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ジュリアン・バトラーの真実の生涯 の商品レビュー

4.1

26件のお客様レビュー

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2024/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どうして私はジュリアンバトラーの著作もアンダーソンの著作も読むことができないのか。 どうしてこんなに興味を掻き立てる書評を前にして、インターネットで検索しても検索しても、著作が一冊もヒットしないのか。悲しい。 20世紀のアメリカでの同性愛に対する偏見が生々しく描かれる一方で、序文から参考文献に至るまで、作者の緻密な技巧に唸らされた。 ヘテロセクシャル、白人至上主義、男性優位社会。こういった思想は、20世紀のアメリカに限らず日本でも文学の世界に色濃く描かれている。 文学は時代を写す鏡でもある。そういった作品を読むとき、その時代の社会通念やその裏側を考えながら読む必要があると、改めて感じた。 そういった時代の先駆者のなかに、なぜ、こんなに素敵で魅力的で、人を愛する強さを教えてくれる2人がいなかったのか。 いてほしかったし、その著作を読みたかった。 ジョージはたぶん、ジュリアンに出会えたから、愛を知ることができたし、その後の余生で愛を与えることができたのだと思う。 無償の愛、を知ることができたのだと思う。

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2023/11/07

芸術をめぐる、無邪気な天才肌と実直な凡人との物語は既視感あるけれど、彼らが繰り広げる悲喜劇はやはりとっても面白い。 虚構をリアルに落とし込む、作者の筆力と知識と熱量に圧倒された。

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2023/08/06

記憶の捏造。緻密に作り込まれた虚構により、バトラーは存在を与えられたのでしょう。フォレストガンプや歴史物もにたようなものか。

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2024/03/22

2023.7.28市立図書館 →文庫化即購入(2023.11) 企みに満ちた小説らしく刊行されたときからSNSでも話題になって気になっていた。図書館の予約待ちで、ちょうど夏休みに入るところで順番が来た。ラッキー♪ ある幻の米国作家についての評伝の邦訳、というスタイルで描かれた長...

2023.7.28市立図書館 →文庫化即購入(2023.11) 企みに満ちた小説らしく刊行されたときからSNSでも話題になって気になっていた。図書館の予約待ちで、ちょうど夏休みに入るところで順番が来た。ラッキー♪ ある幻の米国作家についての評伝の邦訳、というスタイルで描かれた長編小説(フィクション:著者名や本棚・分類番号を見ればそれははっきりしているのだから、ここまではネタバレにはならないだろう。中には、何も知らずに手にとって最後に思いっきりおどろくという楽しみ方ができる運のよい人もいるかもしれないが)。 長い前置きがあって、遠い少年時代の著者と幻の作家ジュリアン・バトラーがどのようにであって、アメリカを中心とした50年代60年代の社会や文化のなかで、たがいに、そして実在の作家、非実在の作家とどういう関係を築いていったのかが回想されていく。途中の展開で、そうだったのか、と冒頭に戻って読み直したりするので時間はかかるが、虚実皮膜なアメリカ文学史の世界にいったんひきこまれるとずんずん読める。そして、ジッドとかカポーティとかいろいろ読み返したくなる。肝心のジュリアン・バトラーやアンソニー・アンダーソンの作品は現実に手に取れないというのがまたなんとももどかしい。 最後まで読み終えて、生身の「ジュリアン・バトラー」と作家「ジュリアン・バトラー」のそれぞれが切なく感じられた。そしてアンソニー・アンダーソンまたの名をジョージ・ジョンの生涯もまたなんと数奇で同時に尊いものであったのだろう、と。 これ、単行本のカバー装画も秀逸ながら、いつかよしながふみが漫画化してくれないかな・・・(←著者ご自身の本命は魔夜峰央先生らしい) そして、河出文庫に入る日も待たれる。(←もう入ってます)

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2023/06/17

本編は当事者による回顧録という形でジュリアンバトラーの人物像やその関係性を描き、あとがきは第三者による調査で当事者が語らなかったことを解明して真実を添えるという構成なのかな。 ジュリアンバトラーを裏で支えた人物との共依存や愛憎や破滅的な生活は、何となくイメージしていたものとピッタ...

本編は当事者による回顧録という形でジュリアンバトラーの人物像やその関係性を描き、あとがきは第三者による調査で当事者が語らなかったことを解明して真実を添えるという構成なのかな。 ジュリアンバトラーを裏で支えた人物との共依存や愛憎や破滅的な生活は、何となくイメージしていたものとピッタリ合って、実在する作家や著書も登場するためどこまでがリアルかの境目がわからなくなるが、それがこの本の狙いなのだろうか。アメリカの文学やローマ時代の知識が足りないため理解出来なかった点も多かったのが自分的には悔しい。 今は当時に比べたらLGBTQに理解があるように見える時代だけどこの本の舞台になった時代の方がその本質があるような気がした。

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2023/04/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

翻訳本かと思うほど緻密に作られたフィクションでした。読み終わった後に感嘆した。 耽美な文章。 純愛そして切なくなるような偏愛。 登場人物の全てが愛らしくとても楽しかった。 「あとがきに代えて」も作品の一部になっており、作者自身が感想を語る入れ子になっていて面白かった。

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2023/03/11

文章というか字面が美しく、史実に忠実な部分は大変忠実で、かつストーリーテリングに富み(表現、変かな)、キャラクターの造形が素晴らしい、希有なフィクション。長さもまったく苦にならなかった。 主人公のジュリアン・バトラーは、美しく破天で、江口寿史のひばりくん以来の、魅力的な男性の女...

文章というか字面が美しく、史実に忠実な部分は大変忠実で、かつストーリーテリングに富み(表現、変かな)、キャラクターの造形が素晴らしい、希有なフィクション。長さもまったく苦にならなかった。 主人公のジュリアン・バトラーは、美しく破天で、江口寿史のひばりくん以来の、魅力的な男性の女装キャラ。一方、語り部のジョージ・ジョンは名前の通り、凡庸で(と本人は思っている)、真面目、それでいて偏屈で嫉妬深い、とても人間的な人物で、その対称性が物語を転がしていく。 出てくる諸国の風景もとても美しい。 トルーマン・カポーティのオカマキャラぶりが痛快。 しかし、すべての人々が、平等に老いて醜くなり、この世から姿を消していく。  おかしみと哀しみのバランスが絶妙だった。 私的、今年ナンバーワン候補の小説。

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2022/11/02

作品のおもしろポイントを一生懸命探しながら読んだが、結局最後まで見つけることができなかった。 最後の長い長い「あとがきに代えて」は未読。

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2022/10/25

元々、あまり海外作品読まないし、カタカナが多くてしんどかった ほんタメで見て読んでみたけど、苦手です 作りは好きなので、日本人でやってください

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2022/10/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2022年10月 川本直による、架空の作家の評伝のかたちをとった、小説である。 …と、わかっていても、ジュリアン・バトラーの小説の引用やそれに対する当時の書評、この評伝を書いたジョージ・ジョンの小説のことなどが随所に差し込まれていて、自ずとジュリアン・バトラーが存在した世界に引き込まれてしまう。 そしてきわめつけは"訳者あとがき代えて"収録されている川本直のジョージ・ジョンの取材記録。 素晴らしい自作自演。(そもそも小説というのは自作自演といえるかもしれないけれど。) 面白かった。

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