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万事快調 の商品レビュー

3.5

71件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

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2021/08/20

はーー間違いなくやべーものを読んだ。笑 直木賞になったテスカトリポカという怪物小説が今年なかったら、確実にこの作品が今年1番の「日本のやべー小説」に認定されてた。 映画「花束みたいな恋をした」は今年公開された、洒落たサブカル系男女の恋愛物語だ(そしてミーハーな私も映画館へ見に行っ...

はーー間違いなくやべーものを読んだ。笑 直木賞になったテスカトリポカという怪物小説が今年なかったら、確実にこの作品が今年1番の「日本のやべー小説」に認定されてた。 映画「花束みたいな恋をした」は今年公開された、洒落たサブカル系男女の恋愛物語だ(そしてミーハーな私も映画館へ見に行った)が、あれに比べるとこっちこそがほんまもんのサブカル系作品に認定されると思う。 コアな映画や洋楽、ヒップホップがたくさん出てくる。 漫画もラノベも小説もレコードも、サブカル系がところどころに散りばめられてる。 それぞれを知ってるとよりこの面白さがわかるんだろうが、私みたいに詳しく知らない人でも全然楽しく読めた。 (ちなみにtofubeatsの水星は好き。それとビリーアイリッシュ、ドブネズミはわかった。小説やラノベは複数。映画はいくつか。あと村上春樹の名言の使いどころは思わず笑った) 久しぶりに小説を読んで爆笑した。いや、初めてかもしれない。笑 常にくすくすしながら、時に吹き出してしまいながら読んだ。 皮肉とユーモアのセンスがすごい。言い回しや表現がすごい。これがデビュー作ってまじですか?しかも作者は99年生まれ??21歳の大学生だと???笑 こんなに自由闊達な作風なのに知性を大いに感じた。 私も「大江健三郎かよ」とか即座に突っ込めるようになりたい。笑 この本を面白いと思うかどうかは評価分かれそうだけど、私は面白かったです。くだらなかった。笑 例えがあっているかはわからないけれど、まるで月刊の青年漫画雑誌に連載されてる漫画を読んでいる感覚だった。 茨城の田舎の偏差値最底辺の工業高校でくすぶる女子高生3人の物語。 深夜の公園でラップ仲間とつるむ、サブカル知識豊富な朴。 右手小指がなくなったカースト最上位の陽キャの矢口。映画好き。 性格の悪い陰キャ巨体の岩隈。本好き。 3人は廃部した園芸部のビニールハウスで大麻を栽培して一儲けしようと画策する。 このほかにも飲酒やったりタバコやったり、世間的にアウトなことばっかやってるけど(でも学校での大麻栽培に比べるとそれらはちっぽけなものに過ぎないのかもしれない)、くだらなくてあほらしくて、だけど彼女らなりにいろいろ考えてたりもしてて、でもでもやっぱり清々しいくらいに「バカ」を突き進んでて、青春してんなあ!と思った。 ラップは私も頭の中で韻を踏んで音楽が流れたし、 薬を盛られる場面、私も読みながら視界がぐらぐらして不思議な感覚を味わった。 そして結末!!!ぶっとんだなあ!!!!笑 はちゃめちゃでとにかく面白かったです。大満足!笑

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2021/08/15

『やり場のない女子高生たちの、明日なき暴走!』 松本清張賞受賞の著者デビュー作。田舎の工業高校の女子高生三人が、閉塞感、不安感を開放すべく、結託して大麻栽培を始める。若者たちのエネルギー溢れる疾走感が伝わってくる。

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2021/08/12

工業高校2年、クラスで3人だけの女子。それぞれの個性と事情がぶつかり爆発する。青春ものと言ってもいい無謀さ、青臭い友情もあり、危機への破れかぶれの対処がはちゃめちゃで、この勢いが最後まで続いて楽しかった。

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2021/08/12

兎にも角にも素晴らしい若い書き手(現役大学生!)による原発のある東海村の偏差値最底辺の工業高校の女子高生たちを主人公とした日本のゲットーとして描くには最高の舞台で彼ら彼女らの息詰まった若者たちのストラグルを描いた超クールな快作。 主人公の一人、朴はスクールカーストの最底辺であり、...

兎にも角にも素晴らしい若い書き手(現役大学生!)による原発のある東海村の偏差値最底辺の工業高校の女子高生たちを主人公とした日本のゲットーとして描くには最高の舞台で彼ら彼女らの息詰まった若者たちのストラグルを描いた超クールな快作。 主人公の一人、朴はスクールカーストの最底辺であり、家ではイジメで登校拒否となった弟を抱え込む状況に居ながら、夜な夜な「ニューロマンサー」と名乗り、フリースタイルラップを仲間達と交わす。最初のシーンで出てくるトラックはバスタ・ライムスの「ブレイク・ヤ・ネック」のインストゥルメンタル。最高だ。 同じくスクールカースト最底辺で図書委員であり大島弓子の「綿の惑星」を愛する岩隈、スクールカースト頂点に居ながら、超映画オタクの矢口の三人はクソみたいな現状を脱する為に、あるきっかけで手にしたマリファナの種を栽培し大金を得ようと計画する。 ヒップホップを中心とした音楽やSF、ミステリ、純文学、文学系少女漫画、カルトムービーが見事に三人により魅力的に作品中に散りばめられ、クールさを加速させる。 ラストもタランティーノの映画か!とみまごうほどのぶっ飛び方。この作家を起点にサブカル系文学が2020年代マリファナの花が咲く様に咲き乱れる事を願わずには居られない。兎に角絶賛したい一冊です。 因みに著者の波木銅さんはイケメンで絵になるので、もっとかましを入れて欲しい。文学シーンに。

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2021/08/06

友達から勧められたこちら。もう見るからに怪しげなこの装丁。魅力でしかないので購入。まさに現代の作家。鮮度抜群。とても楽しい読書時間だった。 地方、茨城県の工業高校に通う女子高生三人が主人公。朴と美流紅と岩隈。それぞれ別ジャンルの青春を過ごしているのだが、あることをきっかけに結託...

友達から勧められたこちら。もう見るからに怪しげなこの装丁。魅力でしかないので購入。まさに現代の作家。鮮度抜群。とても楽しい読書時間だった。 地方、茨城県の工業高校に通う女子高生三人が主人公。朴と美流紅と岩隈。それぞれ別ジャンルの青春を過ごしているのだが、あることをきっかけに結託することとなる。それが大麻だった。それぞれに夢がある。お金が必要なので園芸同好会として活動し栽培し販売する。それがなかなかしっかりしてて面白い。全体的に中二病っぽいけどそれが現実なのか。 美流紅の映画知識、朴の本と音楽の知識に賛同。しかしおばあちゃんからフリースタイルラップ、同性愛、マチェーテ、サイファー、吃音、ノスフェラトゥ、SF…最後は大団円的な印象。なんといっても弟の成長?がナイス。この三人のその後の物語も知りたいが、この作者はそんなこと狙っていないんだろうな。 「マリファナって隠語で『緑』って言ったりすんのね。日本語のラップとかレゲエとかで。そのグリーンと、システム・オール・グリーン。つまり、万事快調ってこと」

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2021/08/02

それぞれにもやもやを抱える女子高生たちが、ミドリで現状打破。 テンポよく、ドラマチックになりすぎない文章がかっこいい。(たぶん)作者の趣味もふんだんに入ってて好き。

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2021/07/31

アウトローだな。サイケだな。松本清張賞受賞作ということで読んでみたけど、清張賞ってこんなのなの??朴(陰キャのラッパー)矢口(クラスの中心人物)岩隈(性格の悪い巨体)地元でも有名な底辺工業高校の女子高生3人は、学校の屋上で大麻を栽培して一儲け企てる。感想が難しい。ちょっと不謹慎な...

アウトローだな。サイケだな。松本清張賞受賞作ということで読んでみたけど、清張賞ってこんなのなの??朴(陰キャのラッパー)矢口(クラスの中心人物)岩隈(性格の悪い巨体)地元でも有名な底辺工業高校の女子高生3人は、学校の屋上で大麻を栽培して一儲け企てる。感想が難しい。ちょっと不謹慎なネタやセリフが多い気がするし、特に茨城県の人は怒ってもおかしくないような...。ただ著者が大学生ってのは凄い。粗削りだけど、根本的にトチ狂ってるけど、青春グラフィティと解釈すれば才能や感性は感じられる。好みのわかれそうな1冊。

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2021/07/26
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まるで、廃墟に来ているときのような物々しい雰囲気が文章から伝わる点と昨今問題視されている事柄をうまく切り取っている点しか良いところがない。  以下ネタバレです。まず、作者の蘊蓄が人物のセリフとして多様されている。確かに、キャラの造形を深くするには必要な要素かもしれないが、蘊蓄で読者にキャラを印象づける手法の一辺倒にならないか心配だ。その点では、私が以前にレビューした別作家と同じだなとしか感じられなかった。キャラが浮ついている。  もう一点、個人的な意見だが、卑猥な表現を隠語として置き換えている文もある。苦手な人には薦められない。 新人賞発出の作品のようだが、強烈な題材をいち早く扱う。それも作者の年齢が若いうちもの勝ちになっていないか?と危惧してしまう作品。

Posted byブクログ

2021/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書店で一際目立っていたのが、この本を知ったきっかけです。 舞台は茨城県の東海村。 田舎の工業高校に通う3人の女子高生が、鬱屈した思いを晴らすべく大麻栽培に辿りつく、という一瞬「は?」と思う設定です。 ところが、3人(岩隈、矢口、朴)それぞれのセリフの応酬が面白くてサラッと一気に読みました。 過剰な田舎コンプレックス、家庭での満たされなさ、10代後半特有のあらゆる対象への苛立ち、根拠のない無敵感、それで繊細。 これらをない混ぜにした感情とでも言うべきか、女の子たち口が悪いです。 一部抜粋 「お前みたいに思考停止している連中を食い物にすることで、世の中って回ってるから」 「私たちの人生ってそんな、ブックオフで百円で買えるような人生じゃないから」 「大島弓子読んでおきながらネトウヨになれるって、マジでありえないんだけど。そのふたつは両立しないだろ。どっちかにしろ!」 など。 作中にはオタクが話し出したら止まらないという勢いで、たくさんの映画や音楽、小説が出てきて、女の子たちの背景、セリフに味わい深さを与えています。 この作者何歳なの?と少し困惑する程詳しいですね。 どれもサブカル(と言われるもの)に熱を上げていた人には馴染みがある作品で、懐かしさと恥ずかしさで苦笑いするかもしれません。 この小説は、そもそも大麻があり、他に未成年飲酒、タバコ、深夜徘徊 という場面があるので、そういった事を真に受けて不快に思う方にはオススメできません。 個人的には映画のポストマン・ブルースを観た後の感じというのが正直な感想です。 疾走感のあるラストは映像的で楽しめました。

Posted byブクログ

2021/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もう、なんなんだなんなんだ、こいつらいったいなんなんだっ!と思いながら最後まで目が離せない。 田舎の底辺高校、過去も今も最低最悪。そんななかで思うことはただひとつ。 「ここからの脱出」 それに必要なのは、とにかく「金」。普通ならバイトだな。女子高生が手っ取り早くお金を手に入れる方法も出てくるが、そこに逃げない賢さはあるのにありえない方法に走る恐ろしいほどの愚かさ。 高校生が大麻を育てていて逮捕されたって事件、あったような気がする。んなアホなこと、とその時は思ったのだけど、これを読むとありだな、という気も… いや、彼らのバカみたいな計画の、その愚かさを賢しらに糾弾するのはたやすい。 でも、そうじゃない、そうじゃないんだよ、と心のどこかで声が聞こえる。 無軌道で、危なっかしくて、絶対的に最悪の結末が見えているのに、それでもそこに向かって突っ走るバカな日々を、私の心の中の高校生が抱きしめる。 最低最悪が連れてくる爽快感。 万事快調!彼らと共に、読み終わった今、私はどや顔だ!

Posted byブクログ