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世界は「関係」でできている の商品レビュー

3.7

45件のお客様レビュー

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2026/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

量子論を論じた物理学者たちの思索を経由しつつ、量子力学という切り口から世界のすべてが相互作用によって成り立っている事を、形而上学としてではなく、あくまで科学哲学的な解釈として捉えようとしている本書。(垣根を越えようとしている?) ただし、ここでいう"相互作用"というのは『華厳経』に由来する「一即一切・一切即一」に近い感覚です。「一つのものの中に全体が宿り、全体の中に一つが宿る」という華厳思想。すなわち世界を独立した実体の寄せ集めとしてではなく、すでに互いの中に互いが折り込まれているものとして見る事を指しています。 す〇ぢさんはこの本を『サク〇ノ刻』だと言いました。 本書を元に解釈すれば、「芸術」は個人の表現であると同時に、他者、過去、喪失、継承、さらには世界全体が、一つの形を通して映し現れるものである、と捉える事が出来ます。それは単なる自己表現ではなく、その人の生き様を通して世界そのものと接続するもの、という解釈です。 直哉や圭、他の登場人物達もまた、孤立した主体では無く、互いを映し合い、傷つけ合い、救い合いながら、世界という”網”の中で燃えています。芸術は、作者と世界と受け手が交差する、華厳的に言えば「珠玉」であり、一つの形の中に無数の関係が反射し、結晶したものとも言えます。 そして完成した「強き神」に奥行きはない。いや、全てを自足したものは強いのかもしれない。けれど、同時に閉じてもいる。だから本当に重要なのは、「弱き神」であること。まさに、”未完成の筆”であることです。 欠けていること、届き切らないこと。その未完成さこそが、他者を受け入れ、喪失を抱えつつも未来へ手を伸ばすための余白になる。完成したものはそこで終わる。しかし未完成なものは終わらない。閉じる事なく、別の生の中で反響し続ける。だからこそ、未完の筆は帝網に参加できる。 この所謂「帝網重々無尽」の感覚。「世界は独立した実体の集まりではなく、帝網のように相互に折り込まれた関係の網である」という世界像を、芸術と人物の生を通して描いた作品。それが『サクラノ刻』そのものであるという事。そう思えました。

Posted byブクログ

2026/04/01

エルンスト・マッハは絶対不変な存在を大前提とする形而上学からの脱却を訴え、その後の科学者へ多大な影響を与えた。そこにはレーニンとの論争で有名なボグダーノフも、アインシュタインも、ハイゼンベルクも、筆者自身も含まれる。物質や心など、旧来から人間の認識を支配してきた固定観念を捨て、相...

エルンスト・マッハは絶対不変な存在を大前提とする形而上学からの脱却を訴え、その後の科学者へ多大な影響を与えた。そこにはレーニンとの論争で有名なボグダーノフも、アインシュタインも、ハイゼンベルクも、筆者自身も含まれる。物質や心など、旧来から人間の認識を支配してきた固定観念を捨て、相対的な関係こそが現実に起きている現象を最もうまく説明できるのではないか。摩訶不思議な量子力学における現象も同様な話の流れになるが、そこからさらに飛躍して脳と意識や、意味論にまで適応が広げられていく。 量子力学の基礎となるのはハイゼンベルクの不確定性原理であり、多世界解釈や、観測し得ないが存在している波など、現実への当てはめは様々なものがある。お馴染みの2重スリット実験やツァイリンガーの実験、量子ゆらぎや量子干渉を解釈するのに、相対的な関係を考えるとうまくはまる。プランクはエネルギーがその波の振動数の何倍になっているか示す比例定数をh(プランク定数)と表した。ハイゼンベルクによるXP-PX=ih/2πは、粒子の位置に運動量(速度x質量)をかけたものは、その逆にかけたものと異なることを表す。相互作用がなければその対象物には属性がない、事実は相対的である、と考えることでシュレディンガーの猫を解決する。公準として①ある対象物に関連する情報の最大量は有限である。②いかなる対象物に関しても、常に新たに関連する情報を得ることができる。を前提とする。すべての物理変数をどこまでも正確に知り得たとすると無限の情報を得たことになり、ここでプランク定数が歯止めとなる。ΔXとΔPをどこまでもゼロに近づけることはできない。そのため、光子はそれ以上小さいエネルギーに分割されることなく粒状性とみなされることになる。また、新しい情報は無限には得られない、より古い情報がその系に関連しなくなる原理が作用する。これにより非可換性が重要となる。e=mc2もそうだが、単純に見える数式に深い意味が存在するのが非常に面白い。ハイゼンベルク、ボルン、ヨルダンが行列を使って量子飛躍を計算していたときと同時にディラックも同じ着想にたどり着いていた。3人がかりで難儀した難しい計算を、一番の切れ者のパウリに相談し、数週間で計算してしまった。量子力学の黎明期、人類で初めて不可思議な現実を説明する理論を編み出した天才たちの物語。当時の興奮も伝わってくる

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2026/03/11

 世界は物でできている――私たちは長くそう考えてきた。石や木、人や星がまずあり、そこに関係が生まれるという見方である。だが物理学者 カルロ・ロヴェッリは逆を言う。世界は「もの」ではなく「関係」でできているのだと。山と川、人と人、過去と未来さえ、互いの結びつきの中で姿を得る。  そ...

 世界は物でできている――私たちは長くそう考えてきた。石や木、人や星がまずあり、そこに関係が生まれるという見方である。だが物理学者 カルロ・ロヴェッリは逆を言う。世界は「もの」ではなく「関係」でできているのだと。山と川、人と人、過去と未来さえ、互いの結びつきの中で姿を得る。  そう聞くと難しく思えるが、日々の暮らしを振り返れば合点がいく。人は出会いで変わり、言葉ひとつで景色の色も変わる。孤立した存在など、実はどこにもないのかもしれない。  私たちもまた、無数の結び目の一つとして、この世界を静かに編み続けている。

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2026/03/01

●2026年3月1日、トッパンの吹奏楽コンサートでもらったチラシを見てきた「職場バンドフェスティバル」のあとに。八王子/くまざわ書店にあった。 これなら面白く読めそう。

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2026/01/25

量子力学の幕開けについて作者の解説がわかりやすく、あっという間に知の旅を駆けた感じ。ハイゼンベルグやシュレーディンガーなどのエピソードも面白い。量子もつれは、関係論的解釈で考える、というのが分かったようなどうかな。後半は哲学的で?でした

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2025/12/25

ループ量子重力理論の提唱者であり、「時間は存在しない」の著者であるカルロ・ロヴェッリ氏の著書。相変わらず面白い。 量子とは同定した「何か」ではなく、観測者と観測物とが相互に干渉し合う「関係」として捉える点が興味深い。しかも量子もつれ(Entanglement)を二者間の関係ではな...

ループ量子重力理論の提唱者であり、「時間は存在しない」の著者であるカルロ・ロヴェッリ氏の著書。相変わらず面白い。 量子とは同定した「何か」ではなく、観測者と観測物とが相互に干渉し合う「関係」として捉える点が興味深い。しかも量子もつれ(Entanglement)を二者間の関係ではなく、三人称での関係性で記述される妥当な相対情報を持つ「意味」として捉えている。XP-PX=iℏという順序による差に虚数をかけることで何らかの意味が生じるというこの式にも、オイラーの等式的な深遠な美しさを感じる。 カルロ氏は科学と哲学を表裏一体のものとして考えており、第七章で龍樹菩薩(ナーガールジュナ)の思想を内在化させ量子論というツールをもって世の真の姿に迫ろうとする姿勢が氏らしい。 カルロ氏の著作はいつも理解半分(も及んでないが)ではあるが、毎回知的好奇心を刺激してくれ、読んでいて楽しい。

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2025/12/20
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2024/03/29 読書ノート:https://note.com/futen_seisuke/n/n256cb8ceeba2 世界の本当の姿とは? 天才物理学者が"真実"を明かす 【推薦の言葉】 ●物理に心を解放された。この世界は、僕が信じていたよりずっと自由なのかもしれない。――森田真生 ●存在の織りなす華麗なるネットワーク。量子論的世界観の本質が、ここに語り尽くされる!――須藤靖 ●直感に反するはちゃめちゃな量子物理学の世界に筋を通せる人がいるとしたら、それはカルロ・ロヴェッリだ。――「タイムズ」紙 ●ロヴェッリは、"量子論の世界"やそれが"心"の理解にどう役立つのかという問題と、実に明快に渡り合っている。――アニル・アナンサスワーミー(科学ジャーナリスト) ●ロヴェッリの作品のどこが好きかといえば、常に“人々"に戻ってくるところだ――常に他者と関わり合い、この世界と働きかけ合っている人々に。この本には科学が息づいている。――ニール・ゲイマン(カーネギー賞作家) ●物理学はその詩人を得た。ロヴェッリは見事なまでに人間的で優しく、ウイットに富んだ案内人である。それは彼が科学者であると同じくらい哲学者で詩人だからだ。――ジョン・バンヴィル(ブッカー賞作家) 【内容紹介】 "ホーキングの再来"と評される天才物理学者が"真実"を明かす イタリアで12万部を売り上げ、世界23か国で刊行予定の話題作! 科学界最大の発見であり、最大の謎とされる量子論。 はたして量子論の核心とは何か、 それはどんな新しい世界像をもたらしたのかを、 研ぎ澄まされた言葉で明快に綴る。 量子は私たちの直感に反した奇妙な振る舞いをする。 著者によれば、この量子現象を理解するためには、 世界が実体ではなく、関係にもとづいて構成されていると 考えなくてはならないという。 さらにこの考え方を踏まえれば、現実や意識の本質は何か、 といった哲学的な問いにも手がかりが得られるのだ――。 深い洞察と詩情豊かな表現にいろどられ、 私たちを“真実"をめぐる旅へといざなう興奮の書! 竹内薫氏の解説付き。 7万部突破の『時間は存在しない』著者の最新作!

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2025/08/15

「時間は存在しない」「ブラックホールは白くなる」に続きロヴェッリのこの本を読んだ。量子論についての本で科学と哲学とが相半ばする内容は2冊と同じなのだが、もともと捉えづらい量子論について書いているせいか、この本が一番飲み込みにくかった気がする。しかしつまらないというわけではなく、数...

「時間は存在しない」「ブラックホールは白くなる」に続きロヴェッリのこの本を読んだ。量子論についての本で科学と哲学とが相半ばする内容は2冊と同じなのだが、もともと捉えづらい量子論について書いているせいか、この本が一番飲み込みにくかった気がする。しかしつまらないというわけではなく、数多の刺激に富む良い著作であるとは思う。我々自身もこの物理学が捉えようとする世界の網の目の中に組み込まれている。

Posted byブクログ

2025/06/10

引寄せの本で量子力学を知って、もっと詳しく知れるのかなと読んでみたけど、引寄せの解説とはちがった。むずかしくて、なんのこっちゃわからなかった。

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2025/05/21

 愛の力で結びつき  争いの力で引き離される  その無限の繰り返しで  世界の万象は造られている  ____エンペドクレス(本書 169Pの参照人物)  万物は流転する。世界は関係で出来ている。以上。  ………ではあまりに短いので、もう少し。  実際、エンペドクレスの理...

 愛の力で結びつき  争いの力で引き離される  その無限の繰り返しで  世界の万象は造られている  ____エンペドクレス(本書 169Pの参照人物)  万物は流転する。世界は関係で出来ている。以上。  ………ではあまりに短いので、もう少し。  実際、エンペドクレスの理念から、正義と邪悪を、命を、生きることを問うた、私が最も愛する名作・装甲悪鬼村正という作品においても、浦夢という人物の会話が大変に示唆的に描かれていました。浦夢は、エンペドクレスの、万物が造られる関係性の理解を、最も世界を理解した人物であると評価していました。  戦争に勝つための政治的な理由で、形而上学は、哲学は、対立者の善意を認めてしまう危険思想として排除され、あるいは物理的な研究による兵器開発を遅らせてしまう邪魔者として封殺されてきたことが、歴史的な偉人の紹介によって明らかになったのも感慨深かったです。  いつの世も、そうした忖度と、真実を見いだしたい好奇心との狭間で、人間らしく、生きてきたのだなと、その苦労と、ささやかで偉大な幸福をら心から尊敬しています。まさしく、関係という言葉が世界を現すなら、「人《間》」と、我々のことを指して呼ぶのは、なんとも味わい深く、運命的な力を感じてしまいます。  成り立ちを思えば、物理とは、むしろ唯物的な視点よりも、哲学的な視点で愛し、親しまれた時間の方が、ずっと、ずっと永かったのだと、伝わってきました。想えば、私が影響を受けてきた脚本家・小説家・漫画家、表現をする人たちの作品というのは、大変に、私たちが生活する物理的な、あるいは関係に生じる心の機微に精通してありながらも、どこか形而上学的な、哲学的なものを多く含めておりました。元長柾木さんなどは特に、世界の観測について大いに評価された人ですが、主な著作といえば、まさかのアダルトゲームですよ。笑笑 ※猫撫ディストーション  今回の読書に影響され、アレクサンドル・ボグダーノフ氏には強い興味を催されましたので、今後、いろいろと彼にまつわる著作を読んでみます。素晴らしい哲学書を読ませていただき、ありがとうございました。  この本が気になるけれど難しそうと思ったあなた。  理系の前提知識は一切不要です。  それでいて、理系で学びたい、学問の先にあるものを、手に取るように知ることが出来る、面白すぎる一冊です。  是非とも、図書館などを頼って、読んでみてくださいませ。  ここまで私の感想を読んでくださったあなたに感謝を。ありがとうございます。  あなたのこれからの日々が、あかるく、やさしく、おだやかなものになりますように。  量子にときめくこの心から、祈りをこめて。

Posted byブクログ