世界は「関係」でできている の商品レビュー
「時間は存在しない」という著作で、私を混乱に陥れた理論物理学者カルロ・ロヴェッリの初学者向け量子物理学の入門書。 著者が序文に記している「私はこの本を、なによりもまず量子物理学にはなじまが薄いが、それでも量子力学がどんなもので何を意味しているかをできる限り理解したいと考えている...
「時間は存在しない」という著作で、私を混乱に陥れた理論物理学者カルロ・ロヴェッリの初学者向け量子物理学の入門書。 著者が序文に記している「私はこの本を、なによりもまず量子物理学にはなじまが薄いが、それでも量子力学がどんなもので何を意味しているかをできる限り理解したいと考えている人々に向けてまとめた。」という意図は成功していると思う。 言葉で書いてある部分を拾いながら、それを理解しようと努力することはできた。 ただ、数式が出てくると、私はその意味を理解しようという努力をスキップした。 見えても理解できないものはあるのだ。 ただ、なんとなく、マルチバースの考え方は、空想だけでなく、現実に理論的に考えても良いものだという気がしてきた。 量子力学での新しい発見には、ぼんやりした空想から生まれてきているものもあるようだ。 本書の狙いであるその深淵をのぞき込む淵には、私も立つことができたような気がする。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
科学的素養をそこまで必要としない量子論の本という触れ込みで読んでみた。確かにエピソード重点で読みやすい部分もあったが、数式や未知数が出てきた瞬間にわかったふりしかできなくなった。観測による確定とか関係性しか存在しないとか実にむつかしい哲学の話で、この辺は訳者あとがきの言う通り。 直感に反するというだけで話が受け入れがたくなるのは、注記で批判されていた本そのままの態度で反省すべきかと思うが、それも引用されていた英作家ダグラス・アダムズの「重力井戸の底で火の玉の周りをまわって生きている人間の視野がどれだけ歪んでいるかは明確」という言を受けてみればなるほど納得。また人は目でものを見ず、脳の予期と異なるものがあるときだけ情報がフィードバックされるという話も面白かった。 つまるところ本筋はふわっとした理解しかできなかったので枝葉末節ばっかり見ていた気がする。『時間は存在しない』も読んでみるべきかどうか。
Posted by
この本は、「時間は存在しない」の著者でもあるカルロさんの量子論について考察された本です。 科学の本というよりは、哲学的な本で、私には、めちゃくちゃ難しく、苦労しました(笑) 量子論の摩訶不思議な世界が描かれており、頭が、混乱しますが、とてもいい刺激になりました。 ぜひぜひ読んでみ...
この本は、「時間は存在しない」の著者でもあるカルロさんの量子論について考察された本です。 科学の本というよりは、哲学的な本で、私には、めちゃくちゃ難しく、苦労しました(笑) 量子論の摩訶不思議な世界が描かれており、頭が、混乱しますが、とてもいい刺激になりました。 ぜひぜひ読んでみてください。
Posted by
世界は対象によってできているのではなく,関係によって対象が存在しているというコペルニクス的転換によって量子論を解釈する関係論的解釈に基づいている。本書は物理学の範疇を華麗に抜け出し、哲学、心理学、生物学の範囲を駆け抜けてゆく。関係論的解釈によって二元論など先入観に囚われた世界を新...
世界は対象によってできているのではなく,関係によって対象が存在しているというコペルニクス的転換によって量子論を解釈する関係論的解釈に基づいている。本書は物理学の範疇を華麗に抜け出し、哲学、心理学、生物学の範囲を駆け抜けてゆく。関係論的解釈によって二元論など先入観に囚われた世界を新たな記述によって再解釈し、観測することが可能になる。
Posted by
またもや素晴らしい本に出会った。量子論という理系的な内容を、学問的な専門知識と卓越した詩的な文章能力を両立させて面白くかつ美しく教えてくれる本だ。完全に自分の好みのツボ。生物学の福岡伸一さんや数学のサイモンシンさんのファンならば絶対に読んだほうが良い。 数か月前に、同じ著者の「時...
またもや素晴らしい本に出会った。量子論という理系的な内容を、学問的な専門知識と卓越した詩的な文章能力を両立させて面白くかつ美しく教えてくれる本だ。完全に自分の好みのツボ。生物学の福岡伸一さんや数学のサイモンシンさんのファンならば絶対に読んだほうが良い。 数か月前に、同じ著者の「時間は存在しない」を手に取ったが、それは全くとしていいほど自分に響かなかったが、おそらくそれは自分の不勉強のためだろう。再度チャレンジしてみたいと思う。
Posted by
タイトルからポピュラーサイエンス的な量子力学解説と言った趣向の本かと思ったが途中から、これはちょっと違うなと思い始め、最後にかけては哲学というか文学というか様々な分野を統合して世界への認識を改めていくような割と革命的な世界の見方を提示してくれる。世界の見方が変わる本。 作者カルロ...
タイトルからポピュラーサイエンス的な量子力学解説と言った趣向の本かと思ったが途中から、これはちょっと違うなと思い始め、最後にかけては哲学というか文学というか様々な分野を統合して世界への認識を改めていくような割と革命的な世界の見方を提示してくれる。世界の見方が変わる本。 作者カルロ・ロヴェッリのヨーロッパの哲人的なさまざまな分野での深い教養とそれを魅力的に語る言葉の翻訳を通しても伝わる素晴らしい文章が非常に魅力的。 シェイクスピアの引用から始まる最終章が白眉。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新聞の書評を読んで面白そうだったので読んでみたけど、量子については1mmも理解できなかった。現代物理学は哲学という認識は得た。 冨永星さんが翻訳を担当された「素数の音楽」を読んだ時も思ったけど、この解明に関わってきた人物たちのエピソードが破天荒で面白すぎる。ボグダーノフが初めて口にした言葉が生後18か月の「パパはばかだ!」に笑ってしまった。
Posted by
量子論を、その歴史と思想の観点から書いた本。 ハイゼンベルクやシュレーディンガーだけではなく、レーニンやナーガールジュナまで登場する。 原書は文学的にも美しい文章らしいけれど、日本語訳はそうでもない。
Posted by
「量子重力理論」の研究を専門とする著者が、量子物理学が生まれた背景や、古典物理学の常識を覆すその特徴的な概念、さらには量子論を事物の「関係性」から捉えるアプローチを解説した一冊。 著者は、量子論の基本概念である「量子飛躍」が、単純な方程式ではなく、観測された結果のみを用いて、確...
「量子重力理論」の研究を専門とする著者が、量子物理学が生まれた背景や、古典物理学の常識を覆すその特徴的な概念、さらには量子論を事物の「関係性」から捉えるアプローチを解説した一冊。 著者は、量子論の基本概念である「量子飛躍」が、単純な方程式ではなく、観測された結果のみを用いて、確率論を前提とした「行列」によって記述された経緯や、量子論に特有な、対象物は「ここ」にも「あそこ」にも存在する「量子重ね合わせ」の状態にあり、我々が目にするのは「量子干渉」がもたらす一つの状態だけであるという考え方、さらにそれを発展させると、「観測」とは我々が対象物を世界の外側から見ているのではなく、我々自身と対象物との相互作用であるという「関係論」に行き着くと主張する。 「この世界が属性を持つ実体で構成されているという見方を飛び越えて、あらゆるものを関係という観点から考える」べきだという著者の「過激な結論」は、本書後半でナーガールジュナという古代インド哲学者の「空(くう)」の概念との対比をふまえ、これまで絶対と思われていたものが相対であったという発見が、心的世界と物理的世界の境界を消し、双方とも自然現象として捉えるという地点にまで昇華される。難解な内容ではあるが、物理学のイメージが(良い意味で)変わることは間違いない。
Posted by
前作の「時間は存在しない」が相当面白かったので期待して読んだのだが、前作ほどのインパクトはなかった。 前作は時間とは何かというシンプルそうで難しい問題に焦点があたっていたので読みやすかったが、今回は量子力学の歴史から始まり、何について議論を展開したいのか少し読者を置いていってしま...
前作の「時間は存在しない」が相当面白かったので期待して読んだのだが、前作ほどのインパクトはなかった。 前作は時間とは何かというシンプルそうで難しい問題に焦点があたっていたので読みやすかったが、今回は量子力学の歴史から始まり、何について議論を展開したいのか少し読者を置いていってしまった印象。 ただし、知的好奇心をくすぐるには十分な内容で、読んでいて新しい世界が開けるような感覚もあった。
Posted by