やさしい猫 の商品レビュー
07月-05。3.0点。 母子家庭の主人公、母親がスリランカ人と交際、結婚しようとするが、オーバーステイで収容されてしまう。。。 ドラマも面白かったが、原作の方がやはり面白かった。
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とにかく文体が良い。主人公(娘)の一人称でありながら、母親が視点人物になることもあり、娘と母がある種合一していることを文体で表現していることがすばらしい。 前半で家族や友達が少しずつ仲良くなる日常を描きつつ、後半では裁判ものになり社会派な話へと転換するストーリー構成がとても上手...
とにかく文体が良い。主人公(娘)の一人称でありながら、母親が視点人物になることもあり、娘と母がある種合一していることを文体で表現していることがすばらしい。 前半で家族や友達が少しずつ仲良くなる日常を描きつつ、後半では裁判ものになり社会派な話へと転換するストーリー構成がとても上手い。 個人の日常が社会問題へと接続され、新たな解釈をもたらす接着剤としての役割が裁判にはあるのだなと思った。
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シングルマザーのミユキさんは、東日本大震災のボランティアで知り合った在日スリランカ人のクマラさん(愛称:クマさん)と再会し、恋をし、再婚を考えるようになる。ミユキさんの娘のマヤとも順調に関係を深め、ミユキさんの実母の反対やクマさんの失業などの困難もあったが、ミユキさんとク...
シングルマザーのミユキさんは、東日本大震災のボランティアで知り合った在日スリランカ人のクマラさん(愛称:クマさん)と再会し、恋をし、再婚を考えるようになる。ミユキさんの娘のマヤとも順調に関係を深め、ミユキさんの実母の反対やクマさんの失業などの困難もあったが、ミユキさんとクマさんは無事に結婚する。 しかし手続きに行く途中、クマさんがオーバーステイにより逮捕され、"入管"の施設へと収容されることとなる。 "入管"の法制度、施設に苦しめられる在日外国人の方とその家族、支援する人たちの姿を描いたこの小説。 読んでみて、これまで無縁だった"入管"の法制度、在日外国人の方々へどれほど不親切であるかを考えさせられた。 何より、この小説で描かれた"入管"の職員。極悪非道で底意地が悪すぎる。実際には、犯罪を犯す一部の外国人から日本を守っている側面があるのは理解できるが、それにしても"入管"の職員って酷すぎるなぁ。私自身も経験があるが、"入管"に限らず、お役所仕事をする者、事務職員は「条例で決まってるので」「そういう制度なので」とこちらの事情を鑑みられないものではあるが…。 物語中にあるように心の無い者でないと務まらないお役所仕事なのかもしれない。
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タイトル、表紙の感じと、内容が全く違った。自分の国が、海外の方にとってどれだけ生きにくい世界なのか、まざまざと思い知らされた。日本に生きている以上、理不尽だとしても理解しておく必要がある。
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読んでいると息苦しくなる。なんとかならないのかと。他人に自分を理解してもらうことは難しい。素直に話を聞いて判断して欲しいけど、制度を悪用する人を排除する方向に力が働くと、意地悪くもなるか。
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フォローさせていただいているかたの本棚でみかけて 読んでみたくなった一冊。 『やさしい猫』は2020年5月~2021年4月まで読売新聞の夕刊で連載され 2023年にはNHKでドラマ化されたのだが 私はまったく知らなかった。 この本も内容をしらないまま手にしたので 『やさしい猫』...
フォローさせていただいているかたの本棚でみかけて 読んでみたくなった一冊。 『やさしい猫』は2020年5月~2021年4月まで読売新聞の夕刊で連載され 2023年にはNHKでドラマ化されたのだが 私はまったく知らなかった。 この本も内容をしらないまま手にしたので 『やさしい猫』というタイトルと装丁から ほんわかした物語かと思いきや、実際は…。 結婚を決意したミユキさんとスリランカ人のクマさんだったが クマさんは在留資格が切れて入国管理局に収容されてしまう。 ミユキさんとクマさん、そしてミユキさんの娘であるマヤは ただ家族3人で穏やかに暮らしたかっただけなのに 日本という国はそれを許してくれない。 入国管理局、在留資格…、等々。 聞いたことはあるけれど…。 『やさしい猫』を読みながら 2021年に入管でスリランカ人の女性が亡くなったことを思い出した。 その時はその事実を知って胸が痛んだけれど それ以上のこと、入国管理局とか在留資格とかについて知ろうとしなかった。 この本で知る日本の制度はとてもいびつで 誰のための制度だろう、と考えさせられた。 そして、「日本人はあそこ(入国管理局)で何が起こっているか、ぜんぜん知らないよね」というフレーズには 心に鋭い刃物を突き刺されたような感じだった。 海外で暮らしていた頃 外国人の友人たちは日本人に対してとても好意的だった。 「日本人が好き」という友人も多かった。 みんな口を揃えて言ったのが 日本人は「まじめ」「親切」、そして「信頼できる」と。 「なぜ信頼できるの?」と聞いたときに言われたのは 日本人の仕事に対する姿勢とか、日本製品の質の良さだった。 日本製は信頼できる、その製品を作る日本人は信頼できる。 そして、日本人に仕事を任せると安心だ、と。 だが、これが国際社会の中の日本の話になると 彼らの評価は一変した。 私自身、学生時代に政治について友人と討論した、なんて経験はほぼない。 でも、彼らは違った。 自分たちの国のこと、制度のことなどもよく知っていた。 そんな彼らから見たら、国際社会の中の日本についても そして自分の国のことをあまりにも知らない私にも 思うことがあったのだろうなあ、と今は思う。 今も、世界で起こっている侵攻などの理不尽さには怒りを覚えるのに 自分の国のことからは目をそらしている。 そんな自分を思い知らされた。 『やさしい猫』は心に響いて、考えさせられる一冊だった。
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日本の入管制度や、外国人労働者の権利など様々な課題を浮き彫りにしている作品。 「きみ」宛に文章が綴られているが、正体は最後に明かされる。 入管は厳格にしていなければいけない反面で、施設で病気になっても治療をしてくれないことや、裁判になったとしても過酷な取り調べがあることなど、こ...
日本の入管制度や、外国人労働者の権利など様々な課題を浮き彫りにしている作品。 「きみ」宛に文章が綴られているが、正体は最後に明かされる。 入管は厳格にしていなければいけない反面で、施設で病気になっても治療をしてくれないことや、裁判になったとしても過酷な取り調べがあることなど、ここまで厳しく苦しめる必要はあるのだろうかと考えさせられる。 ナオキくんはその後、どうなったんだろう。幸せになっていますように。
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最初は、国境を越えた温かい出会いのお話しかなぁと呑気に読んでいましたが、こんなに大きな壁が立ちはだかるとは…という感じでした。 そして、在留資格や入管のことなど全然分かっていなかったことを痛感。 楽しくもあり、考えさせられることも多い一冊でした。
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題名からしてほっこり系のストーリーかと思いきや、日本人の子持ちの未亡人とスリランカ出身の男性との家族になるまでの難関ストーリー。 語り口調の文面で、親近感あり、また、一つ一つの小節の終わりに予期せぬ出来事があるような伏線もあり、もっと先に読みたい気持ちに駆られる。 母親とその娘の...
題名からしてほっこり系のストーリーかと思いきや、日本人の子持ちの未亡人とスリランカ出身の男性との家族になるまでの難関ストーリー。 語り口調の文面で、親近感あり、また、一つ一つの小節の終わりに予期せぬ出来事があるような伏線もあり、もっと先に読みたい気持ちに駆られる。 母親とその娘の恋相手が、それぞれ、在留外国人であり、簡単には結ばれない原因がここに書かれている。つくづく、日本人の嫌がらせにカッカしながら読み進めていました。 後半は、オーバーステイをしたが為、裁判まで起こしてしまう。難しい状況の中、私自身も知らなかった世界を勉強させてもらいました。 全てが終わり、この語り口調は誰にあててるのか判明!読者に宛ててると勘違いした私でした(^◇^;)
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ものすごく、色々なことを考えさせられる物語だった。日本人である自分が、いかに何も知らないかを実感せざるを得なかった。
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