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思いがけず利他 の商品レビュー

4.2

94件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/11/10

「思いがけず利他」中島岳志著、読了。 「利他」という言葉が気になって、「ぼけと利他」「料理と利他」という2冊を読んだのだけれど、なんだか「利他」の解像度が低すぎてイマイチ理解できなかったんですが、この本を読んで、ちょっとスッキリしました。 最初にこの本を読むべきだった! こ...

「思いがけず利他」中島岳志著、読了。 「利他」という言葉が気になって、「ぼけと利他」「料理と利他」という2冊を読んだのだけれど、なんだか「利他」の解像度が低すぎてイマイチ理解できなかったんですが、この本を読んで、ちょっとスッキリしました。 最初にこの本を読むべきだった! この本の「はじめに」にも書いてあったのですが、「利他的に行動する」(他人のための行動をする)ことは、素晴らしいこと、という印象はあるけれど、例えばコロナ禍で「医療従事者のために飛行機を飛ばします」とか、「マスクをたくさん用意しました」とか、そんなニュースを見ると、あれ?それって本当に「利他」だけが目的なの?会社の評価を上げたいとか、感謝してほしいという自己顕示欲だったりしない?と思ってしまう。なんだか「利他的行動」には「胡散臭さ」が付きまとう。 「あなたのために」と言った瞬間に、「利他的な行為をしている私、偉いでしょ!」が湧いて出てきて、逆に「利他」から離れていくような気がする。 それが私の中の疑問でした。 人のためにやる、つもりでいても、結局は、自分を守るためであったり、相手をコントロールしたいためであったり、なんか、そんな「したごころ」があるように思えてくる。だからといって、やらないより、やる方が良い気もする。いや、でも、結局「したごころ」が…、と、堂々巡りでわけわかんない〜〜!と。 この本では、いろいろな研究や資料を使って、いろいろな方向から考察してあって、なるほど、なるほど、と読み進めていくうちに、なんだか私の疑問の答えのようなものが書いてありました。 「利他」は、発信した時ではなく、相手によって受信されたときに初めて発動する。 行動を起こした時には「利他」ではなく、相手が気持ちよく受け取ってくれた時点で「利他」になるのだ、と。そして、それは、時に、長い年月がかかることもある。 親鸞の考え方、「自力」と「他力」。 「自力」はある意味「利己」。「他力」は「業」であり、「無」から生まれるもの。「おもわず」「とっさに」自分の意思ではないようなところ(他力)から生まれた行動、オートマティックに発動されるようなものが「他力」であって、「利他」につながる、と(解釈間違っているのかも。ごめん。私の理解ではそうなる)。 だから「思いがけず」「利他」(本書のタイトル)なのか! とはいえ、結局、どうやって生きればいいのか?という壁にぶち当たるわけですが、私の解釈でまとめると… 自力の限りを尽くすこと、自力では超えられないものにぶつかり、自分の無力を認識した時「他力」が現れる。この偶然を受けるための器として生きていることが重要。その器に「利他」がやって来る。 要するに、真面目に生きればいいのだ、と。「あの人のため」というのが本当に「あの人のため」になるのかどうかわからないと嘆くより、関係性を感じながら、誠実に積み上げていきなさいよ、ということですね。 「利他」「利他」と悩むのはやめて、やれることを頑張る、ってことですかね。 ちょっと「利他」に対する解像度が上がりました。 この状態で、先に読んだ2冊「ぼけと利他」「料理と利他」を読み直せば、違う見方ができそうです。 ※本書の途中に出てきた、ヒンディー語の「与格」の話が興味深かった。上の感想にうまく入れられなかったので、欄外に書いておく(自分用メモ)

Posted byブクログ

2023/11/04

これはちょっと難しい…。 読み通すと、どうしても「じゃ、どーせいっちゅうねん!」と言いたくなってしまう1冊だからです。 著者自身も「おわりに」で、「そうすると、私たちは何をすればいいのかわからなくなってしまいます。」と述べていて、草の根論的なフニャっとした結論に至っています。本編...

これはちょっと難しい…。 読み通すと、どうしても「じゃ、どーせいっちゅうねん!」と言いたくなってしまう1冊だからです。 著者自身も「おわりに」で、「そうすると、私たちは何をすればいいのかわからなくなってしまいます。」と述べていて、草の根論的なフニャっとした結論に至っています。本編には書けないわな。 まぁでも『暇と退屈の倫理学』でも感じましたが、世の中スカッとロジカルに結論が出るテーマばかりではなく、むしろこの種のテーマに相対した時にこそ人間の地金が問われるのかもしれません。 本著、分量少なめかつ読みやすいので気になったら読んでみていただいた方が早いかと思いますが、様々な例を引きながら「利他」を紐解いた1冊です。 その論考自体は納得のいくもので、本著のタイトルどおり、利他の贈り手からすると「思いがけず」結果的に受け手に感謝されていた、という状態になる。というのは理解できました。 ただ、その上で↑とは別にもう1つ疑問点。 本著では、結果的に自分の利益になるでしょ?という「合理的利他主義」を利他の観点で否定しており、仲間外れレッテルを貼るのは結構ですが、最善ではないにしろ、これを否定しきった先には何があるんでしょう…? いつか帰ってこいと他人に親切にする振る舞いと、それを否定して触れ合いを拒絶するようになるのと、どちらが世の中を良くするんでしょう。ゼロイチなんですかね。両方認めれば良いじゃない。 (メセナ活動だって、無いよりマシなのでは?というスタンスです) 個人的な思いとして、読書を読んでおしまい、にはあまりしたくないので(いやー面白かったー、だけでも良いんですけどね)、何かしら自分の振る舞いを変えるキッカケになればと思ったのですが、でもひょっとすると、時間差でやってくる利他を受け止められるチャネルが、自分のどこかで開いたのかもしれません。

Posted byブクログ

2023/10/31

気づけば「本当の自分」像に執着し、自己の行為の意味を問い続け、延々と悩んでしまうがちな自分にとって、救いになりました。 利他は、外から「思いがけず」やってくる。意味は後からやってくる。 この言葉たちを糧にして、心を偶然に開き、これからの「いま」を一生懸命に生きていこうと思います...

気づけば「本当の自分」像に執着し、自己の行為の意味を問い続け、延々と悩んでしまうがちな自分にとって、救いになりました。 利他は、外から「思いがけず」やってくる。意味は後からやってくる。 この言葉たちを糧にして、心を偶然に開き、これからの「いま」を一生懸命に生きていこうと思います。

Posted byブクログ

2023/10/20

利他をしようと思うと押しつけになる。 偶然相手が時間が経った時にどう感じるかで利他かどうかが決めるため、特に意識するべきではない。 難しいが、せめて喜んでくれるかなと思ってやったことが喜ばれなくても落ち込まないようにはしたい。

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2023/10/05

読み終わった時、きっとこう思うのではないか。「あっ!?なんで今まで気づかなかったのか」と。利他の本質を考えようとする時、私たちの多くは「利他になりきれていない」のである。なぜか「私」という、いわゆる行為者の目線から利他を見てしまう。だから時折「利益」という言葉が出てくるのだと思っ...

読み終わった時、きっとこう思うのではないか。「あっ!?なんで今まで気づかなかったのか」と。利他の本質を考えようとする時、私たちの多くは「利他になりきれていない」のである。なぜか「私」という、いわゆる行為者の目線から利他を見てしまう。だから時折「利益」という言葉が出てくるのだと思った。中島先生はそっと「本当にそうかな?」と問いかける。そして、読者に"自分ではない視点"に気づかせ、利他は「思いがけないもの」だと思わせてくれる。利他には"他"、つまり自分ではない、他者の存在が欠かせないから。

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2023/11/08

前々から気になっていた本書。タイトルが好き。 読みやすくて一気に読破してしまった。 宇多田ヒカルのAutomaticが鳴りやまない。 与格の考え方がおもしろかった。 利他性というのは舞い込んでくるもの、宿るものなのだな。 「情けは人の為ならず」という言葉がでてきそうで出てこなか...

前々から気になっていた本書。タイトルが好き。 読みやすくて一気に読破してしまった。 宇多田ヒカルのAutomaticが鳴りやまない。 与格の考え方がおもしろかった。 利他性というのは舞い込んでくるもの、宿るものなのだな。 「情けは人の為ならず」という言葉がでてきそうで出てこなかった。人に情けをかけると巡りめぐって自分にもよいことが返ってくるという意味だったと思うけど、それだけじゃなくて、情けは見返りを求めるものではないということもあわせて覚えておかないといけない。 見返りを求める利他的な行為はけっきょく利己でしかない。利他を生むのは受け取る側だというのも印象的だったな。なにが他者のためになるかなんてわからないから、受け取ってもらえるかわからないし、自分が思うように受け取ってもらいたいないんて押しつけがましいこと考えないで、目の前の相手に真摯に向き合うことしかできないのだな。 それが偶然の産物になるかもしれない。 偶然性にひらかれた自分でいたいと思う。

Posted byブクログ

2023/09/08

第一章 業の力で、もうこの本は私好きだわってなった(笑) 読みやすくてするっと。 人間の本質は絶対的な無力で、存在すること自体の罪を背負っているみたいな話、大好きなので。 結論としては、結局今を生きるしかないのは、もうそれこそ逃れられないよね~ってやつ。

Posted byブクログ

2023/08/13

ー私は私ではなかったかもしれない。私は「その人」であったかもしれない。この存在の偶然性に目を向けることが、私を私から解放し、他者と共にあることへと私を導いていきます。

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2023/06/25

落語や仏教、ヒンドゥー教から利他について書いてあった。落語と仏教まで、メモした。 利他の本質には「思いがけなさ」がある。共感は、当事者にとって強迫観念になることがある。 落語には人間のどうしようもなさ(人間の業)を肯定し、救いをもたらす。 人間は、愚かで間違いやすい。 他力本願...

落語や仏教、ヒンドゥー教から利他について書いてあった。落語と仏教まで、メモした。 利他の本質には「思いがけなさ」がある。共感は、当事者にとって強迫観念になることがある。 落語には人間のどうしようもなさ(人間の業)を肯定し、救いをもたらす。 人間は、愚かで間違いやすい。 他力本願(阿弥陀仏の力) 人間は煩悩によってできている。だから、欲望や怒りなどから解放されることがない。常に迷いの中に生きていくしかない「どうしようもない存在」である。 「浄土の慈悲」は、自力の利他でなく「他力の利他」 意思的な力(自力)を超えてオートマティカルに行われるもの。止まらないもの、仕方ないもの、どうしようもないもの。 人間のどうしようもなさ(業の肯定)を聞くことで私たちはなぜ救われるのか、なぜ世界を温かく抱きしめる感覚を抱くのか。ここに深いレベルで世界への信頼があり、救済があるのだと思う。 人間は、仏に照らされ自己の愚かさに気づく。この「悪」の認識を持つことで「懇ろの心」を抱くようになる。 自己がどうしようもない人間という認識をもった人間こそが、他者に親身になることができる。 ではなく、その瞬間に世界に抱きしめられる。「利他」といのは、何か単独で「利他」という観念が成立しているわけではない。「利他」が「利他」と認識されない次元の「利他」

Posted byブクログ

2023/06/22

ヒンドゥー語の与格構文や親鸞の話などがとても興味深かったです。 毎日をもっと丁寧に、精一杯生きていこうと前向きな気持ちになりました。

Posted byブクログ