戦後民主主義に僕から一票 の商品レビュー
とても面白いし、かなり納得して読めた。 民主主義、政治、憲法、教育の4つについて各所に書いた文章のコンピレーション。教育のところはご自身が当事者だったためか、実体験に基づく感情が表れているところもあったが、その他は本当にまともなことを普通に冷静に、しかもとてもわかり易く説明してく...
とても面白いし、かなり納得して読めた。 民主主義、政治、憲法、教育の4つについて各所に書いた文章のコンピレーション。教育のところはご自身が当事者だったためか、実体験に基づく感情が表れているところもあったが、その他は本当にまともなことを普通に冷静に、しかもとてもわかり易く説明してくれている。 日本社会の株式会社化という言葉が出てくるが、これは本質よりも効率性を求めるケースや、数的帳尻合わせを良しとする評価軸が今だに蔓延っているこの国を上手く表している。また、政治、憲法の章では対米追従・隷属の歴史や背景・経緯がウチダ先生らしい筆致で描かれており、本当に納得できた。 この国は先進国ではあるが、一流国にはなっていない。どうあるべきか、という議論に国民が参加していくようになるまでにはもう少し時間が掛かりそうだ。時間をおいてもう一度読みたいと思う。
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武田鉄矢さんのラジオを聞いていると、内田先生の話がしばしば。ずっと気になっていた人だけど、やっと一冊手に取ることになりました。民主主義とは何か、株式会社と民主主義、アメリカとの関係と護憲の問題、リバタリアニズム、それと大学の話。自分の考え方がいかに薄っぺらな表面的なものなのか、改めて考えさせられる一冊でした。先生は「皆が言っていないようなことを言う」と本人がおっしゃっているけど、確かに。根っこにこういうもんだいがあって、そこから考えると見える姿も変わる。もう少し色々勉強したいと思わされる深い内容でした。そして、株式会社と民主主義を改めて考える機会を持てたのは、自分にとってとても良いタイミングだったような気がします。
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民主主義、政治、憲法、教育という四つのテーマについて書かれた著者の文章を収録しています。 著者の憲法をめぐっての発言は、わたくし自身もこれまでいくつかの本で目にしてきましたが、本書ではとくに、戦中派がなぜ日本国憲法の制定過程について沈黙してきたのかということについて著者独特の議...
民主主義、政治、憲法、教育という四つのテーマについて書かれた著者の文章を収録しています。 著者の憲法をめぐっての発言は、わたくし自身もこれまでいくつかの本で目にしてきましたが、本書ではとくに、戦中派がなぜ日本国憲法の制定過程について沈黙してきたのかということについて著者独特の議論が展開されており、おもしろく読みました。著者は、日本国憲法は「押しつけ憲法」であるという改憲派の問題提起を受けて、「ある日「お前たちが信じているものは人工物だ」と言われて仰天している「年取った子ども」に過ぎない」といい、戦中派の沈黙の意味がいったいなんであったのかということに、あらためて目を向けようとしています。 著者が「まえがき」で「変な話」であると自認するように、はたして戦中派の意図が著者の考察するようなものであったのかどうかということについては、正直なところ疑問を感じましたが、著者はかならずしも歴史的な事実をつきとめようとしているのではないのでしょう。むしろ著者は、その沈黙を先行世代からの「贈り物」として受けとっており、レヴィナスに呼びかけられたように感じた経験をみずからの思想的営為の出発点に置いている著者らしい考察であるように思います。
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民主主義、政治、憲法、教育の4つのテーマで論じられています。驚くべき事、お書きになられた時期が、ほとんどコロナ前であり、その洞察は、おそろしいほど、
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内田樹のいつもの本と同じく、内田樹が色んな雑誌やブログ等に書いたことを、集め、必要に応じて書き換え、再編集したもの。2021年11月発行。 「民主主義」「政治」「憲法」「教育」の4章だてになっている。 内田先生の怒りが伝わってくるのが、「教育」の章だ。 内田樹は神戸女学院大学を既...
内田樹のいつもの本と同じく、内田樹が色んな雑誌やブログ等に書いたことを、集め、必要に応じて書き換え、再編集したもの。2021年11月発行。 「民主主義」「政治」「憲法」「教育」の4章だてになっている。 内田先生の怒りが伝わってくるのが、「教育」の章だ。 内田樹は神戸女学院大学を既に退官している。知らなかったが、退官の時期は、定年よりも5年早い。そのあたりのことを、内田樹は「私は選択定年制で大学を5年早く辞めたが、最大の理由は会議と書類書きが受忍限度を超えたからである。(中略)60歳になって、人生のカウントダウンが始まったのに、まだやり残した仕事がたくさんある。(中略)会議と書類書きで自分の時間をこれ以上費やすことに耐えられなかった。」と書いている。 文科省の大学に対しての政策方針により、日本の大学のパフォーマンスは下がる一方であると同時に、現場で教員が何も生み出さない書類仕事に膨大な労力を割いているのが実情だそうである。そのあたりの経緯を、本書で内田樹は分かりやすく詳細に述べている。 バブル崩壊以降、日本の経済は停滞しており反転のきざしはない。それでも、最近は、ノーベル賞を受賞する方が多く、日本の大学を中心とした科学技術は相当なレベルにあるのだろうと勝手に思っていたが、今やそんなことはないということだ。ノーベル賞は長いと数十年前の研究成果に対しての顕彰なので、最近の一国の科学技術レベルを示しているわけではない。 経済の停滞を反転させる、一国の生産性をあげるためには、教育、特に高等教育のレベルの引き上げが必須だと思うが、そこが下がる一方ということであれば、先行きにあまり期待は持てないということだ。現場の教育者は、もっと内田樹のように声をあげれば良いのに、と思う。
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内田先生の安定的に読み応えのある内容でした。 内容的にはいつもおっしゃられていることと そんなに変わらないのですが。 変わらないことをいつもずっと、のべてくれいていて それを毎回そうだよなあと認識することの大事さを 最近よく感じます。 特に今回は、独裁者とイエスマンの章に書かれ...
内田先生の安定的に読み応えのある内容でした。 内容的にはいつもおっしゃられていることと そんなに変わらないのですが。 変わらないことをいつもずっと、のべてくれいていて それを毎回そうだよなあと認識することの大事さを 最近よく感じます。 特に今回は、独裁者とイエスマンの章に書かれてある 内容が、自分の所属する組織部署の欠陥を 言い当てていて、政治や為政者の問題だけではなく 組織が劣化することのひとつの原因として なるほどと思ってしまいました。
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内田樹さんの著者は初めて読みました。 あまり読まないカテゴリーであり、民主主義についての本なので、固い内容かと思いきや、過去に書かれたものをテーマ別に掲載されており、読みやすかったです。 また、過去に書かれた内容が中心ですが、今も変わらない問題を提起しており、古さを感じない内容で...
内田樹さんの著者は初めて読みました。 あまり読まないカテゴリーであり、民主主義についての本なので、固い内容かと思いきや、過去に書かれたものをテーマ別に掲載されており、読みやすかったです。 また、過去に書かれた内容が中心ですが、今も変わらない問題を提起しており、古さを感じない内容でした。(むしろ変わらない日本にガッカリするという…。) 印象に残ったのは下記の通り。 ・過去の失敗に学べ。歴史から学ばないものに未来話はない(半藤一利) ・権力者を批判する権利は権力者にしかないという思考停止 ・多様性を担保された集団は、そうでない集団よりも危機耐性が高い ・公人とは、反対者を含めて集団全体を代表するもの ・現実の突きつける問題に最適解で応じようとするものは、常に現実に遅れる。現実に遅れるものは、現実を創り出すことはできない ・教育の成果は、最終的には個人ではなく、集団単位で考量すべきもの ・格付けというのは、他の人たちでもできることを、他の人よりも上手くできるかどうかを見ること 。独創的であればあるほど、格付になじまない ・自分のオリジナリティーではなく、カテゴリー内順位だと信じている。現代日本人が罹患している集団的な病である ・論理性とは突き詰めて言えば、そこで跳ぶか、跳ばないかの決断の差
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内田樹先生が多様なメディアで発表してきた文章を、民主主義、政治、憲法、教育のテーマごとにまとめた一冊。一番最後に収められた文章と帯に書かれた内容からも、全体的にポストコロナを睨んだ論考であると思われる。 どの文章も非常に示唆に富むもので面白く読めた。個人的には、憲法と教育の章に...
内田樹先生が多様なメディアで発表してきた文章を、民主主義、政治、憲法、教育のテーマごとにまとめた一冊。一番最後に収められた文章と帯に書かれた内容からも、全体的にポストコロナを睨んだ論考であると思われる。 どの文章も非常に示唆に富むもので面白く読めた。個人的には、憲法と教育の章には深く頷けるものがあった。なぜここまで日本の大学がダメになってしまったのか。教育の現場に長くいた著者だからこそ書けるものだろう。 本書を通して内田先生は、現実を見なさい、と言い続けている。日本はすでに長い後退戦に入っている。ならば、いかに資源を温存し、後進に手渡せるかが肝である。今は一発逆転のようなことをいう指導者にはついていくべきではない。 内田先生の発言はSNSやブログでも一貫している。ご本人は「反時代的」な発言と自嘲する。おそらく、あまり好きではないという人も多いだろう。しかし、気骨ある知識人がどんどん鬼籍に入るなか、このようにひたすらに警鐘を叩き続ける知識人の存在は貴重である。
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著者の鋭い洞察は、現在の日本社会の成り立ちについて改めて眼を見開かされる思いがする。例えば、日本国憲法について、「本来は存在 しない 9条と自衛隊の葛藤を苦しむという不思議な病態を演じることを通じて、日本人はその疾病利得として世界史上 例外的な平和と繁栄を手に入れた」と喝破し、兵隊にとられた我々の親世代が「子供たちには戦争犯罪について何の責任もないのだから、戦争の醜い部分は自分たちの心に封印して墓場まで持って行くのが戦後生まれの子供たちへの贈り物」と考えていたとの推察も、良い悪いは別として強く同感する。また、大学については、91 年の大学設置基準大綱の目的は18歳人口の減少の結果、増えやしすぎた大学を淘汰する必要にせまられた政策の一環で、「グローバル化度」という一方的な基準によって大学の格付けを行って市場原理による淘汰を期するという見方も、「なるほどそうだったのか」と妙に納得するとともに、改めて怒りが湧いてきた。
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大学設置基準の大綱化が、この国の高等教育や研究を劣化させる分岐点であったという著者の考え方に全面的に同意。
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