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ジュリアン・バトラーの真実の生涯 の商品レビュー

4.1

26件のお客様レビュー

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2022/02/12

星5個じゃ足りなくて50個くらいつけたい。今年の1冊は決定した(まだ2月だけど)あまりの面白さに、読みながら何度か本をぶん投げたくなった。人は酷い本を読んだ時だけじゃなく信じられないほど面白い時にも本を叩きつけたくなるんだな。ジュリアンとの出会いの場面が魅力的で(「じゃあ花屋が来...

星5個じゃ足りなくて50個くらいつけたい。今年の1冊は決定した(まだ2月だけど)あまりの面白さに、読みながら何度か本をぶん投げたくなった。人は酷い本を読んだ時だけじゃなく信じられないほど面白い時にも本を叩きつけたくなるんだな。ジュリアンとの出会いの場面が魅力的で(「じゃあ花屋が来るから」)その2ページを何度も読んだ。会話も含めてとっても映像的。実は中身について何も知らずに読み始めて(また!)河出という出版社のイメージも相まって混乱しまくって最後まで読んだ。登場人物も個々のエピソードも混ぜ具合が最高度に凝ってる。最後の参考資料(資料ったって!)の羅列までしっかり読ませた後に印字された、ラスト1ページの小さな文字列よ。。。知的な大人が嬉々として遊ぶとこうなるんだなあ。いいなあ。

Posted byブクログ

2022/02/14

2022/2/3読了。毎日新聞の書評で本作を知ったのだが、最初はオカマの同性愛作家の話かと思った (そもそもそれが偏見であり、大方の好奇心の本質はそれか)が、自然にページが進んですっかり面白さにはまって?しまった。本作の面白さの背景には 今でこそ同性愛…ことに男色の世界に関してL...

2022/2/3読了。毎日新聞の書評で本作を知ったのだが、最初はオカマの同性愛作家の話かと思った (そもそもそれが偏見であり、大方の好奇心の本質はそれか)が、自然にページが進んですっかり面白さにはまって?しまった。本作の面白さの背景には 今でこそ同性愛…ことに男色の世界に関してLGBTなんて市民権を得てきたが、1920年代つまり20世紀中葉は極端に言えば犯罪、宗教的にも全くの排除される世界だったんだのがよく分かった。そんな背景で能力や個性のある連中はアート、文学、音楽の世界で生きて行くしかなかったのか。自分を表現する手立てとして。これは米欧の違いはあるものの主人公ジュリアンとジョンが描く群像小説だ。そして 最後章で作者川本直氏が語るバトラーの真実に辿りつくところには胸を打たれるものを感じた。

Posted byブクログ

2022/03/06

たいていの文庫本には、本篇の後に研究者による解説が収めてあって、本篇よりもその解説の熱さにグッとくること、良くあります。そういう優れた解説を読んでいる感じでした。 この作品はたしかに、「ジュリアン・バトラーを求めて」の併録を以て完全版、です。本篇と後書き・バトラーとアンダーソン...

たいていの文庫本には、本篇の後に研究者による解説が収めてあって、本篇よりもその解説の熱さにグッとくること、良くあります。そういう優れた解説を読んでいる感じでした。 この作品はたしかに、「ジュリアン・バトラーを求めて」の併録を以て完全版、です。本篇と後書き・バトラーとアンダーソン・僕と作者・フィクションとノンフィクション・言葉と肉体・生と死、相反する2つのものが混ざり合いぐるぐるする快感を味わえます。そして、男と女は人間を二分するものではなくただそう呼ばれているものに過ぎず、新しくて古い家族の形と愛(なんと手垢にまみれた、謎にみちた、ワイルドカードだろうか)が描かれます。 書き溜めてきた小説を、自分が得意とする文芸評論の中に登場させるアイデア。自分が好きなことと、生きるためにしてきたことが結びつく。たった一度だけ希望と歴史が手を取る瞬間があるとは、こういう瞬間のことをいうのではないでしょうか。 アンダーソンが「出版の全盛は20世紀前半」と語っている通り、いまは文学の時代ではありません。tiktokの時代にどう書くかということに対して、柔らかいアイデアと緻密な組み立てと熱い想いを感じました。

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2021/12/31

妖艶な女装に身を包んだホモセクシュアルの男性として20世紀を生き、世間を震撼させるような文学作品を世に生み出しながら毀誉褒貶の中でトルーマン・カポーティやアンディ・ウォーホルらとの親交で知られたジュリアン・バトラーの生涯を描いた作品。当時のアメリカやヨーロッパの世相、そして何より...

妖艶な女装に身を包んだホモセクシュアルの男性として20世紀を生き、世間を震撼させるような文学作品を世に生み出しながら毀誉褒貶の中でトルーマン・カポーティやアンディ・ウォーホルらとの親交で知られたジュリアン・バトラーの生涯を描いた作品。当時のアメリカやヨーロッパの世相、そして何よりもカポーティなどの多数のアメリカ文学に名を連ねる作家・有名人たちとのスキャンダラスな逸話が面白すぎる。 ・・・のだが、ジュリアン・バトラーという作家は実在しない。著者が作り上げた架空の人物である。でありながら、この語り口や実在の人物たちとのエピソードの数々はいかにもすべてが史実のような信憑性を読者に与えるには十分すぎる。フィクションだと思いながらも「ジュリアン・バトラーは本当は実在していたのでは?」とつい何度も思ってしまうほど、高いフィクションの完成度を誇る。それでありながら、ジュリアン・バトラーの長年のパートナーであったジョージ・ジョンとの愛憎入り混じる関係性などは強く心を打つ。 2021年の最後に非常にエキサイティングな小説を読めて嬉しい、とすら思わせてくれた傑作フィクション。特にアメリカ文学に関心のある人は必読。

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2021/12/26

1950年代に同性愛や過激な性描写で話題となったジュリアン・バトラーという作家、彼を支えたパートナーのジョージ・ジョン(アンソニー・アンダーソン)による回顧録。ジュリアン・バトラーを知らなかったが、それでも十分魅力的な作品だった。回顧録は作家が書いているので理路整然としていて本人...

1950年代に同性愛や過激な性描写で話題となったジュリアン・バトラーという作家、彼を支えたパートナーのジョージ・ジョン(アンソニー・アンダーソン)による回顧録。ジュリアン・バトラーを知らなかったが、それでも十分魅力的な作品だった。回顧録は作家が書いているので理路整然としていて本人を知らなくても十分楽しめた。また日本版の著者の熱意も十分に伝わってきて読み応えがあった。世界を揺るがしたジュリアン・バトラーだが、妙に特別視されるわけでなく、弱いところ、強いところがある一人の人間として描写されており、彼を取り巻く人々たちの良い関係性が描かれていた。

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2021/12/12

【オンライン読書会開催!】 読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です ■2022年1月7日(金)20:30 〜 22:15 https://nekomachi-club.com/events/ff7345cf2cdd

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