北条氏の時代 の商品レビュー
大まかに理解していると思っていたが、経済の変化 御家人との関係の変化なども含めて概観するとかなり興味深い時代だということがわかります。 自社巡りが好きなので、改めて鎌倉周辺を回ってみようと思っています。
Posted by
如何にして北条氏は鎌倉幕府の中枢と成り、統治し、滅びたのか。 北条家のリーダーたちの実力、人脈力、「世論」力で、 鎌倉時代の姿を読み解き、歴史の流れを語ってゆく。 中世の鎌倉の地図 現在の都道府県と旧国名 北条氏系図/天皇家家系 第一章 北条時政―敵をつくらない陰謀術 第二章 北...
如何にして北条氏は鎌倉幕府の中枢と成り、統治し、滅びたのか。 北条家のリーダーたちの実力、人脈力、「世論」力で、 鎌倉時代の姿を読み解き、歴史の流れを語ってゆく。 中世の鎌倉の地図 現在の都道府県と旧国名 北条氏系図/天皇家家系 第一章 北条時政―敵をつくらない陰謀術 第二章 北条義時―「世論」を味方に朝廷を破る 第三章 北条泰時―「先進」京都に学んだ式目制定 第四章 北条時頼―民を視野に入れた統治力 第五章 北条時宗、北条貞時―強すぎた世襲権力の弊害 第六章 北条高時―得宗一人勝ち体制が滅びた理由 北条氏との時代関連年表 地方の小さな一族が政治の表舞台に登場し、権力を掌握、 鎌倉時代を牽引し、滅びるまでの通史を、 核となる人物中心に分かり易く解き明かす。 それは、北条氏リーダーシップの歴史。 時代変革の波を乗り熟した、時政。 承久の乱をも乗り越える御家人中心主義の、義時。 最も優秀、あらゆることを吸収し行動するリーダー、泰時。 混乱の政局の末、連署の極楽寺重時と安定体制を整えた、時頼。 元寇と貨幣経済の浸透の中で揺れ動いた、時宗。 御内人の存在と得宗の権力による空虚な政権の、貞時。 御家人たちに見捨てられた鎌倉幕府と最後の得宗、高時。 そして、呆気ないほどの北条氏の滅亡。 知りたかった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のその後の歴史。 別に読んだ本は研究書で、人物関係が複雑で難解でしたが、 この本では親族関係とか、さり気なく補完しています。 「鎌倉殿の13人」の登場人物の子孫が多くいるのも面白い。 トリックスター三浦義村の子孫のその後や、 北条氏一族内での諍い、将軍や朝廷と幕府の対峙も、分かる。 陰謀、暗殺、実行犯の口封じ、一族殲滅、等々、血腥いこと。 ある意味、欲望の深さって果てしないんだなぁ。
Posted by
読み応え満載で面白い。働いている人がイメージしやすいような表現の工夫がされている。「御家人の、御家人による、御家人のための政治」としてスタートした反平家軍だったが、晩期は北条氏が全国の半分の土地をもつ一強体制になっていた。本来のビジョンを貫けなくなっていたことに対する御家人の反発...
読み応え満載で面白い。働いている人がイメージしやすいような表現の工夫がされている。「御家人の、御家人による、御家人のための政治」としてスタートした反平家軍だったが、晩期は北条氏が全国の半分の土地をもつ一強体制になっていた。本来のビジョンを貫けなくなっていたことに対する御家人の反発が幕府崩壊の原因だろう。要約しだすと膨大なのでここには載せません。
Posted by
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に先立って、その予習需要を狙って2021年の秋に出版された本書ですが、「鎌倉殿~」を全話視聴した後で復習の意味で読んでみました。本書は北条氏が執権を務めた時政(初代)から高時(14代目)まで、鎌倉時代をざっと通して北条氏がどのように権力を握...
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に先立って、その予習需要を狙って2021年の秋に出版された本書ですが、「鎌倉殿~」を全話視聴した後で復習の意味で読んでみました。本書は北条氏が執権を務めた時政(初代)から高時(14代目)まで、鎌倉時代をざっと通して北条氏がどのように権力を握って行ったのかを描いています。ですので、「鎌倉殿~」のキャストやシーンだけではなく、この時代を採り上げた大河ドラマ「太平記(1991年)」での北条高時(演:片岡鶴太郎氏)、赤橋守時(演:勝野洋氏)などのシーンも思い出しながら読みました。 鎌倉時代というのは日本史を高校できちんと勉強していないと、イマイチ理解が浅く、歴史上の位置づけがあいまいになりがちです。そのせいもあって「鎌倉殿~」を視聴しているときも理解に苦しむ場面が結構ありました。そういう人にとっても本書は各人物の言動や判断を分かりやすく追っているので、時代の流れをつかむ程度であれば丁度良い内容です。著者は「平清盛(2012年)」の時代考証を担当しているだけに情報量も新書1冊にしてはボリュームもあってお勧めの1冊だと感じました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鎌倉時代の全体を北条宗家のトップ並びその周辺人物、さらに、対抗勢力を拾い上げて雑感するための辞書のような本。とにかく最初から最後までライバルを滅ぼす内戦ばっかりだった、平和な時代が泰時のいっときしかない時代。時政と義時は大河ドラマで登場人物キャラの顔が浮かぶ半面、泰時以降は似た名前も似た名前がずっと続くので一読はできるけどアタマにはほとんど残らない(さすがにラストの太平記時代は何人かわかるけど)。
Posted by
北条時政から鎌倉幕府の滅亡まで辿るので、鎌倉時代の通史も知ることができる。大河ドラマは色々と研究の成果と史実に基づいていたんだな。鎌倉時代は日本史の大きな転換点で、それまで西高東低だった日本史だけど東に基礎を置いた。そして辺境の無名の北条氏が日本を動かすリーダーになった。 時政は...
北条時政から鎌倉幕府の滅亡まで辿るので、鎌倉時代の通史も知ることができる。大河ドラマは色々と研究の成果と史実に基づいていたんだな。鎌倉時代は日本史の大きな転換点で、それまで西高東低だった日本史だけど東に基礎を置いた。そして辺境の無名の北条氏が日本を動かすリーダーになった。 時政は当時の武士には珍しい文書が書ける人物だった。文書で行政が動いており、幕府の文官は貴重な存在だった。敵を殺し、実行犯も消すという北条氏の手口。承久の乱で戦争放棄した天皇。所領の分配で土地を保証する存在となった北条氏。義時の御家人中心主義と世論を納得させる力。六波羅探題として京から政治手法を学んだ泰時。他にも後代の北条氏と日蓮宗や禅宗、元寇、特政令等にも触れられている。
Posted by
「鎌倉殿の十三人」の放映開始前くらいに書かれた本。筆者は大河ドラマ「平清盛」で歴史考証を担当している。(一応)初代の北条時政から、鎌倉幕府滅亡時の高時までの各執権を中心に、北条氏よ足跡を追う。 関連する大河ドラマ(草燃える、鎌倉殿、時宗、太平記)の場面や登場人物を思い浮かべなが...
「鎌倉殿の十三人」の放映開始前くらいに書かれた本。筆者は大河ドラマ「平清盛」で歴史考証を担当している。(一応)初代の北条時政から、鎌倉幕府滅亡時の高時までの各執権を中心に、北条氏よ足跡を追う。 関連する大河ドラマ(草燃える、鎌倉殿、時宗、太平記)の場面や登場人物を思い浮かべながら読んだ。この時代はとにかく縁戚者内での婚姻が盛んで、同時に「近親憎悪」とでもいうべきか、一族内部での権力闘争が全てのような印象さえ受ける。 傭兵のようなだけの存在だった武士達が国を統治する術を模索しながら身に付けていった努力に感心すると共に、限られた土地(富)を奪い合って分け与える仕組みがいずれは破綻していく姿が見て取れる。 北条氏が歴代、政敵を陰謀と口封じで倒してきた中で、義時に関する筆者の見方は「頼朝を参考にした」「鎌倉の全体のことを熟慮し、やむにやまれず、しかし根回しを周到にした上で政敵を倒してきた。」という立場を取っている。「鎌倉殿」で描かれている義時像に近い。しかし「やむにやまれず」が最初から狙っていたものなのかどうか、は興味深いところだ。
Posted by
【概略】 「執権」「得宗」といった言葉を真っ先に連想する鎌倉北条氏。時政から高時に至るまでの系譜を、その時代背景とともに解説する。平氏である北条が、源氏である頼朝とのご縁から幕府を盛り立てる立場となり、その後、事実上の支配者となっていく中で、その局面局面にいた執権が、どのような...
【概略】 「執権」「得宗」といった言葉を真っ先に連想する鎌倉北条氏。時政から高時に至るまでの系譜を、その時代背景とともに解説する。平氏である北条が、源氏である頼朝とのご縁から幕府を盛り立てる立場となり、その後、事実上の支配者となっていく中で、その局面局面にいた執権が、どのような人物だったのか?どのようにして他者を排除していったのかがわかる。 2022年09月10日 読了 【書評】 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で盛り上がる鎌倉時代、それをより楽しむために手に取ってみた。 凄く・・・面白かった。「知る喜び」を感じたい人は、読んでいいと思う。 単なる歴史好きというレベルでしかないけれど、肌感覚で平安末期から徳川幕府が開かれる辺りまでを血筋なども含めて学ぶと、ある意味、日本人の根底に流れる精神性が理解できるかもと思ってしまった。公家によって治められていた平安時代に、武家という要素が加わって「朝廷」と「幕府」という2つの「束ね」ができて。王朝という意味では朝廷なのだけど、行政という意味では幕府なのだろうし・・・そのウェイトバランスは時代時代によって違うし。違った精神性を持つ外国人にこのダブルスタンダードみたいなの、説明するの大変だよ(笑)国司に守護・地頭、もうちょっとしたら守護代だよ?(笑) もう一つ思ったのが、「氏と名字」の違いだよねぇ。「鎌倉殿の13人」でも、北条義時として通ってたのに13人としての紹介では江間義時。この辺りも、理解できると面白さが増すね。三浦義村とか和田義盛、他の坂東武者が北条と遠いのか近いのか、他のファクターがあるのか、名字の付き方からもわかるというね。 そして、各執権のキャラクターや時代背景、朝廷との距離感、他の御家人との距離感なども凄くわかる。承久の乱の重みとかもね。そして、更に面白いのは、「事実と真実の違い」じゃないけれど、各執権が有能だったか無能だったか?辺りの解釈。まんが「日本の歴史」の影響って大きいのだなぁ~って思ったのが北条時宗のページ。幼少の自分に刷り込まれた時宗のイメージって、日本の武士を率いた強いリーダーみたいなイメージあったけど・・・本書では違うのだよなぁ。この部分って、明に対する義満・秀吉の姿勢と、時宗の姿勢・・・筋の通し方の違いを、良しとするかどうかの主観的な違いにもよると思うのだけどね。ここが「真実」だよね。 視線を現代に置いてみる。世界では様々な場所で紛争が起きている。多くの日本人が考える「戦争」(国の存亡をかけた all or nothing の衝突)ではなく、色々な交渉の部分において、この平安末期から江戸時代初期のパワーゲームから学ぶことができるフレーズが、著者によって書かれてたよ。軍事力は発言力、というもの。このテの話をすると好戦的だと誤解されそうで嫌なのだけど、警察力と置き換えることで、理解しやすくなると思うのだけどなぁ。・・・と、少し脱線しちゃった。
Posted by
NHK大河ドラマ〝鎌倉殿の13人〟では、<北条義時(小栗旬)>が鎌倉幕府の執権を司り「承久の乱」の戦後処理に注力するなかでの病死、続いて頼朝の妻<北条政子(小池栄子)>が亡くなるまでのドラマ化が予想されるが、鎌倉時代を中心に日本中世史が専門とする著者が、血生臭さと人間臭さのただよ...
NHK大河ドラマ〝鎌倉殿の13人〟では、<北条義時(小栗旬)>が鎌倉幕府の執権を司り「承久の乱」の戦後処理に注力するなかでの病死、続いて頼朝の妻<北条政子(小池栄子)>が亡くなるまでのドラマ化が予想されるが、鎌倉時代を中心に日本中世史が専門とする著者が、血生臭さと人間臭さのただよう陰謀の時代の通史として、鎌倉幕府滅亡までを分かりやすく解説されている。〝北条一族を滅ぼせば、北条のもつ土地が恩賞として与えられる〟あまたの戦いの歴史は、人間の悪の論理に塗り込められた不条理の証しとして、今も何ら変わっていない。
Posted by
歴史の面白さを再認識させてくれた本郷先生のご専門である鎌倉時代を、特に北条氏を軸に読み解く一冊。 大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」時代から続く、政治システムとして機能した北条氏の解説書。 さまざまな文献、歴史書を基に、詳に解説される鎌倉時代はとてもリアル。 ぼんやりと認識していた、将...
歴史の面白さを再認識させてくれた本郷先生のご専門である鎌倉時代を、特に北条氏を軸に読み解く一冊。 大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」時代から続く、政治システムとして機能した北条氏の解説書。 さまざまな文献、歴史書を基に、詳に解説される鎌倉時代はとてもリアル。 ぼんやりと認識していた、将軍頼朝と北条の関係をとてもクリアに学ぶことができる。 新書ではあるが、情報量が多すぎて、何度も読み返す必要がありそう。 読んでから買う本認定。
Posted by