百花 の商品レビュー
一人暮らしの母親が少しずつ年老いていく。一人息子の泉は忙しさを言い訳にして年に幾度しか訪れなくなっていた。しかし、母が認知症となり問題行動を起こすようになると嫌でも母と向き合い、二人で過ごしてきた日々を思い返す。 母の病いが進むのと同時に妻の妊娠も順調に経過する。その時の流れ、家...
一人暮らしの母親が少しずつ年老いていく。一人息子の泉は忙しさを言い訳にして年に幾度しか訪れなくなっていた。しかし、母が認知症となり問題行動を起こすようになると嫌でも母と向き合い、二人で過ごしてきた日々を思い返す。 母の病いが進むのと同時に妻の妊娠も順調に経過する。その時の流れ、家族の移ろいが丹念に描かれている。泉と母親の百合子の丁寧で愛情深い生活、と思ってたら意外な過去もあったりして二人の関係がただ深い絆の繋がりとは言えないものを感じさせる。ラストまで飽きさせない作品だった。
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「あなたは誰?」。徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。ふたりで生きてきた親子には忘れることのできない“事件”があった。泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす―。現代に新たな光を投げかける、愛と記憶...
「あなたは誰?」。徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。ふたりで生きてきた親子には忘れることのできない“事件”があった。泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす―。現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。(e-honより)
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記憶を失っていっても残るもの。人生のなかで、大切にすべきこと。たくさんの愛が詰まった一冊だった。忘れているだけで、実はたくさんの愛に包まれて生きてきたんだよね。
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最近の活字不足に危機感を覚えて、乗り換えの間の10分間で入った本屋で手に取ったのがこれ!こういう時の自分の引きの強さには感心する。 少しずつ忘れていったり、出来ないことが増えていったり、母が自分の知っている母から遠ざかっていく現実を目の当たりにしたとき、泉がいつも目を逸らすその...
最近の活字不足に危機感を覚えて、乗り換えの間の10分間で入った本屋で手に取ったのがこれ!こういう時の自分の引きの強さには感心する。 少しずつ忘れていったり、出来ないことが増えていったり、母が自分の知っている母から遠ざかっていく現実を目の当たりにしたとき、泉がいつも目を逸らすその気持ちはとてもよくわかるなあと思う。 素直に受け止めてなるべくたくさん一緒にいられたら良いのだろうけど、実際には時間的にも気持ち的にも難しい部分があるんだろうし、後者がネックだったりするのかなと思ったりする。 あと、香織と泉の関係性が好きだった。妊娠や出産に対する考え方を前向きでないところも含めて素直に共有できるところとか、適度な距離感はありつつもお互いにお互いをよく見ていそうなところとか。あまり多くは語られていなかったけど、香織さんのこれまでの人生、というかどんな両親のもとで育ってきたのかが気になった。 主人公以外の視点が織り交ぜられている感じ、すごいなあ
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川村元気2作目 はじめは読むのがしんどかった 老いていく母親、自分 なんとなく重ねてしまう(おそらくそう遠くない未来に訪れる)その事実に少しだけ見たくない、というか目を背けたい気分になった でも、読了感はすごくよかった 無くなっていく記憶、かわりに蘇る記憶 そのバランスとか、...
川村元気2作目 はじめは読むのがしんどかった 老いていく母親、自分 なんとなく重ねてしまう(おそらくそう遠くない未来に訪れる)その事実に少しだけ見たくない、というか目を背けたい気分になった でも、読了感はすごくよかった 無くなっていく記憶、かわりに蘇る記憶 そのバランスとか、色合いとか、なんとなく心地よかった 人間は体じゃなくて記憶でできているということ?
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私は主体性に乏しく、ものごとの判断は大半が周囲からの影響しかないので、本屋さんで本を選ぶときに、なるべく帯の記載は見ないようにしているのですが、今回なにげに吉永小百合さんと山田洋次さんというビッグネームが目に入ってしまい、手に取った本をそうっと棚へ戻そうかなとも思ったのですが、...
私は主体性に乏しく、ものごとの判断は大半が周囲からの影響しかないので、本屋さんで本を選ぶときに、なるべく帯の記載は見ないようにしているのですが、今回なにげに吉永小百合さんと山田洋次さんというビッグネームが目に入ってしまい、手に取った本をそうっと棚へ戻そうかなとも思ったのですが、コロナ禍の折、一度手に取ったものを商品棚へ戻すというのもどうかと思い、購入させていただきました。(スイマセン) 本作が映画化されているのか否かの情報も持ち合わせていない私としては、読み始めから、ビッグネームの偉大さでもう私の頭の中では豪華俳優陣が出演する日本映画の名作を観ていると言う体で物語が展開され、主役の泉は西島秀俊さんしかイメージがわかないという状況に陥ってしまったので、ネットで調べたところ映画化はされていない様子なので、途中から妄想を断ち切って読み進めることとしました。(固定観念のかたまり) 母が要介護になっている私としては、読み続けていくのがつらい身につまされるシーンもでてくるのですが、そこは小説、本人やお母さんのドラマチックなエピソードが展開され、すてきなストーリーに引き込まれてしまいました。解説に中島京子さんが書かれていますが「母が記憶を失っていくと、息子に記憶が戻ってくる、その不思議なバランス」がまさにこのお話の魅力ですね。 実際のところ、会話もできなくなってしまっている自分の母にも、そこまでではないにしても、それなりの展開がひとつやふたつ、あったんだろうなぁと。少なくとも、子どものころに空襲で家を焼け出され、大人になって父と出会っているわけですから。宣言も開けたことだし、久々に顔を見に行ってみようかな。
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ただ認知症の母の介護をする物語ではなく、子どもが生まれるという未来への希望があるところに、綺麗事では済まされないリアルな生活が見えました 認知症の人と実際関わったことがないので実感としてわからないけど、人間は最後は子どもみたいな状態に戻るのかな 「失っていくということが大人に...
ただ認知症の母の介護をする物語ではなく、子どもが生まれるという未来への希望があるところに、綺麗事では済まされないリアルな生活が見えました 認知症の人と実際関わったことがないので実感としてわからないけど、人間は最後は子どもみたいな状態に戻るのかな 「失っていくということが大人になるということなのかもしれない」
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認知症の方との対話って、なんでこんなに切ないのでしょう。 父や母があらゆることをどんどん忘れて、簡単なことさえできなくなって、退行していく姿を見た時、自分なら何を考えるだろう。 親が愛してくれたように、自分も親を愛し支えたいけれど。
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記憶を無くしていく人を目の当たりにしているようで、実は大切なことをどんどん忘れていってるのは自分かもしれない。読了したときには、もう、そうとしか思えなかった。
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全ての出来事が特別なように思えて 誰もが通る道なんだろう 誰の中にも1人の人の記憶がなくなったとき 存在していないのと同じなのだろうか。。
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