君の顔では泣けない の商品レビュー

君嶋彼方(著者)

2024/10/19

あらすじや帯にも書いてあるが、中身が入れ替わった男女の話。割と古くからある題材だけど、この角度で丁寧に描かれてるのは初めて出会ったかも。
彼らが直面する問題は、多様性とかジェンダーとかって名前が付いてしまった現代では入れ替わらなくても目の前に差し出される。その点、入れ替わった片割れっていう分け合える相手がいる事がむしろ羨ましく思える瞬間があったりする。

2024/10/19

初読の作家さん。知り合いのおすすめ。これがデビュー作なんですね。男女の入れ替え。そのまま生きていくのすごい。ドキドキした。題名「水平線は回転する」よりこちらの方がはるかにいいですね。

2024/10/08

この作者さんのお話好きだ。

話はよくある入れ替わりなんだけど、入れ替わった後に元に戻らない。
自分がある日急に別の性別になったときに、どんな困難が予想されるのか、どんなことが起こりうるのかがリアルに分かりやすく描かれていた。

入れ替わったら確かに、他人として生きているような気になってしまうし、自分事に捉えられないかもしれない。

2024/10/08

入れ替わりモノで、元に戻れないという斬新な設定からおもしろそうだな、と軽い気持ちで読み始めた。
実際には、想像以上の苦しさや難しさがあって、心情描写もリアルで、苦しくなった。
1番辛いのは、家族に自分だと気づいてもらえないこと、死んでも分かってもらえないこと、昨日まで自分がいた場所に自分がいないこと、余所者になっていくこと。
自分に置き換えて考えるだけでも辛かった。
2人とも、支え合いながら強く生きていく姿に心打たれた。

2024/09/23

書き出しが強烈。
思ってた進み方でも思ってた終わり方でもないのが凄かった。飽きずにどばーっと読み進めた。
あくまでも2人にフォーカスし続けるのも散らばらなくてよかった。

2024/09/01

男女入れ替わりはよくある設定だが、半永久的に戻れなくなるといのは新しく面白い視点だと思った。

思わず泣いてしまったのは、弟の禄が兄が変わったと独白するシーン。もし自分が誰かと入れ替わった時、気付いてくれる人はいるかと考えてしまった。

《お互い奪いながら生きていく》という言葉が切なく記憶に残っている。

水村と坂平が恋愛関係にならないのもリアルでよかった。2人には戦友という言葉が似合うのではないだろうか。

坂平からすれば、水村は冷静に状況を受け入れているように見えていたが、男性と付き合ったり、元の父親の「実の子のように思っている」という発言に動揺していた所を見ると、水村にも相応の葛藤があるように感じた。

水村目線の短編なんがあればぜひ読んでみたい。

2024/08/31

水村は運命を受け入れ泰然と過ごしていった、に対して、坂平はずっと葛藤を持ち続け女々しい女を生きている。がファンタジーっぽくならず、肉身や自分の大切なものを生きながら失うことの過酷な状況に向き合う心の葛藤を描いている

2024/08/08

タイトルと装画から受けたイメージとは全く違って、切ない物語だった。
よくある入れ替わりものと思いきや、15年間も入れ替わったままだなんて。
辻村深月さんの選評にあるように、このとんでもない状況を受け入れていく過程が、確かに読者を励ましてくれるようにも感じられた。
もし入れ替わってしまうとしたら、女→男か男→女のどっちがましかなと想像したけど、読んでいるうちに男→女の方が断然キツイんじゃないかなという気がした。入れ替わった後に妊娠〜出産した陸はすごいわ。

2024/07/13

よくある入れ替わりの話…だけでは終わらなかった。
まさか、ここまで！
子どもがいるけどどういう心境で！
など、気になりすぎて一気読みした。

2024/06/25

めちゃおもしろっ！よく聞くような設定からこの立体的とも三次元的とも言える愛の話を紡ぎ上げた力量はデビュー作とは思えない！！借り物の体と性別で生きていく葛藤や男の心で男を好きになる描写がファンタジーなのにとてもリアルに思えるのが凄い。設定に振り回される事なく人物と感情を描いてるとこに何度も心揺さぶられた。台詞回しも現代的な軽妙さがあってとてもうまい。他の作品も読んでみたい。