謎ときサリンジャー の商品レビュー
サリンジャーがやろうとしていたのは、その小説の特徴である世間を撃つように見えて、実は生死を超えた世界があることを告げる揺るがない実感があった。 見事な論考であった。
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kindle。 「バナナフィッシュにうってつけの日」は実質的にサリンジャーのデビュー作。短編集「ナイン・ストーリーズ」の冒頭に収められている。作中で自殺したシーモアとシーモアの家族の姿を、サリンジャーは後の小説で書き続けていく。そこではシーモアは子供の頃から天才で、また彼の兄弟も...
kindle。 「バナナフィッシュにうってつけの日」は実質的にサリンジャーのデビュー作。短編集「ナイン・ストーリーズ」の冒頭に収められている。作中で自殺したシーモアとシーモアの家族の姿を、サリンジャーは後の小説で書き続けていく。そこではシーモアは子供の頃から天才で、また彼の兄弟もずばぬけた才人で、シーモアの最期を描いた小説も実は弟のバディが書いたことになっていく。 この本を読んでいてずっと考えていたのは永井豪と「デビルマン」。「バイオレンス・ジャック」を「デビルマン」につなげたり、「デビルマン・レディ」を書いたり、また「激マン」で「デビルマン」連載時の自分を漫画化して、「デビルマン」をひねくりたおしている永井豪の姿が思い浮かんだ。
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17年に渡って描かれたグラス・サーガの作品群が、不可解に思える一語一句全て考え抜かれた上で伏線を張って描かれていた。紐解く様に解説されていて、とても感動しました。 エヴァンゲリオンの世界観に似ているところがあって、だから私はエヴァもサリンジャー も好きなんだ、と妙に納得しました。
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『ナイン・ストーリーズ』の巻頭を飾る短篇「バナナフィッシュにうってつけの日」は、『ライ麦畑でつかまえて』についで有名なサリンジャー作品だろう。そのラストシーンは主人公の謎めいた死で終わる。これは普通、自殺と解釈される。だが、もし自殺ではなかったとしたら? たしかに注意深く読んでみ...
『ナイン・ストーリーズ』の巻頭を飾る短篇「バナナフィッシュにうってつけの日」は、『ライ麦畑でつかまえて』についで有名なサリンジャー作品だろう。そのラストシーンは主人公の謎めいた死で終わる。これは普通、自殺と解釈される。だが、もし自殺ではなかったとしたら? たしかに注意深く読んでみると、途中から一人称が固有名詞ではなくなり、若い男(野崎訳では「青年」)となっている。もしサリンジャーが意図的にそのように書いたのだとすれば、死んだのは誰なのか。自殺ではなく他殺なのか。だとすれば、誰が誰を殺したのか。ここから著者の壮大な旅が始まる。 本書はあまり一般向けとは言いがたい。本というより論文である。主題そのものは「バナナフィッシュ」だが、その解読にあたっては、サリンジャーのほぼ全作品を射程としている。私も読んだことのない、あまり馴染みのないものも含まれる。しかし、それなら読みづらいかというと、そうではない。 正直に吐露すると、私は本書の主張がどこまで妥当か、明確には判断できない。同意できる部分もありつつ、少々穿ち過ぎではないかと思うところもある。もし穿ち過ぎでないとすれば、それは作者サリンジャーが入念に、とても用意周到に、そうとしか読めないように、単語をひとつひとつ選んで書いていることになる。サリンジャーはたしかにそういう作家だが、それにしてもこの「事件」は証拠がとにかく多すぎる。 かつて柳瀬尚紀氏が『ユリシーズ』における自身の見解をジョイスの遺族に手紙で送ったところ、一笑に付されたという。本書の主張を世界中のサリンジャーの読者、研究者はどのように受け止めるだろうか。頭がおかしいと思うだろうか。私にはわからない。頭がおかしいのは一体誰なのか。
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途中鳥肌がたった。17年に渡って、しかも時間を遡って書かれたグラスサーガの大いなる仕掛けに。 そして何度も読んだ『ライ麦』のラストシーンの解釈に、泣きそうになった。 サリンジャーすごい。でも竹内先生の謎ときが本当にすごい。
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”そうなのだ”と言われたので、”そうなのか”と思ってしまいました 何はともあれ謎解きがシンプルに楽しかった
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サリンジャーの小説が好きで、一通り読んでいると言う人なら絶対ハマる! 読むのが止まらずついつい夜更かししてしまう本。テキスト分析のすごさに圧倒される。 サリンジャーは「ライ麦」が超有名だけど、残念ながらそれしか読んでないという人には何を言ってるのかわかんないかも。そのため、誰...
サリンジャーの小説が好きで、一通り読んでいると言う人なら絶対ハマる! 読むのが止まらずついつい夜更かししてしまう本。テキスト分析のすごさに圧倒される。 サリンジャーは「ライ麦」が超有名だけど、残念ながらそれしか読んでないという人には何を言ってるのかわかんないかも。そのため、誰にでもおススメ!というわけにはいかないんだけど。いや、でも、超おススメ。
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読む前は帯の言葉が大げさに見えたけれど、読めば確かにその通りと思った。そんな解釈はありなのか?と初めは思ったものの、グラースサーガだけでなく、ほかの作品にも散りばめられているサインを丁寧に集めて示されれば、これもありかと納得できる。とてもおもしろかったし、サリンジャーを再読して自...
読む前は帯の言葉が大げさに見えたけれど、読めば確かにその通りと思った。そんな解釈はありなのか?と初めは思ったものの、グラースサーガだけでなく、ほかの作品にも散りばめられているサインを丁寧に集めて示されれば、これもありかと納得できる。とてもおもしろかったし、サリンジャーを再読して自分でも確かめたくなった。
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推理小説のように「誰なのか」がわかるわけではない。ただ、文学にはそういう世界の構築ができるわけで、こういう読み方も理解はできる。というか、そういう、言わば日常にへばりついた常識に囚われすぎた理解の基準を変えていくべきなんだろうな。明快にすっきりわかる、というより、そうした深い理解...
推理小説のように「誰なのか」がわかるわけではない。ただ、文学にはそういう世界の構築ができるわけで、こういう読み方も理解はできる。というか、そういう、言わば日常にへばりついた常識に囚われすぎた理解の基準を変えていくべきなんだろうな。明快にすっきりわかる、というより、そうした深い理解を要求していく一冊。サリンジャーに興味がなくても、文学に興味のある人なら面白く読めると思う。
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すんごい読み解き! ナインストーリーズ何度も読んでるのに、こんなたくさんの記号が隠されていたなんて! ちょうど今年はハプワーズを読んで、なんなんだこれは?と思ってたとこだったけど、 あの作品も今作を読んでみると納得できた。 しかし、すごい!
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