その農地、私が買います の商品レビュー
愛着のある実家の田んぼを父親が売って太陽光パネルになってしまうのをなんとかしたい、というところから話は始まる。著者の一途な行動力はヒヤヒヤするほどパワフルだけど、物事は簡単には進まない。農業が身近な環境で育ち、その大変さだけでなく喜びや楽しさも知っているので、新たに興味を持つ人た...
愛着のある実家の田んぼを父親が売って太陽光パネルになってしまうのをなんとかしたい、というところから話は始まる。著者の一途な行動力はヒヤヒヤするほどパワフルだけど、物事は簡単には進まない。農業が身近な環境で育ち、その大変さだけでなく喜びや楽しさも知っているので、新たに興味を持つ人たちへの視線が優しい。
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なるほど。高橋さん家の次女の「乱」と副題がついているのは最後まで読んでみてわかりました。いやはや、農業の技術的な課題から、コロナ禍で現地へ赴けない苦悩、伝統的村社会の掟、いろいろドラマチックです。前編にわたりそれなりにアップビートだったので、終章に描かれている顛末は都会育ちの私に...
なるほど。高橋さん家の次女の「乱」と副題がついているのは最後まで読んでみてわかりました。いやはや、農業の技術的な課題から、コロナ禍で現地へ赴けない苦悩、伝統的村社会の掟、いろいろドラマチックです。前編にわたりそれなりにアップビートだったので、終章に描かれている顛末は都会育ちの私には想像もできない、強烈さでした。
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「実家の畑を太陽光パネルにしたくない」と守るために農地を買おうと奮闘する元ロックバンド・ドラマーのエッセイ。 しかし、そんな高橋さんの志には、農地行政やら、農村ならではの地域社会やら、コロナやら、猿やら、猪やら…さまざまな障害が立ちはだかる。 はたして… オーガニックって響き...
「実家の畑を太陽光パネルにしたくない」と守るために農地を買おうと奮闘する元ロックバンド・ドラマーのエッセイ。 しかし、そんな高橋さんの志には、農地行政やら、農村ならではの地域社会やら、コロナやら、猿やら、猪やら…さまざまな障害が立ちはだかる。 はたして… オーガニックって響きのステキさに心ときめくけど、農業をとりまく環境ってほんとに厳しい。 我々都会人(いちおう東京都民なんで、そう言っとく)にとって、この本はとても勉強になります。 ところで… 太陽光パネルってエコなはずなのに、農地に太陽光パネルが敷きつめられている光景っていうのは、見るとなぜかぞっとしますよね。あれってなぜなんだろう。 同じく風力発電の風車もです。なんだかこわい…(「北の国から」で純が作ったものは別)
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読みやすい文体の本ではある。 結末がモヤモヤする、という話はこの本を読もうと思ったきっかけとなった書評からでも知っていたが、ちょっと想像を絶するほどのモヤモヤ感だった。 最初の農地の購入の話から、著者に共感できない感じが続いた。太陽光パネルにしたくない、その気持ちは分かるけれど、それでも東京に住んでいて、時々帰省して農業をやっていくのはむずかしいんじゃないだろうか、と。太陽光パネルの業者に売ってしまいたいという農家の人々の話もよく分かる。 著者の志は高いのだけれど、地に足がついていないような感じが受け入れられない。しかし環境保全ということは、このような熱い志を持った人がいるからこそ、ムーブメントとして他者を巻き込んでいくことが出来るのかもしれない。グレタ・トゥンベリさんのように。農業や土地、それを業務や資産として保持継続していくことは、片手間の家庭菜園とは違う。業務なら利益を出さなくてはならないし、資産ならばどのように経常利益、売却利益をあげていくかを考えなくてはならない。熱い志だけではやっていけないところがたくさんあると思う。 中盤の北海道での狩猟の話、種のF1の話はとても面白かった。 最終章はモヤモヤが盛大にモヤモヤする話だった。令和の時代、こんな男尊女卑やってられない。率直に言うなら「うわー田舎ってこんな感じなんだ。移住なんてするもんじゃない。」である。祖父の代の決定事項が恫喝材料として言われてしまうなんて、都市では考えられない。 道路拡張で高橋家はどうなったのか、立ち退きしたのかどうかは書いて欲しかったなあ。そこに住んでいるご両親がただただ気の毒。もちろん著者だけが悪い訳ではない。著者が悪い訳でもないように思う。それでも著者が引っかき回した、と取られても仕方がない気持ちもある。
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「経験者には知恵と経験を貸していただき、私たちは体力や新しいアイデアを。そういう世代間の良い流れが街全体にできたらいいのにと考える」 「面倒くさいをみんなで少しずつ負担し合って、やがてその面倒くさいを楽しめるような、ゆとりのある社会になったらいいな。これはコロナ禍で世界中の人々が悟ったことなんじゃないかと思う」 在来種やF1の種、獣害と山を切り開くこと、生命を食べること、地方を支えている移住者の話 たくさんの人に読んでほしい本だった。 そして、最後の追伸に心底震えた。 家で田んぼや畑をやってきた身なので、田舎ならではのあれやこれやについて多少は知っていた。 が、想像の上をいく事実に胸が締め付けられた。 高橋家が幸せでありますように。
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農地を買って田舎暮らしする☺️のほほんとしたエッセイなのかと思いきや、 次々現れる障害や、ドラマだったら味方になってくれそうなご近所の方々のまさかの対応 農業だけではなく、日本の未来をイヤでも考えさせられる一冊です。
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ソーラパネルに覆いつくされそうになった田舎の土地を買い取って再び畑にするために奔走する話。 面白かったけど、一番衝撃な内容だったのは最後の追伸だった。
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農業のこと。田舎のこと。 農家じゃないと農地が買えなかったり、太陽光パネルを設置することで田舎の原風景が消えたり。 種苗会社が作り出したF1種(子孫を残せない一代交配種)や、雄性不稔種(雄しべがなく受粉できない)。 この世界は何を守ろうとし、何が無くなろうとしているのか。モヤモヤ...
農業のこと。田舎のこと。 農家じゃないと農地が買えなかったり、太陽光パネルを設置することで田舎の原風景が消えたり。 種苗会社が作り出したF1種(子孫を残せない一代交配種)や、雄性不稔種(雄しべがなく受粉できない)。 この世界は何を守ろうとし、何が無くなろうとしているのか。モヤモヤする。 田舎の美しさも怖さも、自分が田舎生まれだから余計に想像できて、自分も唯一のコミュニティから抜け出して、自分の居心地良いコミュニティを求めて都会に出たことを思い出した。 国のルールを作る方たちは、この本のような状況を知っているのかな。地球にとって、そこに住む人にとって、そして食料自給率を高めるために一番よい選択をしてほしい。
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日経新聞での書評を見て図書館で借りた。将来的に里山で暮らしたいな、ということがあって手を伸ばした本。元々なにかの雑誌でのエッセイを集めたもので、軽妙なテンポで読みやすい。借りてから知ったが、著者は元チャットモンチーのドラマー。昔よくきいていたのでびっくり。 奮闘記であり解説本で...
日経新聞での書評を見て図書館で借りた。将来的に里山で暮らしたいな、ということがあって手を伸ばした本。元々なにかの雑誌でのエッセイを集めたもので、軽妙なテンポで読みやすい。借りてから知ったが、著者は元チャットモンチーのドラマー。昔よくきいていたのでびっくり。 奮闘記であり解説本ではないのだが、現状の農家が抱えている問題点の一面が彼女が困難にぶつかっていく過程からよく分かるようになっている。現場のことを知らないコメンテーターの発言よりもこちらのほうがよく分かる。理論的な解説本よりも実態がよく分かる。日経新聞が取り扱うだけある。 後半は中弛みを感じるが、最終章は、書評にあったとおりホラーな展開。田舎の独特な人間関係、政治も感じるが、高橋家にも何か問題があったのでは?と正直思った。 農業を「やりたい」と「やってみたい」は違う、という一節が印象的。やはり田舎の問題は軽く考えてはいけない、と思いました。 引用 p67 今農業をやりたいと言っている人の多くは、「やりたい」てはなく「やってみたい」くらいの初心者たちだ。
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これは賛否両論が出る本だろうなと思った。 農業や村社会に馴染みがあるかないかで意見が分かれそう。農地売買についての現状は勉強になった。守るべき人を守るのではなく、苦しめる法律が現代の日本には多い気がする。 私は農業、村社会どちらにも馴染みがない人間で、そういう人間からす...
これは賛否両論が出る本だろうなと思った。 農業や村社会に馴染みがあるかないかで意見が分かれそう。農地売買についての現状は勉強になった。守るべき人を守るのではなく、苦しめる法律が現代の日本には多い気がする。 私は農業、村社会どちらにも馴染みがない人間で、そういう人間からすると全てのことが新鮮で、行動に移した著者はすごいなあと思った。(たとえ東京から支援する形であれ、体を動かしたいと思う若者に機会を与えたのだから私はよいと思う) この人の行動が賞賛されるべきという訳ではなく一つの農業の形としてアリなのかなあと。 ただ今回の場合は本人の私的な感情で動いたのに、本人が東京にいて、しかも反対していた村に住む家族が苦しい思いをして、というところから批判判する声もあると他の方の感想を読んで思った。 そして、私はすぐ引っ越せばいいのにと思ったが土を育てると言う感覚で、愛着ある土地から離れたくない人もいると理解した。 最終章を読んで思ったこと 話し合いで解決ができない人たちとはどうしたらいいのだろう。お互いの価値観に踏み込まないのが1番だけれど、踏み込まざるおえない状態になったときどうしたらいいのだろう。 ウクライナと、ロシアの戦争が起こっているが、村社会だって何か諍いがあれば、土地を争う小さな戦争だよなと思った。 どちらが正しくたって、先に手を出したらその人は加害者だ。(いじめ・集団リンチ)きっとどちらも自分の価値観の中では正しいのだから。 そんな時一歩引いたところからの仲裁役がいれば、現状は違ったのかもしれない。 村も学校だってみんながみんな同調せねばのけものにされるという雰囲気があるから弱いものいじめが起こる。 弱いものいじめしている人は何かに怯えている。自分の何かが脅かされることを恐れている。 農業だけでなく、なんだかそんなことを考えさせられた。 農業って甘いものじゃないかもしれないけど、とりあえずやってみたいんだと気軽に始められるシステムがあれば、もっと色んな人が農作物を作るんじゃないかなと思った。とりあえず始めてみるって私は嫌いじゃない。 ただ、それだと困ることが何かあるんだろう。世の中知らないことだらけだ。 高橋さんの行動が正しい正しくないではなく、これにより農業や村社会の現実を知り、多くの人が考えるきっかけになればよいのではないかと思った。 正しい正しくないの論争になるのは勿体ない。と考えた休日の昼だった。
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