君の顔では泣けない の商品レビュー
デビュー作とは思えないリーダビリティとクオリティの高さで最後まで楽しめた。 男女入れ替わりの物語は決して珍しい題材とは言えないが、今までにない視点で捉えたストーリーに惹きつけられる。 主人公は同級生の坂平陸と水村まなみ。 高校1年生の時に、ふとした弾みで入れ替わってしまう。 ...
デビュー作とは思えないリーダビリティとクオリティの高さで最後まで楽しめた。 男女入れ替わりの物語は決して珍しい題材とは言えないが、今までにない視点で捉えたストーリーに惹きつけられる。 主人公は同級生の坂平陸と水村まなみ。 高校1年生の時に、ふとした弾みで入れ替わってしまう。 入れ替わり物の良くあるパターンは時間を経過して元通りが定番だがそうは問屋が卸さない。 入れ替わった事で男女の性差が浮き彫りになり、そのまま年齢を重ね戸惑う二人の姿はリアリティ抜群。 性的搾取やジェンダー問題を絡めながらも瑞々しさを損なわない秀作。
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「君の顔では泣けない」の意味を、アイデンティティやプライドの問題かと考えていたが、読後「なんて優しいんだ」と感心してしまった。
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男女入れ替わりの物語。 テンポ良く読みやすかった。 元の体に戻らないまま15年も経ってしまい その間に結婚して母になってしまったんだもんなぁ。もう戻るのもビミョーだよね・・・ 違った体で生きていくことにも慣れ それぞれ大切な人ができたり 生活基盤を持ってしまったのだから。 二人と...
男女入れ替わりの物語。 テンポ良く読みやすかった。 元の体に戻らないまま15年も経ってしまい その間に結婚して母になってしまったんだもんなぁ。もう戻るのもビミョーだよね・・・ 違った体で生きていくことにも慣れ それぞれ大切な人ができたり 生活基盤を持ってしまったのだから。 二人とももうそこまで戻りたい気持ちも強くないというのも、リアルな感情だろうと思う。 どうしようもない、どうしたらいいか分からない、そんなときはもうその最悪な状況を時間をかけて受け入れて、前を向いて歩いていく。 意外と誰もが経験してることなのかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
男女が入れ替わるベタな設定だが、ラブストーリーでもコメディでもなく、しかも元に戻らないで相手の人生を生きていくらしいと知り、それはさぞしんどいだろうし葛藤もあるだろう、と興味を持って読んだ。 このあらすじを知らずに読んだら、16ページまではきっと違った印象を持って読んだだろうな。そこまで読んでもう一度読み返したかもしれない。知らずに読んでみたかった。 読む前から、入れ替わりは比喩だと思っていた。 入れ替わりなんてなくても、人間誰しも外と中のギャップを大なり小なり持っているし、人生における決断に悩んだり、他人との関わり方に悩んだり、ジェンダーに悩んだり、家族との関係性が変わったり、そういうことってあると思う。 入れ替わりという題材を使って、それらを大きく取り扱って表現したんだと思った。 それが予想以上に引き込まれたし、共感もできた。 水村と坂平の関係性が羨ましいとも思った。 それこそ入れ替わりみたいなことが起きないと、こんな友達はできないんじゃないかと思う。 でも私にも定期的に合って近況を報告し合う友達はいる。 得難いものだな、大事にしたいな、と思った。 自分のことを大切にすることと、相手のことを大切にすることは、同じことの時がある。 水村と坂平は入れ替わっているから当然そうなんだけど、入れ替わりがなくてもそうなのではないか。 私が泣くと、それを自分のことのように辛く感じる人がいる。 そういうことも著者は表現しているのだと思った。
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新鮮だった。 入れ替わりで、戻ろうとするんじゃなくて そのまま生きていくことを決めて 自分の人生として生きていくんだけど、 葛藤もあって。 それがとてもよく表現されていると思った。
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何か最近の全然知らない小説読みたいなと思っていたころに、タイムラインで見かけて気になっていた。「男女入れ替わりものだが、ラブコメではなく、しかも元に戻らない」という内容らしい。特にその中のどの要素がツボとかいうことではないが、ここまでネタバレな概要を読んでなお、一体どんな小説な...
何か最近の全然知らない小説読みたいなと思っていたころに、タイムラインで見かけて気になっていた。「男女入れ替わりものだが、ラブコメではなく、しかも元に戻らない」という内容らしい。特にその中のどの要素がツボとかいうことではないが、ここまでネタバレな概要を読んでなお、一体どんな小説なのだろうと興味がそそられた。 読んでみると、確かにもう、なぜ入れ替わったとか元に戻るためにはどうしたらとかいったことに関しては彼らは何もできることがなく、ただ受け入れて日々何とか生きていくしかないという状態で、もしかしてこういうのが不条理小説なのかなと思った。そして考えようによっては私たちの人生も不条理ばかりであり、異性のクラスメイトと入れ替わるという「あり得ない」事態に置き換えてとらえることのできるような出来事が、自分の身にも起こる(起こったことがある)かもしれないと思ってからは、ある意味リアルな小説として読めるようになった。でもそれは、私が不条理に関して何か気付いたからというよりは、この小説で描かれる、ジェンダー/セックス/ともかく性差にまつわるあれこれや、人生の決断に際してなにか理由や言い訳を探して責任を逃れたくなってしまう心理や、東京と地方の心理的な距離感や、家族や友人などとの思うようにいかない人間関係などの面のリアリティが真に迫っていたからで、じわっと泣いてしまうことは一度ではなかった。素っ頓狂な「仕掛け」を用意してそれを当然フル活用しておきながらも、その仕掛けに頼りきらずに書いている、これってたぶんすごいことなのではないかと思う(って私は小説書くわけではないのでなんとなく思うだけですが)。 登場人物の誰が特に好きになるということもなく、ここがなんといってもワタシ的クライマックスだみたいなシーンもなかったが、それでも妙に心に残る、不思議な読み応えの小説だった。
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あっという間に、半日で読み終えてしまった… 水村さんの相手を思ってのらりくらりとしている優しさ、強さ?がすごいなー。
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主人公の戸惑いや、起きている出来事を受け入れようとする姿を通して、自分自身の身体と心の在り方について考えることができた。 "自分とは何か"、自分が感じている考えや感情について上手く表現できなかったものが、本書ではそれらが言語化されており、共感と共に、その様な捉...
主人公の戸惑いや、起きている出来事を受け入れようとする姿を通して、自分自身の身体と心の在り方について考えることができた。 "自分とは何か"、自分が感じている考えや感情について上手く表現できなかったものが、本書ではそれらが言語化されており、共感と共に、その様な捉え方もあるのか、といった第三者の思考を覗きみることができ、更に深く考えることができる機会となった。
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うわ〜、これは表紙に裏切られた〜! もっと若い子向けの軽めの話かと思ってたら、なんかズシッときてしまった〜 これ切なすぎる〜 何かのきっかけで男女の身体が入れ替わってしまう。 このての話って、コミカルに描かれてる事が多いけど、これはなかなかに辛かった いつ戻れるのか、もうずっ...
うわ〜、これは表紙に裏切られた〜! もっと若い子向けの軽めの話かと思ってたら、なんかズシッときてしまった〜 これ切なすぎる〜 何かのきっかけで男女の身体が入れ替わってしまう。 このての話って、コミカルに描かれてる事が多いけど、これはなかなかに辛かった いつ戻れるのか、もうずっとこのままなのかも分からない。 誰かの人生をどんな気持ちで生きていけばいいんだろう。 元々は「水平線は回転する」というタイトルだったのを「君の顔では泣けない」に改題されたそうです。 このタイトルが秀逸すぎる! 私ならこんな風に生きられないだろうな。 きっと恋人も結婚も出来ないと思う。 もし結婚するなら、安易かもだけど、私は私と結婚して2人で一心同体みたいに生きていこうとするんじゃないかな。 でもその前に、まず黙ってられないだろうな!
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かつて男性だった主人公が、同級生の女子と入れ替わり、女性になってから、かつて自分の性別だった男性をどんな風に感じ、見るのかが、興味深かった。
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