などの富が商品とならないよう分かち合いながら、人間と自然の物質代謝を持続可能な形で制御システムである。 -------

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2023/03/08

私が大学で経済を学び始めたころには既にソ連は崩壊しており、マルクス経済学は斜陽であった。とはいえそこで使われている用語や経済思想に触れる機会はあり、いつかは読みたいなあと思ってはいた。が、流石に今更原典に当たるのは躊躇していたところ、ちょうどよくEテレで取り上げていたのでテキスト...

私が大学で経済を学び始めたころには既にソ連は崩壊しており、マルクス経済学は斜陽であった。とはいえそこで使われている用語や経済思想に触れる機会はあり、いつかは読みたいなあと思ってはいた。が、流石に今更原典に当たるのは躊躇していたところ、ちょうどよくEテレで取り上げていたのでテキストを購入。今の日本経済の諸問題をマル経的観点で批判的に考察している。何とか読了して、マルクス経済学の考え方や道具としての分析の仕方、用語は有用だとは思う。でも、やはりどこまでも自分は資本主義経済の学徒であり、自由主義経済にシンパシーを感じているのだなとよくわかった。

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2023/01/18

気鋭の思想家が、マルクスを読みます。 非常に興味深く読めましたが、私、資本論、読んでないんです、すみません。

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