犠牲者の犠牲者 の商品レビュー
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2024年1冊目。 長編北欧ミステリということで、期待して読み始めました。 第一部は振り回され系刑事なカールに共感しつつ、事件発覚→捜査→また事件→進まない捜査の繰り返しにやや冗長さを感じる。 刑事メンバーの掘り下げはやや中途半端で、単純にキャラクター紹介としての説明文になっていたのが残念。 第二部のアレクサンドラパートは「親から受けた教育の犠牲者」である彼女、「毒親の連鎖」の問題提起、記憶を失っている描写から信用できない語り手であること、もうひとりの犯人の存在などなどてんこ盛り。 もうひとりの犯人は「整形手術」「警察関係者」のキーワードからわりと早い段階で予想できてしまった。 シーモンとジョディの凸凹コンビが後半にすすむにつれ空気→シーモンがあまりにも小物のまま終わったのが惜しい。 作者の描きたいこと全部のせで、ひとつひとつのテーマが薄まってしまった印象でした。 個人的にはカールにもっと主人公級の活躍をしてほしかったな… 比較するのは無粋かもしれませんが、ピエール・ルメートルやピーター・スワンソンの鮮やかさを改めて実感しました。
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ストックホルム郊外で磔にされた男の全裸体が見つかった。 残虐な拷問を受けた被害者は名うての凶悪犯罪者で、局部を切り取られたうえ、“生かされて"いた――。 過去のレイプ被害者の家族による報復か、犯罪組織の抗争か? 捜査を指揮する警部カールと匿名情報を得た記者アレクサンド...
ストックホルム郊外で磔にされた男の全裸体が見つかった。 残虐な拷問を受けた被害者は名うての凶悪犯罪者で、局部を切り取られたうえ、“生かされて"いた――。 過去のレイプ被害者の家族による報復か、犯罪組織の抗争か? 捜査を指揮する警部カールと匿名情報を得た記者アレクサンドラ、それぞれが事件に迫るなか、異なる手口で拷問された惨殺体が発見され……。 戦慄の北欧ミステリー! かなりエグい描写に辟易。何とか読了した。
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スウェーデンミステリー。作者は本国の夕刊新聞?の記者として長年活躍して、本書にて作家デビュー。 あらすじ※ネタバレ 拷問されて発見された男性。彼は警察でも有名な凶悪犯罪者。捜査するのはカール。警察庁国家犯罪捜査部の刑事。同僚は癖の強いラーシュや尊大な法医学者セシリア。上流階...
スウェーデンミステリー。作者は本国の夕刊新聞?の記者として長年活躍して、本書にて作家デビュー。 あらすじ※ネタバレ 拷問されて発見された男性。彼は警察でも有名な凶悪犯罪者。捜査するのはカール。警察庁国家犯罪捜査部の刑事。同僚は癖の強いラーシュや尊大な法医学者セシリア。上流階級の出身か、美容整形を繰り返している。カールには同居しているパートナーがいて、離婚した妻との間には年頃の娘がいるが、あまりうまくいっていない。またこの事件を追いかけている記者アレクサンドラ。離婚した夫との間に一人娘がいて、交互に家に泊まりにきている。 次々と拷問を受けた格好で男性が発見されるが、共通点はあまりない。ギャング抗争の路線もあるが、現場には必ずガムが落ちている。また大体がテーザー銃で撃たれている。 第2部。いきなり女性記者アレクサンドラが殺人者だと告白。彼女の過去も書かれる。彼女には姉がいるが、犬噛まれ顔が傷だらけになったらしい。さらに読んでいくとアレクサンドラは子供に対しても感情のコントロールが効かなかったようだ。さらに下の息子が強盗団にひき逃げされた。逃げる途中だったらしい。犯人は四人だったが、結局証拠が上がらなくて釈放されたので、彼女は復讐を誓い、今回の殺人計画を思いついた。四人が標的だと分からないように、別の凶悪犯の中から無作為に選び、殺害し、カモフラージュしていたのだ。そしていま、彼女は自分が起こした事件を記事にする振りをしながら四人目の男性を狙っている。彼を一番最後にしたのは、おそらく彼が主犯格だから。しかし主犯は逆に彼女を捕まえる。大麻栽培を記事にしようとしている記者だと思ったらしい。さらに彼の仲間はサディストもいたため、彼女は被害を受け気を失う。目を覚ました時、男たちは殺されていた。カール警部は、一部の被害者に共通する、ひき逃げ裁判の線からアレクサンドラのことは気にしていた。しかし・・・ 第3部。突然事件は解決となった。と言うか無理やり幕引きになった。なぜかと言うと現場に残されていたガムから、ひき逃げ主犯格の男のDNAが発見されたからだ。そのため全ての殺人事件は、彼が起こし、ギャングの抗争で死亡したと結論づけられた。そして結末。冷徹な法医学者セシリアがアレクサンドラの双子の姉。そして犬に顔を食いちぎられたのは本当だったが、それ以降アレクサンドラが精神を病み始めたので、いろんな過去の出来事が辻褄が合わない。さらにアレクサンドララは時々記憶も抜けるらしく、殺人の事もセシリアに最初から報告していた。それでセシリアは、ひき逃げ主犯格の男の家に入り、ガムを残しておいたのだった。 《感想》全然予想がつかないストーリーだった。途中まで共通項の無い被害者男性たちに、だらだらした印象を受けた。しかし、第2部アレクサンドラの一人称部分になってからは、ページがどんどん進んでいった。さらに第3部、アレクサンドラたちの過去もひっくり返されて本当にどんでん返しだと思った。カールが主人公だと思っていたけれどもおそらくアレクサンドラが主人公だな。最後、真犯人は捕まらなかったわけだが、特に後味悪くはない。また、拷問などの表現があるが、そんなにきつい表現もなかったので、ページの多めの北欧ミステリーとして楽しめる。
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登場人物に魅力がないなあ、警察がめちゃくちゃ無能だなと思っていたら脇役だったからなんですね。やたら主人公やカールが脳内で「こいつは苦手」「この人は嫌い」と思うような人物が多すぎて読んでいてイライラしてしまった。現実でもレイプ犯がこのくらいの制裁を受けたら少しは気が晴れるかもしれないがそれでも傷は癒えないんだろう、、、このくらいの復讐心を持たれること知っておいて欲しいと思ったりした。
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後半急激に面白くなってきたような気がしたけどそうでもなかった。 名探偵カッレくんネタが出てきてなごんだ。 伏線かと思ったことほとんど全部ただのエピソードだった。 うーん〜
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猟奇的な犯罪に対して警察が地道に捜査活動を進めていく第一部の終盤で犯行の真相に迫っていよいよと思わせるが、第二部ではガラリと趣向が変わって犯人が語り手となり最後の犠牲者を追い始めるのだがあえなく返り討ちに遭ってしまう。そして第三部でとうとう真犯人が逮捕目前となるのだが、些細と思われていた証拠により全てがひっくり返る。読みづらい凝った構成こそが肝であることが最後に納得できる作品である。
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680ページに及ぶ長編ミステリー。のっけからおぞましい惨殺死体の場面が続いて、デリケートな人にはとても無理な展開。私も繊細だが(苦笑)それを上回るキャラクターの巧さに惹かれて読み続ける事ができた。半ば辺りで犯人が想像できたが、これがとんでもないミスリードを促す伏線とは‥最後まで不...
680ページに及ぶ長編ミステリー。のっけからおぞましい惨殺死体の場面が続いて、デリケートな人にはとても無理な展開。私も繊細だが(苦笑)それを上回るキャラクターの巧さに惹かれて読み続ける事ができた。半ば辺りで犯人が想像できたが、これがとんでもないミスリードを促す伏線とは‥最後まで不気味な味わいを残した。
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北欧ミステリーに残虐な描写はよくあるが、この本は中でも群を抜いた残虐さで読んでいて辛かった。 それでも第一部は警察が丁寧に事件を追っていく様が面白く、第二部では犯人の辛い記憶が描かれていてどんどん引き込まれた。 しかしラストの急展開には置いてけぼり感が否めない。 姉はきっとこの人...
北欧ミステリーに残虐な描写はよくあるが、この本は中でも群を抜いた残虐さで読んでいて辛かった。 それでも第一部は警察が丁寧に事件を追っていく様が面白く、第二部では犯人の辛い記憶が描かれていてどんどん引き込まれた。 しかしラストの急展開には置いてけぼり感が否めない。 姉はきっとこの人なんだろうなというのが途中から分かったし、終わり方は正直好きではないかも。 カールは北欧ミステリーによく出てくる中年のプライベートが冴えない警部という感じで好感は持てたものの、もう少しラストまで彼に戦って欲しかった。 これがデビュー作とのことなので、今後色々語られるのだろうが… 続編が出たら読んでみたい。
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最初は翻訳が固くて読みにくいスタートとなったが、徐々にこなれてきたのと物語が面白すぎて、ページを繰る手が止まらなくなった。 全体が三部構成となっている。第一部では、ろくでもない犯罪者たちが、世にも残酷な方法で殺されてゆく連続殺人事件という派手なスタート。追跡し始める捜査陣の...
最初は翻訳が固くて読みにくいスタートとなったが、徐々にこなれてきたのと物語が面白すぎて、ページを繰る手が止まらなくなった。 全体が三部構成となっている。第一部では、ろくでもない犯罪者たちが、世にも残酷な方法で殺されてゆく連続殺人事件という派手なスタート。追跡し始める捜査陣のヒーローと癖のありそうな男女の刑事、報道陣のヒロインとその経歴などの独特な個性を、通り一遍ではなく語ってゆく丁寧な章で、実に良い感じ。第二部は、事件を犯罪者側の一人称で語ったものなので、いきなり犯人がわかってしまうから、間違えても巻半ばを開いて飛ばし読みしてはいけない! そして第一部と第二部を合わせて、さらにひと捩じりした驚愕の結末に雪崩れ込むサプライズ終章。 まずは人間関係のあれこれを仕込んでおいて、それを丁寧に解きほぐしてゆく、という手法で描かれた犯罪絵図。徹底しているのは、悪玉たちはいずれも情け容赦ない100%完璧な悪党であるということ。それが、タイトルにも絡む要素であり、本書を成り立たせている基本図式であるように思う。誰が読んでもこいつは生きててはいけないという悪玉が多いが、中には巻き込まれて泣きを見る半端者悪玉もいたりして、その者たちにとっては辛すぎる仕打ちかな、と思われる面もあり。司法側に捕まっておけばこれほどの刑に処されずに済んだろうにとの疑問は残る。 勧善懲悪に見えて、どこかその隙間を縫う中庸のキャラも多いように思えるところは、この作品の空気抜きだろうか。それとも単純な人間だけを描きたくないという作者の趣向だろうか? 面白さや過激さを目指し過ぎたゆえに、リアリズムから遠のく感のある物語だから、そこに少しだけ現実らしさを求めて人間の個性という調味料を加えた感じもある。それもこれも北欧ミステリーのサービス精神と割り切れば、本書は全体でよくできたエンターテインメントであり、精巧な玩具であると言える。 本書の主軸となる第二部、即ち殺人者による独白は、ここにページをかなり費やしているために第一部の疾走感にブレーキをかけ過ぎという中弛み感を覚えないでもない。でもそれが最終章のどんでん返しに生きてくるとも言えるので、全体像を読後に俯瞰するとそこも納得。読んでいるうちは第二部は少し辛いです。 新人作家だが、元は新聞記者であったそうである。作家の勤めていた新聞社がそのまま、作中に実名で出てくるというのも一興であり遊び心であり作者にとってのノスタルジーなのか。 最後に、本書を血なまぐさいだけの面白ミステリーに終わらせなかったのは、キャラクターたちが抱える背景として重要となる家族ドラマの一面なのだろう。この新人作家はシリーズ二作目、三作目と書き継いでいるらしく、そちらの家族ドラマとしての今後も捨て置けない気がする。ミステリーのアイディアのみならず、この辺りの微妙な人間描写にも相応に重心を置いている作風には大変好感が持てる。続編の翻訳が切に待たれる。
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出だしはとてもワクワクしたし、追っていく様も緊張感があったけれど、犯人がわかってからはちょっと尻すぼみだった。結末もなんだかなっとくいかないものだし、思わせ振りな警察側の設定はなんだったの?というもやっとさが残った。個人的に息子の話が一番精神的にキツかった…。描写は好き。
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